ヒロ戦ネタ
最終更新：
srweroparo 2011年12月21日(水) 18:29:13履歴
UC099年1月26日。
ネオ・アクシズ軍総本部ヘリオス要塞は特務機関ゼウスの働きによって陥落した。
ネオ・アクシズ総統アポロン戦死の報がエルピス中を騒がし、指導者を失った各戦線のアクシズ軍は次々と連合軍に投降。ネオ・アクシズ戦争はその終結を迎える。
そしてこれを機に各地のテロリストもその活動を停止。
遂に暗黒の時代は終わりを告げたのである。
崩れ行くヘリオス要塞の中でアポロン総統ことギリアム=イェーガーは一人物思いに耽っていた。
(オレは、死ぬのか…)
ゼウスとの戦闘で受けた傷から血が流れ落ち、床を赤く染めていた。
ギリアムは紅の絨毯に身を横たえ、時を待った。
(疲れた…この世界はもうオレを必要とはしていない…。ようやく、休めるんだな。ニック、コーリャ、フレディ…オレも、直にそっちへ…)
「助けて!!早く!誰かぁぁぁぁぁ!!」
耳元を誰かの声がかすめた。女性のようだ。場所は…下の階だな。
(誰だ…?)
ギリアムは部下達に自分が負けた時はただちにここを脱出するように告げておいた。
この要塞の二階層から上の階はギリアムの愛機XN(ｻﾞﾝ=)ガイストの膨大なパワーによって異次元空間にその存在を維持していたのだ。
XNガイストが破壊された今となってはここは消滅への道を免れない。
ここに残っている者がいるとすれば、その事を知りつつも自分に殉じようとしている者か、知ってはいたが逃げ後れた者。もしくは知らなかった者…つまりは外部から侵入してきた者だ。
助けを求めているのだから�，任呂△襪泙ぁ�となれば�△�、��。
しかし今のギリアムにはどれだろうと関係無い。自分の野望が煙になった今、これ以上無駄な犠牲者は出したくは無かった。
(どうやら、オレはまだ休ませては貰えんらしいな…最後の一仕事、か…。)
ギリアムは体中に走る痛みを堪え立ち上がると声の発信源の方へ急いだ。
そのわずか数分後、ヘリオス要塞は消滅した。異次元空間の2階層以上は時空の彼方へ消え、モウサ市から眺める事のできた1階層は音を立てて瓦礫の山と化した。
「…ん?」
突然、ギリアムは目を覚ました。オレは一体どうしたんだったか。
あれからの事を頭の中で整理してみる。血だらけの状態で必死に要塞内を駆け回って、、
遂にどこかの一室で泣き叫んでいた女性を見つけた。
彼女を抱き抱え、時空歪曲の能力を使って… そこからの事は覚えていない。気を失ってしまった。
あれだけの出血だったのだから無理は無いだろう。
あの後一体何があったのか?そもそもオレは今生きているのか?死んでいるのか?
(ここは天国か?いや、それは有り得ないな。とすれば地獄…)
「ここは天国でも地獄でも無い。病院だ。」
「病院ッ!?」
ガバッと上半身を起こす。確かにこの消毒液の匂いや自分の身体に刺さっている管や目の前に吊ってある点滴袋を見る限りここは病院のようだ。
ギリアムの目前には白衣を着た髭面で眼鏡のオッサンが一人、椅子に座って彼を見ていた。
「おはよう。よく眠れたかな?」
「…。」
現状を把握できずにとまどっているギリアムだったがとりあえず無言のまま頷いて見せた。
「そうだろうそうだろう。何しろ君はここで一週間も寝ていたんだからな。」
「…。」
「それにしても君はなんて生命力なんだ。常人ならとっくに死んでてもおかしくは無い。」
呆れたような口調で話し始める医者だったがギリアムの耳には彼の言葉の半分も届いていなかった。
ギリアムはだた一つの台詞を心の中でただ反復していた。
(生き延びてしまった生き延びてしまった生き延びてしまった生き延びてしまった…)
そう、生き延びてしまった。
オレの為に軍人、民間人を合わせて何十万、何百万と言う人間が無駄に死んだ。
今生きている人々の中には家族、友人、恋人、師弟…大切な人を失った人々も大勢いるだろう。
その人々にとってオレは憎んでも憎みきれない存在であり、八つ裂きにしてもその憎悪が消える事は無いだろう。計画が失敗した今、オレが出来る事は亡くなった人々の後を追い詫びる事だけだった。それがオレの為に死んで行った部下、敵、民間人、そしてオレ自身へのけじめの付け方だった。なのに…。
「何故だ…オレの身体には時空歪曲によるワープに耐えきれるほどの体力なんて残ってなかったはず…仮に残っていたとしても、ワープ着地点から病院へ運ばれたんでは絶対に間に合わなかったはずだ!!」
「大声を出すな。ここは病院だぞ。」
「あ、ああ、すみません。」
そうだ。ここは病院だった。医師に注意されてギリアムは頭を下げた。
「まぁ確かに、普通あの状態からではまず助からんわな。
だが、君が助けた人物がうちの看護婦と言うのは運が良かった。」
「看護婦…ですか?」
そう言えば助けた女性は看護婦の服を着ていたような気がした。
既に目が霞んでいて服装なんてうろ覚えだが。
「彼女の気の利いた応急処置と君の体力…そして私の手術のお蔭だよ。君が生きているのはね。」
「はぁ…。」(どうして看護婦なんかがうちの要塞にいたんだろう…誰か病人でもいたのか?)
医者はそう言うと立ち上がり、廊下に出た。
「おーい!お前の王子様がお目覚めだぞ!」
(何だ?王子様って…)
そう叫ぶ医者に、ギリアムは疑問の眼差しを向けた。
同時に(あんたは病院で叫んでもいいのか)とも思った。
叫び終わると、医者は部屋に戻ってきてまた椅子に腰掛けた。
「彼女だが、もうすぐ来るよ。この一週間君の事をずっと看病してたんだ。随分と君にご執心のようだぞ。土壇場で助けに来てくれた君の事が白馬に乗った王子様のように見えたんだろう。」
「それで王子様…ですか。」
自分はそんな大層なモンじゃないとギリアムは思った。
亡霊と言う名のパワードスーツ(注:PTじゃありません!)を駆り、この手でエルピス中を血の海に染めて行った男なのだ。しかも通り名は「漆黒の堕天使」。
白馬に乗った王子様像とはほど遠い。
コンコン。ガチャ。そんな事をしてるうちにまたドアが開いた。
入ってきたのは一人の看護婦さん。
服装はあまり覚えてなかったが顔は分かる。確かにギリアムが助けた、あの女性だった。
さらさらとしたブラウンのロングヘアが印象的である。
「先生、あの人の目が覚めたって本当ですか!?」
「ああ。お前の王子様ならこの通りピンピンしている。」
「もう、その言い方止めてください!」
どうやら「王子様」はこの医者が勝手に使っているだけのようだった。
「ちゃんと名前で呼ばないと失礼です。」
「その名前が分からんから仕方がないだろう。」
「"第2個室の患者さん"でいいじゃないですか。」
自分そっちのけで、自分の呼び方の事で論争を始める二人を前にギリアムは戸惑った。何をすればいいんだろう。…とりあえずは仲裁してみるか。
「ケンカはやめて下さい。私の呼び方なんてどうでもいいですから。」
「「…」」
黙る二人。医者の方がギリアムを指さした。
「そもそも君が真っ先に名乗らないのが悪い。礼儀知らずな奴だ。
『私は○×です。助けて頂いてありがとうございました。』と言うは常識だろう。」
「先生!」
「本当の事を言ったまでだ。」
キリが無い。事態を打開すべくギリアムは名乗る事にした。
「分かった、分かりました。名乗ります。
私の名前はギリアム・イェーガー。助けて頂いてありがとうございました。
これでいいんでしょう?」
うむ、と医者は頷くと言った。
「分かれば良いのだイェーガー君。人間素直が一番だ。君の体力なら退院までは1カ月かかるかかからないか位だろう。それまでは彼女に世話になりたまえ。治療費はいらん。彼女が払うと言っている。」
そして看護婦の肩をぽんと叩く。
「あ、すみません。申し遅れましたが当院の看護婦です。あの時は助けて頂いてありがとうございました。貴方は命の恩人です。今度は私が精一杯イェーガーさんの命を守らせて頂きます。」
できればあのまま死なせておいてくれれば良かった。なんて口が裂けても言えない。
「よろしくお願いします、イェーガーさん。」
そう言うと看護婦はにこっと微笑んだ。その時だった。ギリアムの身体に稲妻が走ったのは。
ドクン。何故か、心臓の鼓動が高まる。
(なんだ、この感情は…)
この世界の未来にの事に全てを奪われていた多忙な日々には無かった女性への関心が初めて開いたのだ。ギリアム=イェーガー生まれて以来の一目惚れ…初恋だった。
「あ、ああよろしく。ただ敬語じゃなくて普通に話して貰えないか。
あと、ファーストネームで呼んでくれて構わない。」
クールに言ってみたつもりだったがギリアムの台詞にはどことなくぎこちなさが感じられ顔が少し赤くなっていた。
それから数週間の間、ギリアムのこの看護婦との入院生活は続いた。
体力が戻って歩けるようになってからは付近の散歩なども共に出来るようになった。
ギリアムの彼女への思いは日増しに強くなっていった。
彼女のほうもまんざらでは無いようで、二人はデート気分の日々を幸せに過ごしていた。
そしてそれはギリアムの退院の一日前の事だった。
夜中、ギリアムの部屋をこの看護婦が訪れた。何時もの様なノックも無しに、そ〜っと。
「ねぇギリアムさん…。」
「…? どうした、こんな時間に。」
看護婦はそのままギリアムの目の前まで歩み寄る。
「いよいよ明日ね。退院。」
「ああ。君と、あの先生のお蔭だ。私が命を取り留めたのは…感謝している。」
「ねぇ、退院してからもまた会える?」
「当然さ。全てを失った私には…もう、君しかいない…」
「ん…」
いつの間にかベッドの上にのっかっていた看護婦をギリアムは抱き寄せ、キスをする。
しばらくの間はちゅぱちゅぱと言う音だけが聞こえていた。
「…私もよ。失ったの。家族も、恋人も…。」
「恋人…いたのか。」
「死んだわ。兵役を課せられて、満足な訓練もさせられないまま最前線へ送られたって…」
ドキッ!!ギリアムの身体が突然はねた。額が汗で濡れている。
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない…」
曖昧な言葉を返すギリアムだったが実の所思い当たる事ありまくりである。
軍事大国ジオン公国との戦争は正攻法の他にアクシズお得意の謀略作戦を使ってもなかなか苦戦した戦いだった。当然精鋭部隊はなるべく多く用意する必要がある。
だが一日や二日で精鋭部隊が育つ訳では無い。MSならパーツを造って組み立てるだけだがパイロットの育成には時間が要るのだ。当然エース育成期間の間前線を維持する捨て駒が大量に必要になってくる。そこで使う手段は国内の男と言う男に赤紙をバラまく事である。
民間人を兵に仕立てて精兵ができるまでの楯にするのだ。
そんな事を実行したアクシズの最高責任者はと言うと…
「…アポロン。」
看護婦は呟いた。
「この人のせいよ。この人のせいで、あの人は死んだの。」
「…。」
どうすればいいんだろう。ギリアムはリアクションに困った。
「アポロン総統は理想の世界を造る為に福祉を充実させて税金を軽くするとかしてたわ。でも、それはただの隠れ蓑に過ぎなかったと思うの。きっと、何か恐ろしい事を考えていたに違いない…」
当たっている。
税金を軽くし福祉を充実させれば民は自分に従い、やがてエルピス全土を征服しやすくなる。
エルピス全土をいったん統治した後にやろうとしていた事は一切の文明の破壊と一部の人間を残した上での惑星規模での大虐殺。
そして選ばれた人々と共にまったく新しい世界、ユートピアを造り上げる。
これがプロジェクト・オリュンポスの全貌であった。税金や福祉の件は所詮エサに過ぎない。
「私には理想だとか難しい事は分からないわ。でも人々の命を簡単に捨てて行ける人がやっていた事は正しいと思わない…」
「…。」
ギリアムははっとなった。負けた時の気持ちを思い出したのだ。
ここにも自分の為に苦しんでいる人がいる…こんな人は世界中に大勢いるはずだ。なのに自分一人は正体を隠してこんな所で幸せに浸かっている。
許される事では無いではないか。
「私があの日要塞に居たのってね。貴方達ゼウスを助ける為だったのよ。」
この娘、自分をゼウスのメンバーと勘違いしているのか。
(確かにゼウスにも居た事はあったがその時の俺は既に…)
そうか。オレへの憎悪をいっぱいに膨らませて、この娘はあのダンジョンを進んで来たのか。
「でも、結局足手まといにしかならなかったわね。私を助けに来てくれた貴方には大怪我させちゃったし…。」
違う。全然違う。
「でもあれがきっかけでギリアムさんと知り合えたんだから、運命て不思議よね。」
「…。」
「ねぇギリアムさん…世界中の人々が皆ギリアムさんみたいならいいのにね。優しくて正義感が強くてたくましくて。 好き。本当に。」
(オレはこの娘を騙しているんだな…それっぽい外見で。彼女の純粋さを利用して。)
笑みを作る看護婦とは対照的に心の底から罪悪感を感じたギリアムの表情は暗くなった。
いつの間にか下着姿になっていた看護婦がギリアムに抱きついていた。
「お願い…抱いて。私、ギリアムさんの子供が欲しいの。」
下着をつけていても彼女の胸の豊満さが分かる。
ドキドキ。思わず見とれてしまったが…(ぶんぶんぶんぶん!!)
