最終更新: monosaku183 2011年05月04日(水) 01:13:48履歴
22 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2010/12/31(金) 02:02:42 ID:LFVgIgxl
サイズが55kBとデカくなりすぎたため、ロダに上げました。
ttp://www.age2.tv/rd05/src/up13159.zip.html
DLKeyとzipパスは今日の月日を半角4ケタで。
それは、探究心という名の悪魔のささやき
ああ、君か。わざわざ訪ねてくれるとは、よほどご執心らしいね。
うん。わかってるよ。せっかく来てくれたんだ。話せる限りのことは話そうじゃないか。
何年前だったかな。まことに申し訳ないんだが、思い出せないんだ。何しろ、あれは強烈な体験だったからね。そのことばかり覚えていて、他の瑣末なことは忘れてしまったんだ。
あの頃は、仕事に行き詰っていてね。私は何でも書いてきたが、自分が好きな歴史小説や仮想戦記はまるでダメ。ならばと書いた恋愛やミステリーも泣かず飛ばず。わけもわからず書いたファンタジーやSFなんて論外だった。
まあ、いろいろ書いてきた結果、それなりに売れたのが官能小説で、しかも、ハードなSMものや、痕が残るほどの傷を負わせたり死体を損壊するような猟奇的なものが人気だっていうのだから、人生なんてわからないものだね。
でもねえ。これは困った問題だよ。何しろ、私は別にそういう趣味は持っていないからねえ。持っている知識の量がそもそも足りないんだ。そうなると、ネタの引き出しなんてすぐに無くなってしまう。
さらに、これは嬉しい問題なんだが、私の小説はそこそこ売れたんだよ。おかげで、担当の編集さんは次回作を期待するし、何よりもファンの期待がね。そうそう。ファンレターなんて生まれて初めてもらったよ。あれは嬉しかったなあ……。
それでだ。皆の期待を裏切るわけにはいかないと思ってね。編集さんに無理を言って、いろいろな経験をさせてもらったり、ネットに転がっている映像から着想を得たりと、様々な努力をしてみた。それで何作かは書けたが、やはり、それまでだった。
そんな私を救ってくれたのは、編集さんが見せてくれた一通のメールだ。それは、大量に送りつけられてくる英文スパムメールの中にまぎれていて、最初は気にもとめていなかったのだが、削除しようとクリックしたときに、非合法な映像が閲覧できるというメッセージに気づいたので、私の作品の参考にならないかと思って、とっておいてくれたんだ。
私は、編集さんから教わったそのサイトを訪れてみた。
驚いたね。
幼女を相手に性的行為を楽しむ変態がいるかと思えば、相手を徹底的に痛めつけるサディストたちがいる。いろいろな種類の画像と映像があったよ。
そして、私の心を強く捉えたのは、いわゆる殺人ビデオというやつだ。これは本数は少なかったが、縛られて身動きのできぬ少年をナイフで滅多刺しにしたり、全裸で縛り上げられた少女の首を斧で切り落とす。なんてものがあったんだ。
ネット上に出回ってるいろいろな画像や映像があるが、ここまで鮮明なものは、あまり目にしたことがない。そういう意味で言えば、質の高いものばかりだったよ。しかも、そのどれもが見たことの無いものばかりでね。
そして、それらは、どう見ても偽者には見えなかったんだ。
これはすごいものを見つけた。そう思ったね。
それから、サイトの中に気になるものを見つけた。
ご連絡はどうぞこちらに。扱う内容が内容なので、メッセージはこちらの公開鍵で暗号化してください。なんて書いてあるんだ。
すごく、気になってね。
だから、私は早速、メールを送ってみることにした。
返事は意外と早く返ってきた。そして、当然のように暗号化されていた。彼らの公開鍵で複合すると、短くこう書いてあった。
『我々に本気でコンタクトを取りたいなら、諸君らの通信も暗号化したまえ。諸君らの秘密鍵で暗号化した電文を、さらに我々の公開鍵で暗号化するのだ。当然、諸君らの公開鍵は平文で伝達するように』
互いの通信を秘匿できるなら会話してやる。そんな姿勢を見て、これはひょっとして、ひょっとするかもしれないと思った。そこで、編集さんの助けを借りながら、彼らと話をしてみたんだ。
思ったとおりだったよ。
彼らは、公開しているものだけではなく、秘蔵のオリジナルコンテンツを持っていたんだ。画像はもちろん、映像もね。
つまり、彼らはそういったものを制作している"開発者"だったんだよ。
そこで、私は尋ねてみたんだ。
殺人を扱う他のコンテンツを見てみたい。そんな話をすると、思いもよらぬ返答が戻ってきた。
『我々の指定する金額を用意し、我々が指定した場所まで来れるなら、かまわない』
金額は日本円に換算すると二〇〇万円くらいだったかな。これは貧乏作家にとっては結構な金額だ。取材費として経費扱いにできればいいが、内容が内容だけに、下手に計上するわけにもいかない。
場所もすごかった。正確な場所を言うわけにはいかないんだが、まあ、そうだね。中南米のあたり。とでもしておこうか。そこまでの旅費だってバカにならない。当然、宿泊する必要もあるだろうし、結構な出費になるのは間違いなかった。
結局、私は編集さんに次回作の原稿料や印税を担保に、まとまった金を借りることにしたんだ。芸の肥やしというわけではないけど、何か新しい道が拓けるんじゃないかと思ってね。
そして、私は機上の人となった。
何よりも腹立たしいのは、私の隣に編集さんが普通に座っていたことだね。彼は私の取材旅行に通訳として参加する。ということで、会社の経費で気ままなフライトだよ。私の分も経費で落として欲しいと頼んでみたら、次回作の出来次第です。なんて返事が戻ってくる。あれは腹がたったね。
まあ、それはいい。
現地について、ガイドと車を雇おうとしたんだが、これが大問題でね。実は、現地に入るまでまったく知らなかったんだが、指定された場所は、反政府ゲリラと政府軍が激しくやりあっている所から、そう遠くは離れていなかったんだ。皆が危険すぎるからと断る中、ようやく一人のドライバーを見つけてね。私と編集さんは、目的地を目指して急いだ。
甘かったね。
目的まであと半日。というところで、私たちの乗った車は、武装した集団に囲まれたんだ。ドライバー兼ガイドの男の顔が、見る見るうちに青くなっていったのを、今でも覚えてるよ。
私たち三人は車の外に出されて、ボディーチェックをされた。パスポートを見れば、私たちが日本人であることは明白だ。人質にはもってこいの人間だったろう。案の定、ドライバーは解放され、私たちは顔をすっぽり麻袋で包んで目隠しされると、そのまま彼らの車に乗せられてどこかへ連れ去られたんだ。
麻袋が外されると、そこは室内なのか、ずいぶんと暗い所でね。まあ、目隠しされていて暗闇に目が慣れていたから、そこに誰かがいることはすぐにわかった。小太りな中年男で、迷彩服を着ていたよ。身長は私よりも低くて、他の迷彩服の男たちに比べると、頭ふたつ分くらいは低かったね。
その彼が、口を開いた。
「やあ、お客人。遠路はるばるようこそ。待っていたよ」
彼の隣にいる男は、日本語を問題なく話せるようでね。すべて通訳してくれるおかげで、意思の疎通には何一つ問題はなかった。しかも、話を聞けば、あのサイトの管理人を務めているのは、目の前にいるこの小さな男らしい。
私は前金として一万ドルを支払い、内容に満足すれば、残りの一万ドルを支払うと伝えた。今にして思えば、武装集団でそれなりの地位にいそうな男に向かって、よくもそんな交渉ができたと思うが、まあ、あの頃は私も若かったからね。彼は笑いながら、「それでかまわない」と承知してくれた。そして、部屋の奥からたくさんのCDを収めたケースを取り出すと、どれでも好きなものを見てかまわない。そう言ったんだ。
ずらりと並んだCDの盤面には、簡単な単語がいくつか並んでいた。
『女性、白人、金髪、二三歳』
『男性、ラテン、黒髪、一六歳』
すぐに理解できたよ。
私の手元にあるこれらのメディアには、盤面に書かれた特徴の人が殺される映像が入っているんだ。ということをね。
試しに、白人で茶髪な二六歳の女性を見てみることにした。
まさに期待どおりだったよ。
目出し帽って言うのかね。あの、銀行強盗が被るような、頭全体を包んで、目と口元に穴が開いているやつは。裸体にそれだけ被った黒人男性が、壁に鎖で手足を固定されて、泣きじゃくる白人女性の前に立っていた。
最初は鞭打ちだった。
あの、鞭と言われて誰もが想像するような長いやつじゃなくて、もっともっと短いやつ。そう、騎手が持つ乗馬用の鞭だね。あれで、情け容赦なく抵抗できない女性を打ち据えるんだ。
酷いものさ。渾身の力で打っているのが、映像から十分に伝わってくるのだから。鞭が女性の身体を打ったときの甲高い音と、まるで肌が裂けたんじゃないかと思うほど酷いミミズ腫れ。それが、女性の腕や太腿、腹といった部分に幾度も振り下ろされ、白い肌に何本もの赤い筋を描いていくんだ。
