架空の世界で創作活動及びロールプレイを楽しむ場所です。


70年前の今日、戦争が終わった。ひとつの禍根を残して…

第一章「日常の崩壊」
私は35歳無職。俗に言うニートでござる。きっと大多数の人間は、仕事へ行ったり、学校へ行ったりしているであろう。その中ではきっと、ストレスもある。だけど、みんなその中の小さな幸せを見つけて頑張って生きているんだよな。当の私はというと、諸事情で働くことが出来なくなってしまったのである。毎日が同じことの繰り返しであり、、、(寝て食べてYouTube見ての繰り返し…)きっと私の辛さなんて誰にも分からない。おじいちゃんだって「働かなきゃいけない」「お前は家庭を作らなきゃいけない」なんて言うけど、そんなの心身共に健康な人がやることである。私には無縁の話である。と、私の愚痴なんて誰も聞きたくないだろうからこの辺にして。今日も私はYouTubeを見る。明日も、明後日も。そう思ってた。
こちらゴトロス連邦軍、ゴ民から飛翔体が発射された模様。繰り返す…こちらゴトロス連邦軍、ゴ民*1から飛翔体が…
テレビを見ていると、いきなりSIRENが鳴って驚いた。SIRENといっても赤い水の方じゃない。

「緊急でお伝えします。ゴ民から飛翔体が発射された模様です。あと5分ほどでオビエストを通過する予想です。落下物と思われるものには決して触れないようにしてください。」

もうこれで何回目だろうか。今年に入って10回は核実験してる。私は地理は得意だった。首都と国の名前を一致させる特技を持っていた。ここオビエストというのはゴ民という得体の知れない国の国境近くの都市であり、同時にゴトロス連邦の首都である。ゴ民も冷海沖に面した国である。わざわざゴトロス連邦上空を通過する理由が分からない。威嚇のためだろうか。ゴトロス連邦成立の歴史を詳しく説明すると、ゴトロス連邦は70年前にゴトロス地方南部を領域とした連邦共和国として成立した。一方北部をゴトロス民主主義人民共和国として成立した。その5年後にゴトロス戦争が起きた。同じ民族が戦争するなんて、同じ民族が土地を破壊して、命を奪い合うなんて、なんて惨たらしいのだろうか。簡単に言えば、北は共産主義のゴトロス民主主義人民共和国(ゴ民)、南は資本主義のゴトロス連邦(ゴ連)に分断されたのである。そして現在は停戦状態である。テレビがまたなんか言っている。

「速報です。…」

無言の時間が5秒くらい続いた。

「ゴ民が国境線を破りました。」

私は言葉を失った。だって私、オビエストに住んでいるんだもの。夢だと思った。だってあの非常に厳しい軍事境界線を破るなんて不可能だからだ。ゴトロス自慢のGOKIAのスマホに目を向けると、避難してくださいとの文字が。父親と母親は仕事へ行っているはずだ。このときだけは、親を心配した。そんな私に罪悪感に近いようなものが湧いた。1ヶ月ぶりに外へ出てみると渋滞の長さのあまり車を乗り捨てて走る人。銀行の前で開けろ開けろと叫ぶ人。このときだけは誰これ構わずだった。マナーとかルールとかそんなものはない。もう世紀末だった。国境との距離は50km。オビエストまでもう少しで到着するだろう。と思った次の瞬間、ミサイルが着弾したのだろうか。爆発音がした。70年前の恐怖が再びオビエストを襲う。
第二章「元彼登場」
「逃げなきゃ」

私は本能的にそう思った。思ったけれど、もうそんな気力も湧かないのである。そのとき、1台の車が私の前で止まった。私の元彼だ。

「今ならショッピングし放題だぜ!」

と彼は楽しそうに嬉しそうに言った。私は彼に気があったし、俗に言うイケメン☆だったし、きっと両思いだった。しかし、諸事情で私は引きこもりになり、離れ離れになってしまったのである。

「乗って」

と彼があのときと比べ低くなった声で言うと、彼はドアを開けてくれた。ふむ。レディーファーストも悪くない。混沌の中で私はそう思った。車を走らせること約5分。ショッピングセンターに到着した。私は誰もいないショッピングセンターで、彼と一緒にヒルナンデスのように何色のコーデを組むか楽しんでいた。誰もいないショッピングセンターの中で。

