「これはどういう事なんですか!?」
 ベッドの上に革手錠で大の字で拘束された状態で、ボクは叫んだ。
 レモン様が入れてくださった紅茶を飲んだ途端に眠くなり、次に気が付いた時にはこの有り様だ。
「ごめんなさいね。ちょっとだけ付き合ってくれたら、それでいいから」
 すぐそばで悩ましげに腕を組んでボクを見下ろすレモン様。ごめんなさいと言ってる割には、申し訳なさそうには全然見えない。
「入りなさい」
 彼女の声に答えるように、ベッドの右手のドアが開く。
 そこから姿を現したのは、最近作戦行動に参加するようになったW17――ラミア・ラブレス。しかも素っ裸だ。豊かなバストが、これでもかと言わんばかりに存在をアピールしている。
「諜報活動の一環として性技もインプットしてあるんだけど、その実践訓練の相手役をお願いしたいのよ」
「お願いも何も、コレはもう強制でしょうが! だいたい何故ボクがそんな事しなきゃなんないんですか!」
「だってアクセルには頼めないでしょう? 私も頼みたくないし。で、アナタがたまたま目に付いたから、アナタに決めたの」
「横暴だ! パワハラだ! セクハラだ! 訴えてやる!」
「ゴチャゴチャ言わないの。良いじゃない、こんな美人の相手が出来て」
 レモン様はラミアのそばに歩み寄り、そっと肩を抱き寄せる。
「構わずに始めちゃいなさい。生の相手の反応を実際に見るのも大切な事だから」
「はい、レモン様」
 ラミアはコクンと頷くと、ベッドに上がる。
「失礼します」
 抑揚のない声の後で、彼女の唇がボクの唇に重ねられる。柔らかくて、プリプリした弾力のある唇が蠢いて、ボクの唇をついばむ。
 彼女の舌がヌメリと口の中に入り込み、ボクの舌に絡み付く。
 ラミアはそのまま、機械的なディープキスを続けた。互いの唇と舌が絡み合う音が、ボクの耳をくすぐる。
 胸には彼女の豊満な乳房が押し付けられ、白い指がボクの股間をズボン越しにこね回す。
 息苦しさもあって、ボクは段々頭がボンヤリしてきた。
 ラミアが唾液の糸を引いて、唇を離す。ほんのりと頬に赤みが差し、股間に伸びている手にも力がこもっていた。
 人形でも欲情するのか? という疑問は、その艶めかしい表情の前ではどうでも良かった。
 ラミアはボクのズボンとブリーフを脱がし、ディープキスと愛撫でいきり立った肉棒に舌を這わせる。
「うっ……」
 不覚にも声が漏れた。
 ラミアは唾液を塗りたくるかのように、亀頭から玉の付け根にいたるまで丹念に舐め回す。そしておもむろに根元まで丸呑みした。
 口の中全体が吸い付いてくる。
 唾液を溜め込んだままストロークをするので、ヂュパヂュパと卑猥な音が部屋に響き渡った。
 人形相手にイカされてたまるかという気持ちがなければ、多分ボクは彼女の口腔内にとっくに射精していただろう。
「あら、頑張るわねぇ」
 身を屈めて、レモン様が快楽に耐えるボクの顔を覗き込んだ。服の隙間から、深い谷間が見える。
「その調子よ? 簡単に出しちゃったら、訓練にならないもの」
 彼女が耳元で囁いてる間に、ラミアは武器を口から胸に切り替えた。
 唾液でぬらつく肉棒を乳房で圧迫してしごく。左右の乳肉を交互に上下させ、かと思えば乳首の先端をこすりつける。
 だがボクは耐えた。
 別に彼女を――Wシリーズを嫌ってる訳ではない。しかし、こんなレイプ同然の状況でイカされるのは、余りに屈辱的だ。
 ラミアは胸と口での同時攻撃を始めた。舌先で尿道口をほじりながら、幹を乳房でしごく。
 下っ腹に力を込めて、ボクはこの猛攻を凌いだ。
「……?」
 ボクがなかなか射精しないのを訝しんで、ラミアが小さく首を傾げた。まるで子猫のような仕草に、一瞬可愛いと思ってしまう。
「何か、いけなかったでしょうか?」
 射精しない理由を、自身の技術の稚拙さ故だと思ったらしい。どこか申し訳なさそうな顔でボクを見上げる。
「私では、ご不満ですか?」
 心なしか、瞳も潤んでいた。普段が無愛想極まりないポーカーフェイスのためか、とても可愛らしく見えてくる。
「大丈夫よ。焦らず、もっと自信を持ってやりなさい?」
「はい、レモン様」
 ラミアは素直に頷くと、口での奉仕を再開した。
 先程以上に丹念な舌使いだ。時折、顔色を伺うようにチラチラと目線を送る。何だかこちらが悪い事をしてるような気持ちになる。
「……気持ち良いよ、ラミア」
 罪悪感が言わせた台詞に、ラミアは一瞬驚いたように顔を上げた。
「……ありがとうございます」
 笑顔、とまでは言えないが、それでもフワッとした柔らかな表情でお礼を言うラミア。
 ……まずい。ボクまでその気になってしまいそうだ。
 しかし改めて己れを律する間もなくフェラチオが再開される。わずかでも気持ちが揺らいだ後では、最早耐える事は出来ない。ボクはあっけなく、ラミアの口の中に射精してしまった。
「んぶっ……!?」
「こぼしてはダメよ?」
 レモン様がラミアの後頭部に手を添えた。
「すべて受け止めてあげなさい」
「んっ……」
 ラミアはかすかに頷き、ボクの精液を口腔内に蓄えていく。尿道内の残り汁まで吸い出すと、口を離した。
「手に出しなさい。相手がどれだけ気持ち良くなってくれたか、その目で確かめて」
 ラミアは言われるまま、皿の形に合わせた両手の上に精液を吐き出す。ボク自身驚くほど大量に、白濁が彼女の唇から溢れ出た。
「……」
 ラミアはボンヤリとそれを見つめている。本当に“実践”は初めてだったのだろうか?
「飲みなさい」
 レモン様が彼女の耳元で命令する。
「男は目の前で飲んで貰うのがとっても大好きなのよ?」
「いや、みんながみんなそうとは」
「そーお? でもアクセルは飲んであげると喜ぶわよ?」
 ボクの言葉に小首を傾げるレモン様。なんか凄い事を聞いてしまった気がするが、それは無視しよう。