そのうち、鞭は女性の顔や胸を打つようになり、女性は悲鳴をあげる体力も無くなりはじめる。そんな彼女を目覚めさせたのは、下から振り上げて女性器を強かに叩いた一撃だよ。まるで人のものとは思えないほどの悲鳴があがったんだ。
だが、それでは終わらない。何しろ、ゴールがどこなのか、私たちは十分に知っているのだからね。
ぐったりした女性を目覚めさせようというのか、男はバケツに水を溜め始めた。その中に氷をざらざらと投げこんでね。それから、壁に拘束していた女を解放すると、床に転がった女目掛けて、金属製のバケツが汗をかくまで放置した水をぶち撒けたんだ。
キンキンに冷えた水をかけられて、弱っている女は強制的に覚醒させられた。弱々しくうめく彼女を四つんばいにさせると、男はさほど膨張していない自分の竿を女に押し当てた。
まあ、それなりの固さは持っていたんだろうね。ゆっくりだが、それでも確実に女の胎内に飲み込まれていく。白い肌に赤い筋をたくさん描いた女を押しつぶすように、しまりのない身体つきの黒人男性がのしかかってね。白と黒のコントラストといえばいいのかな。
あれは、美しかったよ。
女を散々背後から犯している男は、女の髪を鷲づかみにしながら、抜けそうなくらい強く引っ張って、女の首を持ち上げる。そして、その耳元でずっと罵り続けてるんだ。あれは英語だったね。
ああ、もちろん、私は英語は話せない。でも、「くたばれ」とか「畜生め」とか「糞ったれ」とかくらいなら理解できるし、どんな感情を抱いているかとかは、声の調子でなんとなく感じ取れるからね。
男の腰の動きが早くなると同時に、男は女の首に手をかけて、全力で絞め上げ始めた。腕を首に絡める方式でね。私たちが首を絞めると聞いて思い浮かべる、あの正面から両手で首を掴むような絞め方ではなかったので、はっきりと覚えているよ。
罵りながら首を絞め、ひたすら腰を振り続けている男の目的は、簡単に想像できた。昔から言うじゃないか。「女が事切れるときの締め付けはすごい」って。だが、彼がそれを目指しているのだとすると、私たちが見ているこのビデオは、始まってからそれほど時間は経過していないのに、もうすぐクライマックスを迎えるってことになる。
そして、最期はあっけなくやってきた。
男と女の結合部を映していたカメラは、女の顔を映せる位置に移動したんだ。
もともと、散々に鞭で打たれて、抵抗できるだけの体力がなくなりつつあった女は、首を絞める男の腕に、弱々しく爪をたてるのが精一杯だった。がりがりと掻きむしるが、その程度では男の腕を引き剥がすことはできない。
女の腕から、いきなり力が抜けた。ぱたりとベッドに落ちた手は、微かに痙攣していたよ。
それと同時に、男は獣のような叫び声をあげた。再び結合部に移ったカメラは、失禁して太腿をつたう女の尿と、自分の精液を女の胎内に注ぎ込もうと脈打つ男の陰茎を映していた。そして、黒々とした男の肉棒が引き抜かれると、女の肌の色に負けないほど白い精液が、女の尿とともに太腿を流れて落ちていった。
映像は、そこでぶつんと途切れた。なんともあっけない結末さ。もしかすると、女は単に気絶しただけで、まだ生きているのかもしれない。何しろ、明確に死を示すような映像は、そのCDの中には何一つなかったからね。
流石にこんな短い映像のために二百万近い金を出すのは馬鹿馬鹿しくてね。次のCDを物色し始めた私に、例の小男が通訳を通じてたずねてきたんだ。
「大体、把握できたか?」
ってね。
私は軽い気持ちで答えた。
「ああ、理解できたよ。大丈夫さ」
すると、彼は続けてこう言うんだ。
「今回の顧客は君なのか? それとも、彼か?」
だから、こう答えた。
「金を支払うのは私。彼は私の付き添いで、仕事仲間なんだ」
それだけ聞くと、彼は満足そうに幾度かうなずいた。
そして。
「わかったよ。さあ、一緒に来なさい。君のために、ちゃんと準備してある。彼にはここのビデオで十分だろう?」
そう言ったんだ。
さて、何の話だろう。私は、あくまでも殺人ビデオの観賞に来たのであって、他に何かをするようなつもりも予定もない。
だが、私の心の奥で、誰かがこうささやいた。
『あいつの誘いに乗れ。もしかすると、思いがけない幸運に恵まれるかもしれないぞ』
そこで、私は、彼の後についていくことにした。
編集さんには、ここでちょっと待っててくれって言い残してね。
ビデオを上映していた部屋を出ると、彼は廊下を先導するように歩きながら、通訳を通じていろいろと確認し始めた。
「こちらも準備が必要で、顧客の要望のすべてに答えることはできない。だが、今回は調度いいことに、複数から選ぶことができる。だから、君は幸運だぞ」
そして、彼は建物から出ていった。私もその後に続くと、外はまだ明るいはずなのに、なんだか少し薄暗い。その理由は、頭上を見上げれば一目瞭然だった。そこは、深いジャングルの中だったんだ。
そんなところに、これだけ立派な建物を建てていながら、なぜ彼らの存在が敵対する組織から見つからないのか、私は疑問に思ったのだが、後で調べてみたら、実に簡単な理由だった。
彼らの勢力は、敵対勢力の接近を許さぬほどに強力だったからだよ。
まあ、いいさ。ちょっとした脱線だ。
それで、私は別の建物へと連れていかれた。
ジャングルの奥にあるのが似合わないほど、しっかりとした建物だった。あのあたりでよく見るレンガと漆喰の壁じゃなく、鉄筋コンクリートだったみたいだね。それこそ、爆撃を喰らったとしても、そう簡単には壊れないんじゃないかと思えるくらい、とにかく分厚い壁に守られた強固な建物だったよ。
彼は、見るからに重たそうな金属の扉を開くと、私をその中に案内した。
おそらく、施設の大半は地下にあったんだろうね。非常灯のような弱い明かりしかない曲がりくねった長い階段を降りていくと、再び頑丈な金属の扉だ。
彼がその扉を開くと、暗さに目が慣れていた私にはまぶしいほどの光が入ってきた。
その先にあったのは、なんとも殺風景な部屋だった。床も壁もコンクリートの打ちっぱなしで壁紙すらない。もちろん、天井もだ。だが、その天井にはこの部屋を照らすには十分すぎるほどの照明が輝いていて、それ以外にもスタンド式の照明がいくつも立っているんだ。
そして、三脚に据えられたいくつものカメラ。
部屋のあちこちに鏡があったが、最初に複数のカメラを見た後だったから、あれはマジックミラーだと直感したよ。
そして、所々にさびが浮いているパイプ製のベッド。
どこかで見たことのあるベッドだった。それも、つい最近。
そう。
先ほどの上映会で見た、あのベッドさ。
そんな部屋の様子に見とれていると、彼が声をかけてきてくれた。
「さあ。数は少ないが、一応、選ぶことができる。君は、どれにするかね?」
彼が指し示した先には、手足を拘束され、鎖のついた首輪で動きを封じられた、哀れな女たちがいたんだ。
二人は明らかに地元の人間だった。一人は原住民の血を引いているのか、日に焼けた肌に見事な黒髪の女性でね。年齢は、そうだな。二十代の前半くらいだったんじゃないかな。
もう一人は、侵略者たちの子孫なんだろうね。白人系の顔立ちに、ちょっぴり日に焼けた肌の女性だったよ。彼女は先の女性よりもさらに年齢は低く見えて、二十歳か、まだそこに手が届いていない。といった外見だったよ。
最後の一人は、明らかに地元の人間ではないとひと目でわかるくらい、透き通るような白い肌を持った少女だった。少なくとも、アメリカなんかよりははるかに赤道に近いこのあたりで、あそこまで日に焼けずにいるのだから、つい最近、このあたりに来たのだろうと思えるような子だったよ。
年齢は、十代の後半に差し掛かるあたりに見えたね。少なくとも、三人の中では一番若いのは間違いない。
綺麗な子だった。
先ほど言ったとおり、美しい白い肌。髪の毛はくすんだ金色で、瞳は青よりは灰色に近い感じだった。鼻のあたりにちょっとだけそばかすが浮いていてね。それが、年齢のわりに落ち着いていて、ちょっと冷たい感じを受ける顔立ちを、少しだけ和らげているように思えたよ。
私がその子に見とれているのは、彼にもすぐにわかったようでね。何も言わずに、彼女の首輪につながった鎖を、私の手元に押し付けて持たせた。
そして。
「決まりだな。彼女は、君の好きにしていい。思う存分、楽しんでくれたまえ」
その言葉に驚く私に、彼はさらに付け加えた。
「だが、ひとつだけリクエストがある」
何がどうやら理解できぬ私に、彼は非常に簡単な言葉で教えてくれた。
「それを見た者の誰もが恐れて、ああはなりたくないと改心するように殺してくれ。残忍で残酷なほどいい」
そう。
そういうことさ。
私は、彼のコレクションに加わる作品の出演者であり、それ以外にも脚本や演出、それに監督もこなさなければならなくなったんだ。
当然、その申し出は断れたはずだ。何しろ、殺人という重大な犯罪行為だからね。それが例え国外であり、法の外に置かれた者たちの管理下で行われるとしてもだ。
だが、私は躊躇わなかった。
彼に向かって、こくんとうなずいたんだ。
先ほど見た部屋には、過剰すぎるほどの照明に、複数のカメラ。それに、サビの浮いたベッドがあるだけだと思っていたんだが、どうやら、それは私の思い違いだったようだ。
