最終更新:ID:X986zirF4Q 2018年12月23日(日) 02:24:57履歴
各話の後日談・・・・あるといいな
あの全てが終わってしまった夜から少しだけ時間が過ぎた。
私は今、八城博物館の館長をしている。
あの子がいなくなってしばらくして、偶然道端で随分とやつれた八城先生と会い博物館を
取り壊す話を聞いた。
あの場所はあの子との思い出の場所でありあの子の帰る場所でもある、あそこを無くした
くなかった私は必死に頼み込み八城博物館の管理人にしてもらい何とか残すことが出来た。
・・・あそこには数多くのアーティファクトや魔道書がある、聖柩のようなアーティファ
クトが存在していたのならもしかしたら他にも類似した能力の魔術やアーティファクトが
存在しているかもしれない。
無論あそこにおいてあるとは思っていないがあの魔道書の類やアーティファクトを調べれ
ば何か彼女達を取り戻すヒントをつかめるかもしれないと、そう思ったからだ。
そんな私は今、八城博物館の館長室で途方にくれていた。
−−−
−−−−−−
−−−−−−−−−
「・・・無い。」
私はそう言いながら館長室の机の上、中、近くの本棚等にあった書類をあさる。
「無い、無い、無い。」
そう呟きながらも手を動かしながら目的のものを探す。
「無い・・・目録が見つから無い。」
私はこの博物館にある展示品の目録を見つけられないでいる。
・・・たぶんあの子にはソレリュードことソレル先生が居たからソレル先生の能力頼みで
簡単に検索が出来るからわざわざ作る必要が無かったのだろうけど、いやそもそもあの子
自身素で記憶力がよかったみたいだから必要なかったのだろう。
しかしそれにしたって・・・。
「自分以外にも整理とかで使う人が居るかもしれないのだから作っておきましょうよ・・・。」
そういいつつ私は下の展示物の量を思い出す。
そこそこの広さがある此処には相応に展示物があり、それ以外にも裏にしまってある物も
合わせるとかなりの量にのぼる。
「あれを全て一つ一つチェックして、魔道書やアーティファクトだったなら目的のためには時間
をかけて内容も調べていかないといけないんですよね・・・。」
那由多はその気の遠くなるような作業の大変さ、困難さに気づいてしまい辟易する。
しかし、自身の目的のためには立ち止まるわけにはいかない、もしここで諦めてしまったらただ
でさえ砂粒のような可能性が完全に無くなってしまうかもしれない、それだけは絶対にあっては
ならないことだ。
和葉を、光苑先生を、アローンを、彼女達を取り戻すためにもこんな所で躓いてるわけにはいか
ないのだと私に自身に言い聞かせる。
「とりあえず先ずは・・・家からパソコンもってくる所からですかね・・・。」
整理は決して苦手では無いがすごく得意というわけでもないので一先ず書類整理の味方パソコン
をもって来る所からはじめていこう。
ソレル先生が居れば簡単に終わるのだが居ないものは仕方が無い。
和葉は機械類がとことん苦手であったためこの部屋にはパソコンといった文明の利器も無く電話
ですら黒電話というレベルである。
うん、決して膨大な仕事量を先延ばしにしているわけでは無い、と心の中で言い訳しつつ家から
パソコンを持ってくるために博物館を出る。
入り口を出てしばらく・・・振り返って博物館を見る。
1年前ほどから通うようになった場所、あの子との思い出の場所、あの子が帰ってくるまで私が
守るべき場所。
さまざまな感情を胸に宿し、一言だけ呟く。
「・・・・・・私は必ず成し遂げる、私は必ず貴方達を・・・救い出す。」
私はきびすを返して家に向う、どれだけ時間がかかろうとも一歩づつ、前に向って歩みだす。
その歩みの先に希望があると信じて・・・。
−−−
−−−−−−
−−−−−−−−−
さらさらと流れる波の音を片手間に、白濁した姿を晒す珊瑚を一つ。
さくさくと草の擦れる音を手繰り寄せ、芽吹く夢見たどんぐりを二つ。
からころと個性溢れる音を立てる、何の変哲もない石ころ五つ。
足を止める。ずっと下を向いていた顔を上げた。
夕に紅く染まった海を一望出来る崖の上。ため息が出る風景から、そっと視線を逸らし、足元に静かに鎮座する粗末な石を見やる。
先ほど拾ったガラクタたちをひとつのリボンで数珠繋ぎに纏め上げ、私は粗末な石にそれをかぶせた。
「お墓参りに来ましたよ」
そっと手を合わせ目を閉じる。
石は彼の墓標として私がそれらしく組み立てたものだ。素人作りなので勿論出来は良くはないし、何も知らない者から見たら、雑誌大の石が植わっているだけにしか見えないだろう。
暫くは彼の残骸が流れ着いていないか、時間が空けば頻繁に砂浜を辿った。幾度か和葉ちゃんが付き合ってくれたが、都合のいい奇跡は起こらなかった。
だから、今、この墓の下に主は居ない。
もし彼がここに居たら、地球人の埋葬方法何ぞされてたまるか、と怒るだろうか。想像すると少しだけおかしくて笑ってしまった。
あれだけの事をされたのだ、彼には私のエゴにとことん付き合ってもらおう。それぐらい許して欲しい。
そんなことを考えつつ、立ち上がり目を開く。
墓石の後ろを見ると、ちょこんと人参とナスが置いてあった。
……きっとシャーロットちゃんが供えていったんだな、と半ばあきれつつ、お供え物として持って来ていたプロテインをなんとなく後ろに隠した。
色に陰りを見せた波に気付き、腕時計を見る。
約束の時刻30分前。急がないとこれはマズイ。遅刻するか否かの瀬戸際、非常にぎりぎりのラインになっていることにパニックに近い焦りを感じる。
日々の感謝と、先の残骸探しのお礼を兼ねて、今日は我が家で一緒に食事をしよう、と私から和葉ちゃんを誘ったのだ。誘った手前、遅刻は許されない。
「ふぇぇえ…」
生徒には決して聞かせられない、情けない声が出てしまった口を押さえつつ、来たときとは対照的に騒々しくその場を後にする。
逸る気持ちに足を動かしつつ、後ろの彼に、また来ますね、と呟く。もう来るな、と聞こえたような気がした。
さくさくと草の擦れる音を手繰り寄せ、芽吹く夢見たどんぐりを二つ。
からころと個性溢れる音を立てる、何の変哲もない石ころ五つ。
足を止める。ずっと下を向いていた顔を上げた。
夕に紅く染まった海を一望出来る崖の上。ため息が出る風景から、そっと視線を逸らし、足元に静かに鎮座する粗末な石を見やる。
先ほど拾ったガラクタたちをひとつのリボンで数珠繋ぎに纏め上げ、私は粗末な石にそれをかぶせた。
「お墓参りに来ましたよ」
そっと手を合わせ目を閉じる。
石は彼の墓標として私がそれらしく組み立てたものだ。素人作りなので勿論出来は良くはないし、何も知らない者から見たら、雑誌大の石が植わっているだけにしか見えないだろう。
暫くは彼の残骸が流れ着いていないか、時間が空けば頻繁に砂浜を辿った。幾度か和葉ちゃんが付き合ってくれたが、都合のいい奇跡は起こらなかった。
だから、今、この墓の下に主は居ない。
もし彼がここに居たら、地球人の埋葬方法何ぞされてたまるか、と怒るだろうか。想像すると少しだけおかしくて笑ってしまった。
あれだけの事をされたのだ、彼には私のエゴにとことん付き合ってもらおう。それぐらい許して欲しい。
そんなことを考えつつ、立ち上がり目を開く。
墓石の後ろを見ると、ちょこんと人参とナスが置いてあった。
……きっとシャーロットちゃんが供えていったんだな、と半ばあきれつつ、お供え物として持って来ていたプロテインをなんとなく後ろに隠した。
