極めて容赦のない描写がメインになりますので、耐性のない方、および好きなキャラが残酷な目に遭うのがつらい方はご遠慮ください。

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23 :鬼畜ロワイヤル序ノ弐:04/01/27 03:35 ID:bh9uauOJ

「よくもリーンを───!!」
「で、出るわっ…!ラクチェがお母様から受け継いだ必殺剣、流星剣が……!!」
 フィーの言葉に答えるようにラクチェの全身から発せられる光がその輝きを増す。
 彼女に襲い掛かろうと骸骨戦士が粗末な剣を振り上げた瞬間、ラクチェの輪郭が光に揺らぐ。
ジュバイイィィィィィィン!
 目にも止まらぬ速さの剣速に骸骨戦士と同時に辺りの不死怪物数体が崩れ落ちる。
「す、凄い…!アレスの『剣舞』より速いかも……」
 ジェシカがラクチェの剣技のあまりの凄まじさに、状況を忘れて感嘆する。
 秘剣『流星剣』によりなぎ倒され、不死怪物の包囲の輪が乱れる。

「パティ、今のうちよ!」
 一呼吸置いたラクチェが合図を出すより早く、パティは駆け出していた。
 ひとまず、すばしっこいが戦闘力に乏しいパティ一人のみで脱出し、
他にも戦える人間を探し出して来ようというわけである。
 この無謀とも思える作戦も、それぞれにパティの勘の良さとラクチェの強さに信頼を
置いているからできることでもある。
 ここまで死なずに切り抜けてこられたのがラクチェのおかげなら、右も左も分からない
この秘境の中で彼女たちが合流できたのは、パティの勘の鋭さと行動力のおかげなのだ。
「ど、どこへ行くつもりだ…あの小娘?」
 その動きに気が付いたドシが不死怪物に指示を出し、パティの進路を阻もうとする。
「この怪盗パティさんを舐めて貰っちゃ困るのよね!」
 少女を斬ろうと振り下ろされる刃も、血肉をえぐり取ろうとなぎ払われる毒々しい爪をも軽く避け、
包囲陣の最も薄いところを的確にすり抜けて脱出する。
「皆〜待っててよォ!すぐに心強い助っ人を探して連れてくるから!」
 笑顔で手をパティ振るパティの姿はあっという間に遠ざかり視界から消えた。


「逃がしたか!まぁいい、お前たちの眼球を貰えさえすれば、小娘一人など知ったことではないわ」
 そう吐き捨て、眼前に転がる無残なリーンの骸を見下す。
「こんな汚らしい肉塊になってしまっては目玉はおろか、ゾンビとしても使えんわい!」
 ドシが上半身が崩壊している、少女だった物を踏みにじると、ぶじゅっという不快感を煽る音と共に
体液を辺りに飛び散らせた。
「リーンちゃん……こんなの、ひ…酷いよぉ!」
 フィーは戦友であり心を許しあえる仲でもあった親友を愚弄されて、悔しさで涙を流した。
「き、貴様ァ!唯で死ねると思うなァァッ……!!!」
 ラクチェもまたその光景を目撃して激昂し、不死怪物どもをなぎ倒しながらドシを目指す。
「小娘のクセに生意気なァ〜!リンチよ、殺ってしまえ〜!!」
「そんなデクの棒が何の役に立つ?この勇者の剣の錆になりなさい!!」

ガァウッ…キィィィィィィィィィイン!!
「な…なにっ……!?」
 リンチの鎧がラクチェの斬撃をいとも簡単に弾き、その圧倒的な防御力を誇示する。
 反動で仰け反って着地したところを戦斧が狙うが、間合いをとってそれを避ける。
「馬鹿ァ〜が、リンチの悪魔の鎧にそんなちゃちな攻撃が通用するか!」
「そういうことならばこれで…!」
 剣を構え弧を描くように回転させると、剣気が残像を残しまるで月光のような光を放つ。
「秘剣『月光剣』…死の世界でリーンに詫びてきなさい……!」

 ラクチェの剣筋が宙に満月を描き、斬光がリンチを飲み込んだ。
 鎧の不死戦士が動きを止め、その巨体が崩れ落ちた。
「はぁ…はぁっ……、決まった…!」
 秘剣の連発に重度の疲労を感じ肩で荒い息をする。
「ば、馬鹿なァ〜!?悪魔の鎧にはどんな攻撃も届かないはず……」
 予想外の事態にドシが呆然と立ち尽くす。
 死という裁きを下しに、その外道で卑劣な男の元へとラクチェが歩み出す。


