朝鮮学校無償化についてのウィキです。

2012-11-10「高校無償化」制度の朝鮮学校への適用を求める大学教職員の要請書

2012年11月15日

内閣総理大臣 野田 佳彦 様

文部科学大臣 田中 眞紀子 様

内閣官房長官 藤村 修 様


「高校無償化」制度の朝鮮学校への適用を求める大学教職員の要請書

 2010年4月1日に「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(以下、「高校無償化」制度と略す)が施行されました。施行当初より朝鮮学校は外国人学校のなかでも特殊な扱いを受け、すぐに制度が適用されませんでした。同年11月にようやく文部科学省が審査基準等の規程を公表し、朝鮮学校はその手続きにのっとって申請しました。ところが日本政府は、同月に朝鮮半島の西海(ソヘ)で起こったいわゆる「延坪島(ヨンピョンド)事態」を口実として、審査を突如「停止」しました。それから約2年もの長期間に渡って、朝鮮学校のみ審査が「停止」されるという、異常な行政上の不作為が継続しています。その間、各地の朝鮮高級学校は卒業生を2度送り出し、来春には「高校無償化」制度が始まった年に入学した生徒が卒業の時期を迎えます。かれらに対し、日本政府が不利益を与え、排除のメッセージを送り続けていることに、わたしたちは満腔の怒りを覚えます。わたしたちは高等教育に携わる立場から、朝鮮高級学校のみを「高校無償化」制度の適用外としてきたことに強く抗議します。

 法令制定当初、日本政府は制度適用の可否について、「外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべき」と表明していました。これまでほぼ全ての高等教育機関が朝鮮高級学校卒業者の受験資格を認めてきたことからも、朝鮮学校の教育が「高等学校の課程に類する課程」であることは明らかで、教育上の観点から審査すれば適用対象となることは疑う余地がありません。にもかかわらず政府は、政治判断により審査を止めてきました。この間の政府の不作為は、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵対的な外交政策の矛先を朝鮮学校の児童・教職員・保護者への攻撃にすりかえたものとする以外に説明不可能です。2010年に国連・人種差別撤廃委員会が、朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用除外について、「子どもの教育に差別的な影響を及ぼす行為」として懸念を表明したように、日本政府の措置は法制度的なレイシズムとして国際的にも非難されるべきものです。加えて、この間の日本政府の姿勢は、地方自治体による教育補助金にも悪影響を及ぼし、大阪をはじめ各地で朝鮮学校への補助金支出を削減する動きを助長しています。こうした日本政府および地方自治体による排除は、1948〜49年における朝鮮学校の閉鎖措置に並ぶ歴史的な大弾圧であり、植民地主義と冷戦の重畳する歴史が未だ終結していないことを想起させます。

 本年10月、田中眞紀子文部科学大臣は、この問題について、「審査に時間がかかっており、この内閣がそろそろ政治的な判断をする時期に来ている」という旨を明言しました。わたしたちは現内閣に対し以下の点を要請します。


(1) 「高校無償化」制度を速やかに朝鮮学校に適用すること。

(2) 審査を政治的に停止してきたことに鑑み、2010〜2011年度の朝鮮高級学校在校生に対しても、「高校無償化」制度を遡及適用すること。

(3) この間の日本政府による作為・不作為によって朝鮮学校の生徒と関係者が被った精神的苦痛に対し、公式に謝罪すること。


呼びかけ人(11月12日現在、あいうえお順)


板垣竜太(同志社大学)、市野川容孝(東京大学)、鵜飼哲(一橋大学)、内海愛子(大阪経済法科大学)、宇野田尚哉(大阪大学)、河かおる(滋賀県立大学)、駒込武(京都大学)、坂元ひろ子(一橋大学)、高橋哲哉(東京大学)、外村大(東京大学)、冨山一郎(同志社大学)、中野敏男(東京外国語大学)、藤永壮(大阪産業大学)、布袋敏博(早稲田大学)、水野直樹(京都大学)、三宅晶子(千葉大学)、米田俊彦(お茶の水女子大学)

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