「待て、ちょっと待て!」
相手の両肩を持ってずいっと後ろへ離す。
「私の事、嫌い? そうよね…ベッドの中で昔の恋人の話持ち出す女なんて…」
がっくりと肩を落とし服を着始めた看護婦の手をギリアムが掴んだ。
「オレが、アポロンなんだ。実は。」
精神の限界だった。
とてもこれ以上、ぬけぬけとこの甘い時を貪ってはいられない。
「…。」
「…。」
二人の間で、時が止まった。
「ギ…ギリアムさんって嘘が下手ね。そんな事がある訳…」
ギリアムの目つきが先程とは違っていた。
口調もシャープになっている。
「…オレを倒しに来た友人もそう言ってたよ。これを見るまではな。」
ギリアムの手が光った。そこから出てきた物を、彼女に見せる。
「…!」
看護婦は絶句した。ギリアムの手には、真っ二つに割れた真っ赤な仮面が握られていた。
額の所に太陽神(アポロン)を象徴する太陽の模様をかたどった金色のエンブレムが輝いている。
紛れも無く、アポロン総統の仮面だった。
「…君を騙すつもりは無かった。何とでもしてくれ。君のオレに対する恨みはオレを殺すくらいでは消えないだろうが…今君に差し上げられるオレの持ち物は、この命以外の他に何も無い。」
「…。」
「本当は、オレはあの日にヘリオス要塞の中で朽ちるつもりだった。だが君を助けを無視する事は、オレにはできなかった。君を救おうとして君に救われた命だ。好きなように…してくれ。いや、君の手を汚すまでも無い。オレは明日、自ら命を絶って…」
「…ざけないでよ。」
「…?」
「ふ ざ け な い で っ て 言 っ て る の ! ! ! ! 」
病院中どころかモウサ市全体まで響きそうな声で看護婦は怒鳴った。
普段の彼女からは想像もできないような、大声だった。
「私は看護婦よ!?理由がどうあれ、誰かが絶命する所なんて見たくないわ!!」
病院内では静かにしなくていいのかとは流石に言い出せない。このムードでは。
「だ、だが…君はオレを倒しに来たゼウスを手伝いに来たと…」
「あの人達は貴方を説得に行っただけでしょう!今の貴方の政策を交渉でどうにかしてくれるかもしれないと思ったから手伝いに行ったの!結果的に戦闘になっちゃったみたいだけど…彼らが初めから貴方を殺す為に動いてたと言うなら私は絶ッッ対に手伝いになんて行ってない!もし貴方が自殺なんてしたら、私は絶対貴方を許さないんだから!」
そう言えばそんな気がする。あの三人もマサキとか言う少年も始めは説得に来たと言っていた。
それにしても、なんて人だろうか。
これ程まで人の命を何よりも尊く思っている人は未だに見た事が無い。
惚れなおしたと同時に自分とはとても釣り合いのとれる人では無いと思った。
(いや、どの道嫌われた事確定だろうからそんな事は考えるだけ無駄か…)
しかし困った。自ら命を絶つ事は一番始めに決めていた事だったのだがそれをすれば彼女は自分を許さないと言う。
「…私は、どうすればいいのだろうか。」
死んだ人達にこの首を捧げる以外に自分に何か出来る事はあるのか?
