政治経済法律〜一般教養までをまとめます

 1958年にC.ド=ゴールの指導の下に制定された現行憲法では、それまでの憲法における議会の絶対的優位が政治の混乱を招いたことを反省して、任期7年(2000年以降5年)の大統領に権限を集中する体制がとられた。46年から58年まで続いた第四共和政(制)に対して現行の憲法体制は第五共和政(制)と呼ばれる。大統領は、最初はもっぱら地方議員からなる選挙人団によって選出されることになっていたが、62年の憲法改正以降、国民の直接選挙によって選出されることになった。大統領選に当選するためには、国民の過半数の支持が必要で、最初の投票で当選者が決まらない場合には、2週間後に上位2名の間で決選投票が行われる。大統領は首相や閣僚の任免権、国民議会の解散権、緊急事態での非常大権、外国との交渉および条約批准権などを持ち、閣議を主宰するなど、その権限は極めて大きい。国民議会の議員は、閣僚に任命されれば議員を辞任しなければならない。任期5年の国民議会の権限は、第四共和政に比べると、大きく削減されている。すなわち、議会の立法権の範囲は大きく制限され、大統領が政令によって立法できる領域が拡大している。首相は大統領によって任命されるが、国民議会による信任を必要とする。したがって、大統領の属する政党が議会で少数党である場合には、大統領は野党の指導者を首相に任命せざるをえない。第五共和政の政治制度は、大統領制と議院内閣制との中間形態であり、しばしば半大統領制と呼ばれる。しかし、アメリカの大統領が厳格な三権分立制や連邦制によってその権限が制約され、イギリスの首相が総選挙での敗北の可能性によってその権力を抑制されているのに比べれば、第五共和政下のフランス大統領は任期5年という以外になんの制約も受けず、強大な執行権を行使しうることは注目に値する。

図 第五共和政下のフランスの政治機構*1

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