何時からだろう。アイツを意識し始めたのは。
女は誰も居ない静かな自室で、自嘲気味に笑った。
眉間に手を当てて俯くと、頬に一筋の涙が伝う。
飲み掛けだったワインを一飲みするとふらふらとしながら立上がり、訓練のままの格好で自室を後にした。


部屋を出たのはいいが特に何もする事がない女は、細長い廊下をふらふらとしながら歩いて行く。
廊下はしんと静まりかえり、人一人いない。時間で言えばもう深夜だ。
けれど戦艦内、ヒリュウ改は動き続けている。
時折ゴォンと振動が起こると、女は壁に背を預けた。
ふと横を見ると、自分の考えていた男の部屋があった。
女は深夜だというのに、その男の部屋のベルを鳴らした。
表には何も聞こえないが、ボタンを押すと部屋の内部でベルが鳴る。
インターフォンも付属では付いているが、殆どの者はそれを使わない。
女はそのドアに身を預け、頭を抱えた。酒のせいで段々と体が熱くなる。
何も反応が無かったが、暫くするとシュン、とドアが開く。
支えるものが無くなった女の身はが、そのまま後ろに倒れていった。
「…ちょっ!?」
突然の来訪者、もといいきなり倒れて込んで来る女に男は彼女を支える形になる。
しかし勢いで倒れて来た女の体を支える事が出来ず、床に倒れる形になってしまった。
「っつー……カチーナ中尉?いきなり…んむっ!?」
自動でドアが閉まると、カチーナと呼ばれた女はいきなり目の前の男に口付けた。
息苦しくなるほど激しく口付けると、外に跳ねた髪が揺れる。
縮こまっている相手の舌に自分の舌を絡めると、それに何度も吸い付く。
ぴちゃぴちゃと口内を犯す音が、部屋までの道に響いた。
「はふぅ……タスク…あたしと…しよ?」
一通りキスを終えると、カチーナは男の体の上に馬乗りになる。
タスク、と呼ばれた男は訳が分からずに困惑した。
「中尉?もしかして酔っ払ってます?」
酒の味が残る舌に、苦笑いを浮かべながらタスクはカチーナに問い掛けた。
カチーナは首を横に振り、既に濡れたそこをタスクの股間に擦り付けた。
「…仕方ない人っスね。ほら、床なんかでしたら痛いでしょ。せめてベッドまで行きましょうよ」
タスクはカチーナの体を姫抱きすると、自室のベッドに向かう。
カチーナはタスクの首に軽く腕を掛けると、目の前にある彼に再び口付けた。
「ん、っ…ちょ、前がっ…むっ……」
「んっ…タスクぅ……あたし、タスクの事…」
一旦唇を離すと頬を赤く染めて笑みを零す。
タスクはカチーナをベッドまで運ぶと、彼女をベッドの上に放り投げた。
弾みでスプリングが軋む。タスクもまたベッドに乗ると、カチーナの方へ近付いていく。
「そんな事言って…俺を煽りたいんスか?」
既に乗り気になっているタスクを見ると、ふるふると首を横に振った。
「タスクが、好きなんだよぉ……だからぁっ…」
言いかけていた言葉が続くと、タスクは息を飲んだ。
普段は淑やかな素振りすら見せず、乱雑に扱って来る彼女。
今は顔を真っ赤に染めながらも、自身に好きだと訴えてくる。
それが真実なのか否か、既にタスクにとってはどうでも良い事だった。
「…俺もっスよ?」
何が、とは言わなかった。否、言えなかった。
素面に戻った時、嫌われたくはない。
酒のせいにしてしまえばどうにでも言い訳は聞く筈なのに。
カチーナは、その言葉に少々不満があったようだ。
熱で潤んだ目を細め、タスクを睨む。
「タス……んっ…」
言葉を発そうとした彼女の唇を塞ぐと、今度はタスクから仕掛けて来た。
タスクが懸命に延ばして来る舌を啄むと、それに合わせるようにして舌に吸い付いて来た。
暫くして唇を離すと銀色の糸を引いていた。
途中でぷつりとそれが途切れるとそれがカチーナの胸元に染みを作った。
既に欲望で潤んだ瞳に、タスクの背中にぞくりと何かが走る。