「たくさん人助けをして、罪を償って。今を生きている世界中の人々の為に。」
「この世界にはもう私に出来る事は無い。エルピスには、あいつらがいる。」
「この世界だけじゃないわ。他のたくさんの世界の人達の皆の為に…貴方の力を貸してあげて。」
平行する世界は無限に存在する。その世界の1つ1つに、それぞれ人々の生活がある。
自分の持つ力を、その人々を助ける為に使えと言っているのだ。
「…分かった。私の罪が許される日が来るまで、私は人の為に働き続けるとしよう。」
「もう1つ。」
再度ギリアムの身体に抱きつく看護婦。
「あなたの子が欲しい。」
「こんな、大悪人のか?」
呆れた口調でギリアムが問い返した。
「貴方は悪人じゃない…でなきゃ私を助けてくれたりしないわ。悪いのは死んだアポロン総統でしょう。ギリアムさんは違う。」
「…分かった。服を脱ぐから、ちょっと待ってくれ。」
ギリアムが服を脱ぎ始めたのを見て看護婦もブラのホックをはずした。
圧迫されていた大きな胸が開放され、プルンと揺れる。
その瞬間を見ていたギリアムの視線が彼女の胸に釘付けになった。
女性関係など経験した事の無いギリアムにとって彼女の豊満なバストはかなりの刺激物であったのである。
ギリアムは服にかけた手を止め、そのままじっと見ていた。
「ちょ、ちょっと。そんなに見つめないで。恥ずかしい…」
「あ? ああ、すまない…」
そう言うとギリアムは視線をそらし自分の作業を続けた。
やがて一糸まとわぬ姿になった二人はベッドに座った状態で唇を重ねた。
「じゃあ、来て…」
ギリアムは無言で頷くと看護婦の肩を持ってベッドに押し倒した。
そして優しく、彼女の胸を愛撫する。
全体をまんべんなく撫でるように両手を動かす。
(これが、女性の胸の感触か…)
柔らかく、暖かく、なんとも懐かしい感じである。
とにかくギリアムは彼女の2つの丘陵を撫でて、揉んだ。
「あ……ん、んん……はぁあ……」
やがて看護婦の口から喘ぎ声が聞こえてきた。
それがギリアムの性欲をさらに掻き立てる。
ギリアムは右手で乳をつかみながら、その先っぽを口に含んだ。
舌が、彼女の乳首を舐め回す。
「はぁっ…はぁ……ああんっ…」
看護婦は全身をもじもじと動かし始めた。
彼女の身体は既に桃色に変色してきている。
ギリアムの手が下に伸びた。
「そ、そこ…は、ひゃんっ!!」
肉壺に指が入ると看護婦は身体を跳ねさせた。
ギリアムの指はやがてクリトリスに至る。
「これは…」
二本の指でクリトリスをは挟むとくりくりといじり出した。
看護婦の身体を猛烈な快感が襲った。
「はああっふあああ!!」
開いた口から涎がたれ、身体が弓のように反る。
更に大量の愛液が分泌された。
「いいっ…ギ、ギリアムっさんっっっ…!!」
「そろそろ、いいか?」
指を戻して尋ねる。
「え、ええ……。」
「私もそうしたい、が。」
ギリアムは自分の肉棒を見た。
こっちはまだ準備は整っていないようである。
「ご、ごめんなさい。私ばかり感じちゃって…。」
「私も十分楽しんでいたさ。だが…どうした物か。」
「…任せて、貰えないかしら?」
ギリアムが無言で頷くと看護婦はギリアムとは反対向けに寝そべった。
胸の谷間に、ギリアムのそれを挟み込む。
「なにを… っ!?」
「うん…んっ」
肉棒を挟んだまま、胸を動かし始めた。
「ちょっ!?」
ギリアムの中を快感が走る。股間が反応を示してきた。
看護婦は根元は挟んだまま頭の所をくわえ、舌を走らせる。
「ふむ、ちゅぱ……れろれろ、ふむぅぅ…」
ギリアムが満足するまで、看護婦は奉仕を続けた。
「うおッ!!」
びゅっどくどく…勢い良く発射された精が看護婦の顔や髪、それから胸を白く濁す。
ギリアムの股間は既に張り裂けんばかりになっていた。
「す、すまない…君の美しい髪をベトベトにしてしまった。」
「髪は洗えばいいだけ…それより…」
「ん?」
ギリアムは自分の股間を見た。準備完了している。
「ああ。感謝する。」
「お礼には及ばないわよ。」
「いや、礼は…」
ペロペロ
「はぁ、ちょ、やっ!はうん!!」
向きが逆になっているのをいい事に彼女の股間を舐め回した。
「な、何するの!?」
「ごめん。嫌だったか?」
「嫌じゃないけど…ちょっと、びっくりした。」
看護婦はそう言って元の向きに戻った。
「じゃ、行くぞ。」
「…来て…」
上向けになった看護婦にまたがったギリアムはゆっくりと腰を落としていく。
そう使い込まれていない彼女の中に、自らの肉棒を埋めていく。
「あああーーー…」
ようやく、奥まで入った。
「…動いて、いいかな。」
「ええ…。」
ギリアムは腰を動かし始めた。
始めはゆっくりと、そしてだんだん早く。
「あっはっギ、ギリアムさんっっいいっ!!」
(締め付けが…こうもクるとはな……)「うおっ…」
腰の動くスピードが増すごとに彼らの気は高まり、息は荒くなっていった。
「ギ、ギリアム…さん……私、も…もう…」
「こっ…ちも限界だ……出すぞ…」
「ちょうだい…ギリアムさんの…あっ!はっ!はああああん!!」
看護婦の中で、ギリアムは達した。
翌日。
モウサ市のはずれの広場にギリアムと医者、看護婦の姿があった。
「お世話になりました。」
「どうしても行くのかねイェーガー君。我々は君の正体を公にするつもりは無いぞ。」
「はい…でもこれが、私に出来る唯一の罪滅ぼしですし、彼女との約束ですから。」
そう言ってチラっと看護婦の方を見た。
「平行世界を回る旅と言うが、一体幾つの世界を回るつもりかね?」
「分かりません。千か一万かそれ以上か…とにかくこの世界で多くの人々を犠牲にしてしまった以上、力ある限りその世界の人々の為に活動しようと思います。」
「ギリアムさん、行ってらっしゃい。頑張ってね。」
「ああ。行って来る。」
ギリアムは看護婦を抱きしめた。
「私の事、忘れないでね。」
「忘れない…君と先生の事は、絶対に…。 」
二人は抱き合ったまま唇を合わせた。別れのキス…である。
「じゃあ離れて。アウフ・ヴィーダーゼン!!」
時空が歪み、ギリアムの像がボヤけて来る。
そして物の数秒と経たぬうちにギリアム=イェーガーがエルピスから姿を消した。
寂しそうに空を眺める看護婦に医者が問いかけた。
「…行ってしまったな。良かったのかね?」
「はい。…ところで先生、それは?」
看護婦は医者の持っていた箱を指さした。
重くは無さそうだが、少し大きめの箱。
「これか? なんでも知り合いの子への贈り物だそうだ。代りに郵便局へ持ってってくれと頼まれてな。」
「贈り物、ですか。」
「ああ。君には何も残していかなかったのにな。」
「いえ、ギリアムさんはちゃんと…残して行ってくれました。」
看護婦は自分のお腹をさすって微笑んだ。
「ふむ…人類同士の争いに加えインスペクターと呼ばれる異星人の来襲、異世界への召喚、今度は異星人ゲストの攻撃…荒れてるな。とりあえず、地球連邦政府とやらに入ってみるか…。」
ギリアム=イェーガーの終わり無き旅が始まった。 -Fin-
ネオ・アクシズ軍総本部ヘリオス要塞は特務機関ゼウスの働きによって陥落した。
ネオ・アクシズ総統アポロン戦死の報がエルピス中を騒がし、指導者を失った各戦線のアクシズ軍は次々と連合軍に投降。ネオ・アクシズ戦争はその終結を迎える。
そしてこれを機に各地のテロリストもその活動を停止。
遂に暗黒の時代は終わりを告げたのである。
崩れ行くヘリオス要塞の中でアポロン総統ことギリアム=イェーガーは一人物思いに耽っていた。
(オレは、死ぬのか…)
ゼウスとの戦闘で受けた傷から血が流れ落ち、床を赤く染めていた。
ギリアムは紅の絨毯に身を横たえ、時を待った。
(疲れた…この世界はもうオレを必要とはしていない…。ようやく、休めるんだな。ニック、コーリャ、フレディ…オレも、直にそっちへ…)
「助けて!!早く!誰かぁぁぁぁぁ!!」
耳元を誰かの声がかすめた。女性のようだ。場所は…下の階だな。
(誰だ…?)
