ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫の避難所です

「あっ、早いね。もう少し待っててもらえるかな?」

「そうする」

保管庫に入った私を出迎えたのは、忙しくコンソールで指を踊らせるリッカだった。
リッカが忙しくしている理由は……私だ。
タツミ達の救援から帰って一目散にリッカのところに向かって『今から深夜までに制御コアからリベットの一本の緩みまで総点検して。何もかも置いて最優先で』と明らかな無茶振りを苦笑しながらも引き受けてくれたのだ。

「さーって、お待たせ!リボン巻いてもいいくらいの出来だよ!」

「ありがとう」

スミで座っていた私の前に、ケースに納めた神機を持ったリッカが来ていた。
とりあえずケースをテーブルに置いて広げる。
いつもの見慣れた神機が細かい傷も汚れもなく、初めて手に取った日のような姿でそこにあった。

あの日から、私は随分と遠くに来てしまった気がする。

「ねぇ、リッカ」

「ん、なに?」

私は少しでもあの人に近付けただろうか?
私は少しでもあの人の代わりになれただろうか?
私は少しでもあの人くらい強くなれただろうか?
思い浮かぶ問いはどれもとりとめのない自問自答しかない。
訊くだけ意味のない、ただの堂々巡りだ。

「大丈夫?」

リッカの声で私は現実に意識を戻す。

「えぇ……大丈夫。パーフェクトよ、リッカ」

「感謝の極み、かな?急ぐんでしょ」

リッカは私の姿をまっすぐ見ている。
その綺麗な目に眼帯をした私の顔がはっきり写るほど、近くで覗き込んでいる。
私の紫色の右目が揺らいでいるのすら、はっきりと見えてしまう。

この人に嘘を吐きたくない……

きっと、この人に嘘を吐いてもバレてしまう。
そして、余計に心配させてしまうのもわかっている。
かといって、話してしまえば止められてしまう。
なにより彼等にこれ以上、悲劇を見せたくない。
こんなくだらない悲劇は隊長の私だけが背負えばいい。
それが彼等に知られてしまうのがどうしようもなく心苦しくて……

「えぇ、急ぐわ。だから……」

少し踏み込んで、握りたくない拳を握って、振り抜きたくない腕を突き出して、彼女のタンクトップの生地とお腹の柔らかさを拳に感じて……

「お疲れ様……」

小さな呻き声と同時に華奢な身体が私のほうに崩れるのを支えて、そのままソファーに寝かせる。

私と違って、身なりさえ気遣えば年相応に傷もない綺麗な身体を横たえさせ、気を失ったリッカに小さく謝ってから私はコンソールの前に立つ。
少し操作に手間取ったが、ケースに収まったあの人の神機を取り出せた。
普段は持たない二人分の神機を手に私は保管庫を出ようとして、リッカの方に向き直る。

「ごめんね、リッカ。今までありがとう……」

私はそのまま保管庫を出て、エイジスへの地下通路に向かって、アナグラの奥底へ歩き出した。
二度と戻れないと思う場所と、二度と逢えないと思う大切な人達に勝手に別れを告げながら歩く道は、普段よりもずっと長かった……

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます