朝鮮学校無償化についてのウィキです。

反対派の主張


北朝鮮に対し国連が経済制裁をしている状況で、朝鮮学校を無償化から除外するのは当然だ。

反論


国連の決議に「朝鮮学校の援助中止」は含まれていない。それを言うなら国連の人権委員会の勧告を無視することはおかしい。

2017年9月13日、東京の朝鮮高校の元生徒たちが朝鮮学校を無償化の対象から除外したのは違法だとして起こしていた裁判で、東京地裁は原告の訴えを棄却しました。

無償除外は適法 「政治的理由」否定 東京地裁(毎日新聞)

この記事には、ある文科省幹部の言葉として次のように書かれています。
「国連安全保障理事会が経済制裁を決議しているのに、日ち本政府が朝鮮学校に(無償化対象の高校に給付する)就学支援金を出すわけにはいかない。『教育の機会均等』とは別次元の話だ」(※注1)
しかしこれは明らかにおかしな主張です。国連安全保障理事会における経済制裁決議には「朝鮮学校への公的補助の停止」などとはまったく書かれていません。

それどころか、国連の各種人権機関は日本政府に対して「朝鮮学校への差別を止め、無償化法も適用すべきだ」という主旨の勧告を出しています。
…委員会は、子どもの教育に差別的な効果をもたらす行為に懸念を表明する。そのような行為には、以下のものが含まれる…締約国(引用者注:日本を指す。以下同じ)において現在、公立および私立の高校、高等専門学校、高校に匹敵する教育課程を持つさまざまな教育機関を対象とした、高校教育無償化の法改正の提案がなされているところ、そこから朝鮮学校を排除するべきことを提案している何人かの政治家の態度(2010年、人種差別撤廃(条約)委員会総括所見)
委員会は、締約国の高校教育授業料無償化プログラムから朝鮮学校が除外されていることを懸念する。これは差別である。差別の禁止は、教育のあらゆる側面に全面的かつ即時的に適用され、また国際的に定められたすべての差別禁止事由を包含していることを想起しつつ、委員会は、高校教育授業料無償化プログラムが朝鮮学校に通う子どもたちにも適用されることを確保するよう、締約国に対して求める。(2013年、社会権規約委員会総括所見)
委員会は、在日朝鮮人の子どもたちの下記を含む教育権を妨げる法規定および政府の行為について懸念する。(a)「高校授業料就学支援金」制度からの朝鮮学校の除外(b)朝鮮学校へ支給される地方自治体の補助金の凍結または継続的な削減…委員会は、締約国がその見解を修正し、適切に、朝鮮学校が「高校授業料就学支援金」制度の恩恵を受けることができること、および、地方自治体に対して、朝鮮学校への補助金の支給を再開しまたは維持するよう促すことを締約国に奨励する。(2014年、人種差別撤廃委員会総括所見)

朝鮮学校の無償化除外について国連云々というのであれば、まずはこれら国連機関の勧告を受け入れるのが筋というものでしょう。(※注2)

<2017年9月15日追記>

この東京地裁判決に関連し、朝鮮学校無償化適用について9月14日の毎日新聞が賛成・反対双方の識者の意見を載せています。反対の立場の長尾一紘氏(中央大学名誉教授)は次のように述べています。
朝鮮総連との関係を考えると、就学支援金を朝鮮学校に支出すれば適正に授業料に使われるか分からず、正当な判決だ。無償化を容認すれば、拉致も容認することになる。日本は北朝鮮を許さない国だということを国際的にも示すことができ、他国との関係にも影響するだろう。

よく知られていることですが、第二次世界大戦中アメリカは日系アメリカ人および在米日本人を強制収容しました。長尾氏の論理で言うなら、日系人らの人権を保証することは「真珠湾攻撃を容認すること」につながり、強制収容は「アメリカは日本を許さない国だ」ということを国際的に示すことができ」たと正当化しなければならないでしょう。ちなみにアメリカはこの強制収容に対して謝罪・賠償を行い、それが誤りであったという教育・啓蒙に予算を割り当てています。



(※注1)
朝鮮学校無償化除外について「政治的外交的理由」を認めなかった判決に対し「国連の経済制裁決議」という「政治的外向的理由」を挙げて支持するコメントを出していることの矛盾に、この外務省幹部は気づいているのでしょうか。

(※注2)
国連機関からの勧告について「法的拘束力はない」「従う義務はない」という意見がありますが、これは具体的なペナルティが科されることがない、というだけです。日本国憲法98条第2項には「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とあり、勧告をないがしろにすることは憲法違反と言えます。また国際社会において国連勧告を軽視・無視することはそれだけ日本の評価や信用を下げ、結果的には「国益」にも反することになるということを、朝鮮学校無償化除外に賛成している保守派の人々はよく考えてみることです。

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