タスクはカチーナの体をぎゅっと自分に抱き寄せると、そっと軍服越しで胸の窪んだ部分に口付けた。
「タス、ク…っ」
カチーナは、彼の頭を自分の胸に押し付けた。
タスクの顔面に柔らかい感触に、自分から顔を埋めていく。
暫くその感触を堪能した後、軍服越しから彼女の胸を揉み始めた。
手に少し余るくらいのその乳房を、根元から優しく揉みしだく。
次第にカチーナからは上擦った喘ぎ声が聞こえてきた。
「んっ…ふぅ、ぁ…駄目だってぇ…」
「駄目、じゃないでしょ?」
飾りをきゅっと摘むと、カチーナが身体を退け反らせた。
「あんっ、…駄目…」
「じゃ、止めます?」
彼女が甘い声で制止すると、タスクが手の動きを止めた。
カチーナはびくりと震えながらタスクの方を見つめる。
タスクはその視線に気付いてはいるものの、手を出そうとはしなかった。
「意地悪、すんなよぉ…」
カチーナはタスクの側に寄ると、自分の体を擦り寄せた。
タスクはカチーナのその姿を見るとクスリと笑みを浮かべる。
「何時もこうなら、可愛いんスけどね」
そしてカチーナの体を一度抱き寄せると、その場へそのまま押し倒す。
カチーナの腕を右手で固定し左手で器用に軍服を剥ぎ取ると、後ろ手でブラジャーのホックに手を掛けた。
プツ…と小さな音を立ててブラジャーが外れると、形の良いバストが露になった。
「結構中尉の胸、柔らかいんスねー」
わざとらしくからかいながらタスクがカチーナの胸に吸い付いた。
飾りを甘噛みし吸い上げると、カチーナからくぐもった声が聞こえて来た。
「あ…んぅっ……んふっ…」
「声、もっと出していいんスよ?…もうこんなにしちゃって…カチーナ中尉って感じ易いんだ」
片手と口で乳房を貪りながら、開いた手でカチーナのホットパンツに手を掛けた。
ズボン越しに割れ目を撫でるとカチーナの体が震え出した。
「ち、違うっ…」
「へー…そうなんだ」
カチーナは必死に否定してはいるが、タスクは全く動じなかった。
むしろ調子付いたのか、割れ目に指をぐりぐりと押しつける。
するとカチーナの股間に、小さな染みが出来始めた。
「カチーナ中尉…ここに染みが出来てるっスよ」
相手に足を開かせ、執拗にそこを弄る。
カチーナは頬を真っ赤に染めると、タスクから顔を逸らした。
タスクはその反応を見ているうちに自分も高まっている事に気付くと、小さく溜め息を吐いた。
そして乱雑にベルトを引き抜くと、ズボンのジッパーを開いて既に高ぶっている自身を取り出した。
「中尉……」
自分の分身をカチーナの顔の前に寄せると、彼女は黙ってそれに視線をやった。
ごくりと生唾を飲み込みひたすらそれに見入っていると、タスクは彼女の目の前にまで自身を持っていった。
「カチーナ中尉。…中尉からねだって来たんスから…、俺だってしてもらってもいいっスよね」
駄目だと言われたら無理矢理にでもやろうと思っていたタスクだったが、カチーナは小さく頷くと照れくさそうに微笑んだ。
カチーナは亀頭に軽く唇を寄せ、ちろりと舌を出して舐める。
それだけでもタスクびくりと体を反応させた。
「んむ……ふ…」
カチーナはタスクのズボンのホックを外してズボンをずり下げると、根元を軽く揉みしだきながら口の中に相手自身を含む。
舌で何度も吸い上げながら、今度は袋を軽く揉み始めた。
「う、くっ…中…尉っ」
堪らずカチーナの頭に力を込め、奥深くまで含ませる。
「む……ふぅっ、ん」
ちゅ、ちゅ…と何度も音を立てて吸うと、一度口からタスク自身を離す。
そして手で扱きながら、今度は裏筋を擽るように舌で舐めると、ビクビクとそれが脈打った。
既に限界に近いモノに、カチーナは軽く歯を立てた。
「ちゅ…い。出るっ」
刹那。
タスク自身がビクビク震えると、カチーナの口に自身の欲望を吐き出した。
「…んっ!」
