ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫の避難所です

私の名前はアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。
しばらく前にフェンリル極東支部に配属された、新型ゴッドイーターです。
ここ最近の日々は忙しいなんてものではありませんでした。
アーク計画が失敗に終わって(というか私達が終わらせたのですが)からというものの、
エイジスで戦ったアラガミ、アルダノーヴァが他のアラガミ達に何らかの影響を及ぼしたらしく、
あちこちでアラガミ達が活性化。
新種も発見されたりで、私達ゴッドイーターは大忙しです。
アルダノーヴァ…シックザール元支部長との激闘や、
シオちゃんとの別れは昨日のことのように思い出せるのですが、忙しさのあまり
あれからどのぐらいの日数が経ったのかも正確に把握できません。
そんなこんなで、アーク計画による混乱もようやく収束し、
アラガミへの対策もある程度安定してきた頃。
私は忘れかけていた悩みに改めて直面することになるのでした。

自分で言うのも何でしょうけど、私は15歳の少女。
フェンリル極東支部の中でも、かなり最前線に立っていると自負していますが、
等身大の悩みだってあるのです。
そう、例えば………

恋の悩みなど。

あの人に最初に出会った時を思い出すと未だに恥ずかしいです。
当時の私は無駄にプライドが高く、あの人の前でも高慢な発言を繰り返していました。
あの人からすれば、第一印象は最悪だったことでしょう。
そんな頃…私はとんでもない過ちを犯してしまいました。
それに伴い、幼い頃のトラウマも呼び起こされ…
もうゴッドイーターとして戦うのは無理であろうかと思われるぐらい、
精神的に不安定な状態に陥りました。
そんな時、あの人は私に手を差し伸べてくれました。
ゴッドイーターとしての勘を取り戻す為にミッションに付き合ってほしいの頼んでも、
嫌な顔一つせずに首を縦に振ってくれて。
あの人のお陰で、ようやく自分が一人じゃないことに気づけました。
初めて会った頃から、高慢な態度の私にも分け隔てなく笑って接してくれる人ではありました。
それに、あの時も隊長として隊員を放ってはおけないと言っていたし、
特別な意味があったなどと思い上がるつもりはありません。
でも…あんな状況で手を差し伸べてくれて、あんなに優しくされて…
改めてアラガミと戦う時のあの人の背中を見ると、驚くほど大きく、頼もしくて。
もう好きになるしかありませんでした。
恥ずかしながら、初恋です。

「おいコウタ、てめぇオレが大事に取って置いてたチョコレート、勝手に食いやがったな!?」
「ご、ゴメンってば! 甘いものが食べたいなーって思ってたとき目に入ったもんだから…」
「だからって人のモン食ってんじゃねぇよ、こんにゃろ!」
「いたたたた、ギブギブ!」
……今、フェンリル極東支部のロビー階下に私はいます。
ここの小さな階段を上ったところで、同期のコウタさんにヘッドロックをかけている彼こそが、私の想い人です。
あの人とコウタさんは同時にゴッドイーターになったらしく、
それもあってかすごく仲が良いです。きっとああいうのを親友…いえ、大親友というのでしょう。
ヘッドロックなんてかけてますが、何だかんだ二人の顔は笑っています。
…コウタさんは若干本気で苦しそうな気もしますけど。
そういえば二人がこうしてじゃれあったりしていると、
時々腐ったような目で二人を見る女性隊員がいます。あれは何なのでしょう。
……あ、今もエレベーターの前辺りにいますね。
よくわからないですが、とりあえずどん引きです。
それにしても…恋心というのは厄介なもので、
最近はあの人とまともに目を合わせることすらできません。
流石にミッション中は集中しているから平気なのですが、一度ミッションが終われば、
緊張の糸が切れてまた彼が近くにいるだけで心拍数が上がるようになります。
そのせいで最近は彼に話しかけられるだけで混乱に陥り、ついつい彼を避けるようになり…
おそらく、かなり感じが悪いと思われていることでしょう。
そういう意味じゃ、普通に彼とじゃれ合えるコウタさんが羨ましくなることもあります。
…あ、泡吹いてる。
話の流れからすると自業自得のようでしたが…助け舟を出すべきでしょうか。
…そ、そうですね。それがいいです。自分から彼に話しかける絶好の機会です。
「あ、あの……」
「ん? アリサか、どうした?」
「い、いえ…」
階段を一歩上がり、彼に近づく度に鼓動が早まるのがわかります。
落ち着け、落ち着くのです、私。
「いや、その、あの、コウタさんが…」
「コウタがどうしたって?」
駄目です、まともに呂律が回りません。
しっかり、アリサはできる子です!
「しかし何でそんな顔真っ赤なんだお前。何か可愛いな」
へらっと笑いながら言う彼。
………まずいです、オーバーヒートしそうです。
「……アリサ?」
アージン
「おい、何か湯気が…」
ドゥーヴァ
「おいおい、大丈夫かお前!?」
慌ててコウタさんを放り投げ、彼が私の額に手を当て……
「………トゥリーーーー!!」
「グフォアァ!?」