壁のいろいろな場所に、ロープや鎖をひっかけることができるフックがついているし、天井もよくよく見れば梁や滑車がついていて、相当重い荷物でも楽に動かせそうだった。当然、人間程度の荷物なら、それほど力を入れなくても簡単に動かせる。
それだけじゃない。床には排水用の設備がしっかり備えてあるらしく、どのように汚したとしても、水を流せばすぐに洗えるようになっていた。
便利なものだね。感心したよ。
それから、私が先ほど見たときとは決定的に違うものが、そこにはあった。
棚の上に整然と並べられた、数々の道具たち。
ひと目で手術用の医療器具とわかる、鈍い銀色に輝くメスや鉗子はもちろん、開創器に針のついた縫合用の糸や注射針。骨を切るためののみやのこぎりなんかもあった。中でも、円形の歯を持つのこぎりに目を引かれたよ。柄の他にハンドルがついていてね。それをくるくる回すと、円筒形の歯も同じように回転するんだ。実物を見るのは私も始めてなんだが、あれは、頭蓋骨に穴を開けるためのヤツだ。開頭器とでもいうのかな。
他には、SMに使うような定番の道具が並んでいたね。鞭や蝋燭、ロープに鎖。口枷や目隠しに拘束具なんてものはもちろん、浣腸器なんてものまであった。
そして、さらに恐ろしい道具が並んでいたよ。
九尾鞭と言ったかね。あの、何本もの革紐がついた鞭は。力いっぱい打ち据えれば、相手の皮膚を剥いでしまうという奴だよ。
他にも焼きゴテと炭火が用意されていたり、挿入したら流血沙汰となるのは間違いないような、鋭い針や刃のついた張り形が転がっていたり、洋ナシのような形をした金属性の器具もあった。
実際に見たり、噂話に聞いた事があるものはもちろん、初めて見るものも多かったよ。うん。実にいろいろな器具が揃っていた。
そして、私は、これらの道具を駆使して、見た誰もが怖気を震うような映像を創らねばならない。
責任重大だ。
そう、痛感したね。
私は、彼らが用意してくれた目出し帽を被ったうえで、通訳の彼を通して、出演こそしないものの、影で私を支えてくれるスタッフたちにいくつかの注意をした。本番では、身振り手振りはもちろん、片言の英語を駆使しながら、彼らに指示を与える必要がある。
いくら通訳がいるとはいえ、日本語なんて使ったら、かなり狭い範囲で特定できてしまうだろうからね。
想定しうる限りの、あらゆる根回しをする過程で、私は、最も重要な共演者にも、私が何を期待しているのかをしっかりといい含める必要があった。
だから、通訳を通じて彼女に告げたのさ。
『家族を殺されたくなければ、俺の言う通りにしろ。反抗はいかなることであっても許さん。俺を敵意のこもった眼差しで見たり、唾を吐きかけるくらいなら許してやらんでもないが、他のいかなる抵抗も許さん。もし、お前が俺の言う事を聞けず、俺の言う事ができないと言うのであれば、お前はもちろん、お前の家族も全員殺す。わかったか?』
少女の表情は見る間に硬くなり、怯えている様子が痛々しいほどに感じ取れた。
これでいい。そう思ったよ。
この表情なら、誰が見ても『彼女が怯えている』と理解できるからね。
怯える少女を相手に、私は自分の頭の中にある脚本どおりに行動し始めた。
ベッドの上には、手枷と足枷で身動きが取れなくなっている彼女がいる。彼女が完全に捕らわれの身で、自由に動く事すらままならないことをしっかりと撮影した上で、私はゆっくりとした足取りで彼女に近づいていった。
怯えて、不安そうな目でこちらを見る彼女の姿をしっかりとカメラで撮影してから。手始めに、彼女の着ている服を力任せに引っ張りながら、ナイフを使って切り裂いたんだ。
抵抗するなとは言われているけど、何をされるかはまったく聞いていないからね。でも、服を切り裂かれるという段階になれば、あのくらいの年齢の女なら、何をされるかは理解できるはずだ。
案の定、彼女は悲鳴をあげて逃げようともがき始めた。
だが、手も足も拘束されている状態で、私から逃れられるはずもない。逆に、暴れまわったことで、ナイフの刃が彼女の白い肌にうっすらと赤い筋を描いてしまった。それで、彼女は下手に動くと危ないと認識したんだろうね。今度は、じっと息を殺してぴくりとも動かずに、暴力が自分から遠ざかることをひたすら待っていたんだ。
まったく。考えが甘いよ。男が女の服を剥がしたら、やることは決まってるじゃないか。
私は彼女の服をすべて切り裂いて剥がすと、手足の拘束を解いてやった。痛そうに手首をさする彼女の横に座ると、彼女を抱えるようにして自分のひざの上に座らせてね。それから、自分の足をつかって、彼女がカメラに向かって足を開くように固定すると、背後から胸をもてあそんだ。
年齢のわりに、発育が良い子でね。豊満とまではいかないが、片手では少々もてあましてしまいそうなサイズの胸を、手のひらで包むようにしながら、ゆっくりと愛撫してやったんだ。
少女の表情が怯えからとまどいに変わるのを、私は見逃さなかった。
乱暴されると思っていたのに、思っていたよりも優しくされたことは、彼女にとっては驚きだったみたいだね。
そんな彼女の心の動きを感じながら、私は胸全体を愛しながら、徐々にその先端に重点を移していった。
年頃の女の子だからね。自分でいじったこともあったんだろう。だが、他人にこんな風に触られたことなんて、一度もなかったんだろうね。しかも、自分でやる分には加減ができるが、他人の動きは制御なんてできない。私が胸を愛し続けているうちに、淡い色合いの乳首も徐々に隆起してきて、ぴんと硬くなっていったんだ。
私は、彼女の上体をわずかに傾けて倒すと、その硬くなった桃色の果実を、口の中に含んだ。
その瞬間、少女の背中がぐっとのけぞったのを覚えているよ。
のどの奥からは悲鳴とも嬌声とも取れる声が漏れてね。惚れ惚れするほどいい声だった。
気を良くした私は、少女の胸を味わいながら、右手を彼女の太腿の内側へと這わせていった。彼女もその先には何があるのかを知っている。だから、触らせまいと太腿に力を入れて、足を閉じようとしたんだ。
だが、彼女の足は、同じく私の太腿がしっかりと抑えている。
その場所にたどり着くと、肌のなめらかさが指から伝わってきた。普段からきちんと手入れをしているのか、それとも、もともと少ない体質なのか。それはわからないが、とにかく、陰毛がほとんど生えていなくて、すぐに指で秘裂を探し当てることができたよ。
襞や陰核はその奥に隠れている。だから、私は、指で割れ目をこじ開けて、彼女の女の部分をさらけ出させると、指の腹でほぐすように愛してやった。
効果は抜群だったね。
彼女の呼吸が、徐々に愛されている女のそれに変わっていくのがわかった。
見知らぬ男に無理矢理犯されているのに、性の喜びを感じているんだ。
それも、おそらくまだ未通だと思われる娘がね。
私も男だ。そんな痴態を見せられたら、当然、反応するに決まってる。
彼女の尻の下で、私の竿はむくむくと大きくなっていってね。彼女の襞をなぞるように隆起していった。
指とは違うモノが自分の秘所にあたっている。それが何か気づいたんだろうね。彼女は驚いた顔でこちらを見ると、急に顔を赤らめて目をそらしてしまった。
可愛かったよ。
経験しているかはともかく、男と女が何をするのかを知っているのは、それでわかった。
だから、遠慮はいらないと思った。
私は、男と女が接触している部分を、腰の角度を変えることで、彼女の奥を目指すように仕向けた。何しろ、私は彼女を下から支えているんだからね。その力を抜けば、あとは彼女自身の体重が導いてくれる。
キツかった。
処女特有の、あのキツさだよ。年齢もそれほど高くないからね。やはり未経験だった。
彼女は悲鳴をあげた。そして、腰を振るって私から逃れようとするんだ。
私は、そんな彼女の腰を、逃れられないようにしっかりと押さえた。
彼女の悲鳴はさらに強まり、私の竿は彼女に深く埋まっていく。
私の先端に、こつんと当たるものがあった。
彼女の、一番奥だ。
貫かれた痛みに耐える彼女に対して、私は愛撫を続けた。胸はもちろん、結合部近くの陰核や結合部そのもの。それから、うなじやわき腹のような場所にも指で触れ、舌で愛し、手のひらでそっと撫でたんだ。
彼女が痛み以外の何かを感じていることは、呼吸でわかる。痛みに耐える荒い呼吸から、他の何かに耐えようとする、押さえた呼吸。
快楽。
そう。彼女は、女としての喜びを必死に押さえていた。
無理矢理犯されているのに、女として喜んでしまうのは、彼女としてはどうだったんだろうね。きっと、悔しかったんじゃないかな。
だが、私は、少女と呼んでも違和感の無い彼女に、男に愛される喜びを感じさせることができたことに、この上ない喜びを感じていた。
だから、彼女には最後まで楽しんでもらいたいと思ったんだ。
私は自分の腰を前後に動かして、彼女の中で暴れ始めた。
再び悲鳴があがるが、胸などから与えられる快楽が、その一部を忘れさせてくれる。
私は、そんな彼女の顎に手を添えると、後ろを振り向かせた。
灰色に青を含ませた瞳に、涙が浮かんでいたよ。
綺麗だった。とてもね。
彼女のまなじりに唇を近づけて、その涙をすすった。
そして、彼女の唇を奪ったんだ。