ギリアムは部下達に自分が負けた時はただちにここを脱出するように告げておいた。
この要塞の二階層から上の階はギリアムの愛機XN(ｻﾞﾝ=)ガイストの膨大なパワーによって異次元空間にその存在を維持していたのだ。
XNガイストが破壊された今となってはここは消滅への道を免れない。
ここに残っている者がいるとすれば、その事を知りつつも自分に殉じようとしている者か、知ってはいたが逃げ後れた者。もしくは知らなかった者…つまりは外部から侵入してきた者だ。
助けを求めているのだから�，任呂△襪泙ぁ�となれば�△�、��。
しかし今のギリアムにはどれだろうと関係無い。自分の野望が煙になった今、これ以上無駄な犠牲者は出したくは無かった。
(どうやら、オレはまだ休ませては貰えんらしいな…最後の一仕事、か…。)
ギリアムは体中に走る痛みを堪え立ち上がると声の発信源の方へ急いだ。
そのわずか数分後、ヘリオス要塞は消滅した。異次元空間の2階層以上は時空の彼方へ消え、モウサ市から眺める事のできた1階層は音を立てて瓦礫の山と化した。
「…ん?」
突然、ギリアムは目を覚ました。オレは一体どうしたんだったか。
あれからの事を頭の中で整理してみる。血だらけの状態で必死に要塞内を駆け回って、、
遂にどこかの一室で泣き叫んでいた女性を見つけた。
彼女を抱き抱え、時空歪曲の能力を使って… そこからの事は覚えていない。気を失ってしまった。
あれだけの出血だったのだから無理は無いだろう。
あの後一体何があったのか?そもそもオレは今生きているのか?死んでいるのか?
(ここは天国か?いや、それは有り得ないな。とすれば地獄…)
「ここは天国でも地獄でも無い。病院だ。」
「病院ッ!?」
ガバッと上半身を起こす。確かにこの消毒液の匂いや自分の身体に刺さっている管や目の前に吊ってある点滴袋を見る限りここは病院のようだ。
ギリアムの目前には白衣を着た髭面で眼鏡のオッサンが一人、椅子に座って彼を見ていた。
「おはよう。よく眠れたかな?」
「…。」
現状を把握できずにとまどっているギリアムだったがとりあえず無言のまま頷いて見せた。
「そうだろうそうだろう。何しろ君はここで一週間も寝ていたんだからな。」
「…。」
「それにしても君はなんて生命力なんだ。常人ならとっくに死んでてもおかしくは無い。」
呆れたような口調で話し始める医者だったがギリアムの耳には彼の言葉の半分も届いていなかった。
ギリアムはだた一つの台詞を心の中でただ反復していた。
(生き延びてしまった生き延びてしまった生き延びてしまった生き延びてしまった…)
そう、生き延びてしまった。
オレの為に軍人、民間人を合わせて何十万、何百万と言う人間が無駄に死んだ。
今生きている人々の中には家族、友人、恋人、師弟…大切な人を失った人々も大勢いるだろう。
その人々にとってオレは憎んでも憎みきれない存在であり、八つ裂きにしてもその憎悪が消える事は無いだろう。計画が失敗した今、オレが出来る事は亡くなった人々の後を追い詫びる事だけだった。それがオレの為に死んで行った部下、敵、民間人、そしてオレ自身へのけじめの付け方だった。なのに…。
「何故だ…オレの身体には時空歪曲によるワープに耐えきれるほどの体力なんて残ってなかったはず…仮に残っていたとしても、ワープ着地点から病院へ運ばれたんでは絶対に間に合わなかったはずだ!!」
「大声を出すな。ここは病院だぞ。」
「あ、ああ、すみません。」
そうだ。ここは病院だった。医師に注意されてギリアムは頭を下げた。
「まぁ確かに、普通あの状態からではまず助からんわな。
だが、君が助けた人物がうちの看護婦と言うのは運が良かった。」
「看護婦…ですか?」
そう言えば助けた女性は看護婦の服を着ていたような気がした。
既に目が霞んでいて服装なんてうろ覚えだが。
「彼女の気の利いた応急処置と君の体力…そして私の手術のお蔭だよ。君が生きているのはね。」
「はぁ…。」(どうして看護婦なんかがうちの要塞にいたんだろう…誰か病人でもいたのか?)
