「どうして僕が受けなんてやらなきゃいけないんだ……っ!
そんなのおかしいよっ……あんま……」
キラは疲れていた。
修正という名の暴力、絆を確かめ会うという名目の男たちの欲望に。
そこに…
「どうしたの、キラくん…元気ないね?」
「! クスハさん…」
轟龍改のパイロットであり、古くはロンド=ベル、SDFから連なる
αナンバーズの古参メンバーのひとりであり、隊を代表するエースでもある彼女だ。
「…。クスハさんには関係ありませんよ」
そんな彼女には、鉄也を始めとする
エースたちからいじめを受けている自分の気持ちなど
わかりっこないといわんばかりに、キラはそっぽを向いた。
素直だとばかり思っていた少年の思わぬ反応に、
クスハは戸惑ったような表情を見せるが
すぐに気を取り直したように
「あ、あのね…新作作ってみたの!
 よかったら飲ん…」
「…いりません」
即答0.5秒だった。

あまりのつれなさに、さすがのクスハも少しムッとしてか、
「そんなこといわないで…ひとくちだけで…」
「いりません!」
突き付けられるように差し出されたコップを反射的に払いのけ…
「キャッ!」
「あっ!」
その拍子に青臭い液体がぶちまけられ、キラとクスハ、双方の服に染みを作る。

「す…すみません!」
さすがに悪いと思ったのか、キラも態度を軟化させ、ポケットから取り出したハンカチで、慌ててクスハの服の染みを拭き始める。
しかし、次の瞬間、

ぷにょん

「わっ……わああっ!」
手に伝わった妙なる感触に、それを失念していたことに気が付いて、激しい狼狽を見せた。
すると…
「あ…。あの、いいのよ。
もとはといえば無理に勧めようとしたわたしがいけないんだし…そんなに気にしないで」
意外にもクスハはあっさりと笑って、キラの行動を不可抗力として許してくれた。
が…それで治まらないのはキラの方だ。

(予想してたより、ずっと柔らかいんだな…)

彼女のことは隊内でも噂になっている。
かわいらしい容姿、健気で控え目な性格、…そしてあのスタイル。
人気が出ない方が不思議なのだ。
勿論、何故かこの隊内はクスハに限らず、
美人、美少女ばかりが揃ってはいるのだが、
クスハのように本当に古風な、優しい少女はいないとまではいえないが、
なかなか希少な存在ではあった。

何より…

(いいよなブリッド。
 毎日クスハの胸揉めるんだろお前は)
(く〜…羨ましいヤツ)

「…………。」
いかがわしい行為に曝されてきたとはいえ、健全な青少年であるキラにとって、
噂のクスハの胸に触れてしまったことに平静でいられるワケもなく…

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