…やってしまいました。
よもやあそこまで緊張するとは自分でも予想外でした。
しかも、彼に額を触られ…パニックのあまり、
我ながらかなり見事なボディーブローをお見舞いしてしまいました。
どうしましょう…あれでは確実に嫌われます。ちゃんと謝りにいかないと…。
…………手、大きかった……。



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-------------- オレがここ、フェンリル極東支部に配属されてどのぐらいになるか。
とりあえず、そう長くは経ってないって事だけは確かだ。
だがそのそう長くない間に随分沢山のことがあった。
色んな仲間との出会いや別れ…気づけば、ヒヨッコだったオレも
いつの間にやら隊長を任されている。極東支部にただ二人の新型ゴッドイーターの一人で、
しかも隊長なんて肩書きを持っているモンだから周囲が過度に期待を向けてくる。
アーク計画失敗(失敗させたのはオレとその仲間達だが)の尻拭いのために、
あっちゃこっちゃでわらわら現れ出した強力なアラガミどもの討伐でも、
恐らくオレは最前線に立たされていたように思う。
そのせいでただでさえ疲れが溜まってるんだが…最近、とある悩みのお陰で余計に疲れが溜まる。
何も嫌な悩みというわけではない。
オレの部下にあたる少女…極東支部のもう一人の新型ゴッドイーター、アリサのことだ。
彼女が何かやらかした?
いやいや、そんなんじゃない。確かに最近はやたらテンパってて危なっかしい節はあるが、
ミッション中はいつも通りに頼りになっている。
かなりぶっちゃけて言ってしまえば…オレは彼女に恋をしてしまったのだ。
笑うんじゃねぇ、そこ。齢17にして初恋だ、コンチクショウ。
…初めて彼女に会った時は確かどえらく高慢な態度を取っていたっけか。
はっきり言ってかなりカチンと来る部分が多かった。
第一印象はあの高慢ちきな態度により最悪だった。下乳はヤバかったが。
実際彼女は強かった。
あの態度も実力に裏打ちされたものなんだろうと思い、前線で共に戦い続けた。
しかし、ある事件がきっかけで彼女はゴッドイーターとして再起不能とも思われる精神状態に陥ってしまった。
その時彼女の見せた弱々しさとか脆い部分とか…そういうのを知ったとき、
彼女は…アリサはこんなにも小さな少女だったのかと気づかされた。
病室で俯くそのちっぽけな少女の横顔を見て、オレは彼女を助けてやりたいと、守ってやりたいと思った。
つまるところ、その時オレは彼女に惚れたのだ。
いやだって、実際どうよ?
それまで高慢ちきな態度を取ってた女が突然必死でオレを頼りにしてきたんだぜ?
男としてときめかないわけないだろう。
…まぁ、そんな俗な考えは全部彼方へ放り投げてしまったとしても、オレは彼女を好きになっている。
それだけは確かだった。