色に陰りを見せた波に気付き、腕時計を見る。
約束の時刻30分前。急がないとこれはマズイ。遅刻するか否かの瀬戸際、非常にぎりぎりのラインになっていることにパニックに近い焦りを感じる。
日々の感謝と、先の残骸探しのお礼を兼ねて、今日は我が家で一緒に食事をしよう、と私から和葉ちゃんを誘ったのだ。誘った手前、遅刻は許されない。
「ふぇぇえ…」
生徒には決して聞かせられない、情けない声が出てしまった口を押さえつつ、来たときとは対照的に騒々しくその場を後にする。
逸る気持ちに足を動かしつつ、後ろの彼に、また来ますね、と呟く。もう来るな、と聞こえたような気がした。
カーライルの好意によってイギリスへの留学と魔法少女への転職を決めた金田であったが
退職による仕事の引継ぎのため、1日23時間労働7日目に突入する羽目になった。
資本主義経済へのはてなき憎悪は、仲間との交流によって癒された精神を再び摩耗させ、彼女に新たな理想の火を灯す。
彼女の理想「困っている人に満ちあふれた未来」に到達するには様々な困難が待ち構えている。
ガリア教団の掌握、現行文明の抹消、魔術の習得、針井へのメールの返信、合コンのセッティング、超えるべき壁は尽きない
だが、彼女があきらめることは、けしてないだろう。彼女の心に、理想の灯が宿る限り。
「なんで!なんで報告書!書いてこないの!ほうこ!しょ!ない!なんで!」(上司と書かれた紙を何度もペンで突き刺しつつ)
「おっかっしい、おかっしいでしょぉおお!なんで、こんな、私の仕事じゃ、違うぅうううう」(床を転がりながら)
「私!何回もお願い!お願いしたのに!稟議書を捨てる!?なんで!なんでぇ!それ捨てる?どうしてぇ……」(泣き崩れている)
「うう、ヤダ、ヤダよぉ!もう仕事したくないぉお!」「……不幸の気配がする!」(突如あらぬ方向を向きながら)
和葉ちゃんが涙目になって「ふええ」と言わない限り!彼女があきらめることは、けしてありえない!
負けるな!金田めぐる!がんばれ!金田めぐる!そのペースであと3週間も働けば理論上はイギリスへ留学できるぞ!
退職による仕事の引継ぎのため、1日23時間労働7日目に突入する羽目になった。
資本主義経済へのはてなき憎悪は、仲間との交流によって癒された精神を再び摩耗させ、彼女に新たな理想の火を灯す。
彼女の理想「困っている人に満ちあふれた未来」に到達するには様々な困難が待ち構えている。
ガリア教団の掌握、現行文明の抹消、魔術の習得、針井へのメールの返信、合コンのセッティング、超えるべき壁は尽きない
だが、彼女があきらめることは、けしてないだろう。彼女の心に、理想の灯が宿る限り。
「なんで!なんで報告書!書いてこないの!ほうこ!しょ!ない!なんで!」(上司と書かれた紙を何度もペンで突き刺しつつ)
「おっかっしい、おかっしいでしょぉおお!なんで、こんな、私の仕事じゃ、違うぅうううう」(床を転がりながら)
「私!何回もお願い!お願いしたのに!稟議書を捨てる!?なんで!なんでぇ!それ捨てる?どうしてぇ……」(泣き崩れている)
「うう、ヤダ、ヤダよぉ!もう仕事したくないぉお!」「……不幸の気配がする!」(突如あらぬ方向を向きながら)
和葉ちゃんが涙目になって「ふええ」と言わない限り!彼女があきらめることは、けしてありえない!
負けるな!金田めぐる!がんばれ!金田めぐる!そのペースであと3週間も働けば理論上はイギリスへ留学できるぞ!
「Ladies and Gentlemen, we have arrived at Belfast, Belfast International Airport.