「私は青のコーデだよ!」

と彼に話そうとした次の瞬間、ショッピングセンターに衝撃波が走った。「ミサイルの着弾だ!」彼は煙まみれになったショッピングセンターから抜けて車を停めた場所へ急いだ。渋滞が酷く私が「このままじゃ死んじゃう!」と言った瞬間、彼は舌打ちをして反対車線へハンドルを切った。
第三章「避難所へ」
車を走らせること1時間。やっとこさ着いたのは田舎町の高校の体育館だった。そこには老婆から子供までたくさんの人がいた。私は、この中で一番強そうなヤンキーグループ、やりらふぃ、いかにも不良みたいな人を見つけた。そして思ったのだ。

「なんか嫌な予感がする」

と。案の定私の予想は的中した。彼らは食料の3分の2を占領したのである。私のダーリンは、

「普通平等に分けるのが常識でしょ」

といった。そしてその後彼らは言ってしまったのである。

「お前の彼女?ブッサイクだなぁ」

と。私のダーリンは

「は?」

と物凄い剣幕で睨んだ。すると、彼らは怯み、老婆から子供まで平等に食料を分け始めた。さすが陽キャラだ。そこで怯むような相手じゃなかったらどうしてたんだろう。私は細々になったチョコレートを食べながら思った。そして1週間後、ネットもなく不便な生活だが、ダーリンがいるから私は幸せだった。ここで防災無線からオビエストがゴ民に占領されたことを聞いた。父親と母親は今どうしているのだろう。まあ今の私にはダーリンがいるから関係ないのだ。新しく入った人がいるらしい。食料が減っていくのをただ眺めているだけっていう状況なのに本当に大丈夫なのだろうか。
第四章「AYAKAの登場」
「今日からお世話になります。」

上品な佇まいの彼女は間違いなくAYAKAだった。私は彼女に酷いことをしてしまった。罪悪感が私の心を襲う。彼女は牛乳アレルギーだった。小学生だった私は彼女の味噌汁と牛乳を卓上で取り替えたのだ。クラスメイトからは当然猛烈なバッシングを受けることになった。あれから25年。あのことを彼女は覚えているだろうか。そして、あの頃と比べブッサイクに変わり果てた私を覚えているのだろうか。とつい自分の世界に入っていると、AYAKAが

「久しぶり。大変だね」

と駆け寄った。AYAKAはこんな私のことを覚えててくれてたみたいである。

「あのときのことも覚えているのかな。」

と、不安と罪悪感が混じり合う。AYAKAは

「横の男性は誰?」

と言った。私は数秒なんて言おうか迷った。ただの遊びだったかもしれないのに「彼氏」だなんて言えないよ。すると彼は数秒黙って

「友達」

と言った。やっぱりそうなんだ。と少しガッカリした私がいた。そして夕食の時間がやってきた。私は思い切って、牛乳事件のことを話に出してみた。

「あのこと覚えてる?」

と私が言った。AYAKAは、

「ああ、あの事ね。全然気にしなくていいから。」

と言ってくれた。本心なのか分からないが、私の心の重りがスっと消えていった。ラジオに耳を澄ませると、オビエストの戦闘で2万人の一般市民が死亡していると言う。ラジオ局もよく動いているものだ。と思った。すると彼は

「オビエストに戻ろう」

と言い出したのだ。私を含めAYAKA、あのヤンキー集団まで反対した。後日、オビエストに核が投下されたというニュースがテレビから流れてきた。両親は無事だろうか。より一層心配になる。彼の言葉を信じて、オビエストに戻っていたら、私たちどうなっていたんだろう。AYAKAは味噌汁を飲みながら家族と団欒している。

