政治経済法律〜一般教養までをまとめます

  • 政治的フィードバック
 行政国家への移行に伴って生じた最も重要な問題は、立法部の統合機能の衰退とそれに代わる行政部の統合機能の増大である。議会が法律案の起草能力を失い、委任立法の傾向さえ示すに至ったことは、帰するところに議会が社会の対立を調整する能力を著しく失ったことを示している。そして、議会に代わって行政部が社会の統合を進めるうえでも大きな役割を果たすことが期待されるに至った。しかし、一般に行政官は、立法部の議員のように選挙を通じて国民の統制を受ける立場にはない。そのため、行政官が対立の調整を試みる場合には、社会の統合に必要とされるフィードバックが十分に行われず、調整が政治上の有効性を持ちえないこともあるといえる。
  • 圧力団体の台頭
 もし、行政国家への移行が不可避であるとすれば、政治におけるフィードバックを確保して、権力の集中強化を未然に抑制しうるメカニズムが工夫されることが望ましい。こうした観点から見たとき注目されるのが圧力団体の台頭である。圧力団体は、一般的には、特殊利益を実現するため、政治に対してなんらかの影響を行使する組織された集団であると理解されている。たとえば、、経営者団体、労働組合、農業団体、女性団体、市民組織、宗教団体などのように、本来それぞれの特殊な目的を持つ集団でありながら、同時にそれらの目的を達成するために、政治的にも活発な活動を行う集団が圧力団体にほかならない。
 こうした集団が行政国家への移行とともに著しく目につくようになったことについては、種々の説明が試みられている*1。しかし、最も基本的な原因は行政部の比重の圧倒的増大に求められるであろう。立法部が政策決定過程における中心的な位置を占めていた立法国家においては、社会各層の利害、要求、不満などは議会に反映させることが期待されたし、特に政党が社会各層の意向を議会に伝達することが期待された。しかし、政治の領域が圧倒的に拡大し、社会のあらゆる領域にわたって政府の干渉が必要とされ、しかも行政部が政治において中心的な役割を果たすようになると、社会各層の利害はもはや議会に働きかけるだけでは具体的な成果が確保し難くなる。すなわち、政策決定過程の主要な部分が行政部の手中に置かれるため、各種の利害は行政部に対して働きかけることを必要とするに至ったのである。

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