機内アナウンスの決まりきった言葉が目的地の到着を告げた。
「ノーザンアイルランド。来るのは何回目かしら。数え切れないのはこんな仕事をしてるせいね。
「楽しい滞在になるといいけれど。"あの街"みたいな。
しかし、わずかな安息を願う彼女の呟きに耳を傾けるものはおらず、それは我先にと出口へ向かう乗客の喧騒の中に消失する。
まるで未だどこにも辿り着けない自分の器と甘さを連想させるようで、無意識に苦笑している自分に気づく。
この地に降り立った理由は言うまでもない。
思いを馳せるーー。
かの人物とその従者の関係は彼女の心を強く打った。
それは英日のより良い関係を目指す、彼女の目指す果てを間近で見ることに等しかったからだ。
似通った者同士でも真にわかり合うことは難しいのに、異なる人種、異なる文化、異なる風土、違うということはそれをなおさら難しくする。
その関係性が彼女にもたらしたのは無力感、しかしそれと同時に湧き上がる使命感であった。
『事件』においても、自国のことしか考えぬ者、個の利益を追求することに躍起になる者は後を絶たなかった。
憧憬の念の後ろに控えていたのは、再認識しなければならない現実である。
もっとも勝手なのは自分とて同じだ。自分の大切なものを守ろうとする行為と、信念を貫き通す意思はまた見方を変えれば彼らと同じ立場にある。
私の目指す先はどこへ続くのだろう。そんな迷いを覚えてしまうのは彼女の未熟さゆえか。
学ばねばならない、無力なままでは願えない。
叶えようとしない願いは愚痴と等しく、自らが叶えられない願いは幼さの象徴でしかない。
自らと戦いつづけることは大望を抱き、それを為そうとするものの責任なのだから。
「さて行きますか。
バゲージクレームから愛用のトランクを受け取り、自分の弱さを押さえつけるように彼女は歩き出す。
共に立ち、共に進む、彼女の理念の前に立ちふさがるものはまだ知る由もないが、自らのプリンシプルを信じることだけはできる。
戦友たちと、そして、自分の代わりに声を奪われ、腕を折られながらもなお共に強く立った小さな恩人の存在は
自らの守りたかったものはやはり正しかったのだと彼女に強く信じさせる。
前を向いた時、その眼に迷いはもはや存在せず、未来だけを見据えていた。
「ーー私の二つの祖国と親愛なるあの街に、いつの日か幸せの魔法を届けるために。
機内アナウンスの決まりきった言葉が目的地の到着を告げた。
「ノーザンアイルランド。来るのは何回目かしら。数え切れないのはこんな仕事をしてるせいね。
「楽しい滞在になるといいけれど。"あの街"みたいな。
しかし、わずかな安息を願う彼女の呟きに耳を傾けるものはおらず、それは我先にと出口へ向かう乗客の喧騒の中に消失する。
まるで未だどこにも辿り着けない自分の器と甘さを連想させるようで、無意識に苦笑している自分に気づく。
この地に降り立った理由は言うまでもない。
思いを馳せるーー。
かの人物とその従者の関係は彼女の心を強く打った。
それは英日のより良い関係を目指す、彼女の目指す果てを間近で見ることに等しかったからだ。
似通った者同士でも真にわかり合うことは難しいのに、異なる人種、異なる文化、異なる風土、違うということはそれをなおさら難しくする。
その関係性が彼女にもたらしたのは無力感、しかしそれと同時に湧き上がる使命感であった。
『事件』においても、自国のことしか考えぬ者、個の利益を追求することに躍起になる者は後を絶たなかった。
憧憬の念の後ろに控えていたのは、再認識しなければならない現実である。
もっとも勝手なのは自分とて同じだ。自分の大切なものを守ろうとする行為と、信念を貫き通す意思はまた見方を変えれば彼らと同じ立場にある。
私の目指す先はどこへ続くのだろう。そんな迷いを覚えてしまうのは彼女の未熟さゆえか。
学ばねばならない、無力なままでは願えない。
叶えようとしない願いは愚痴と等しく、自らが叶えられない願いは幼さの象徴でしかない。
自らと戦いつづけることは大望を抱き、それを為そうとするものの責任なのだから。
「さて行きますか。
バゲージクレームから愛用のトランクを受け取り、自分の弱さを押さえつけるように彼女は歩き出す。
