ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫の避難所です

――――――プロローグ――――――
エイジス計画の頓挫およびシックザール支部長の死より10年、長い年月を過ごしても未だ変わらない現実がそこにあった。だが、明日の見えない絶望の中でも、人類は細々と生き残っている。

深夜、フェンリル極東支部『アナグラ』内の一室に、人目を憚る様に入ってきた一人の少年が居た。
「ふぅ……ココは変わりませんね。前も、今も。」
足音を消し、部屋の中を散策していた少年は一つの装置の前で立ち止まる。
ノルン――知恵の池の水を飲み、生きとし生けるもの全ての運命を掌握していた女神達。
それは今、世界中の情報を収集しているデータベースへのアクセス装置となっていた。
「コレを扱うのは久しぶりですね……」
認証が完了したことを確かめると、少年は装置から腕輪を抜き出し、パネルでとある人物の名前を入力する。
「記録が、残っていない?そんなはずは…」
当初より手こずりそうになったからか、少年は眉を皺め、またテキパキとモニターに打ち込み始める。おおよそ半時間は過ぎただろうか。悪戦苦闘の末、少年は一つのフォルダを見つけ出す。
「最終記録、ですか。日付は…秘匿されていますね。」
各種フォルダの奥深くに隠された幾つかの映像ファイル。少年はその中でもっとも新しそうな物を選び、再生した。
映像は銀色に埋もれた古びた寺をバックに三人の少年少女たちを映し出していた。
(ソーマ、コウタにアリサ、ですね。じゃあカメラを持っているのは…やはりあの人でしょうか?)
モニターを見ている少年が考える中、映像の中のコウタとアリサが心配そうな目でこちらを覗く。
『しっかしそのカメラさぁ、いくらメガネ内臓型だっていっても、やっぱり邪魔じゃない?』
『そうですよリーダー、もしカメラが原因で行動に支障が出てミッション失敗とかシャレになりませんよ?』
二人が怪訝そうな視線を向ける中、風景が左右にぶれたところを見るとどうやらカメラの持ち主は首を横に振ったらしい。
『そっか、ならいいんだけどさ。』
言いながら、コウタは後ろに向き、寺を見上げる。
『しっかし博士も変な要求出してきたよなぁ。なーにが「教材を作りたいから実戦映像をちょっと撮ってくれ」だ。しかもよりによってアンタに任せるとかさ。』
『そうですよ、教材を作るなら私達の動作を撮るよりリーダーの動きを撮った方が絶対参考になるのに…』
『いや、そいつは無理だ。』
アリサの不満にソーマが口を挟む。
『だいたいコイツの動きじゃ新兵参考に出来ないだろ。それに俺達三人を撮れば旧型二種と新型を全部一気に取れるって訳だ。博士も言ってただろうが。』
『何だよ、ソーマだってそんな事言って結局はビデオに映りたいだけなんだろ?』
『……それはお前だろうが。』
『なんだとぉ〜!』
『やれやれ、相変わらずですね。』
ギャアギャアと喚く二人に溜息をつき、またこちらを見るアリサ。不意に、顔を近づけてくる。
『でも、こういう風にメガネを掛けているリーダーも新鮮ですね。』
驚いて頭を引いたのか、カメラが少々アリサから離れる。
『ふふっ、中々似合っていますよ、リーダー。』
『そういや今日のターゲットってなんだっけ?』
コウタが聞いた次の瞬間、轟音と共に、映像が大きく変動する。
『ちょっ、リーダー!大丈夫ですか?』
遠くから駆け寄ってくるアリサ。その後ろには早速来訪者に剣を斬り込んでいるソーマの姿が有った。
『いきなりマータに吹っ飛ばされるなんて、リーダーもづくづく運が悪いなぁ』
バレットチップを装着しながら満面の微笑みを顔に振り返ったコウタ。その後ろに迫る氷柱を捉えた瞬間、「リーダー」は飛び出していった。
シールドを展開しコウタを庇った後、次々と遅い来る氷柱を地面すれすれに体を低め走りながら回避し、マータに近寄り下から上に神機を振り上げる。
ズバッ
心地よい音と共に剣がマータの前足を裂く。すかさずパンチをかましてくるもう一方の前足をジャンプで避け、空振りさせた所を神機で地面に突き刺す。
余りの痛さにか、後ろにのけぞり二本足で立っているマータ。そこにさらに追い討ちが浴びせかけられる。
血で真っ赤になった大地を蹴り、前方にダッシュしながら通り越し際に体を軸に回転させ両後足に深い斬り傷を付ける。
直後に高く飛び上がりマータの背中に神機を突き刺し足場として、マントを掴み、力の限り地面に引き倒す。
バランスを崩し、轟音と共に崩れ倒れるマータ。その尊大な姿に似合わぬ悲惨な泣き声を無視し、
腹部に神機を突き付け、切り裂いた後にマータの内部で神機を強制的に変形させ、予め装着させておいたバレットを放射する。
ドンッ!
数回連続した爆発音と共に、雪煙が舞い上がり、カメラを覆う。
カメラが再度プリヴィティ・マータを捕らえた時、そこには無残にも血を流しつくし、腹部がチリヂリに千切れとんだ残骸が残っていた。
『相変わらずリーダーは強いなぁ…』
コウタの賞賛とも感嘆とも取れる言葉を背に、「リーダー」は落ち着いてコアの摘出処理を始める。
『でも結局リーダーが倒しちゃいましたね、マータ。』
アリサが呟く。
『今度また撮り直せばいい。』
結局自分は殆ど何もしなかったことに退屈しているのか、ソーマはだるく神機を片付ける。
『じゃ、集合地点に帰ってヘリを待つとしますか!』
コウタの一言に従い、ぞろぞろとその場を後にする皆。
(何の変哲も無い普通な映像ですね。)
そう、少年が思い込み映像を終了させようとした時、異変は起きた。
D地区の崖の前で、ふと「リーダー」が立ち止まる。
『どうしたんですか?リーダー?』
振り返って近寄ってくるアリサ。「リーダー」はそれを手で制し、崖下を覗き込む。
刹那――
何時の間にそこに居たのか、ディアウス・ピターが手を伸ばし、「リーダー」を捕まえて崖底へと落ちて行った。

映像はここで終わっている。
「これは…続きが気になりますね。」
少年はボソッと呟き、閲覧履歴など、あらゆる痕跡を丹念に消していく。
「まあ、残りは後日また丹念に調べましょう。」
言いながら、ノルンをシャットダウンさせた少年は、足音を消して部屋から出て行く。
「初恋ジュース、まだあったらいいな…」

――――――ToBeContinued?

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