「いたたたた、ギブギブ!」
今オレの腕の中で戦闘終了を促している野郎の名は藤木コウタ。
オレのゴッドイーターとしての同期で、多分一番のダチ…親友、否、大親友って奴だ。
立場上部下って事にはなってるが、コイツとの間にそういう隔たりを感じたことはない。
コウタの方も遠慮なしに接してくるし、オレはそういう関係の方が好きだ。
本当に、いい友を持ったと思う。
だが。
だがしかし、部屋に置いていたチョコレートを勝手に食いやがったのは、
いくら大親友といえども許すわけにはいかない。
しかも結構な上物で楽しみに取っておいたものだからなお更だ。…男が甘いモン好きで悪いかコンチクショウ。
そんなわけで、今コイツにヘッドロックをかけている次第だ。
そういえば、たまにコイツと悪ふざけなんかしてると時々何て言やいいのか、
腐ったような目でこっちを見てくる隊員の女がいる。アレは一体何なのか。
よくわからんが底知れない恐怖のようなものを感じる。
「あ、あの……」
なんてことを考えながらコウタにヘッドロックをキメ続けていると、階段の方から聞き慣れた声が聞こえた。
ふとそっちに目をやると、オレの悩みの種が階段を上ってくる姿があった。
「ん? アリサか、どうした」
この時、可能な限り平静を装っていたオレであったが、実のところかなり吃驚させられていた。
というのも、最近ミッション以外のプライベート時はどうもアリサに避けられている節があり、
ここしばらくまともに話していなかったためだ。
それで、予想もしないタイミングで彼女が現れて話しかけてきたのだから、驚きもする。
「い、いえ…」
何でか知らんが微妙に顔を赤らめている。可愛いなぁチクショウ。
階段を上りきり、つかつかとこちらに歩み寄ってくるアリサ。何かもじもじしてるのは何故だ。
顔を赤らめた少女がもじもじしながら話しかけてくるなんてシチュエーション、ときめかずにはいられんぞ。
キュンとくるぞ。

「いや、その、あの、コウタさんが…」
「コウタがどうしたって?」
…まぁ、そうだよな。
大方オレとコウタが本気でケンカしてるとでも勘違いしたんだろう。
見慣れないシチュエーションだったから、あんな人見知り内気少女みたいな様相で近づいてきたに違いない。
その後も何か喋ろうとしてたが、顔を真っ赤にしながら何かもごもご言ってるばかりだった。
どういうわけか、アリサはここのところ人と話す時やたらめったらこんな感じにしどろもどろになる。
ひょっとしてあの一件の傷がまだ癒えておらず、人と関わるのが怖かったりするのだろうか。
などとシリアスな考えが頭に浮かび、何かあったのかと相談に応じようとしてみたが、
先ほども言ったとおり何故かオレは避けられてしまう。
仕方ないのでどうすればいいか先輩のサクヤさんに相談してみたら、
くすくすと笑いながら「アリサはあなたの前でだけああなるのよ」と言っていた。
あの人と話しているとどうしても横乳に目が行ってしまうのは男の性に他ならない。
閑話休題。
それにしても一体どういうことなのだろうか。ひょっとしてコレは新手の嫌がらせか。
オレに色々な心配をかけさせ、心労を増やしていくとかそういうアレなのか。
だがそんなことをされる理由が思い浮かばない。
しかし事あるごとに赤くなって慌てるこのところのアリサの可愛さは尋常ではなく、
或いは今の彼女を眺めるのは幸せでもあった。ギャップ萌え万歳。
でまぁ、今現在オレの目の前でおたおたしている彼女の愛くるしさといったら言葉にもできないわけで、
オレはついついそれを口に出してしまったのだ。
「しかし何でそんな顔真っ赤なんだお前。何か可愛いな」
へら、と笑って気さくに。やや緊張していたが、見事にいつもどおりの違和感ない喋り方が出来た。
逆境に強いぜ、オレ。
……が、ここでアリサの様子がおかしくなった。
顔がボルシチのように真っ赤になったのだ。何やら頭から湯気のようなものも上がっている。
「おい、何か湯気が…」
って待て、そろそろシャレにならんレベルで様子がおかしい!
湯気を吹き上げているアリサから超局地的な熱風が…熱風が!
「おいおい、大丈夫かお前!?」
もしかして何か特殊な病気にでもかかってしまったのかもしれない。
そう思い、慌てて熱を確かめようとコウタを放り投げ(泡を吹いてたのは多分気のせいだよな)、
アリサの額に手を当てた瞬間……
「………トゥリーーーー!!」
「グフォアァ!?」
気持ちのいいボディブローをモロにもらってしまい、オレはその場に倒れ付した。