いきなりキスされるなんて、思ってもいなかったんだろうね。驚いて目を見開いた彼女の唇に、舌を押し込んだ。
もしかすると、唇を触れ合うだけのキスは体験していたのかもしれないが、舌をからめるような深いキスは初めてだったんじゃないかな。どうも、そんな感じがしてね。
彼女の舌に、私の舌で触れてみるんだが、驚いて逃げてしまうんだ。
そんな彼女の舌を、彼女を下から突き上げ、胸を両手で包みながら、先端を指先でつまむようにして愛しつつ、追いかけ続ける。
すると、しばらくしてから、彼女の舌が私の舌に、恐る恐る触れてきたんだ。
私は、その彼女の舌を受け入れ、絡めて包むようにする。
舌と舌を絡ませるだけでも快楽が味わえると、彼女は知ったんだね。最初は怯えていたのに、少しずつ大胆になっていく。
陥落させた。
そう思った。
男に無理矢理犯される女から、自分から女としての喜びを知りたがるような、そんな女になった。
嬉しかったね。
清純そうな少女が、乱れきった売女になり下がる様を、映像として残せたんだから。
そんな喜びを感じた瞬間、私も限界が近づいてきた。
そのときのために動きを一気に早めると、私の上に腰掛ける少女の奥目掛けて、陰茎を打ちつけた。
彼女の喉から悲鳴が漏れるが、舌を絡めるようなキスの最中だから、ほとんど声は響かない。それに、その悲鳴は痛みによるものというよりは、未知の感覚に戸惑いながら、それに耐えているというような感じだった。
限界はすぐに訪れたよ。
彼女の腰を自分に力いっぱい引き付けると、彼女の一番奥にむけて、私の欲望を解き放った。
彼女の中で、私の肉棒が脈うつたびに、白濁液を注ぎ込む。
たっぷりと中に吐き出してから、私は、彼女から一気に引き抜いた。
そして、彼女の太腿に手を添えて、足を高く上げさせると、それまで男を受け入れて広がりきった彼女の奥から、桃色の混ざったどろどろの精液が零れ落ちてね。
カメラの一台がぐっと近づいてきて、その光景を撮影したんだ。
これで、彼女に女としての喜びを教えることができた。そう思ったね。
何しろ、残された時間は少ないんだ。せめて、それぐらいは覚えたうえで逝ってもらわないと、あまりにも可愛そうじゃないか。
肩で呼吸をしながら、白い肌が充血してうっすらと桃色を帯びた彼女を見下ろしながら、私は次の段階に進むことを決心したんだ。
放心状態に近い彼女をベッドに放置したまま、私はいくつかの道具を選んでみた。どれも、これからの展開を盛り上げるのには十分すぎるほどのものさ。
縫合用の糸がついた針を開封して、膿盆の上に並べてね。他の膿盆の上には、注射針を並べた。それから、あの九尾鞭。見た目的にも、これが一番だろうと思ってね。メスやら鉗子やらは後の楽しみだ。だから、脇によけておいた。
使おうと思ったものを選び出しておいてから、私は彼女を壁際に固定する作業に入った。男に無理矢理犯されて脱力している彼女を、強引に立たせてね。
固定といったって、微塵も動けないほど強固に固定することなんてできるわけがない。まあ、そこまで固定してしまうと、また別の拷問になってしまうからね。
うん。話がそれた。
ロープや革のベルト。それに、タイラップといったかな? ほら、あの、ケーブルとかをまとめておくのに使うやつだよ。プラスチック製でギザギザと固定用の爪がついているやつさ。ああ、結束バンドっていうのかい? そう、それもあった。だから、彼女の手足を縛ることなんて、簡単だったよ。
壁には、こういう目的のために使うであろうフックやら滑車やらがあったし、もう、その目的に使ってくれといわんばかりの鎖まで下がっている始末だったからね。手足を動かすのに多少の余裕はあるものの、再び拘束されてしまったんだ。彼女が怯えるのは当然だ。
私は、そんな彼女の目の前に立つと、大げさに九尾鞭をかかげてみせた。
それから。
思い切り、彼女目掛けて振り下ろしたんだ。
素晴らしくいい音が響いてね。
ぱぁん! という、あの鞭独特の音だよ。
それにあわせて、少女の喉から悲鳴があがる。
彼女の右上腕には、幾本ものミミズ腫れが浮かんだんだ。
あの白い肌に、朱に近い赤が走る。
それはもう、綺麗だったよ。
左腕。
右足。
腹。
胸。
左足。
太腿。
腰。
彼女の肌が赤く染まるように、幾度も振るってやった。
私自身は、手加減していたつもりなんだがね。あれは、それでもかなりの威力があるらしい。彼女の悲鳴はだんだん小さくなっていくし、肌が切れて出血しているところもある。
まあ、このあたりが頃合だ。
そう思ったんだ。
続いて取り出したのは、縫合用の針さ。何しろ、彼女の肌は鞭で裂けている箇所がいくつかあったからね。
せっかくだから、傷口を塞ぐために、縫ってあげることにしたのさ。
当然、麻酔なんてない。それに、私は素人だ。どんな具合に縫えばいいのかなんて、わかるはずがない。
かなりの苦痛だったみたいだよ。
針が肌を通り、糸が通り抜ける度に、苦しそうなうめき声が聞こえてね。
私は、一心不乱に傷口を縫い付けていったんだ。
まあ、傷口じゃない場所も、いくらか縫い付けてみたりしたんだけどね。
まるで人肌で刺繍をしているような感覚さ。
だが、それほど楽しいわけでもない。見た目的にも迫力がないしね。残念だったよ。
ちょっと失敗だったかもしれないと思いながらも、次のアイテムを取り出したんだ。
次に取り出したのは注射針だ。これは見た目的にもわかりやすいだろう?
彼女の目の前にちらつかせてから、遠慮なく胸に突き立てた。
まあ、悲鳴はあがるけどね。それほど高い悲鳴ってわけでもない。
仕方がないから、私は、とにかく数で勝負しようと思ったんだ。
その後は、次々に注射針を突き立てていったよ。彼女の右胸は、みるみるうちに針山のようになってね。苦痛に耐えているからか、彼女の額にも玉のような汗が浮かぶようになってきた。
だが、苦痛というものは、ある程度は慣れてしまうんだね。だから、反応がだんだん鈍ってくる。
ならば、新しい苦痛を与えればいい。
それまで乳房に突き立てていた注射針を持ちながら、私は、彼女の乳首をつまんで持ち上げたんだ。
彼女にも、私が次に何をしようとしているのか、それで十分に伝わったらしい。
必死に首を振りながら、哀れな声で懇願するんだ。
きっと、「止めて!」とか、「助けて!」なんて言ってたんだろうね。
だが、ここで止めるなんてとんでもない。まだまだこれからなんだ。
私は、怯える彼女を無視して、乳首を注射針で貫いた。
先ほどまでとはあきらかに違う悲鳴でね。これなら。と思ったよ。
正面から見たら十字に見えるように注射針を突き立てた後で、私は、乳首の頂点からまっすぐ奥めがけて注射針を突き立てた。
彼女は、いい声で鳴いてくれたよ。
胸ばっかり責めていたって、退屈だからね。そろそろ、責める場所を変えてみようかと思ったんだ。
だから、私は、彼女の目の前にしゃがみこむと、彼女の下腹部に手を伸ばした。
大の字というか、手足を広げたX字型に拘束しているからね。足を多少動かしてみたって、彼女の大切な部分はまる見えだ。手を伸ばしたら、まだ色素が沈着していない、綺麗な襞があってね。
私が女の敏感な部分に手を伸ばしたんだ。彼女もこの後に何が起きるかは、十分に想像できたんだろう。急に身をよじって、必死に抵抗し始めた。
いい姿だった。
私は左手の指で彼女の襞をつまみ上げると、注射針を突き立てる作業に没頭した。立て続けに五本くらいは突き刺したかな。その頃になると、彼女は泣きながらずっと同じことをつぶやいていた。
まあ、私には彼女の言葉がわからないから、そんな風に言われても、何も反応しようがないんだけどね。
注射針の数も残り少なくなった。だから、私は、最後の仕上げに、彼女にとって一番敏感な部分をこれで貫こうと思った。
そう。彼女の陰核さ。
入念に指先で愛撫して、包皮の下に隠れた彼女の可愛らしい芽を隆起させてね。
貫いた。
ひときわ大きな悲鳴が上がったときは、本当に嬉しかったよ。
その後は、彼女の身体に突き立てた注射針を一本一本手作業で抜いていったんだ。少し、ぐりぐりと動かしたりしてね。
針を抜くたびに、赤い血の玉ができてね。それがやがて肌を滑り落ちていくんだ。鞭で打たれたミミズ腫れとは違う、もっと鮮やかな赤が、白い肌に幾筋もの線を引く。
赤と白。
あの美しさは、忘れられないね。
出血が酷くなると困る。そう思った私は、一番簡単で手っ取り早い止血法を施すことにした。
焼きゴテさ。
傷口を焼けば、出血は確実に止まるからね。
炭火で真っ赤になるまで熱した棒だから、見ただけでも威圧感があるし、そもそも、近づけただけでも十分に熱さが伝わるだろう? だから、私は、相手に恐怖を感じさせるにはもってこいの器具だと思うね。
柄の部分は木でできているし、耐熱手袋をはめてしまえばなんてことはないんだが、まあ、それなりの長さがあるからね。扱いは慎重に。といったところだ。
うん。ちょっと、脱線したかな。
私が使ったものは、単純な棒のやつだったよ。文字を刻印できたり、幅が広くていろいろな場所を焼けるものもあるんだが、やっぱり、単純なのが一番いい。
赤熱した鉄の棒を、彼女の目の前に突きつけてね。それから、ゆっくり、彼女の傷口へと動かして、押し当てた。
じゅっ!