「私も家族と団欒したい」

そう思った。そして私のダーリンと楽しそうに話すAYAKA。全てにおいて彼女は私に比べ勝っている。スペック・顔面偏差値の高さ、性格…。生活保護寸前生活を送る私と比べ大違いである。
第五章「核投下の瞬間」
9時45分。突然ミサイル警報が鳴った。どうやらこんな田舎町にもミサイルが飛んでくるらしい。ゴ民は産婦人科、保育園などにもミサイルを発射しているらしい。なんて心無いんだろう。10時3分。避難の準備が出来た。私たちは山の奥にある金鉱山に避難することになった。10時54分金鉱山に到着した。200人もの人間が我先に我先にとダッシュした。私と彼はバイクに乗って移動していたから、洞窟内では先頭の方だった。11時3分、ピカっという凄まじい閃光のあと、世界中が静まり返ったような沈黙…次の瞬間、世界中の音を集めたような大きな凄まじい音が洞窟内に響いた。後ろの方を振り返ると、数秒のうちに白骨化した人など惨憺たる様子だった。私たちはというと、爆風で50m先まで吹き飛ばされた。そして背中には大火傷を負った。
第六章「連邦の崩壊」
1年後、ゴトロス連邦は相次ぐ核の投下で降伏を余儀なくされた。2023年12月5日午前9時ゴトロス連邦はゴトロス民主主義人民共和国に併合された。工場や主要な施設は全て占領された。国内は核汚染され、500万の人口は430万人までになった。他の国は助けてくれなかった。小協商は規模が小さすぎて機能しなかったのである。しかも開戦早々に本部がやられているのだから機能しないのは当たり前である。それに諸外国は、見捨てる。見て見ぬふりをする。ただそれだけだった。こうして私たちの生活は全て変わった。厳しい言論統制が敷かれ、天才タカミツ様トップにするというゴトロス王朝を彷彿とさせる独裁国家になってしまった。天才タカミツ様のことは絶対的であり、今月も何人か側近が処刑された。ここは何時代だろう。当然の事ながら自由を求める市民たちが暴動を起こすが、すぐに鎮圧されてしまった。私たちの生活はこれからどうなるのだろう。
第七章「選別」
私たちはというと、核汚染がなかったヤンパークに避難することにしたが、同じ考えの人が多かったようで、既に列車は満員だった。既に私は彼のことをダーリンなんて言う余裕が無い。ヤンパークに入る前に検問があった。どうやらブスと低学歴はヤンパークに入れないらしい。あれ、あれはAYAKAでは無いか…高スペック高顔面偏差値のAYAKAと私のダーリンは検問を通過した。私はというと列車から引きずり降ろされた。これが選別というものなのか。と、選別というものを実感した。私は引きずり降ろされた町で生活することにした。
第八章「チャンス」
ダーリンも居なくなってしまった。家族も居なくなってしまった。私は孤独である。ほぼ中卒と言っても過言では無い私はとりあえず学歴を手に入れなければと思った。人民奨学制度というもの利用して、大学へ進学することになった。実質借金をしている事になる。親へ依存していた私は人生初働くことになった。飲食店のアルバイトはキツい。それでも雇ってくれるところはここ一件しかなかったのである。私は地理に興味があったので地理学部に進むことにした。地理学部は選択する人が年々減少し、存続の危機に瀕していた。大学内を歩いていると、美人コンテストというものを見つけた。優勝者はヤンパークの高級住宅・賞金1000万クマ*2が手に入るらしい。教授からも「地理学部の存続がかかっている」と言われ、私は渋々応募することにした。ダーリンに会うために。借金を返すために。一筋縄では行かなかった。練習はモデル歩きの練習など多岐に渡った。皆私を笑って貶した。

「こんなブスが受かる訳ない」

と。そして、一次審査が始まった。大学一のマドンナがピアノを弾き始めると、審査員は満場一致で〇の札をあげた。私の番だ。ダンスを踊った。審査員は✔の札をあげた。しかし、地理学部の存続の為、教授が審査員に

「お願いします!地理学部存続の危機なんです!点を入れて下さい!」

と頼んだ結果〇が3つ以上で一次審査を通過した。私はこのことを知らなかったので私には才能があると勘違いした。この勘違いは、良い方向へ向かっていく。いよいよ最終審査だ。私は気が乗らなかったが、メイクをしてもらうことになった。ダーリンによく似ているメイク師だ。思わず

「ダーリン!」

と叫んでしまった。メイク師は困惑した。メイクをしてもらうと、私は見違えるように別人になった。ダーリンは

「ベタベタの髪が好き」

だと言ってくれたので、複雑な気持ちだった。そして、最終審査の日がやってきた。私は唇に涙のルージュを塗った。自信満々にポーズを取ると、満場一致で〇があげられた。私は高級住宅・1000万クマ・ヤンパークの市民権を手に入れることが出来たのである。地理学部の存続の危機は回避され、人民奨学金の返済も完了した。

第九章「再開」

大学卒業後、私は列車の中での選別をクリアしてヤンパークへ降り立った。共産主義特有の無機質なコンクリート造りのビルが立ち並ぶ。ダーリンはどこへ行ってしまったのか。ダーリンを探す旅はこれからも続く。ダーリンとの「再開」を信じて。
作者のコメント
私の夢の中で見たことをtale化しました。
ゴトロスより平和への祈りを込めて。
ご感想お待ちしております🙇‍♂️

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