「ラクチェ…何か、おかしいわ……!」
 普段と違うラクチェの様子にフィーが悲鳴のような声をあげる。
「え、どういう事!?ラクチェが勝ったんじゃないの?」
「あの娘がこんな簡単に消耗するわけ……そういえば、私も普段より動きが重い気が……」
 襲い掛かってきた不死怪物を鋭い槍さばきで退けながら言う。
「そうね、回復魔法の効果も薄いみたいだし、何か特殊な力が働いているのかも……」
 自身への攻撃を器用に避けながらジェシカが答えた。
 2人からすれば、ラクチェの方が怒りに我を忘れ突出しすぎているのは明白であった。
 フィーが彼女に接近して援護しようと試みるが、群がってくる不死怪物がそれを阻もうとする。
「まさかラクチェまで死んじゃうなんてこと、ないよね…?」
 ゾンビの群れに紛れ見えなくなった親友の背中に不吉な予感を感じ、それを見るのが
最後になるのではないかという強い不安感に襲われ、フィーが呟いた。


「剣が重たい…たったあれだけ動いただけでこうも……?」
 極度の疲労を感じながらもドシを射程範囲にまで捉え、ひと思いに突撃を仕掛ける。
「覚悟ォッ!!………なっ!?」
 ドシの命を絶とうと振り下ろされた剣が突然途中でその動きを止めた。
 自分と同じ年頃の少女が間に割って入った為、反射的に斬るのを躊躇ったのだ。
 もちろんその少女は既に死んでいた。
「………………ううぅっ!?」
 腹部に鋭い痛みを感じて我に返る。
 熱いものが流れ出す感触で全てを悟るが、すでに死体の少女の剣が
ラクチェの急所を深く貫いていた。
 ズブズブと肉と内臓を割って金属が入ってくる痛みに気が遠くなり、
血を吐きながら死体少女に身を預け崩れ落ちた。

「き、貴様ァ〜よくも、よくもこのドシ様に刃を向けたな……!」
 放心状態を脱したドシが瀕死でうずくまるラクチェに歩み寄る。
「ぐうあぁっ……げぼおおォォっ…!」
 苦しそうに喘ぐ少女の身体を足蹴にし仰向けにすると、金属の爪を顔面にあてがった。
「本来ならばこのドシ様に刃を向けたお前の眼球など、握りつぶしたいところなのだがな……」
 コホンと咳払いをして大げさに間を置く。
「ドシ様のこの寛大な心を持って、抉り出した目玉は不死怪物の材料に使ってやろう!ハッハハハ…」
 高笑いしながら格好付けたポーズをとるドシの顔に、ラクチェは血反吐と唾を吐きかけた。


「……貴様ァ〜許さん、許さんぞォ〜〜!!!!」
 頭から浴びるように血反吐を吐き掛けられたドシが激怒する。
 ラクチェの髪を掴み、金属製の拳具を装着した拳で少女の顔面を猛烈に殴打する。
「こ、このドシ様によくも汚らしい血を浴びせてくれたなァ!吐け!全部吐き出してしまえェェ!!」
 鈍い音がするごとに増える醜い痣と顔面にこびり付いた血反吐が、
ラクチェの凛々しくも少女らしい美貌を破壊していった。
「もうお前の目玉などイランわ〜〜!楯突いた天罰にみっともなく殺してくれる!!」
バグオアァァゴキッグキィグオキィィィッ!
 顔面を正面から何度も殴りつける。
 すっと筋の通った鼻が潰れると濁った血が流れ出し、白く並びの良い歯が折れて
真紅の汚塊となって散らばった。

「む゛ぐぅ…!ぐぶっ…!ん゛ぐばぁ…!ぼあ゛あ゛ぁっ……!」
 腹部に致命傷となる傷を受け、体内から逆流する汚血を吐き出し続けてすら
ラクチェの眼光はドシをキッと見据える様は、別の生き物のように腫れあがった顔からでも気丈さを感じさせた。
 まともに意識も思考も全身の痛みすらほとんど感ずることもできなくとも、
執念でひとつの言葉だけを口の中で繰り返し唱え続ける。
「ん〜?気に入らんなぁ、その反抗的な目ぇっ!穿り出してやらあぁぁぁぁっ!!!!」
ズガアッ 
「ぐびゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁっ!!!!」
 鉄の楔を左の眼孔に打ち込まれたラクチェから獣じみた絶叫があがる。
 そのまま力任せにグイグイと押し込んで一気に引き抜く。
「げぐお゛お゛お゛ぉぉぉっ……!!」
 眼球を抉り取られた傷口を両手で押さえながら倒れこむ。
 すでにラクチェには痛みにのた打ち回るだけの体力はなく荒く短い息を吐くだけだった。