肉の焼ける音と同時に、彼女は悲鳴をあげた。当然さ。熱いと感じるより、痛いと感じたんじゃないかな。身をよじって、焼きゴテから逃れようとした。
だから、傷口じゃない部分にも、焼きゴテが押し付けられてしまうんだ。
自分で自分をさらに苦しめる。そんな感じだね。
始めは、鞭で引き裂かれ、私が見よう見真似で縫った傷口を焼いていった。まあ、糸まで焼けちゃうから、そもそも縫合なんてしなくてよかったんだね。あれはちょっと失敗だったかもしれないな。
でも、彼女に苦痛を与えて、その表情や声を楽しむという観点で見れば、あれはあれでよかったんだと思うよ。
とはいえ、それほど鞭を入れてなかったこともあって、焼いて止血しなければいけないような傷口はなくなってしまった。だから、次は、彼女の右胸に点々と描かれた赤い玉や筋を狙うことにした。
そう、注射針を突き立てた痕さ。
肌を焼かれるのだって、相当な苦痛だったと思うけど、流石に胸に焼きゴテが伸びてきたときは、鈍くなっていた反応がまたはっきりとしてきてね。いろいろと私に哀願するような口調で言ってくるんだ。
彼女の言葉がわかっていれば、それを楽しめたんだけどね。
残念だよ。
胸への焼きゴテは、彼女に壮絶な悲鳴をあげさせた。それに、可愛らしい少女の乳房が無残な火傷で覆われていく姿は、なんとも哀れなものだしね。個人的にはいい映像が撮れたと思っているんだが、どうだろう。
でも、観客の目は肥えているようだったからね。あのくらいじゃ、満足させられなかったかもしれないな。
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それは、探究心という名の悪魔のささやき
ああ、君か。わざわざ訪ねてくれるとは、よほどご執心らしいね。
うん。わかってるよ。せっかく来てくれたんだ。話せる限りのことは話そうじゃないか。
何年前だったかな。まことに申し訳ないんだが、思い出せないんだ。何しろ、あれは強烈な体験だったからね。そのことばかり覚えていて、他の瑣末なことは忘れてしまったんだ。
あの頃は、仕事に行き詰っていてね。私は何でも書いてきたが、自分が好きな歴史小説や仮想戦記はまるでダメ。ならばと書いた恋愛やミステリーも泣かず飛ばず。わけもわからず書いたファンタジーやSFなんて論外だった。
まあ、いろいろ書いてきた結果、それなりに売れたのが官能小説で、しかも、ハードなSMものや、痕が残るほどの傷を負わせたり死体を損壊するような猟奇的なものが人気だっていうのだから、人生なんてわからないものだね。
でもねえ。これは困った問題だよ。何しろ、私は別にそういう趣味は持っていないからねえ。持っている知識の量がそもそも足りないんだ。そうなると、ネタの引き出しなんてすぐに無くなってしまう。
さらに、これは嬉しい問題なんだが、私の小説はそこそこ売れたんだよ。おかげで、担当の編集さんは次回作を期待するし、何よりもファンの期待がね。そうそう。ファンレターなんて生まれて初めてもらったよ。あれは嬉しかったなあ……。
それでだ。皆の期待を裏切るわけにはいかないと思ってね。編集さんに無理を言って、いろいろな経験をさせてもらったり、ネットに転がっている映像から着想を得たりと、様々な努力をしてみた。それで何作かは書けたが、やはり、それまでだった。
そんな私を救ってくれたのは、編集さんが見せてくれた一通のメールだ。それは、大量に送りつけられてくる英文スパムメールの中にまぎれていて、最初は気にもとめていなかったのだが、削除しようとクリックしたときに、非合法な映像が閲覧できるというメッセージに気づいたので、私の作品の参考にならないかと思って、とっておいてくれたんだ。
私は、編集さんから教わったそのサイトを訪れてみた。
驚いたね。
幼女を相手に性的行為を楽しむ変態がいるかと思えば、相手を徹底的に痛めつけるサディストたちがいる。いろいろな種類の画像と映像があったよ。
そして、私の心を強く捉えたのは、いわゆる殺人ビデオというやつだ。これは本数は少なかったが、縛られて身動きのできぬ少年をナイフで滅多刺しにしたり、全裸で縛り上げられた少女の首を斧で切り落とす。なんてものがあったんだ。
ネット上に出回ってるいろいろな画像や映像があるが、ここまで鮮明なものは、あまり目にしたことがない。そういう意味で言えば、質の高いものばかりだったよ。しかも、そのどれもが見たことの無いものばかりでね。
そして、それらは、どう見ても偽者には見えなかったんだ。
これはすごいものを見つけた。そう思ったね。
それから、サイトの中に気になるものを見つけた。
ご連絡はどうぞこちらに。扱う内容が内容なので、メッセージはこちらの公開鍵で暗号化してください。なんて書いてあるんだ。
すごく、気になってね。
だから、私は早速、メールを送ってみることにした。
返事は意外と早く返ってきた。そして、当然のように暗号化されていた。彼らの公開鍵で複合すると、短くこう書いてあった。
『我々に本気でコンタクトを取りたいなら、諸君らの通信も暗号化したまえ。諸君らの秘密鍵で暗号化した電文を、さらに我々の公開鍵で暗号化するのだ。当然、諸君らの公開鍵は平文で伝達するように』
互いの通信を秘匿できるなら会話してやる。そんな姿勢を見て、これはひょっとして、ひょっとするかもしれないと思った。そこで、編集さんの助けを借りながら、彼らと話をしてみたんだ。
思ったとおりだったよ。
彼らは、公開しているものだけではなく、秘蔵のオリジナルコンテンツを持っていたんだ。画像はもちろん、映像もね。
つまり、彼らはそういったものを制作している"開発者"だったんだよ。
そこで、私は尋ねてみたんだ。
殺人を扱う他のコンテンツを見てみたい。そんな話をすると、思いもよらぬ返答が戻ってきた。
『我々の指定する金額を用意し、我々が指定した場所まで来れるなら、かまわない』
金額は日本円に換算すると二〇〇万円くらいだったかな。これは貧乏作家にとっては結構な金額だ。取材費として経費扱いにできればいいが、内容が内容だけに、下手に計上するわけにもいかない。
場所もすごかった。正確な場所を言うわけにはいかないんだが、まあ、そうだね。中南米のあたり。とでもしておこうか。そこまでの旅費だってバカにならない。当然、宿泊する必要もあるだろうし、結構な出費になるのは間違いなかった。
結局、私は編集さんに次回作の原稿料や印税を担保に、まとまった金を借りることにしたんだ。芸の肥やしというわけではないけど、何か新しい道が拓けるんじゃないかと思ってね。
そして、私は機上の人となった。
何よりも腹立たしいのは、私の隣に編集さんが普通に座っていたことだね。彼は私の取材旅行に通訳として参加する。ということで、会社の経費で気ままなフライトだよ。私の分も経費で落として欲しいと頼んでみたら、次回作の出来次第です。なんて返事が戻ってくる。あれは腹がたったね。
まあ、それはいい。
現地について、ガイドと車を雇おうとしたんだが、これが大問題でね。実は、現地に入るまでまったく知らなかったんだが、指定された場所は、反政府ゲリラと政府軍が激しくやりあっている所から、そう遠くは離れていなかったんだ。皆が危険すぎるからと断る中、ようやく一人のドライバーを見つけてね。私と編集さんは、目的地を目指して急いだ。
甘かったね。
目的まであと半日。というところで、私たちの乗った車は、武装した集団に囲まれたんだ。ドライバー兼ガイドの男の顔が、見る見るうちに青くなっていったのを、今でも覚えてるよ。
私たち三人は車の外に出されて、ボディーチェックをされた。パスポートを見れば、私たちが日本人であることは明白だ。人質にはもってこいの人間だったろう。案の定、ドライバーは解放され、私たちは顔をすっぽり麻袋で包んで目隠しされると、そのまま彼らの車に乗せられてどこかへ連れ去られたんだ。
麻袋が外されると、そこは室内なのか、ずいぶんと暗い所でね。まあ、目隠しされていて暗闇に目が慣れていたから、そこに誰かがいることはすぐにわかった。小太りな中年男で、迷彩服を着ていたよ。身長は私よりも低くて、他の迷彩服の男たちに比べると、頭ふたつ分くらいは低かったね。
その彼が、口を開いた。
「やあ、お客人。遠路はるばるようこそ。待っていたよ」
彼の隣にいる男は、日本語を問題なく話せるようでね。すべて通訳してくれるおかげで、意思の疎通には何一つ問題はなかった。しかも、話を聞けば、あのサイトの管理人を務めているのは、目の前にいるこの小さな男らしい。
私は前金として一万ドルを支払い、内容に満足すれば、残りの一万ドルを支払うと伝えた。今にして思えば、武装集団でそれなりの地位にいそうな男に向かって、よくもそんな交渉ができたと思うが、まあ、あの頃は私も若かったからね。彼は笑いながら、「それでかまわない」と承知してくれた。そして、部屋の奥からたくさんのCDを収めたケースを取り出すと、どれでも好きなものを見てかまわない。そう言ったんだ。
ずらりと並んだCDの盤面には、簡単な単語がいくつか並んでいた。
『女性、白人、金髪、二三歳』
『男性、ラテン、黒髪、一六歳』
すぐに理解できたよ。
私の手元にあるこれらのメディアには、盤面に書かれた特徴の人が殺される映像が入っているんだ。ということをね。
試しに、白人で茶髪な二六歳の女性を見てみることにした。
まさに期待どおりだったよ。
目出し帽って言うのかね。あの、銀行強盗が被るような、頭全体を包んで、目と口元に穴が開いているやつは。裸体にそれだけ被った黒人男性が、壁に鎖で手足を固定されて、泣きじゃくる白人女性の前に立っていた。
最初は鞭打ちだった。
あの、鞭と言われて誰もが想像するような長いやつじゃなくて、もっともっと短いやつ。そう、騎手が持つ乗馬用の鞭だね。あれで、情け容赦なく抵抗できない女性を打ち据えるんだ。