咥えた位置が浅かったのかカチーナの口からタスクのモノが外れると、彼女の顔面に白濁が掛かる。
カチーナは反射的に目を閉じると、それが止まるまでじっと待った。
暫くしてカチーナが目を開くと、タスクがまじまじと彼女を見つめていた。
「カチーナ中尉…すっげぇ、やらしく見えるぜ」
「…んふ…そ、か?」
ちゅるちゅるとタスクの欲望を口に入れながら、彼を見つめる。
時折指にまで付いた白濁をぺろりと舐めると、熱っぽい視線でタスクを見つめた。
「そんなやらしい中尉には…」
今度はタスクがカチーナを押し倒す。
ホットパンツに手を掛け、それを下ろすとショーツの上から割れ目を舐め始めた。
「や…タス……脱がせて…」
「こっちの方が恥ずかしいでしょ?」
既に濡れそぼったそこを、指でぐちゅぐちゅと弄りながら時折舌で舐めてやる。
「タスクっ、お願……脱がせてぇ…」
カチーナが下腹部をヒクヒクとさせながら訴えると、タスクは暫く考え込んだ。
「じゃ、足をもっと広げてくれるんなら脱がせてあげることにしましょっか」
タスクはカチーナの両腰からショーツに手を掛けると、そのまま下にずり下ろした。
カチーナは太股に力を込め、そこを必死に隠そうとした。
しかしタスクはそれを許さず、カチーナの足を掴むと、膝に手を挟んで両手で足を開かせた。
「あっ、あ……タスク、見ないで…やだっ、恥ずかしいっ」
割れ目から既に蜜を零し、尻に力を込める度にくちゅくちゅと音を立てるそこをタスクは視線を逸らす事も出来ずに見入っていた。
カチーナはその視線に気付いていたがどうする事も出来ず、ただ目をぎゅっと瞑るだけだった。
タスクは指でそこを押し広げながら舌を差し入れる。
「ひっ…い、あっ……タスっ……」
ざらりとした舌の感覚にカチーナは体を震わせる。
触れる度敏感に反応を返して来る彼女のそこから舌を引き抜くと、今度は右の人指し指を差し込んで時折内部で指を折り曲げた。
「ひっ……んはぁっ…」
飲み切れなかった唾液が口端を伝う。
タスクはそれを舐め取ると、再びカチーナの割れ目に口付けた。
「んっ……タス…ク…」
カチーナはビクンと体を震わせ、タスクの方を見つめる。
とめどなく溢れて来る蜜がタスクの指を濡らすと、カチーナに見せつけるようにして人指し指を親指に擦りつけるとゆっくりと引き離した。
「ほら、中尉…カチーナ中尉のココ、凄い事になってるっスよ?」
タスク少し粘りのある液体をカチーナの頬に擦り付ける。
それに興奮し始めるカチーナは、無意識に腰を揺らし始めた。
「ホントにやらしい中尉だな。何時も俺をそんな風に見てたんスか?」
「違ぁ……そんなんじゃ、ねぇってばぁ…」
真っ赤な顔をしながら必死に否定をするものの、タスクは更に意地悪をする。
「腰を振りながらココをヒクヒクさせて言われてもな…さて…どうして欲しい?」
言いながらタスクはカチーナには見えないように自身に手を掛け、そこを自分で扱く。
「あんっ……タスクの…が……欲し…」
「よく出来ました。じゃ、そんなカチーナ中尉にはご褒美をあげないと…」
彼女が答えると、タスクはさっきから扱いていたモノをカチーナの前に見せつける。
まだ挿れてもいないのに、カチーナはそれを見つめたまま息を乱し始めた。
「…力、抜いて下さいよ」
タスクはそう言いながらカチーナの割れ目を指で押し広げた。
右手で自身を握ると、そこに自分自身をあてがう。
そして少し力を込めて先端を含ませると、内部のキツさに思わずタスクが呻き声を上げた。
「あ…あぁっ……タス…タスクぅっ」
「ちょっ、中尉…キツ…」
まだ先端しか入ってないと言うのにカチーナの内部はキツく締め付けて来た。
必死にそれを堪えながら、タスクは少しずつ奥まで挿入していった。
暫くするとカチーナに根元まで飲み込まれ、体が密着する。
タスクはフッと微笑んでカチーナの唇に軽く口付けた。