数十分後、医務室。
「あの…本当に、申し訳ありませんでした」
ベッドに腰掛ける少年に、アリサがぺこりと頭を下げる。
「いや、気にすんな、大したこと無ェから」
「でも、医務室まで運ばれて…」
「不覚にも倒れちまったからな…周囲が大げさに騒ぎすぎなんだ」
実際、少年は顔色も良く、既にこれといって痛そうとか具合が悪そうな様子はなかった。
ちなみに少年が腰掛けているベッドの隣では、コウタが白い目をして横たわっていた。
こちらは目を覚ます気配がない。
「それでも…やっぱり、申し訳ありません」
そう言いながら、アリサがベッドの前に置かれた椅子に座る。
先ほどの自分を恥じたらしく、一度冷静になったお陰で、アリサは今度は随分落ち着いた様子で話せていた。
それでも完全に平気というわけにはいかないらしく、やはりまだほのかに顔が紅潮している。
「……んー、ダメだ」
「え、えっ!?」
「謝り方がよそよそしい。そんな謝り方じゃやっぱり許せないなー、と」
少年が悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「え、ええと…。……ごめんなさい」
「よし、許す!」
グッ、と親指を立て、少年が続ける。
「しかし、さっきはどうしたんだ? 顔、凄まじい赤さだったが…風邪でも引いてんのか?」
「そ、そういうわけじゃ…」
「ならいいんだけどよ。……そういや、さ。気のせいならいいんだが…最近、オレのこと避けてないか?」
少年の言葉に、ギクリという顔をするアリサ。
ふむ、と一息置いてまた少年が話し出す。
「…すまん、オレが何かしたなら素直にそう言ってくれ」
「いえ、そんなことは…。……ただ…」
「ただ?」
真っ直ぐに自分を見てくる少年に、アリサが少し戸惑いを見せながら答える。
「……そ、そう、ちょっと、悩みがあって!」
「悩み?」
「はい! それで、相談しようかどうか迷っていたのですが、なかなかそのタイミングが掴めず…」
半分ぐらいは本当であった。
流石に恋の悩みであるとは言えなかったし、当然それを本人に相談できるはずもないのだが。
ふと、少年が何か思いついたような顔をする。

「……そういやよ、アリサ」
「な、何でしょう?」
「今の状況、あの時を思い出すな」
「あの時?」
「ほれ、アリサがオレの肩に抱きついてきた」
無論、アリサが精神的ショックにより医務室で過ごしていた時の話なのだが、
少年はわざわざピンポイントで話を出し、またも悪戯じみた笑みを浮かべた。
「え、ええ、あの時、ですか……」
件の出来事を思い出して顔を赤くするアリサを、少年はニヤニヤしながら眺めていた。
「まぁ、あの時とは見舞う方と見舞われる方が逆なわけだが…なぁ、アリサ」
「は、はい?」
「タイミングなんていつでもいいんだよ。遠慮なんかすんな、いつでもオレを頼れよ」
「…………」
「あの時だって復帰してからオレを頼ってきただろ? 今だって頼っていいんだよ。何たってオレはお前の隊長だ」
少年の言葉に、アリサは胸がじーんと温かくなるのを感じた。
と同時に、少し残念でもあった。隊長だから、という事はやはり彼は自分が隊員だから頼らせてくれてるのだと。
アリサは気づかない。隊長だから、という言葉が少年の不器用な照れ隠しであることに。
「ともかくだ。今後一切、オレに対して遠慮なんてするな!」
「で、でも…」
「でもじゃない! ……さっきだってオレに全力でボディブローかましたろ?」
「……ごめんなさい」
「いや、もう謝らなくていいんだが…。
 …ともかく、あのぐらい全力でぶつかってきてくれて構わねェよ。そんぐらい受け止めてやるから。
 実際、いいパンチだったぜ?」
右手で自分の腹を殴る仕草をしてみせた後で、少年がニカッと笑う。
屈託が無く親しげな、そして頼りがいのある笑顔だった。
……そうだ、自分はこの人のこんな笑顔が好きだったのだ。改めて、アリサは思った。
あの時だって、少年を頼りにした時、彼は同じように笑って受け入れてくれた。
こんな親しげに微笑みを向けてくれる人と接することに、どうして怯えていたんだろう。
途端に馬鹿らしくなり、驚くほどの安心感が胸中に広がった。
もう、少年と面と向かっても前のような居ても立ってもいられないような緊張感はなかった。
ただ、心地よい鼓動だけがそこにあった。
「ああそうそう、それとな」
ベッドから立ち上がると、少年は一言付け加えた。
「その代わりといっちゃ何だが、たまにはオレの相談にも乗ってくれよ?」
その提案は、少年なりの一歩。
二人の距離を縮めたいが為の、ささやかなアプローチ。
「……はい!」
心からの笑みで、アリサは答えた。
ゴッドイーターの名を冠せども、そこに居るのはただの甘酸っぱい青春に身を置く、
少年と少女に他ならなかった。


「……ねぇ、僕のお見舞いは?」
コウタが目覚めたのは、その数時間後のことであったという。

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