nextDR-stolen hope- 公式wiki

生まれはドイツ。日本の血は入っていないが、父親の友人が日本にいる。育ちもドイツで、割とお金持ちであった。両親は特別なにか才能があるわけでもなく、普通のお金持ちの家庭であったが、いつも家族全員でご飯を食べることが家の方針である。
そんなメイドルには兄がいた。病弱で日常の殆どをベッドで過ごしている。治る見込みはなく、余命幾ばくかである。メイドルはそんな兄が大好きであった。日本語はその時に兄に教えてもらっていたが、覚えた日本語は敬語である。

メイドルの世界は家族だけとなっていた。学校には通わず、自宅での勉強をしており、両親もメイドルが外に出て遊ぶ事をあまり快く了承しなかった。屋敷内を走り回ったり色々と遊んだが、ちゃんとした筋肉は発達していない。運動音痴。
そんな、メイドルの世界が変わったのは兄15歳、メイドルが6歳の頃だった。屋敷に泥棒が入り、両親が殺されてしまう。メイドルと兄は両親によって隠されており、なんとか生き残った。犯人は射殺、メイドルと兄は両親が残した多額の遺産で屋敷で二人で暮らし始めた。何人かは引き取ろうとしていたが、全てが遺産目当てで、二人は拒否した。兄を支えにメイドルは生きていたが、両親、犯人の死体を見た時から少しずつ狂い始めた。

メイドルが7歳になる頃、兄はメイドルに一つの長い布を渡した。喜んでそれをしまいに行ったメイドルを見て、兄は眠ったように息を引き取った。その後に兄が死んだ事に気付いたメイドルは、生まれて初めてそれが美しいと思えた。
家族がいないので、ご飯は食べられない。食べたくない。それが段々と拒食性へと変わっていく。屋敷内にあった薬や、流動食でメイドルは生きていた。
メイドルと死体の兄との生活が続いている。ある日近くで悲鳴が聞こえ、恐る恐るとしばらくしてから屋敷の外へと向かうと、女の死体があった。その死体を見て、メイドルは屋敷へと持って帰った。それを繰り返していくうちに、屋敷は死体が沢山あるようになっていった。全て丁重に死化粧を施し、服を着替えさせた。一年半その生活をした後、腐臭がすると警察に通報があり、メイドルと死体達との生活は終わりを告げる。

その後、日本にいる父親の友人が引き取る事となった。一緒に暮らして過去の傷を癒そうと奮闘していた。検死官をしている友人は、メイドルが死体を見ていると精神が安定し、尚且つ適切な検死をしていた事から、メイドルを検死官の道へと勧めていく。この時メイドルは10歳であった。
家族とご飯を食べるという方針に従い、その方針を大切にしすぎたメイドルは拒食症という形で食事を受け付けなくなってしまった。時折病院に通っては点滴や注射、流動食や薬を処方してもらっている。同時に過眠症も患っており、よく眠くなるし、突発的な眠気に負けて、そこらへんで寝ていることもある。目の下の隈が取れることはない。一種の現実逃避である

お菓子作りが好き。なにも考えずに済むから。作っては捨てたりしているが、食べてくれる人がいる際にはその人に渡したりしている。割と子供っぽい性格で、撫でられたり、撫でたりするのが好き。心はほぼ10歳から13歳。
メイドルは生きるも死ぬもどうでもいいのである。ただ死体があると喜んで検死をし始める。正直に言うならば。
「兄さんや両親の元に行きたい」

1.
兄の名前はエミデル・フェリアス。難病により、短い生涯を閉じる。兄と過ごしているうちに、メイドルは死者をゾンビのように生き返らせる術を探し始めた。結局は見つからず、警察に一度連れていかれた遺体たちの中からエミデルの遺体を引き取り人の伝手で回収する。
あの手この手を使って遺体をそのまま一緒に日本へと連れてきた。

2.
エミデルは少しずつ腐敗も進んでいるが、ミイラになっている。遺体の最高の保存方法で自身の住んでいる家の一室にいる。いつも一緒に寝ているらしい。なので暑いのは苦手である。
蘇らせる方法なんて見つからない。見つかりはしない。引き取ってくれた人は徐々にメイドルの異常性に気づき、エミデルを埋葬しようとするが、メイドルに見つかり、その後は行方が分からない。メイドルの上司にあたる人間が消したのだ。

3.
メイドルはその引き取ってくれた人が自分を気味悪がって捨てられたと上司に言われ、その通りに思っている。その際に「お前の名前の中には衝動的に動いてしまう様な意味が入っているからな」とか言われてしまい、以降は「イド」と呼ばれるのを嫌がるようになり、衝動的に動かないようにしている。愛称で呼ばれることもなかった為、愛称で呼ばれることに喜びを感じる。


4.
異常だと言われてから、兄を演じるように物腰柔らかに、優しく、思いやりのあるように振舞っている。地はふつうに喋り、少し子どものような喋り方。上司から同い年の友人等できはしないと言われており、素直にそれを信じ込んで、皆の事を友人と認識できていない。友達の定義もわからない。ただ、敬称をつけなければ、なんかともだち、みたいになるのかなと思っている。

5.
気味悪がられない努めてはいるが、遺体を見るとどうしてもはしゃいでしまう。はしゃいだ後はプチ一人反省会をする。「(どうして皆に嫌われるのを怖がってるんでしょう？)」という思考に至り強制終了する事がほとんど。
みんなの好きなもの、嫌いなものをなんとなく把握しており、本人もどうしてなのかよくわかっていないらしい。

本当にどうでもよかった。自分の生き死にも、人の生き死にも。終わらせたかった、自分を。
なのに仲のいい、自分が心を開いて行った人が死んで行く。
「あぁ、僕はどうしようもない死神だ」
終わらせて、終わらせて、終わらせて！
皆が死んで行くのを見て一度は壊れた心をテープで貼り付けて、「生きて」という言葉に囚われるかのように、その言葉を糧に、今日も彼は生きていく。
「皆の分も、沢山世界を見ましょう。そして、皆に届けるんです。
ちゃんと生きたら、沢山褒めてね」