架空の世界で創作活動及びロールプレイを楽しむ場所です。

彼女は教会の椅子に腰掛け、至聖堂の開け放たれた扉から、ユラユラと揺れる聖火を眺めていた。彼女の周りには30人ほどが同じように座っており、中にはぬいぐるみを抱えた子供も座っていた。
荘厳な宗教音楽がパイプオルガンで演奏され、参加者が聖歌を合唱する中、至聖堂の前に聖書を持った聖職者が表れる。宗教音楽が静かに終わり、聖火の燃える音だけが教会で響くようになると彼は言った。

「義を選びし同志達よ、まずは主に感謝して祈りを捧げましょう。」

彼女は聖職者から目を離し聖火に視線を移した。金色の至聖堂の中で燃える聖火の輝きは、至聖堂の中で反射を繰り返し、より更に美しく光を放っていた。
そして、参加者の皆が聖火を見たことを確認した聖職者もまた聖火を仰ぎ見て言った。

「光の中に存在する彼の者を見よ。彼は真の神、万物の上にあって見えざる者、不滅の聖なる霊、すなわち私たちが信じるべき唯一の主。私は全ての罪を悔い改める。私が思い、語り、行った、或いは私に原因のある全ての悪思、悪言、悪行を。主に栄光と喜びがあることを。そして悪魔に破滅があることを。」

彼がそこまで言うとサインがあった。そして彼女は、参加者の全員が立ち上がり、日々唱えている祈りの言葉を唱えた。

「主の聖心はただ唯一の天則であり、主はその天則によって善き人々の実行者である。義の王国は主にあり、抑圧された正統な人々は、天則によって主を王とした。」

皆が手を胸の前で合わせ、長い沈黙が生まれた。永遠的存在である火、すなわち不滅の主の子を通じて、参加者の全てに生命、知恵、子孫、勇気、活動力が祈りによって与えられる。
聖職者が振り返った。

「あらゆる善き物の父である主の栄光は、祈りによって子たる私たちに与えられた。アーメン。」
「アーメン。」

聖職者の声に対して、参加者が応えた。そして彼が頷くと皆が座った。
彼は聖書を開き、抑揚を着けた声で朗読を開始した。

「主への賛美歌と善意への祈りのために、理解力のある人が覚えておくべきことを聞く人々に宣言する。また、天の光とともにある幸福も、賢明に考える人によって正しく見られるだろう。……(中略)……最後には嘘の信奉者には最悪の存在が与えられ、正義に従う者には最高の存在が与えられる。……」

朗読は長く続いた。聖職者は淡々と言葉を紡ぎ、決して邪魔にならない音量で宗教音楽がならされていた。
彼女の横で少女は目をこすっていた。少女の母親は少女に小さく声を掛けた。頭を垂れて朗読を聞く老人がその前にいた。様々な人が教会にはいた。個々人は全く異なっていたが、彼らは最初の礼拝で恙無く祈りを行った事に象徴されるように、単一の宗教教義を信じる共同体だった。

朗読の後には解説があった。そして解説が終わりに差し掛かる頃、教会の入り口から、つまり彼女の背中から太陽の光が差し込んで、聖火までの光の道が出来た。
それに合わせて宗教音楽が益々荘厳になり、教会に入るときに捧げた供物、香木や金銭が恭しく聖火の前に安置され、葡萄酒がそれに続いた。
葡萄酒が聖火に捧げられ、少しばかりすると教会のスタッフが参加者に葡萄酒を配っていき、彼女の元にも葡萄酒が届いた。(少女の分は葡萄ジュースだった。)
聖職者が杯を上げ、教会に差し込む光を見て、参加者も立ち上がって杯を上げた。

「主によって与えられた生命の象徴たる葡萄をもって、私達は貴方と交わる。」

聖職者がそう言った。それから皆が唱えた。

「恵み施し情け深い神の名によって、私は主に帰命する。主は光明を、大地を、生命を、あらゆる善き物を創造された。私達は主の子らである!」

唱え終わると皆が一斉に葡萄酒を煽った。彼女もまた葡萄酒を流し込み、聖職者の短い祈りが響くのを感じた。
杯は回収され、最後の祈りを捧げる時が来た。
これまでずっと鳴っていた宗教音楽は既に演奏を終了し、教会に居た全ての人が聖火の前に集まり、聖火を見た。
そして、彼女は主の恵みそのものである太陽の暖かさを感じながら、教会の全ての人と共に唱えた。

「待望される救世主が、私たち、最良の主の子を助け、その善き行動を助けるように。天則が常に望ましい報酬を与えるように、私は主の奇跡によって待望される救いがあることを願う。」

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