 ヂュウッ……。

 突然響く、汁をすするような音。
 ラミアが手の中の精液をすする音だ。
 まるでお神酒を飲むように、うやうやしく口に運ぶ。
 手の平や指に付着した粘り気も舌で舐めとると、ボクの上に覆い被さった。
 そしてボクの髪を撫でながら、赤ん坊のように真っ直ぐにボクの目を見つめながら、喉を鳴らして口の中の物を飲み下した。

 ――ゴクッ、ゴクッ。

 確かに聞こえたその音は、この美女が男の精液を飲んだ音。
 次に彼女の唇が言葉を紡いだ。
「私の口で射精してくださって、ありがとうございました」
 さっきまでは人形だった彼女が、男を悦ばせる事を楽しむ娼婦になっていた。
「んあっ!?」
 不意に艶めかしい声を上げ、ラミアはのけぞった。
 レモン様の指が、彼女の股間に潜り込んだらしい。
「あら、もうグチョグチョねぇ……お口でしてあげてる内に、興奮してきたのかしら?」
 レモン様は楽しそうに指を動かしながら、ラミアの耳元で囁く。
「それで良いの。アナタが高ぶる事で、相手も興奮する。その上でアナタがしっかりと相手をコントロールすれば良いのよ?」
「は、はい……レモン様……」
「じゃあ次は、ここを使いましょうか」
 レモン様が指を抜くと、ラミアは身を起こし、自らの手でボクをその場所へといざなう。
 ゆっくりと腰を下ろして、ラミアはボクのすべてを包み込んだ。
「はぁぁぁぁっ……!」
 根元までくわえ込むと、ラミアは軽くのけぞり、身を震わせる。
 挿入だけで達したらしく、キュウッとボクの肉棒も締め付けられた。
 ラミアはボクの胸の上に両手を突く。圧迫された乳房が、深い谷間を作り上げた。
 彼女の腰が、上下し始めた。
 最初はゆっくりとしたぎこちない動きだったが、すぐにコツを覚えたのか、ペースは速くなり、貪るような腰使いとなる。
 中も蠢き、吸い付き、絡み付く。
「あっ……はぁぁっ……んううっ……!」
 髪を振り乱し、乳房を揺らして喘ぐラミア。
 レモン様がその弾む乳肉を背後から揉みしだき、乳首をくじる。
 ボクもあの胸に触りたい。そんな欲望が沸き起こり、革手錠で繋がれた両手に力が入った。
 股間の方も、二度目の爆発が迫っていた。
「構いません。このまま、射精してください」
 ラミアが腰は止めずに、ボクの顔を覗き込む。
「先程口に出したように……私の中に、たくさん射精して……はぁぁうっ!」
 一際高い声と共にのけぞったラミア。
 強い締め付けが起こり、ボクは求められるまま彼女の膣内で達した。
 大きく息を吐きながら、ボクの上に倒れ込むラミア。
「あぁ……熱い……」
 耳元に彼女の声が響いた。
「これなら大丈夫そうね」
 レモン様が満足げにラミアの髪を撫でた。
「二時間後に迎えに来るわ。それまでにすべての穴を使って、彼をあと五回射精させれば、状況終了よ?」
「はい、レモン様」
 ――まだ続くのか!?
 ボクは背筋にゾワゾワしたものを覚えた。
「それじゃあ、アナタも頑張ってちょうだいね」
 レモン様はヒラヒラと手を振って、部屋を出て行く。
「ちょ、ちょっと、レモン様!?」
 ボクは慌てて起き上がろうとしたが、拘束されてる上ラミアが覆い被さっているので動ける筈もない。
「それでは、あと二時間よろしくお願いします」
 そう言ってラミアは微笑む。
 その顔は、お菓子の山を前にした子供のようにあどけない。
 だがボクには、獲物を前にした狩人のようにしか見えなかった。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

編集にはIDが必要です