医者はそう言うと立ち上がり、廊下に出た。
「おーい!お前の王子様がお目覚めだぞ!」
(何だ?王子様って…)
そう叫ぶ医者に、ギリアムは疑問の眼差しを向けた。
同時に(あんたは病院で叫んでもいいのか)とも思った。
叫び終わると、医者は部屋に戻ってきてまた椅子に腰掛けた。
「彼女だが、もうすぐ来るよ。この一週間君の事をずっと看病してたんだ。随分と君にご執心のようだぞ。土壇場で助けに来てくれた君の事が白馬に乗った王子様のように見えたんだろう。」
「それで王子様…ですか。」
自分はそんな大層なモンじゃないとギリアムは思った。
亡霊と言う名のパワードスーツ(注:PTじゃありません!)を駆り、この手でエルピス中を血の海に染めて行った男なのだ。しかも通り名は「漆黒の堕天使」。
白馬に乗った王子様像とはほど遠い。
コンコン。ガチャ。そんな事をしてるうちにまたドアが開いた。
入ってきたのは一人の看護婦さん。
服装はあまり覚えてなかったが顔は分かる。確かにギリアムが助けた、あの女性だった。
さらさらとしたブラウンのロングヘアが印象的である。
「先生、あの人の目が覚めたって本当ですか!?」
「ああ。お前の王子様ならこの通りピンピンしている。」
「もう、その言い方止めてください!」
どうやら「王子様」はこの医者が勝手に使っているだけのようだった。
「ちゃんと名前で呼ばないと失礼です。」
「その名前が分からんから仕方がないだろう。」
「"第2個室の患者さん"でいいじゃないですか。」
自分そっちのけで、自分の呼び方の事で論争を始める二人を前にギリアムは戸惑った。何をすればいいんだろう。…とりあえずは仲裁してみるか。
「ケンカはやめて下さい。私の呼び方なんてどうでもいいですから。」
「「…」」
黙る二人。医者の方がギリアムを指さした。
「そもそも君が真っ先に名乗らないのが悪い。礼儀知らずな奴だ。
『私は○×です。助けて頂いてありがとうございました。』と言うは常識だろう。」
「先生!」
「本当の事を言ったまでだ。」
キリが無い。事態を打開すべくギリアムは名乗る事にした。
「分かった、分かりました。名乗ります。
私の名前はギリアム・イェーガー。助けて頂いてありがとうございました。
これでいいんでしょう?」
うむ、と医者は頷くと言った。
「分かれば良いのだイェーガー君。人間素直が一番だ。君の体力なら退院までは1カ月かかるかかからないか位だろう。それまでは彼女に世話になりたまえ。治療費はいらん。彼女が払うと言っている。」
そして看護婦の肩をぽんと叩く。
「あ、すみません。申し遅れましたが当院の看護婦です。あの時は助けて頂いてありがとうございました。貴方は命の恩人です。今度は私が精一杯イェーガーさんの命を守らせて頂きます。」
できればあのまま死なせておいてくれれば良かった。なんて口が裂けても言えない。
「よろしくお願いします、イェーガーさん。」
そう言うと看護婦はにこっと微笑んだ。その時だった。ギリアムの身体に稲妻が走ったのは。
ドクン。何故か、心臓の鼓動が高まる。
(なんだ、この感情は…)
この世界の未来にの事に全てを奪われていた多忙な日々には無かった女性への関心が初めて開いたのだ。ギリアム=イェーガー生まれて以来の一目惚れ…初恋だった。
「あ、ああよろしく。ただ敬語じゃなくて普通に話して貰えないか。
あと、ファーストネームで呼んでくれて構わない。」
クールに言ってみたつもりだったがギリアムの台詞にはどことなくぎこちなさが感じられ顔が少し赤くなっていた。
それから数週間の間、ギリアムのこの看護婦との入院生活は続いた。
体力が戻って歩けるようになってからは付近の散歩なども共に出来るようになった。
ギリアムの彼女への思いは日増しに強くなっていった。
彼女のほうもまんざらでは無いようで、二人はデート気分の日々を幸せに過ごしていた。
そしてそれはギリアムの退院の一日前の事だった。
夜中、ギリアムの部屋をこの看護婦が訪れた。何時もの様なノックも無しに、そ〜っと。
「ねぇギリアムさん…。」
「…? どうした、こんな時間に。」
看護婦はそのままギリアムの目の前まで歩み寄る。
「いよいよ明日ね。退院。」
「ああ。君と、あの先生のお蔭だ。私が命を取り留めたのは…感謝している。」
「ねぇ、退院してからもまた会える?」
「当然さ。全てを失った私には…もう、君しかいない…」
「ん…」
いつの間にかベッドの上にのっかっていた看護婦をギリアムは抱き寄せ、キスをする。
しばらくの間はちゅぱちゅぱと言う音だけが聞こえていた。
「…私もよ。失ったの。家族も、恋人も…。」
「恋人…いたのか。」
「死んだわ。兵役を課せられて、満足な訓練もさせられないまま最前線へ送られたって…」
ドキッ!!ギリアムの身体が突然はねた。額が汗で濡れている。
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない…」
曖昧な言葉を返すギリアムだったが実の所思い当たる事ありまくりである。
軍事大国ジオン公国との戦争は正攻法の他にアクシズお得意の謀略作戦を使ってもなかなか苦戦した戦いだった。当然精鋭部隊はなるべく多く用意する必要がある。
だが一日や二日で精鋭部隊が育つ訳では無い。MSならパーツを造って組み立てるだけだがパイロットの育成には時間が要るのだ。当然エース育成期間の間前線を維持する捨て駒が大量に必要になってくる。そこで使う手段は国内の男と言う男に赤紙をバラまく事である。
民間人を兵に仕立てて精兵ができるまでの楯にするのだ。
そんな事を実行したアクシズの最高責任者はと言うと…
「…アポロン。」
看護婦は呟いた。
「この人のせいよ。この人のせいで、あの人は死んだの。」
「…。」
どうすればいいんだろう。ギリアムはリアクションに困った。
「アポロン総統は理想の世界を造る為に福祉を充実させて税金を軽くするとかしてたわ。でも、それはただの隠れ蓑に過ぎなかったと思うの。きっと、何か恐ろしい事を考えていたに違いない…」
当たっている。
税金を軽くし福祉を充実させれば民は自分に従い、やがてエルピス全土を征服しやすくなる。
エルピス全土をいったん統治した後にやろうとしていた事は一切の文明の破壊と一部の人間を残した上での惑星規模での大虐殺。
そして選ばれた人々と共にまったく新しい世界、ユートピアを造り上げる。
これがプロジェクト・オリュンポスの全貌であった。税金や福祉の件は所詮エサに過ぎない。
「私には理想だとか難しい事は分からないわ。でも人々の命を簡単に捨てて行ける人がやっていた事は正しいと思わない…」
「…。」
ギリアムははっとなった。負けた時の気持ちを思い出したのだ。
ここにも自分の為に苦しんでいる人がいる…こんな人は世界中に大勢いるはずだ。なのに自分一人は正体を隠してこんな所で幸せに浸かっている。
許される事では無いではないか。
「私があの日要塞に居たのってね。貴方達ゼウスを助ける為だったのよ。」
この娘、自分をゼウスのメンバーと勘違いしているのか。
(確かにゼウスにも居た事はあったがその時の俺は既に…)
そうか。オレへの憎悪をいっぱいに膨らませて、この娘はあのダンジョンを進んで来たのか。
「でも、結局足手まといにしかならなかったわね。私を助けに来てくれた貴方には大怪我させちゃったし…。」
違う。全然違う。
「でもあれがきっかけでギリアムさんと知り合えたんだから、運命て不思議よね。」
「…。」
「ねぇギリアムさん…世界中の人々が皆ギリアムさんみたいならいいのにね。優しくて正義感が強くてたくましくて。 好き。本当に。」
(オレはこの娘を騙しているんだな…それっぽい外見で。彼女の純粋さを利用して。)
笑みを作る看護婦とは対照的に心の底から罪悪感を感じたギリアムの表情は暗くなった。
いつの間にか下着姿になっていた看護婦がギリアムに抱きついていた。
「お願い…抱いて。私、ギリアムさんの子供が欲しいの。」
下着をつけていても彼女の胸の豊満さが分かる。
ドキドキ。思わず見とれてしまったが…(ぶんぶんぶんぶん!!)
