架空の世界で創作活動及びロールプレイを楽しむ場所です。

赤色黙示録


私の前で、彼(共産党員)は偉大なイレネイの言葉を私に伝えた。

「サーシャ、時は満ち革命が始まった。最後の聖戦が、あらゆる暴力と戦争が永遠に終わる偉大な時代が始まった。」

重ねて彼は言った。

「人類史に永遠に残る彼は表れた―啓示された救世主、つまり私たち自身を解放するために現れた者、語り尽くせぬ理性によって全てを呑み込む非人間的人間。
そして彼によってあとの者は先になり、先の者はあとになるであろう(※マタイによる福音書20章)」

彼は私を見つめて言った。

「私が君に話しているのは1つの寓話に過ぎない―限りなく純化されたただ1つの真理、すなわちマルクス=レーニン主義の形而上学。だが、それは理念であり、存在である。つまり、理念がその存在を規定するのではなくて、逆に、存在がその理念を規定するのである。

私は困惑した。そして彼に向かって言った。

「理念は存在によってのみ裏付けられるのであれば、君がその形而上学に裏付けられた革命で世界を作り替えるのは誤っているのではないか。」

「否。」

彼は言った。

「理念は存在であり、存在は全てを規定する。イデオロギーが政治を、政治が経済を規定する。事実、哲学はプロレタリアを止揚する事なく実現されることはなく、プロレタリアは哲学を実現する事なく止揚されることはない

私は彼に尋ねた。

「ではその後に来るものは?封建的体制の後に資本主義が到来し、資本主義の後に共産主義が到来する。では共産主義の後には何が到来するのだろうか。」

彼は答えた。

「永遠には終わりはない。永遠の後には何も到来することはあり得ない。もしそれがあるのならば、それはよりすぐれた永遠―より優れた共産主義に他ならない。
古き宗教は神によって実現される神の国を描いた。しかし私たちの新しい宗教はそれを私たちの手で実現させるだろう。」

「では救いとは何か、解放とは何か?」

彼は自問し、そして答えた。

あらゆる解放は人間の手の中に、世界のあらゆる関係を復帰させることである。
そしてその為に、世界のあらゆる場所で実行するためには暴力が必要であり、その為に権力が必要である。それは、世界革命と言う儀式、人々の贖罪に必要不可欠な聖なる犠牲に他ならない。
「古きものは新しく、全ては新たにならねばならない。それは宗教的熱狂を帯びなければならない。何故なら、共産主義という普遍的価値のより一層の徹底が要請される為である。」

「ではその為に私たちはどうあるべきだろうか。」

彼はそう言った。そして続けた。

「私たちは神秘主義的な無神論者にならねばならない。」

私は言った。

「それはどう言った事だろうか。神を信じない無神論者であるならば、神を存在しないことを知っているために決して宗教や神にたいして不安を抱くことは無いだろうに。」

彼は答えた。

「神の善も愛も全ては中途半端でしかない。壊れきり、悲劇と苦しみのある世界を祝福しているから。共産主義者が共産主義者であるならば、私たちは人々を愛し、同情しなければならない。そして、その深い愛のために致命傷を負い、その為に神を否定し、挑戦し、乗り越え新しい神となって楽園を建設するのである。」

「ww1を君は覚えているだろうか。」

彼は言った。

「幸福への切符であった科学を掴んだ人類が生み出した悲劇。最良の人々が、世界で最も発展した文明国であるはずのデニエスタが行った蛮業を。既に戦争の惨禍を知っていたはずの豊かな国々が狂気に犯された不条理な時代―その影響は今なお残り私たちを苦しめている。惨事をもって惨事を終焉させよう。私たちの人生を賭けて、世界の運命を導こう。

「では私たちは何を成すべきか。」

彼はそう言った。私はただ沈黙していた。すると彼は救世主の言葉を引用した。

あなたの眼前にあるものを知りなさい。そうすれば、あなたに隠されているものはあなたに表されるであろう。なぜなら、画されているもので、顕にならないものはないからである。

また彼はこう言った。

もし盲人が盲人を導くなら、二人とも穴に落ち込むであろう。

最後に彼は私に言った。

「時代が要請することを遂行しなければならない。彼が死を命じるならば死になさい。彼が暴力を要請するのならば暴力を振るいなさい。そして、今彼は革命を要求している。」

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