公営新聞「国民の声」より抜粋した記事��
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otonjji256 2022年05月02日(月) 14:28:55履歴
王国政府の目的は？宮廷書記官長リリィ王女殿下の解説
今回王国政府が発表したチューイー皇国なる外国との共同宣言は如何なる目的があるのか。本紙は王国きっての外国知識人にして、外交官筆頭として諸外国との通交の最前線で活躍するリリウオカラニ・ティナ・ポマレ王女殿下（宮廷書記官長。以下お許しを得てリリィ殿下）にお話を伺うことができた。
「単刀直入に言えば、今回の共同宣言は天秤外交の一環です」
記者の最初の質問、王国政府の目的についてリリィ殿下はこの様にお答えになった。天秤外交についてさらに踏み込むと、
「マウサネシア連邦との邂逅による開国以来、我が国は地理的にも近い同連邦や、友好国のソビエト連邦との友好関係ー悪い言い方をすれば依存に近い関係を維持してきました。しかし、世界の歴史や在り方を見るに、これら一国偏重の体制は非常に危険性が高く、いざとなれば不本意かつ無謀な争いに王国を巻き込むことにもなりかねません。よって、摂政殿下以下、王国政府は他国との新しい関係性を拓き、依存関係ではなくどの国とも同じ位の距離を取ることで争いを回避しようと考えたのです」
外交方針の大転換、そのきっかけになった事象について、王女殿下は先だって行われた国王陛下即位30周年記念式典を挙げられた。
「式典にはソビエトと並ぶ大国のデニエスタ帝国、或いは優れた技術を持つスカセバリアル機構など様々な国の重要人物が参列し、我が国の知己となりました。これが外交に関して極めて重要な、そして世界の情勢を知る我が国にとって貴重な機会であることは言うまでもありません」
チューイー皇国との関係締結も、この式典がきっかけとなり、以降続けられていた通交の中で決定されたものだと殿下は続けられた。
「詳しい事情は国家機密ですので申し上げられませんが、少なくとも皇国が王様と摂政殿下の信用を得るに足る態度を示したのは事実です。これより先、この国が飛び出す未知の世界において、同国が新しい友人の一人として良き先導をしてくれるであろうと、わたしは考えております」
最後にリリィ殿下は、この国の外交関係の将来について、この様に考察された。
「この国は今まで、何もない取るに足らぬ国として打ち捨てられることで、平穏を維持してきました。しかし、これより先はそうは行きません。石油ー我が国の国民にとっては単なる黒い水に過ぎないあの液体は、世界にとっては血液にも等しい貴重なものです。また、銀の偽物としか見られていなかったチタンもまた然り。我が国は手付かずのそうしたものが眠る土地であると世界に知れてしまった今、たった一人でそれを守るのは至難の業です。…故に、これより先我が国は頼れる友人を見つけなくてはいけません。鎖国に回帰すれば、それは侵略の格好の口実になるでしょう。そうであるよりは、他国と通交し、利益を分かち合い、それによって我が国の安全と平和を得る。他国が自身の利益を守るその中に我が国を、つまり我が国の存在が他国の利益になる様に振る舞い、同時にそれによって立場を高めることで我が国の平穏と繁栄を勝ち得る。それこそが、これより先泰平を守る唯一の手段でしょう」
リリィ王女殿下は御歳22歳、若狭に似合わぬ識見は古の英主をも連想させる。殿下の担う未来において、王国がどの様な姿になっているか、我々も共に注視しなくてはならない。
（聖暦1992年6月 「国民の声」大増刊号外より抜粋）
今回王国政府が発表したチューイー皇国なる外国との共同宣言は如何なる目的があるのか。本紙は王国きっての外国知識人にして、外交官筆頭として諸外国との通交の最前線で活躍するリリウオカラニ・ティナ・ポマレ王女殿下（宮廷書記官長。以下お許しを得てリリィ殿下）にお話を伺うことができた。
「単刀直入に言えば、今回の共同宣言は天秤外交の一環です」
記者の最初の質問、王国政府の目的についてリリィ殿下はこの様にお答えになった。天秤外交についてさらに踏み込むと、
「マウサネシア連邦との邂逅による開国以来、我が国は地理的にも近い同連邦や、友好国のソビエト連邦との友好関係ー悪い言い方をすれば依存に近い関係を維持してきました。しかし、世界の歴史や在り方を見るに、これら一国偏重の体制は非常に危険性が高く、いざとなれば不本意かつ無謀な争いに王国を巻き込むことにもなりかねません。よって、摂政殿下以下、王国政府は他国との新しい関係性を拓き、依存関係ではなくどの国とも同じ位の距離を取ることで争いを回避しようと考えたのです」
外交方針の大転換、そのきっかけになった事象について、王女殿下は先だって行われた国王陛下即位30周年記念式典を挙げられた。
「式典にはソビエトと並ぶ大国のデニエスタ帝国、或いは優れた技術を持つスカセバリアル機構など様々な国の重要人物が参列し、我が国の知己となりました。これが外交に関して極めて重要な、そして世界の情勢を知る我が国にとって貴重な機会であることは言うまでもありません」
チューイー皇国との関係締結も、この式典がきっかけとなり、以降続けられていた通交の中で決定されたものだと殿下は続けられた。
「詳しい事情は国家機密ですので申し上げられませんが、少なくとも皇国が王様と摂政殿下の信用を得るに足る態度を示したのは事実です。これより先、この国が飛び出す未知の世界において、同国が新しい友人の一人として良き先導をしてくれるであろうと、わたしは考えております」
最後にリリィ殿下は、この国の外交関係の将来について、この様に考察された。
「この国は今まで、何もない取るに足らぬ国として打ち捨てられることで、平穏を維持してきました。しかし、これより先はそうは行きません。石油ー我が国の国民にとっては単なる黒い水に過ぎないあの液体は、世界にとっては血液にも等しい貴重なものです。また、銀の偽物としか見られていなかったチタンもまた然り。我が国は手付かずのそうしたものが眠る土地であると世界に知れてしまった今、たった一人でそれを守るのは至難の業です。…故に、これより先我が国は頼れる友人を見つけなくてはいけません。鎖国に回帰すれば、それは侵略の格好の口実になるでしょう。そうであるよりは、他国と通交し、利益を分かち合い、それによって我が国の安全と平和を得る。他国が自身の利益を守るその中に我が国を、つまり我が国の存在が他国の利益になる様に振る舞い、同時にそれによって立場を高めることで我が国の平穏と繁栄を勝ち得る。それこそが、これより先泰平を守る唯一の手段でしょう」
リリィ王女殿下は御歳22歳、若狭に似合わぬ識見は古の英主をも連想させる。殿下の担う未来において、王国がどの様な姿になっているか、我々も共に注視しなくてはならない。
（聖暦1992年6月 「国民の声」大増刊号外より抜粋）
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