「あ……タスクが、中に……」
うっとりとしながらカチーナが甘い声で囁くと、タスクは少しカチーナの中で動いて見せた。
「あんっ……もっとぉ…動いて…」
カチーナからは既に理性が消え、本能のままタスクを求め始めた。
タスクは一度身を引くと、今度は腰を使って内部を擦り始めた。
ベッドのスプリングがギシギシと軋み、部屋にはぐちゅぐちゅと接合部から淫らな音が響く。
「ひっ…あぁっ……タスクぅっ」
「中尉…ど…しました?」
タスクは腰を彼女に何度も打ち付けながら、両手で乳房を握ると乱雑にそこを揉む。
「あ…んうっ!……も、イキそ…っ…」
「実は俺もヤバいんスよねー……くっ…は、中尉の中が締め付けて来るから…」
ヘラヘラとしてはいるものの、切羽詰まった様子にカチーナは笑みを零す。
普段は絶対見せないような甘い笑みに、タスクは照れ臭そうに微笑んだ。
「背中…腕回してもいいんスからね?」
ベッドに手を付くと、タスクは一度身を引いた。
カチーナはタスクの背中に腕を回すと、彼の顔をじっと見つめる。
タスクは生唾を飲み込むと一気にカチーナの奥まで突っ込み、激しく腰を打ち付けた。
「あひぃっ…、いっちゃぁあ……」
彼の背中に爪を立てビクビクと痙攣すると、カチーナはあっけなく達してしまった。
「…あっ…」
その余韻に浸っているカチーナは、無意識に内部を締め付ける。
「くうぅっ……カ、チーナ中……いっ…」
必死に耐えていたタスクだったが一層キツく締め付けられると、カチーナの内部に熱い欲望を吐き出した。
「あぅんっ、…タスク…ぅっ!」
先程イったばかりだというのに、その熱さに再び体を震わせた。
そしてヒクヒクと痙攣すると、タスクに合わせて腰を振った。
「あうっ……いっちゃ…た……」
タスクはそんなカチーナの唇を奪うと、そっと舌を差し入れた。
「んむ……」
ぴちゃぴちゃと音を立てて舌を絡めると、同時に腰を揺らす。
接合部分からは二人の欲望が混ざった蜜が、二人の腰が揺れるとぐちゅぐちゅと音を立ててカチーナの尻を伝った。
「はふ……馬鹿、調子に乗りやがって…」
「我慢出来なかったんだから仕方ないでしょ。生理現象っスよ、生理現象。中尉だって腰振ってたくせに」
図星を付かれると、カチーナは黙りこくってしまう。
「もうすっかり酔いは醒めてるみたいっスけど。明日起きて殴って来るなんてことは無いですよね?」
冗談混じりにタスクが笑みを浮かべると、カチーナは頬を真っ赤に染めたままこくりと頷いた。
タスクは彼女の胸を揉みながら、頬や首筋に口付ける。
「今度は風呂でとか、どうっスか?」
「嫌だ!」
カチーナの耳元で囁くと、彼女は即答で否定する。
「じゃあコクピットの中とか…」
「ざけんな!!」
顔を真っ赤にして否定はしているものの、それを聞く度に内部を締め付けているカチーナをタスクはじっと見つめた。
「体に聞いた方が正直だし、可愛いっスよ?」
タスクは自分自身をゆっくり引き抜くと、隅にあったティッシュで軽く自身を拭いた。
カチーナの割れ目を軽くつつくと、零れてくる白濁を軽く拭ってやる。
「〜っ!!スケベ、馬鹿っ!」
「さっきは好きだとか何とか言ってたくせに…ま、ギャップがあって可愛いかったんですけど」
くすくすと微笑むと、タスクはカチーナに唇を寄せた。
「〜っ!……す、好き…だぞ?で、でもっ!!」
「分かってますって」
タスクはそれだけ聞くと、カチーナの頬をくすぐった。
「少し休みましょっか」
「あぁ……」
二人の目が合うとくすりと笑みを浮かべ、互いに口付けた。
そして暫くすると規則正しい寝息が二つ、部屋に響き始める。
二人の長い夜はようやく終わりを告げたのだった。


Fin

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