nextDR-stolen hope- 公式wiki

奇妙な関西弁は、日本語を教えてくれた「薬袋先生」の影響。
彼の名前は、「薬袋 飾命(みない かざみ)」。日本では小学校の教師をやっていたらしい。
飾命は元々、エルの家でホームステイをしていた男性。父子家庭で育ったエルにとっては、彼がもう1人の父親のような存在だった。
薬袋エルは、父に邪険にされたようなことはない。虐待をされたこともない。どちらの父親にも、今まで大切に育てられてきている。

優しいところや、正義感が強いところは飾命の影響。
ヘタレなところや、シェイクが好きなのは本物の父の影響。
そして優順不断なところや、服装の好みなどはもうひとりの、日本の養父の影響。

エルネスティ・薬袋・シルヴィオは、3人の父の影響をたっぷり受けて育っている。
薬袋エルは家族が大好きだ。

実は18歳。元々はフィンランドの高校に通っていたが、諸事情があって中退した。
才能に関する仕事を始めたのは日本に来てから。日本に来てからはずっとバイト漬けだった。
お金に困っているわけではなく、お金を渡したい人間がいる。
日本のエルの養父も、その中のひとりである。養父と言っても、年の差は10歳ほどであり、どちらかと言うと「兄」のような存在。なのでエルは彼のことを「兄さん」と呼んでいる。

左利きというのは嘘。
彼は右利きである。あれからかなり生活に支障が出るようになったが、何も言わずに隠している。
あれから、彼は、箸を上手に持つことが出来なくなった。彼はニコニコ笑いながら「こっちの国では箸を持つ文化がなかった」と誤魔化す。
字を上手に書くことが出来なくなった。彼はニコニコ笑いながら「日本語は不得意」と誤魔化す。
人を助けることが出来なくなった。彼はニコニコ笑いながら「自分は役たたずだから」と誤魔化す。
でもそれは、誤魔化しているだけ。

薬袋先生はもっと箸を上手に使っていた。薬袋先生はもっと上手に字を書いていた。薬袋先生はもっと優しくて、すごくて、かっこよくて

彼は、自分が「薬袋飾命と違う人間になってしまうこと」が不安で仕方がない。
彼は薬袋飾命になり切らなければならない。
「お父さんを返して欲しい」、それが兄であり、恩人であり、被害者である、“兄さん“の望んだ唯一のことだったのだから。

彼が日本にきた本当の理由は、「いじめ」である。
フィンランドにいる限り、彼は嫌がらせから逃れることは出来なかった。
そんな彼を、今の養父が自分の住む国へと招いた。
なぜなら、彼の父親は人殺しであったからだ。
名前はアルヴィ・シルヴィオ。
フィンランドに住む小さな子供を5人、それから日本人のとある男性を1人殺した。
その男性こそが、彼の養父「薬袋刻命」、その父親であり、エルの恩師である、「薬袋飾命」だった。

なぜ彼の父がそんなことをしたのかは今でもわからない。話をいくら聞いても、いくら言い訳を並べられても、全く理解はできなかった。
ただ、自分が毎年受け取っていたプレゼントの正体を知った時、自分のするべきことが、償いであることだけは、なんとなく分かった。
お金が必要だ。お金が必要だ。お金が必要だ。お金が必要だ。

【?.日本では些細なとある事件について】
サンタクロース事件及び、アルヴィ・シルヴィオについて
フィンランドでは有名な連続殺人鬼。彼の母国では死刑制度がないため、今も服役中。
計5人のフィンランド在住の少年少女を誘拐殺人し、1人の日本人の男性を殺害した。（日本人が殺されたことは日本のニュースでも流れた。）
その事件はクリスマスイブの夜、サンタの扮装で子供を攫い、クリスマス当日に殺すその手口から「サンタクロース事件」とも呼ばれる。
子供たちを釣るために使ったであろうおもちゃは、息子のプレゼントとして再利用された。
普段は普通の父親だった。
殺された日本人の男性は、「薬袋」というシルヴィオ家にホームステイしていた男。風呂場で彼のばらばら死体を解体してる場面をアルヴィの息子が目撃し、警察へ通報したため、すべての事件が露見した。

薬袋エルは善行が好きだ。人に優しくするのが好きだ。人から褒められるようなことをするのが好きだ。人から感謝されるのが好きだ。お節介を焼くのが好きだ。
自分がいい子でいれば、みんな許してくれるはずだから。
許してくれたら、お父さんは帰ってきてくれるはずだから。
彼は、本当は、気づいている。
──自分がいくら償ったって、なんの意味もないことくらい。

薬袋飾命はこういう人間だったから。
薬袋刻命がそれを望んだから。
彼は、償わなければいけないから。
恋人の振りをすれば、その人の心の穴を埋められるかもしれないから。
彼は、本当は、気づいている。
──自分が“エルネスティ・シルヴィオ“以外の誰にもなれないことくらい。

人殺しでも、父が好きだった。
死んでしまったとしても、先生が好きだった。
例え求められているのが自分ではなくても、兄が好きだった。

薬袋エルは、それでも、まだ、家族が大好きだ。

今日も彼は、善人の皮をかぶる。ヘラヘラ笑って優しいふりをする。
彼に出来ることは、誰かの"穴"を埋めることだけ。
この学園に来る前、兄から貰った「薬袋飾命の形見」であるマフラーは、まるで薬袋飾命であることを求められているようで、首輪のように重かった。

なんてね、さっきのは全部、作り話でした！
いや、だってね、エルネスティ・シルヴィオくんが考えてたことなんて、俺は知りませんから。
俺の名前はエルネスティ・薬袋・シルヴィオ！

優しくて、正義感が強くて、ヘタレで、シェイクが好きで、優順不断で、服装の好みがちょっと変わってる。
それだけの、それだけの存在なんです！

好きな相手でも、嫌いな相手でも、自分に利益さえあれば誰が相手でも恋人や、家族、親友のように接することが出来る。ようは徹底した猫かぶり。それが彼の才能である。
演技力は別にそこまで高くはないが、たとえ家族と2人きりでも、1人でいても猫かぶりが取れない。
その影響か、自分の考えが自分でもわからない時がある。だから素の状態だと一人称がブレッブレ。
唯一断続的に猫かぶりが取れるのは、「砂糖やカフェインを摂取した時」のみ。

その本性は利己的なクズであり、目的のためなら手段を選ばない冷酷なド外道。
いい人か悪い人かと聞かれれば確実に悪い人側なのだが、なんだかんだで善行であれ悪行であれ、自分のした事にはきちんと自分で責任を持つ人。利き腕のことを隠したのもこれが理由。
あくまで目的のために手段を選ばないだけで、罪悪感も道徳心も両方人並みに備わっている。そのため、咄嗟の判断だと自分の不利益を鑑みず他人を助けてしまうこともちょいちょいある。

裁判終了後、命乞いをせず、必要以上に悪役を演じたのは、彼なりの最期の歪んだ優しさであり、殺してしまったふたりへの最大限の贖罪だった。


酔っても全部忘れるくせに、やたらとカフェインや砂糖を摂取したがるのは、心の奥底ではきちんと自分として会話してみたかったからかもしれない。