酷いものさ。渾身の力で打っているのが、映像から十分に伝わってくるのだから。鞭が女性の身体を打ったときの甲高い音と、まるで肌が裂けたんじゃないかと思うほど酷いミミズ腫れ。それが、女性の腕や太腿、腹といった部分に幾度も振り下ろされ、白い肌に何本もの赤い筋を描いていくんだ。
そのうち、鞭は女性の顔や胸を打つようになり、女性は悲鳴をあげる体力も無くなりはじめる。そんな彼女を目覚めさせたのは、下から振り上げて女性器を強かに叩いた一撃だよ。まるで人のものとは思えないほどの悲鳴があがったんだ。
だが、それでは終わらない。何しろ、ゴールがどこなのか、私たちは十分に知っているのだからね。
ぐったりした女性を目覚めさせようというのか、男はバケツに水を溜め始めた。その中に氷をざらざらと投げこんでね。それから、壁に拘束していた女を解放すると、床に転がった女目掛けて、金属製のバケツが汗をかくまで放置した水をぶち撒けたんだ。
キンキンに冷えた水をかけられて、弱っている女は強制的に覚醒させられた。弱々しくうめく彼女を四つんばいにさせると、男はさほど膨張していない自分の竿を女に押し当てた。
まあ、それなりの固さは持っていたんだろうね。ゆっくりだが、それでも確実に女の胎内に飲み込まれていく。白い肌に赤い筋をたくさん描いた女を押しつぶすように、しまりのない身体つきの黒人男性がのしかかってね。白と黒のコントラストといえばいいのかな。
あれは、美しかったよ。
女を散々背後から犯している男は、女の髪を鷲づかみにしながら、抜けそうなくらい強く引っ張って、女の首を持ち上げる。そして、その耳元でずっと罵り続けてるんだ。あれは英語だったね。
ああ、もちろん、私は英語は話せない。でも、「くたばれ」とか「畜生め」とか「糞ったれ」とかくらいなら理解できるし、どんな感情を抱いているかとかは、声の調子でなんとなく感じ取れるからね。
男の腰の動きが早くなると同時に、男は女の首に手をかけて、全力で絞め上げ始めた。腕を首に絡める方式でね。私たちが首を絞めると聞いて思い浮かべる、あの正面から両手で首を掴むような絞め方ではなかったので、はっきりと覚えているよ。
罵りながら首を絞め、ひたすら腰を振り続けている男の目的は、簡単に想像できた。昔から言うじゃないか。「女が事切れるときの締め付けはすごい」って。だが、彼がそれを目指しているのだとすると、私たちが見ているこのビデオは、始まってからそれほど時間は経過していないのに、もうすぐクライマックスを迎えるってことになる。
そして、最期はあっけなくやってきた。
男と女の結合部を映していたカメラは、女の顔を映せる位置に移動したんだ。
もともと、散々に鞭で打たれて、抵抗できるだけの体力がなくなりつつあった女は、首を絞める男の腕に、弱々しく爪をたてるのが精一杯だった。がりがりと掻きむしるが、その程度では男の腕を引き剥がすことはできない。
女の腕から、いきなり力が抜けた。ぱたりとベッドに落ちた手は、微かに痙攣していたよ。
それと同時に、男は獣のような叫び声をあげた。再び結合部に移ったカメラは、失禁して太腿をつたう女の尿と、自分の精液を女の胎内に注ぎ込もうと脈打つ男の陰茎を映していた。そして、黒々とした男の肉棒が引き抜かれると、女の肌の色に負けないほど白い精液が、女の尿とともに太腿を流れて落ちていった。
映像は、そこでぶつんと途切れた。なんともあっけない結末さ。もしかすると、女は単に気絶しただけで、まだ生きているのかもしれない。何しろ、明確に死を示すような映像は、そのCDの中には何一つなかったからね。
流石にこんな短い映像のために二百万近い金を出すのは馬鹿馬鹿しくてね。次のCDを物色し始めた私に、例の小男が通訳を通じてたずねてきたんだ。
「大体、把握できたか?」
ってね。
私は軽い気持ちで答えた。
「ああ、理解できたよ。大丈夫さ」
すると、彼は続けてこう言うんだ。
「今回の顧客は君なのか? それとも、彼か?」
だから、こう答えた。
「金を支払うのは私。彼は私の付き添いで、仕事仲間なんだ」
それだけ聞くと、彼は満足そうに幾度かうなずいた。
そして。
「わかったよ。さあ、一緒に来なさい。君のために、ちゃんと準備してある。彼にはここのビデオで十分だろう?」
そう言ったんだ。
さて、何の話だろう。私は、あくまでも殺人ビデオの観賞に来たのであって、他に何かをするようなつもりも予定もない。
だが、私の心の奥で、誰かがこうささやいた。
『あいつの誘いに乗れ。もしかすると、思いがけない幸運に恵まれるかもしれないぞ』
そこで、私は、彼の後についていくことにした。
編集さんには、ここでちょっと待っててくれって言い残してね。
ビデオを上映していた部屋を出ると、彼は廊下を先導するように歩きながら、通訳を通じていろいろと確認し始めた。
「こちらも準備が必要で、顧客の要望のすべてに答えることはできない。だが、今回は調度いいことに、複数から選ぶことができる。だから、君は幸運だぞ」
そして、彼は建物から出ていった。私もその後に続くと、外はまだ明るいはずなのに、なんだか少し薄暗い。その理由は、頭上を見上げれば一目瞭然だった。そこは、深いジャングルの中だったんだ。
そんなところに、これだけ立派な建物を建てていながら、なぜ彼らの存在が敵対する組織から見つからないのか、私は疑問に思ったのだが、後で調べてみたら、実に簡単な理由だった。
彼らの勢力は、敵対勢力の接近を許さぬほどに強力だったからだよ。
まあ、いいさ。ちょっとした脱線だ。
それで、私は別の建物へと連れていかれた。
ジャングルの奥にあるのが似合わないほど、しっかりとした建物だった。あのあたりでよく見るレンガと漆喰の壁じゃなく、鉄筋コンクリートだったみたいだね。それこそ、爆撃を喰らったとしても、そう簡単には壊れないんじゃないかと思えるくらい、とにかく分厚い壁に守られた強固な建物だったよ。
彼は、見るからに重たそうな金属の扉を開くと、私をその中に案内した。
おそらく、施設の大半は地下にあったんだろうね。非常灯のような弱い明かりしかない曲がりくねった長い階段を降りていくと、再び頑丈な金属の扉だ。
彼がその扉を開くと、暗さに目が慣れていた私にはまぶしいほどの光が入ってきた。
その先にあったのは、なんとも殺風景な部屋だった。床も壁もコンクリートの打ちっぱなしで壁紙すらない。もちろん、天井もだ。だが、その天井にはこの部屋を照らすには十分すぎるほどの照明が輝いていて、それ以外にもスタンド式の照明がいくつも立っているんだ。
そして、三脚に据えられたいくつものカメラ。
部屋のあちこちに鏡があったが、最初に複数のカメラを見た後だったから、あれはマジックミラーだと直感したよ。
そして、所々にさびが浮いているパイプ製のベッド。
どこかで見たことのあるベッドだった。それも、つい最近。
そう。
先ほどの上映会で見た、あのベッドさ。
そんな部屋の様子に見とれていると、彼が声をかけてきてくれた。
「さあ。数は少ないが、一応、選ぶことができる。君は、どれにするかね?」
彼が指し示した先には、手足を拘束され、鎖のついた首輪で動きを封じられた、哀れな女たちがいたんだ。
二人は明らかに地元の人間だった。一人は原住民の血を引いているのか、日に焼けた肌に見事な黒髪の女性でね。年齢は、そうだな。二十代の前半くらいだったんじゃないかな。
もう一人は、侵略者たちの子孫なんだろうね。白人系の顔立ちに、ちょっぴり日に焼けた肌の女性だったよ。彼女は先の女性よりもさらに年齢は低く見えて、二十歳か、まだそこに手が届いていない。といった外見だったよ。
最後の一人は、明らかに地元の人間ではないとひと目でわかるくらい、透き通るような白い肌を持った少女だった。少なくとも、アメリカなんかよりははるかに赤道に近いこのあたりで、あそこまで日に焼けずにいるのだから、つい最近、このあたりに来たのだろうと思えるような子だったよ。
年齢は、十代の後半に差し掛かるあたりに見えたね。少なくとも、三人の中では一番若いのは間違いない。
綺麗な子だった。
先ほど言ったとおり、美しい白い肌。髪の毛はくすんだ金色で、瞳は青よりは灰色に近い感じだった。鼻のあたりにちょっとだけそばかすが浮いていてね。それが、年齢のわりに落ち着いていて、ちょっと冷たい感じを受ける顔立ちを、少しだけ和らげているように思えたよ。
私がその子に見とれているのは、彼にもすぐにわかったようでね。何も言わずに、彼女の首輪につながった鎖を、私の手元に押し付けて持たせた。
そして。
「決まりだな。彼女は、君の好きにしていい。思う存分、楽しんでくれたまえ」
その言葉に驚く私に、彼はさらに付け加えた。
「だが、ひとつだけリクエストがある」
何がどうやら理解できぬ私に、彼は非常に簡単な言葉で教えてくれた。
「それを見た者の誰もが恐れて、ああはなりたくないと改心するように殺してくれ。残忍で残酷なほどいい」
そう。
そういうことさ。
私は、彼のコレクションに加わる作品の出演者であり、それ以外にも脚本や演出、それに監督もこなさなければならなくなったんだ。
当然、その申し出は断れたはずだ。何しろ、殺人という重大な犯罪行為だからね。それが例え国外であり、法の外に置かれた者たちの管理下で行われるとしてもだ。
だが、私は躊躇わなかった。
彼に向かって、こくんとうなずいたんだ。
先ほど見た部屋には、過剰すぎるほどの照明に、複数のカメラ。それに、サビの浮いたベッドがあるだけだと思っていたんだが、どうやら、それは私の思い違いだったようだ。
壁のいろいろな場所に、ロープや鎖をひっかけることができるフックがついているし、天井もよくよく見れば梁や滑車がついていて、相当重い荷物でも楽に動かせそうだった。当然、人間程度の荷物なら、それほど力を入れなくても簡単に動かせる。
