朝日と岩波は、戦後一貫して、自分たちを市民主義の前衛だと自負してきた。
だがそこには、レーニン流の「自分たちが開明で大衆は無知蒙昧」という前提に
立つ、前衛党ばりの倣岸な思い上がりがあった。
それを暴露したのが、インターネットなのだ。
インターネットが登場した初期、岩波はインターネットを持ち上げる新書を
次々に発行し、それを市民の自由な意見の発露の場として称揚した。
自分たちは市民の前衛なのだから、当然インターネットの世界でもその中心にくる
のは当然だと、朝日と岩波の関係者は信じきっていた。
ところが、2ちゃんねるが登場すると、どうも様子がおかしい。
2ちゃんねるに書き込んでいる人たちの大多数は、もちろん組織されない一般市民
に他ならないのだが、それがほとんど朝日と岩波を支持していない。
こうして、朝日と岩波は、それにひっついて自分が偉くなったと錯覚しているよう
な「御用学者・文化人の権威pu」を使って、ドンキホーテよろしく2ちゃん批判に乗り出したのだ。
朝日も岩波も、一皮向けば、要するに活字で組んだ掲示板に過ぎない。
自分たちの妄想していた市民の思想なるものは、じつは朝日や岩波の編集委員の
ごく限られた人々のカキコに過ぎなかった。この事実についての反省は全くなしに。
市民の意見を権威が批判否定する市民主義!?という、お笑いパラドクスがこうして 衆目にさらされた。
一見オトナ気ないような朝日と岩波の2ちゃん批判だが、実はこれは、朝日と岩波が
奉じてきた前衛論市民主義の破綻という、その存在の根本に関わる問題をはらんでいる。
朝日と岩波に市民が「指導」される時代は、もう終わった。
朝日と岩波が、過去のかなたに消え去る日まで、我々はネットで粘り強く議論を続けよう!
http://society.2ch.net/test/read.cgi/mass/10656772...
岩波・世界2003年11月号より(一部抜粋)
99年にウェブ上に登場し、日本のネット人口の1割以上がユニークユーザーとして
接しているとも言われるこの世界最大の匿名掲示板の中では、左翼=「電波」と戦う
という「憂国の士」たちによって、「朝日新聞」を中心としたマスコミや市民派に
対する激しいバッシングが展開されている。
(中略)
これが2chに跋扈する「プチ右翼」たちの姿である。鈍化された形式主義者たる
かれらにとって、「朝日」が「何を」書いているか・意図しているかは実はそれほど 重要なことではない。
もし仮に「朝日」が、らしくないことを書いていれば、「それも 朝日の狙い」といった具合に陰謀論説的に処理してしまえばよい。
いかなる内容を持った記事であっても、それが「朝日」に掲載されている限り、いわば文法的に
「朝日」を嘖うコミュニケーションのネタとして機能してしまうのだ。
上野陽子は 「つくる会」地方支部の参加者たちの反朝日の雰囲気について「朝日を批判すれば、
隣に座っている年齢も社会的立場も異なる人とも、とりあえず話のキッカケがつかめる、
そんな風に感じられた」(小熊英二・上野陽子「癒しのナショナリズム」)と述べて いるが、同じことは2chについてもいえる。
或いは、もはや批判的アイロニーとしての機能を喪失し、「繋がり」を確証するためのツールとなっているのである。
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