ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫の避難所です

俺は今全力で走っている。医務室へと向かって、全力で。
途中で人とぶつかりそうになるが、かまわない。
「アリサ……!」

それは五分前のこと。俺がリッカに神機の整備を頼んでいたときだ。
コウタが突然部屋の中に飛び込んできて、汗まみれで俺に伝えたのだ。
「ヤ、ヤバイよリーダー……アリサが、ミッションで重症の怪我だって」
事の全てを聞く前に、俺は駆け出していた。


医務室に到着して俺は、一回呼吸して、それから中に入る。
そこには、いつもの服装のアリサが、ベッドで静かに眠っていた。
「アリサ……」
具体的にどんな傷を負ったのかわからないが、顔や腕に巻かれた包帯は見るからに痛々しい。
俺はベッドに近づいて、アリサの顔を見つめた。けれど、何も変化はない。
「なんで、こんなことになっちまったんだよ……」
普段のアリサなら、こんな怪我はするはずがない。
俺が背中を安心して預けられる人間だ。ミッション中に油断することはまずない。

けれど、俺は思い出していた。
昨夜、アリサが思いつめたような顔をして自分の部屋へと向かっていくのを。
もしや何か悩み事でもあったんじゃないのか?
だとするならアリサがこうなっちまったのは……
「俺の、責任じゃねぇか……!」
情けなさから、体の力が抜けて膝から崩れ落ちる。
思い返せば、最近のアリサはどこかぎこちなかったじゃないか。

アラガミの少女、シオが月へと行ってしまったあのミッションを境に、アリサはどこか変だった。
作戦会議中でも上の空って感じで、ミッションを共にしたときは珍しく誤射していた。
きっと、そのときから何か悩みがあったんだ。
「昨日俺が、相談でも何でもしてりゃこんなことにはッ!!」
悔しさから思わず、床を殴った。
「背中を守られる代わりに、俺が一生傍に立ってやるって、言ったのに、俺は……」
あのときの誓いは、なんだったんだよ……



「リーダー」

聞こえるはずのない声。
顔を見上げると、そこには確かに普段どおりのアリサが微笑んでいた。

「アリサ、お前、なんで」
いつのまにか体を起こして、ベッドから立ち上がって。
彼女はそのまま俺に手を差し伸べて立ち上がるのを支えてくれた。
「お前、重症で運び込まれたって」
「リーダー」
俺を諭すように、彼女は言葉を続ける。
「今日が何日か、わかります?」
「何日って、そりゃ四月一日……あ……」
エイプリル、フール……?
「ゴメンなさいリーダー。こんなウソついて」
「け、けどその包帯、コウタだって真剣な顔だったし……」
「それはみんな、医務室の方に協力してもらいました」
そういうとアリサは、自ら顔と腕に巻かれた包帯を解いた。確かに怪我はない。
本当にウソだった。それはわかったが、なんでアリサはそんなことを?

「リーダーが、悪いんですよ」
「え?」

気がついたら俺は、アリサに抱きつかれていた。
突然のことに、いったん俺はアリサに離れるよう言おうとも思ったが、俺の胸のあたりが、何かで湿りだしたことに気が付いた。
「アリサ……泣いて?」
「確かめたかったんですよっ!」
「たし、かめる?」
「リーダーの、気持ちを……」
「な、なんで俺の気持ちを確かめるんだよ?」
俺がそう尋ねると、彼女はその目を涙で潤せながら答えた。
「リーダー、あのときのミッションから何にも言ってくれないじゃないですか!」
「あのときってもしかして、シオが月に行ったあのときのミッションか?」
「そうですよ!」
「いや、でも、俺が何を言うっていうんだよ。特に思い当たることは……」
「さっきも言ってくれたじゃないですか。背中を守られる代わりに、俺が一生傍に立ってやるって……」
「そ、それがいったいどういう……」
「ここまでやってわからないんですか? ドン引きです……!」
アリサは目に涙をためながら俺を睨んでくる。
掴んでいる手の力も強くなって、握られているところが痛い。
「もしかしたら、死んでしまうかもしれないってときに、あんなこと言われたら……」

「好きになってしまうに、決まってるじゃないですかっ!」

まるで文句を言うように、いっぱいいっぱいになりながら告白をする少女に。
俺は半ば衝動的に唇を重ねてしまっていた。
アリサの温かな息遣いを近くに感じながら俺は、気づいてしまった。
ずっと前から、彼女を愛していたのだということに。
俺はそれを、はっきりと明確にしないまま自分をごまかしてきたんだということに。

「んむ、ふぁ……りー、だー……」
「アリサ、俺もアリサのことが、好きだ」
「本当、に……?」
「……ああ」
「リーダー!」
俺たちはそれから一日中、キスばかりをしてた。
あのミッションから今までの時間の分を、埋め合わせするように。
何度も、何度も。


「リーダー」
「なんだ、アリサ」
「今だけは……名前で呼ばせて、ください」

――好きです、――さん


それから俺たちは恋人と呼ばれる関係になった。
しばらくアナグラではみんなからエイプリルカップルと言われることになってしまったが。
それもいいだろうと思った。

俺たちが恋人であることには、何も変わりがないのだから。

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