共に立ち、共に進む、彼女の理念の前に立ちふさがるものはまだ知る由もないが、自らのプリンシプルを信じることだけはできる。
戦友たちと、そして、自分の代わりに声を奪われ、腕を折られながらもなお共に強く立った小さな恩人の存在は
自らの守りたかったものはやはり正しかったのだと彼女に強く信じさせる。
前を向いた時、その眼に迷いはもはや存在せず、未来だけを見据えていた。
「ーー私の二つの祖国と親愛なるあの街に、いつの日か幸せの魔法を届けるために。
あの全てが終わってしまった夜から少しだけ時間が過ぎた。
私は今、八城博物館の館長をしている。
あの子がいなくなってしばらくして、偶然道端で随分とやつれた八城先生と会い博物館を
取り壊す話を聞いた。
あの場所はあの子との思い出の場所でありあの子の帰る場所でもある、あそこを無くした
くなかった私は必死に頼み込み八城博物館の管理人にしてもらい何とか残すことが出来た。
・・・あそこには数多くのアーティファクトや魔道書がある、聖柩のようなアーティファ
クトが存在していたのならもしかしたら他にも類似した能力の魔術やアーティファクトが
存在しているかもしれない。
無論あそこにおいてあるとは思っていないがあの魔道書の類やアーティファクトを調べれ
ば何か彼女達を取り戻すヒントをつかめるかもしれないと、そう思ったからだ。
そんな私は今、八城博物館の館長室で途方にくれていた。
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「・・・無い。」
私はそう言いながら館長室の机の上、中、近くの本棚等にあった書類をあさる。
「無い、無い、無い。」
そう呟きながらも手を動かしながら目的のものを探す。
「無い・・・目録が見つから無い。」
私はこの博物館にある展示品の目録を見つけられないでいる。
・・・たぶんあの子にはソレリュードことソレル先生が居たからソレル先生の能力頼みで
簡単に検索が出来るからわざわざ作る必要が無かったのだろうけど、いやそもそもあの子
自身素で記憶力がよかったみたいだから必要なかったのだろう。
しかしそれにしたって・・・。
「自分以外にも整理とかで使う人が居るかもしれないのだから作っておきましょうよ・・・。」
そういいつつ私は下の展示物の量を思い出す。
そこそこの広さがある此処には相応に展示物があり、それ以外にも裏にしまってある物も
合わせるとかなりの量にのぼる。
「あれを全て一つ一つチェックして、魔道書やアーティファクトだったなら目的のためには時間
をかけて内容も調べていかないといけないんですよね・・・。」
那由多はその気の遠くなるような作業の大変さ、困難さに気づいてしまい辟易する。
しかし、自身の目的のためには立ち止まるわけにはいかない、もしここで諦めてしまったらただ
でさえ砂粒のような可能性が完全に無くなってしまうかもしれない、それだけは絶対にあっては
ならないことだ。
和葉を、光苑先生を、アローンを、彼女達を取り戻すためにもこんな所で躓いてるわけにはいか
ないのだと私に自身に言い聞かせる。
「とりあえず先ずは・・・家からパソコンもってくる所からですかね・・・。」
整理は決して苦手では無いがすごく得意というわけでもないので一先ず書類整理の味方パソコン
をもって来る所からはじめていこう。
ソレル先生が居れば簡単に終わるのだが居ないものは仕方が無い。
和葉は機械類がとことん苦手であったためこの部屋にはパソコンといった文明の利器も無く電話
ですら黒電話というレベルである。
うん、決して膨大な仕事量を先延ばしにしているわけでは無い、と心の中で言い訳しつつ家から
パソコンを持ってくるために博物館を出る。
入り口を出てしばらく・・・振り返って博物館を見る。
1年前ほどから通うようになった場所、あの子との思い出の場所、あの子が帰ってくるまで私が
守るべき場所。
さまざまな感情を胸に宿し、一言だけ呟く。
「・・・・・・私は必ず成し遂げる、私は必ず貴方達を・・・救い出す。」
私はきびすを返して家に向う、どれだけ時間がかかろうとも一歩づつ、前に向って歩みだす。
その歩みの先に希望があると信じて・・・。
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