行政学全体を把握するために必要な知識は相当量のものになるがここでは、公務員試験に合格するために最低限必要な範囲で行政学の大まかな見取り図を描いてみよう
今日の行政学は、制度的側面、管理学的側面、政策額的側面の3側面から研究が進められている。
制度学的側面では、行政部が立法部や司法部に対して実質的に優位に立っている状況を権力分立原理との関連でどのようにとらえるのか、中央政府と地方政府との権限配分はどうあるべきか、行政統制はどうあるべきかといった問題が検討の対象となる。近年日本では、官と民との関係、中央政府と地方政府との関係、中央省庁の組織編制などを巡ってさまざまな改革が行われ、またぎろんされており、また、行政活動に対する市民の監視の目も厳しくなっているので、制度学的側面の研究に注目が集まるようになってきている。
管理学的側面では、行政事務の能率性を確保するための手段、社会経済状況の変化に対応した組織編制のあり方、現代的公務員制度のあり方、財務、予算制度の課題、財源・人材・情報といった行政資源の調達や配分といった問題が検討の対象となる。この側面では、政府規模拡大の制御、行政活動の簡素合理化、業務の民間委託や民営化、市場化への注目が集まっている。これらの課題は行政改革という観点から語られることが多いが、日本の行政改革の特徴であった管理学的側面への傾斜が制度学的側面での改革へとその対象を次第に広げつつある今日、管理学的側面と制度学的側面の双方を視野に入れた考察が必要となってきている。
政策学的側面では、今日の行政活動が単なる法律の執行を超えて公共政策の課題設定や政策作成活動を行っている現実を踏まえ、政策課題設定、政策作成、政策実施、政策評価といった政策の循環過程で行政機関や公務員がどのような作業を行っているかについての分析が行われ、市民福祉の向上に役立つ政策のあり方などが検討の対象となる。政府の活動が法律や予算の執行のみならず、計画、行政規則、行政職員の行動様式などによって大きく左右されるようになってきている今日、これらの諸問題を「公共政策」という枠組みからとらえる必要性がますます高まっている。行政学においても比較的新しい側面であり、隣接諸科学とも連携しつつ発展していくことが期待されている領域であるといえよう。
bennkyotyuu 2012年02月15日(水) 15:46:16履歴
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