「待て、ちょっと待て!」
相手の両肩を持ってずいっと後ろへ離す。
「私の事、嫌い? そうよね…ベッドの中で昔の恋人の話持ち出す女なんて…」
がっくりと肩を落とし服を着始めた看護婦の手をギリアムが掴んだ。
「オレが、アポロンなんだ。実は。」
精神の限界だった。
とてもこれ以上、ぬけぬけとこの甘い時を貪ってはいられない。
「…。」
「…。」
二人の間で、時が止まった。
「ギ…ギリアムさんって嘘が下手ね。そんな事がある訳…」
ギリアムの目つきが先程とは違っていた。
口調もシャープになっている。
「…オレを倒しに来た友人もそう言ってたよ。これを見るまではな。」
ギリアムの手が光った。そこから出てきた物を、彼女に見せる。
「…!」
看護婦は絶句した。ギリアムの手には、真っ二つに割れた真っ赤な仮面が握られていた。
額の所に太陽神(アポロン)を象徴する太陽の模様をかたどった金色のエンブレムが輝いている。
紛れも無く、アポロン総統の仮面だった。
「…君を騙すつもりは無かった。何とでもしてくれ。君のオレに対する恨みはオレを殺すくらいでは消えないだろうが…今君に差し上げられるオレの持ち物は、この命以外の他に何も無い。」
「…。」
「本当は、オレはあの日にヘリオス要塞の中で朽ちるつもりだった。だが君を助けを無視する事は、オレにはできなかった。君を救おうとして君に救われた命だ。好きなように…してくれ。いや、君の手を汚すまでも無い。オレは明日、自ら命を絶って…」
「…ざけないでよ。」
「…?」
「ふ ざ け な い で っ て 言 っ て る の ! ! ! ! 」
病院中どころかモウサ市全体まで響きそうな声で看護婦は怒鳴った。
普段の彼女からは想像もできないような、大声だった。
「私は看護婦よ!?理由がどうあれ、誰かが絶命する所なんて見たくないわ!!」
病院内では静かにしなくていいのかとは流石に言い出せない。このムードでは。
「だ、だが…君はオレを倒しに来たゼウスを手伝いに来たと…」
「あの人達は貴方を説得に行っただけでしょう!今の貴方の政策を交渉でどうにかしてくれるかもしれないと思ったから手伝いに行ったの!結果的に戦闘になっちゃったみたいだけど…彼らが初めから貴方を殺す為に動いてたと言うなら私は絶ッッ対に手伝いになんて行ってない!もし貴方が自殺なんてしたら、私は絶対貴方を許さないんだから!」
そう言えばそんな気がする。あの三人もマサキとか言う少年も始めは説得に来たと言っていた。
それにしても、なんて人だろうか。
これ程まで人の命を何よりも尊く思っている人は未だに見た事が無い。
惚れなおしたと同時に自分とはとても釣り合いのとれる人では無いと思った。
(いや、どの道嫌われた事確定だろうからそんな事は考えるだけ無駄か…)
しかし困った。自ら命を絶つ事は一番始めに決めていた事だったのだがそれをすれば彼女は自分を許さないと言う。
「…私は、どうすればいいのだろうか。」
死んだ人達にこの首を捧げる以外に自分に何か出来る事はあるのか?