「………っ!………っ!………っ!」
 ラクチェが吐血を繰り返しながらもその口で必死に何事かを吠え続けていた。
「そんな虫ケラのような声では、なにも聞こえんぞォ〜〜?」
 優越感の極みにある表情のドシがラクチェの口元へ耳を近づける。
「………る゛っ!……や゛る゛っ!殺してや゛る゛っ!!」
「ぐぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!???」
 迂闊に近づいたドシが少女の思わぬ反撃に耳を噛み千切られて絶叫をあげる。
 いかに瀕死の状態だとて、少女剣士の誇りはドシのような外道な存在に屈することはなく
その残った最後の力を振り絞っての抵抗だった。
「おも…い……しった…か……!」
 そのまま意識を失い倒れたまま全身からすっと力が抜けた。

「あぐ…あぐう……み、耳が!このドシ様の耳があああああァァァッ!!!!」
 半分に千切れた耳を押さえながらドシが転げまわる。
 やがて怒りに肩を震わせながら立ち上がると狂気の色に染まった形相でラクチェを睨みつけた。
「ビビアンッ!こ、この汚らしい小娘を叩き潰してしまえええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
 その怒声に答え、一つ目の巨人がぐったりと動かないラクチェに歩み寄る。
 少女剣士の誇りや健闘を称える慈悲などはなく、嘲笑うかのように妖魔の槌鋒を振りかぶった。
「こんな屈辱的な仕打ちをして、ただで死ねると思うな!醜いミンチになっちまあえぇぇ〜〜!!!」

「ラクチェ────!!!!」
 不死怪物の築く肉の壁を破って、フィーがラクチェを救出しようと飛び出してきた。
 身動きすることもままならないラクチェの身体を抱きそのまま────ごしゃ…
 避ける間などありはしなかった。
 2人の少女の身体は折り重なって潰れ、元々がひとつの肉体であったかのように馴染み
唯のひとかたまりの肉塊と化していた。
 ラクチェを庇うように絶命したフィーの体内から押し出された未消化物が血溜まりに流れ込む。
「つっきゃああ〜〜!?これでは使えん、全部叩き潰してしまええぇぇっ!!!!」


ずどぐあっぶじゃごがっじゅぐごっどびゅずがあぶじゅ……
 少女らしく細身だった2人の身体が、ビビアンが槌鋒を振るう度に平らに引き伸ばされ
血と臓物の色をぶちまけた皮の絨毯を形作ってゆく。
 フィーの頭部が破裂して、歯の付いたままの顎の骨が
その様を呆然と眺めていた半獣人の少女の神官衣にぶつかり地面に転がった。
「あぁ…あああァゥゥああぁアアぁぁ……」
 ショックで発狂寸前となったジェシカが言葉にならない声を発する。
 巨大な槌鋒が2人の少女の亡骸をただの肉塊へと変えてゆくたびに、
飛び散る血飛沫がジェシカの蒼白な顔と純白の神官衣を深い血の色に染めていった。
「そうだ、まだ一人いたかァ〜!さぁ〜〜て、目玉はお前から…!?」
 立ち尽くしたまま動けないジェシカへと歩み寄ろうとしたドシの視界を鎧が巨大な壁となって塞ぐ。
『グ…ググ、キサマラユル…サン!!!!』
「ま、待てリンチ〜〜!!」

ずごっずぐずごがっざぐぞぐるっ…!
 脳天に直撃した斧がジェシカの頭蓋骨を断ち裂いて、臓器を潰しつつ下半身までを両断する。
 半獣人の少女は真っ二つに割れ、噴水のように血を噴きながら絶命した。
 中心から縦にカチ割られた2つのジェシカが血の水溜りに倒れこみ、ばしゃんという飛沫があがる。
 赤い飛沫を浴びたドシが深く頭を抱え込んだ。
『スマナイ、ドシ…オマエハ目玉ガイルノダッタナ』
「あっきゃあ〜〜〜〜もういい!さっさとしろ、逃げたあの女を追ええええええ!!!!」
 不死怪物の群れがパティの去った道の先を目指して歩み始めた。



32 :鬼畜ロワイヤル序ノ弐:04/02/01 00:25 ID:/yGmtDkB
序ノ参へ続く・・・。

データが消えて遅くなったうえにパワーダウン・・・申し訳がない。

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