それだけじゃない。床には排水用の設備がしっかり備えてあるらしく、どのように汚したとしても、水を流せばすぐに洗えるようになっていた。
便利なものだね。感心したよ。
それから、私が先ほど見たときとは決定的に違うものが、そこにはあった。
棚の上に整然と並べられた、数々の道具たち。
ひと目で手術用の医療器具とわかる、鈍い銀色に輝くメスや鉗子はもちろん、開創器に針のついた縫合用の糸や注射針。骨を切るためののみやのこぎりなんかもあった。中でも、円形の歯を持つのこぎりに目を引かれたよ。柄の他にハンドルがついていてね。それをくるくる回すと、円筒形の歯も同じように回転するんだ。実物を見るのは私も始めてなんだが、あれは、頭蓋骨に穴を開けるためのヤツだ。開頭器とでもいうのかな。
他には、SMに使うような定番の道具が並んでいたね。鞭や蝋燭、ロープに鎖。口枷や目隠しに拘束具なんてものはもちろん、浣腸器なんてものまであった。
そして、さらに恐ろしい道具が並んでいたよ。
九尾鞭と言ったかね。あの、何本もの革紐がついた鞭は。力いっぱい打ち据えれば、相手の皮膚を剥いでしまうという奴だよ。
他にも焼きゴテと炭火が用意されていたり、挿入したら流血沙汰となるのは間違いないような、鋭い針や刃のついた張り形が転がっていたり、洋ナシのような形をした金属性の器具もあった。
実際に見たり、噂話に聞いた事があるものはもちろん、初めて見るものも多かったよ。うん。実にいろいろな器具が揃っていた。
そして、私は、これらの道具を駆使して、見た誰もが怖気を震うような映像を創らねばならない。
責任重大だ。
そう、痛感したね。
私は、彼らが用意してくれた目出し帽を被ったうえで、通訳の彼を通して、出演こそしないものの、影で私を支えてくれるスタッフたちにいくつかの注意をした。本番では、身振り手振りはもちろん、片言の英語を駆使しながら、彼らに指示を与える必要がある。
いくら通訳がいるとはいえ、日本語なんて使ったら、かなり狭い範囲で特定できてしまうだろうからね。
想定しうる限りの、あらゆる根回しをする過程で、私は、最も重要な共演者にも、私が何を期待しているのかをしっかりといい含める必要があった。
だから、通訳を通じて彼女に告げたのさ。
『家族を殺されたくなければ、俺の言う通りにしろ。反抗はいかなることであっても許さん。俺を敵意のこもった眼差しで見たり、唾を吐きかけるくらいなら許してやらんでもないが、他のいかなる抵抗も許さん。もし、お前が俺の言う事を聞けず、俺の言う事ができないと言うのであれば、お前はもちろん、お前の家族も全員殺す。わかったか?』
少女の表情は見る間に硬くなり、怯えている様子が痛々しいほどに感じ取れた。
これでいい。そう思ったよ。
この表情なら、誰が見ても『彼女が怯えている』と理解できるからね。
怯える少女を相手に、私は自分の頭の中にある脚本どおりに行動し始めた。
ベッドの上には、手枷と足枷で身動きが取れなくなっている彼女がいる。彼女が完全に捕らわれの身で、自由に動く事すらままならないことをしっかりと撮影した上で、私はゆっくりとした足取りで彼女に近づいていった。
怯えて、不安そうな目でこちらを見る彼女の姿をしっかりとカメラで撮影してから。手始めに、彼女の着ている服を力任せに引っ張りながら、ナイフを使って切り裂いたんだ。
抵抗するなとは言われているけど、何をされるかはまったく聞いていないからね。でも、服を切り裂かれるという段階になれば、あのくらいの年齢の女なら、何をされるかは理解できるはずだ。
案の定、彼女は悲鳴をあげて逃げようともがき始めた。
だが、手も足も拘束されている状態で、私から逃れられるはずもない。逆に、暴れまわったことで、ナイフの刃が彼女の白い肌にうっすらと赤い筋を描いてしまった。それで、彼女は下手に動くと危ないと認識したんだろうね。今度は、じっと息を殺してぴくりとも動かずに、暴力が自分から遠ざかることをひたすら待っていたんだ。
まったく。考えが甘いよ。男が女の服を剥がしたら、やることは決まってるじゃないか。
私は彼女の服をすべて切り裂いて剥がすと、手足の拘束を解いてやった。痛そうに手首をさする彼女の横に座ると、彼女を抱えるようにして自分のひざの上に座らせてね。それから、自分の足をつかって、彼女がカメラに向かって足を開くように固定すると、背後から胸をもてあそんだ。
年齢のわりに、発育が良い子でね。豊満とまではいかないが、片手では少々もてあましてしまいそうなサイズの胸を、手のひらで包むようにしながら、ゆっくりと愛撫してやったんだ。
少女の表情が怯えからとまどいに変わるのを、私は見逃さなかった。
乱暴されると思っていたのに、思っていたよりも優しくされたことは、彼女にとっては驚きだったみたいだね。
そんな彼女の心の動きを感じながら、私は胸全体を愛しながら、徐々にその先端に重点を移していった。
年頃の女の子だからね。自分でいじったこともあったんだろう。だが、他人にこんな風に触られたことなんて、一度もなかったんだろうね。しかも、自分でやる分には加減ができるが、他人の動きは制御なんてできない。私が胸を愛し続けているうちに、淡い色合いの乳首も徐々に隆起してきて、ぴんと硬くなっていったんだ。
私は、彼女の上体をわずかに傾けて倒すと、その硬くなった桃色の果実を、口の中に含んだ。
その瞬間、少女の背中がぐっとのけぞったのを覚えているよ。
のどの奥からは悲鳴とも嬌声とも取れる声が漏れてね。惚れ惚れするほどいい声だった。
気を良くした私は、少女の胸を味わいながら、右手を彼女の太腿の内側へと這わせていった。彼女もその先には何があるのかを知っている。だから、触らせまいと太腿に力を入れて、足を閉じようとしたんだ。
だが、彼女の足は、同じく私の太腿がしっかりと抑えている。
その場所にたどり着くと、肌のなめらかさが指から伝わってきた。普段からきちんと手入れをしているのか、それとも、もともと少ない体質なのか。それはわからないが、とにかく、陰毛がほとんど生えていなくて、すぐに指で秘裂を探し当てることができたよ。
襞や陰核はその奥に隠れている。だから、私は、指で割れ目をこじ開けて、彼女の女の部分をさらけ出させると、指の腹でほぐすように愛してやった。
効果は抜群だったね。
彼女の呼吸が、徐々に愛されている女のそれに変わっていくのがわかった。
見知らぬ男に無理矢理犯されているのに、性の喜びを感じているんだ。
それも、おそらくまだ未通だと思われる娘がね。
私も男だ。そんな痴態を見せられたら、当然、反応するに決まってる。
彼女の尻の下で、私の竿はむくむくと大きくなっていってね。彼女の襞をなぞるように隆起していった。
指とは違うモノが自分の秘所にあたっている。それが何か気づいたんだろうね。彼女は驚いた顔でこちらを見ると、急に顔を赤らめて目をそらしてしまった。
可愛かったよ。
経験しているかはともかく、男と女が何をするのかを知っているのは、それでわかった。
だから、遠慮はいらないと思った。
私は、男と女が接触している部分を、腰の角度を変えることで、彼女の奥を目指すように仕向けた。何しろ、私は彼女を下から支えているんだからね。その力を抜けば、あとは彼女自身の体重が導いてくれる。
キツかった。
処女特有の、あのキツさだよ。年齢もそれほど高くないからね。やはり未経験だった。
彼女は悲鳴をあげた。そして、腰を振るって私から逃れようとするんだ。
私は、そんな彼女の腰を、逃れられないようにしっかりと押さえた。
彼女の悲鳴はさらに強まり、私の竿は彼女に深く埋まっていく。
私の先端に、こつんと当たるものがあった。
彼女の、一番奥だ。
貫かれた痛みに耐える彼女に対して、私は愛撫を続けた。胸はもちろん、結合部近くの陰核や結合部そのもの。それから、うなじやわき腹のような場所にも指で触れ、舌で愛し、手のひらでそっと撫でたんだ。
彼女が痛み以外の何かを感じていることは、呼吸でわかる。痛みに耐える荒い呼吸から、他の何かに耐えようとする、押さえた呼吸。
快楽。
そう。彼女は、女としての喜びを必死に押さえていた。
無理矢理犯されているのに、女として喜んでしまうのは、彼女としてはどうだったんだろうね。きっと、悔しかったんじゃないかな。
だが、私は、少女と呼んでも違和感の無い彼女に、男に愛される喜びを感じさせることができたことに、この上ない喜びを感じていた。
だから、彼女には最後まで楽しんでもらいたいと思ったんだ。
私は自分の腰を前後に動かして、彼女の中で暴れ始めた。
再び悲鳴があがるが、胸などから与えられる快楽が、その一部を忘れさせてくれる。
私は、そんな彼女の顎に手を添えると、後ろを振り向かせた。
灰色に青を含ませた瞳に、涙が浮かんでいたよ。
綺麗だった。とてもね。
彼女のまなじりに唇を近づけて、その涙をすすった。
そして、彼女の唇を奪ったんだ。
いきなりキスされるなんて、思ってもいなかったんだろうね。驚いて目を見開いた彼女の唇に、舌を押し込んだ。
もしかすると、唇を触れ合うだけのキスは体験していたのかもしれないが、舌をからめるような深いキスは初めてだったんじゃないかな。どうも、そんな感じがしてね。
彼女の舌に、私の舌で触れてみるんだが、驚いて逃げてしまうんだ。
そんな彼女の舌を、彼女を下から突き上げ、胸を両手で包みながら、先端を指先でつまむようにして愛しつつ、追いかけ続ける。
すると、しばらくしてから、彼女の舌が私の舌に、恐る恐る触れてきたんだ。
私は、その彼女の舌を受け入れ、絡めて包むようにする。
舌と舌を絡ませるだけでも快楽が味わえると、彼女は知ったんだね。最初は怯えていたのに、少しずつ大胆になっていく。
陥落させた。
そう思った。
男に無理矢理犯される女から、自分から女としての喜びを知りたがるような、そんな女になった。
嬉しかったね。
清純そうな少女が、乱れきった売女になり下がる様を、映像として残せたんだから。