「たくさん人助けをして、罪を償って。今を生きている世界中の人々の為に。」
「この世界にはもう私に出来る事は無い。エルピスには、あいつらがいる。」
「この世界だけじゃないわ。他のたくさんの世界の人達の皆の為に…貴方の力を貸してあげて。」
平行する世界は無限に存在する。その世界の1つ1つに、それぞれ人々の生活がある。
自分の持つ力を、その人々を助ける為に使えと言っているのだ。
「…分かった。私の罪が許される日が来るまで、私は人の為に働き続けるとしよう。」
「もう1つ。」
再度ギリアムの身体に抱きつく看護婦。
「あなたの子が欲しい。」
「こんな、大悪人のか?」
呆れた口調でギリアムが問い返した。
「貴方は悪人じゃない…でなきゃ私を助けてくれたりしないわ。悪いのは死んだアポロン総統でしょう。ギリアムさんは違う。」
「…分かった。服を脱ぐから、ちょっと待ってくれ。」
ギリアムが服を脱ぎ始めたのを見て看護婦もブラのホックをはずした。
圧迫されていた大きな胸が開放され、プルンと揺れる。
その瞬間を見ていたギリアムの視線が彼女の胸に釘付けになった。
女性関係など経験した事の無いギリアムにとって彼女の豊満なバストはかなりの刺激物であったのである。
ギリアムは服にかけた手を止め、そのままじっと見ていた。
「ちょ、ちょっと。そんなに見つめないで。恥ずかしい…」
「あ? ああ、すまない…」
そう言うとギリアムは視線をそらし自分の作業を続けた。
やがて一糸まとわぬ姿になった二人はベッドに座った状態で唇を重ねた。
「じゃあ、来て…」
ギリアムは無言で頷くと看護婦の肩を持ってベッドに押し倒した。
そして優しく、彼女の胸を愛撫する。
全体をまんべんなく撫でるように両手を動かす。
(これが、女性の胸の感触か…)
柔らかく、暖かく、なんとも懐かしい感じである。
とにかくギリアムは彼女の2つの丘陵を撫でて、揉んだ。
「あ……ん、んん……はぁあ……」
やがて看護婦の口から喘ぎ声が聞こえてきた。
それがギリアムの性欲をさらに掻き立てる。
ギリアムは右手で乳をつかみながら、その先っぽを口に含んだ。
舌が、彼女の乳首を舐め回す。
「はぁっ…はぁ……ああんっ…」
看護婦は全身をもじもじと動かし始めた。
彼女の身体は既に桃色に変色してきている。
ギリアムの手が下に伸びた。
「そ、そこ…は、ひゃんっ!!」
肉壺に指が入ると看護婦は身体を跳ねさせた。
ギリアムの指はやがてクリトリスに至る。
「これは…」
二本の指でクリトリスをは挟むとくりくりといじり出した。
看護婦の身体を猛烈な快感が襲った。
「はああっふあああ!!」
開いた口から涎がたれ、身体が弓のように反る。
更に大量の愛液が分泌された。
「いいっ…ギ、ギリアムっさんっっっ…!!」
「そろそろ、いいか?」
指を戻して尋ねる。
「え、ええ……。」
「私もそうしたい、が。」
ギリアムは自分の肉棒を見た。
こっちはまだ準備は整っていないようである。
「ご、ごめんなさい。私ばかり感じちゃって…。」
「私も十分楽しんでいたさ。だが…どうした物か。」
「…任せて、貰えないかしら?」
ギリアムが無言で頷くと看護婦はギリアムとは反対向けに寝そべった。
胸の谷間に、ギリアムのそれを挟み込む。
「なにを… っ!?」
「うん…んっ」
肉棒を挟んだまま、胸を動かし始めた。
「ちょっ!?」
ギリアムの中を快感が走る。股間が反応を示してきた。
看護婦は根元は挟んだまま頭の所をくわえ、舌を走らせる。
「ふむ、ちゅぱ……れろれろ、ふむぅぅ…」
ギリアムが満足するまで、看護婦は奉仕を続けた。
「うおッ!!」
びゅっどくどく…勢い良く発射された精が看護婦の顔や髪、それから胸を白く濁す。
ギリアムの股間は既に張り裂けんばかりになっていた。
「す、すまない…君の美しい髪をベトベトにしてしまった。」
「髪は洗えばいいだけ…それより…」
「ん?」
ギリアムは自分の股間を見た。準備完了している。
「ああ。感謝する。」
「お礼には及ばないわよ。」
「いや、礼は…」
ペロペロ
「はぁ、ちょ、やっ!はうん!!」
向きが逆になっているのをいい事に彼女の股間を舐め回した。
「な、何するの!?」
「ごめん。嫌だったか?」
「嫌じゃないけど…ちょっと、びっくりした。」
看護婦はそう言って元の向きに戻った。
「じゃ、行くぞ。」
「…来て…」
上向けになった看護婦にまたがったギリアムはゆっくりと腰を落としていく。
そう使い込まれていない彼女の中に、自らの肉棒を埋めていく。
「あああーーー…」
ようやく、奥まで入った。
「…動いて、いいかな。」
「ええ…。」
ギリアムは腰を動かし始めた。
始めはゆっくりと、そしてだんだん早く。
「あっはっギ、ギリアムさんっっいいっ!!」
(締め付けが…こうもクるとはな……)「うおっ…」
腰の動くスピードが増すごとに彼らの気は高まり、息は荒くなっていった。
「ギ、ギリアム…さん……私、も…もう…」
「こっ…ちも限界だ……出すぞ…」
「ちょうだい…ギリアムさんの…あっ!はっ!はああああん!!」
看護婦の中で、ギリアムは達した。
翌日。
モウサ市のはずれの広場にギリアムと医者、看護婦の姿があった。
「お世話になりました。」
「どうしても行くのかねイェーガー君。我々は君の正体を公にするつもりは無いぞ。」
「はい…でもこれが、私に出来る唯一の罪滅ぼしですし、彼女との約束ですから。」
そう言ってチラっと看護婦の方を見た。
「平行世界を回る旅と言うが、一体幾つの世界を回るつもりかね?」
「分かりません。千か一万かそれ以上か…とにかくこの世界で多くの人々を犠牲にしてしまった以上、力ある限りその世界の人々の為に活動しようと思います。」
「ギリアムさん、行ってらっしゃい。頑張ってね。」
「ああ。行って来る。」
ギリアムは看護婦を抱きしめた。
「私の事、忘れないでね。」
「忘れない…君と先生の事は、絶対に…。 」
二人は抱き合ったまま唇を合わせた。別れのキス…である。
「じゃあ離れて。アウフ・ヴィーダーゼン!!」
時空が歪み、ギリアムの像がボヤけて来る。
そして物の数秒と経たぬうちにギリアム=イェーガーがエルピスから姿を消した。
寂しそうに空を眺める看護婦に医者が問いかけた。
「…行ってしまったな。良かったのかね?」
「はい。…ところで先生、それは?」
看護婦は医者の持っていた箱を指さした。
重くは無さそうだが、少し大きめの箱。
「これか? なんでも知り合いの子への贈り物だそうだ。代りに郵便局へ持ってってくれと頼まれてな。」
「贈り物、ですか。」
「ああ。君には何も残していかなかったのにな。」
「いえ、ギリアムさんはちゃんと…残して行ってくれました。」
看護婦は自分のお腹をさすって微笑んだ。
「ふむ…人類同士の争いに加えインスペクターと呼ばれる異星人の来襲、異世界への召喚、今度は異星人ゲストの攻撃…荒れてるな。とりあえず、地球連邦政府とやらに入ってみるか…。」
ギリアム=イェーガーの終わり無き旅が始まった。 -Fin-
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