架空の世界で創作活動及びロールプレイを楽しむ場所です。

「どうやらここは夢の中みたいです、リリイ様」

「どうゆうことかしら」

「いえ、私はリリイ様の中にいるクリスが夢の中に現れた存在なので」

「……この変態め!!」

「うわーっ!やめてくださいリリイ様!」

結局夢の中でもクリスを叩くリリィであったが、ふと周りの様子が気になった。

「そう言えばここはどこかしら?」

「ここは1万年前のマウサネシア、ジャヤカラタ近郊です」

「近郊って、ここジャングルじゃないの……」

「そりゃ当時のこの場所に都市なんてありませんよ」

「なんでそんな詳しいのかしら?」

「いや、夢の中の存在なので」

その時、マウサナ人のものらしき声が聞こえたと思えば、何人かのマウサナ人が目の前に現れた。

「あそこにマウサナ人がいるわね……って上裸じゃないの」

「ええ上裸ですね」

そのマウサナ人たちは腰蓑(不思議なことに、現代のマウサナ人のスカートとほぼ同じ長さである。)は付けていたが、それ以外は上裸であり、手には木の棒の先に石器を括り付けた、粗末な槍を持っていた。

「もしもし」

「見かけない顔だね、人間。何か用かい?」

「狩りの帰りかしら?」

「そう。これ、さっきとった獲物のウサギだよ。」
「君たちも良かったら私たちの村に来てみる?」

「じゃあ是非お願いするわ」
「お願いします」

こうして村に案内されたリリィであったが、村とは程遠く、ジャングルの中に掘っ建て小屋がいくつかあるだけ、という状態であった。

「え、ええ……」
「早く行きましょうリリィ様」
「わかったから急かさないでちょうだい。」

「おーいこっちだよ」
若いマウサナ人が果物をくれた。バナナに似ているが、ラピタのバナナよりもだいぶ小さいので多分違うものだろう。

「でもこれ味はバナナね」

「栽培化される前のバナナですよリリイ様」

マウサナ人はみんな上裸。みんな細身なのでもはや芸術の域に達したある種の美しさがあるな、とリリィは思った。

「みてクリス。あのマウサナ人たち、おっぱじめたわよ」

普通に野外なのに関わらず、我慢できなくなったのか、二人のマウサナ人が交わって艶やかな声を出していた。

「リリイ様、教育に良くないので見ないでください」

「私をなんだと思ってるのよ」

「子供」

「失礼ね!」

リリィはクリスを軽く引っぱたくと、あることに気づいた

「そもそもなんで貴方が夢の中に居て案内役になってるのよ」

「それはリリィ様の深層心理です」

「えーとつまり私の意思?」

「リリィ様は心の中では私とずっと一緒に居たいと思ってるのでその表れですね」

「……なっ!クリスのくせに!」

リリィは顔を真っ赤にしてクリスのことをべしべし叩いた。

「あー!あーー!そうやって叩きすぎると消えてしまいますぅ!」

「何が消えるのよ!」

「夢の世界が消えます!」

リリィが周りを見ると、何と周りの世界がどんどん歪んで消えていくのである。

「ちょっとクリス!何とかしなさい!」

「無茶ぶりが過ぎますよ!私には無理です!」

「どうするのよ!」

するとリリィとクリスの足下が崩れ、2人は真っ逆さまに暗闇へと落ちていった。

「うわーーーーーっ!」
「きゃぁぁぁぁぁっ!」

そして、下に見える光の中に、再び入ったのである!

第1話完

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