そんな喜びを感じた瞬間、私も限界が近づいてきた。
そのときのために動きを一気に早めると、私の上に腰掛ける少女の奥目掛けて、陰茎を打ちつけた。
彼女の喉から悲鳴が漏れるが、舌を絡めるようなキスの最中だから、ほとんど声は響かない。それに、その悲鳴は痛みによるものというよりは、未知の感覚に戸惑いながら、それに耐えているというような感じだった。
限界はすぐに訪れたよ。
彼女の腰を自分に力いっぱい引き付けると、彼女の一番奥にむけて、私の欲望を解き放った。
彼女の中で、私の肉棒が脈うつたびに、白濁液を注ぎ込む。
たっぷりと中に吐き出してから、私は、彼女から一気に引き抜いた。
そして、彼女の太腿に手を添えて、足を高く上げさせると、それまで男を受け入れて広がりきった彼女の奥から、桃色の混ざったどろどろの精液が零れ落ちてね。
カメラの一台がぐっと近づいてきて、その光景を撮影したんだ。
これで、彼女に女としての喜びを教えることができた。そう思ったね。
何しろ、残された時間は少ないんだ。せめて、それぐらいは覚えたうえで逝ってもらわないと、あまりにも可愛そうじゃないか。
肩で呼吸をしながら、白い肌が充血してうっすらと桃色を帯びた彼女を見下ろしながら、私は次の段階に進むことを決心したんだ。
放心状態に近い彼女をベッドに放置したまま、私はいくつかの道具を選んでみた。どれも、これからの展開を盛り上げるのには十分すぎるほどのものさ。
縫合用の糸がついた針を開封して、膿盆の上に並べてね。他の膿盆の上には、注射針を並べた。それから、あの九尾鞭。見た目的にも、これが一番だろうと思ってね。メスやら鉗子やらは後の楽しみだ。だから、脇によけておいた。
使おうと思ったものを選び出しておいてから、私は彼女を壁際に固定する作業に入った。男に無理矢理犯されて脱力している彼女を、強引に立たせてね。
固定といったって、微塵も動けないほど強固に固定することなんてできるわけがない。まあ、そこまで固定してしまうと、また別の拷問になってしまうからね。
うん。話がそれた。
ロープや革のベルト。それに、タイラップといったかな? ほら、あの、ケーブルとかをまとめておくのに使うやつだよ。プラスチック製でギザギザと固定用の爪がついているやつさ。ああ、結束バンドっていうのかい? そう、それもあった。だから、彼女の手足を縛ることなんて、簡単だったよ。
壁には、こういう目的のために使うであろうフックやら滑車やらがあったし、もう、その目的に使ってくれといわんばかりの鎖まで下がっている始末だったからね。手足を動かすのに多少の余裕はあるものの、再び拘束されてしまったんだ。彼女が怯えるのは当然だ。
私は、そんな彼女の目の前に立つと、大げさに九尾鞭をかかげてみせた。
それから。
思い切り、彼女目掛けて振り下ろしたんだ。
素晴らしくいい音が響いてね。
ぱぁん! という、あの鞭独特の音だよ。
それにあわせて、少女の喉から悲鳴があがる。
彼女の右上腕には、幾本ものミミズ腫れが浮かんだんだ。
あの白い肌に、朱に近い赤が走る。
それはもう、綺麗だったよ。
左腕。
右足。
腹。
胸。
左足。
太腿。
腰。
彼女の肌が赤く染まるように、幾度も振るってやった。
私自身は、手加減していたつもりなんだがね。あれは、それでもかなりの威力があるらしい。彼女の悲鳴はだんだん小さくなっていくし、肌が切れて出血しているところもある。
まあ、このあたりが頃合だ。
そう思ったんだ。
続いて取り出したのは、縫合用の針さ。何しろ、彼女の肌は鞭で裂けている箇所がいくつかあったからね。
せっかくだから、傷口を塞ぐために、縫ってあげることにしたのさ。
当然、麻酔なんてない。それに、私は素人だ。どんな具合に縫えばいいのかなんて、わかるはずがない。
かなりの苦痛だったみたいだよ。
針が肌を通り、糸が通り抜ける度に、苦しそうなうめき声が聞こえてね。
私は、一心不乱に傷口を縫い付けていったんだ。
まあ、傷口じゃない場所も、いくらか縫い付けてみたりしたんだけどね。
まるで人肌で刺繍をしているような感覚さ。
だが、それほど楽しいわけでもない。見た目的にも迫力がないしね。残念だったよ。
ちょっと失敗だったかもしれないと思いながらも、次のアイテムを取り出したんだ。
次に取り出したのは注射針だ。これは見た目的にもわかりやすいだろう?
彼女の目の前にちらつかせてから、遠慮なく胸に突き立てた。
まあ、悲鳴はあがるけどね。それほど高い悲鳴ってわけでもない。
仕方がないから、私は、とにかく数で勝負しようと思ったんだ。
その後は、次々に注射針を突き立てていったよ。彼女の右胸は、みるみるうちに針山のようになってね。苦痛に耐えているからか、彼女の額にも玉のような汗が浮かぶようになってきた。
だが、苦痛というものは、ある程度は慣れてしまうんだね。だから、反応がだんだん鈍ってくる。
ならば、新しい苦痛を与えればいい。
それまで乳房に突き立てていた注射針を持ちながら、私は、彼女の乳首をつまんで持ち上げたんだ。
彼女にも、私が次に何をしようとしているのか、それで十分に伝わったらしい。
必死に首を振りながら、哀れな声で懇願するんだ。
きっと、「止めて!」とか、「助けて!」なんて言ってたんだろうね。
だが、ここで止めるなんてとんでもない。まだまだこれからなんだ。
私は、怯える彼女を無視して、乳首を注射針で貫いた。
先ほどまでとはあきらかに違う悲鳴でね。これなら。と思ったよ。
正面から見たら十字に見えるように注射針を突き立てた後で、私は、乳首の頂点からまっすぐ奥めがけて注射針を突き立てた。
彼女は、いい声で鳴いてくれたよ。
胸ばっかり責めていたって、退屈だからね。そろそろ、責める場所を変えてみようかと思ったんだ。
だから、私は、彼女の目の前にしゃがみこむと、彼女の下腹部に手を伸ばした。
大の字というか、手足を広げたX字型に拘束しているからね。足を多少動かしてみたって、彼女の大切な部分はまる見えだ。手を伸ばしたら、まだ色素が沈着していない、綺麗な襞があってね。
私が女の敏感な部分に手を伸ばしたんだ。彼女もこの後に何が起きるかは、十分に想像できたんだろう。急に身をよじって、必死に抵抗し始めた。
いい姿だった。
私は左手の指で彼女の襞をつまみ上げると、注射針を突き立てる作業に没頭した。立て続けに五本くらいは突き刺したかな。その頃になると、彼女は泣きながらずっと同じことをつぶやいていた。
まあ、私には彼女の言葉がわからないから、そんな風に言われても、何も反応しようがないんだけどね。
注射針の数も残り少なくなった。だから、私は、最後の仕上げに、彼女にとって一番敏感な部分をこれで貫こうと思った。
そう。彼女の陰核さ。
入念に指先で愛撫して、包皮の下に隠れた彼女の可愛らしい芽を隆起させてね。
貫いた。
ひときわ大きな悲鳴が上がったときは、本当に嬉しかったよ。
その後は、彼女の身体に突き立てた注射針を一本一本手作業で抜いていったんだ。少し、ぐりぐりと動かしたりしてね。
針を抜くたびに、赤い血の玉ができてね。それがやがて肌を滑り落ちていくんだ。鞭で打たれたミミズ腫れとは違う、もっと鮮やかな赤が、白い肌に幾筋もの線を引く。
赤と白。
あの美しさは、忘れられないね。
出血が酷くなると困る。そう思った私は、一番簡単で手っ取り早い止血法を施すことにした。
焼きゴテさ。
傷口を焼けば、出血は確実に止まるからね。
炭火で真っ赤になるまで熱した棒だから、見ただけでも威圧感があるし、そもそも、近づけただけでも十分に熱さが伝わるだろう? だから、私は、相手に恐怖を感じさせるにはもってこいの器具だと思うね。
柄の部分は木でできているし、耐熱手袋をはめてしまえばなんてことはないんだが、まあ、それなりの長さがあるからね。扱いは慎重に。といったところだ。
うん。ちょっと、脱線したかな。
私が使ったものは、単純な棒のやつだったよ。文字を刻印できたり、幅が広くていろいろな場所を焼けるものもあるんだが、やっぱり、単純なのが一番いい。
赤熱した鉄の棒を、彼女の目の前に突きつけてね。それから、ゆっくり、彼女の傷口へと動かして、押し当てた。
じゅっ!
肉の焼ける音と同時に、彼女は悲鳴をあげた。当然さ。熱いと感じるより、痛いと感じたんじゃないかな。身をよじって、焼きゴテから逃れようとした。
だから、傷口じゃない部分にも、焼きゴテが押し付けられてしまうんだ。
自分で自分をさらに苦しめる。そんな感じだね。
始めは、鞭で引き裂かれ、私が見よう見真似で縫った傷口を焼いていった。まあ、糸まで焼けちゃうから、そもそも縫合なんてしなくてよかったんだね。あれはちょっと失敗だったかもしれないな。
でも、彼女に苦痛を与えて、その表情や声を楽しむという観点で見れば、あれはあれでよかったんだと思うよ。
とはいえ、それほど鞭を入れてなかったこともあって、焼いて止血しなければいけないような傷口はなくなってしまった。だから、次は、彼女の右胸に点々と描かれた赤い玉や筋を狙うことにした。
そう、注射針を突き立てた痕さ。
肌を焼かれるのだって、相当な苦痛だったと思うけど、流石に胸に焼きゴテが伸びてきたときは、鈍くなっていた反応がまたはっきりとしてきてね。いろいろと私に哀願するような口調で言ってくるんだ。
彼女の言葉がわかっていれば、それを楽しめたんだけどね。
残念だよ。
胸への焼きゴテは、彼女に壮絶な悲鳴をあげさせた。それに、可愛らしい少女の乳房が無残な火傷で覆われていく姿は、なんとも哀れなものだしね。個人的にはいい映像が撮れたと思っているんだが、どうだろう。
でも、観客の目は肥えているようだったからね。あのくらいじゃ、満足させられなかったかもしれないな。
※長いので、2分割して収録しました。
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