ポケットの中の携帯が震える。
そっと取り出す自分の手も震えていた。

『何してるの?早く来なさいよ』

簡素な文面が、私の心を動揺させる。
動悸がが激しい・・・この場所から逃げ出したい
苦しくなって、胸を必死に押さえてみるが、おさまらない。
艦内の音も、廊下の突き当りにある食堂から聞こえてくる笑い声も
少しずつ小さくなる。目の前が真っ白になって、気が遠くなる感覚に襲われる。
これから始まることを思い、私の意識はかき乱されていく。

ツグミの部屋の前に立った。静かに扉が開く。
「遅いわよ・・・そんなに罰がほしいの?」
ツグミは、そういうと妖しげな目つきで私を睨んだ。
口元はわずかに緩んでいるが、それがなおさら私の恐怖心をあおる。
「ご、ごめんなさい。すこし・・・体調が悪くて・・・」
焦点の合わない視線を、床に落としながら私は答えた。
「いいわ、いらっしゃい」
そう言うと、ツグミは慣れた手つきで私の首からチョーカーを外した。
その下から赤い首輪が隠れている。

この首輪は、私が飼われている証
彼女は、首輪にリードをつける。それが合図
私の鼓動が、また少し速くなる
静かにひざまづき、四つん這いになった私に対して
ツグミがほほ笑みかける
「ふふ。いい子ね。今日は何をして遊ぼうかしら」
そう言ってクスクス笑うツグミ。
私の体は、その笑顔を見ながら鋼のように硬直していった・・・

「あなたは、どうして私の目で四つん這いになってるのかしら?」
「それは、私がツグミさまのペットだからです」
「よくできました。」
そういうと、彼女は勢いよく鞭を振り下ろす。
私の背中に激痛が走った。思わず反り返る。
ツグミは、それを目を細めながらみつめる。
「どうして、あなたは私のペットのなってるのかしら?」
「はい。私が品性下劣な雌豚だからです。」
「そうよね、私は躾をしてるの、この雌豚を!!」
また、部屋に鞭の音が響く。
お尻に、背中に、容赦なく鞭が叩きつけられる。
唇を噛み、目を閉じて、私はじっとその痛みに耐える・・・

こうなったのには理由がある。

まだ、二人で研究所にいたころのこと。
ツグミは、フィリオと付き合っていた。
私から見ても二人はお似合いだったと思う。
周囲にはあまり知られてないようだったけど、
ツグミが、私にはよく話してくれていた。
フィリオのことをたくさん・・・

そんな、ある日のことだった。
飛行訓練のことで、私はフィリオに呼び出された。
いつもなら研究室か、訓練室あたりで話をするんだけど
あの日は、なぜかフィリオの自室だった。
あの時の私は、何の疑問も持たずにフィリオの部屋に向かった。
もし戻れるなら、あの日の自分に教えてあげたい。

行っちゃだめだ・・・って

「やぁアイビス。よく来てくれたね・・・」
部屋の前まで来た私を、フィリオが部屋の中へと案内した。
部屋に入ると私の後ろで、鍵を閉める音がした。
振り返ると、ドアの所に立っているフィリオが、鍵に手をかけていた。
部屋の中は不自然に暗く、私は、少しずつ違和感を感じ始めていた。
無駄なものがあまり置かれていない、彼の部屋がなんだか不気味に思えた。
「どうしたの?」
そういって、いつものように微笑むフィリオをみて、私の体が硬くなった。
「な、なんでもない・・・」
何とか絞り出した声は、部屋の暗がりへと消え入りそうな程度で
そんな私の様子を見ながら、フィリオがまた少し笑った。
全身から冷や汗が出そうで、なんだか鼓動が速くなるのがわかった。
「そこのソファーにすわりなよ。今飲み物を出すから・・・」
そう言って、フィリオは隣の小さな給仕室へと消えた。
へー、あんな部屋もあるんだ・・・
得体のしれない恐怖が少し和らぎ、余裕ができた私は
フィリオの言うとおりにソファに腰掛け
部屋を見回した。

フィリオの部屋はとても簡素だ。
少し幅の広い机の上には、研究のためと思われる本がたくさん並び、
その横の写真立てには、ツグミとのツーショット写真が入れられている。
部屋の隅には観葉植物が置かれ、壁には惑星間の航行図が飾られており、
今私が腰かけているソファの後ろからは、フィリオがお湯を沸かす音が聞こえる。
ツグミの部屋なんかには、可愛いヌイグルミや、
可愛い服、料理雑誌なんかが置かれていて、いかにも女の子といった感じ。
考えてみれば、男の人の部屋に入るのって初めてだからなぁ・・・
薄暗い部屋を眺めながら、私は思った。
ずっと訓練ばかりで、考えてみれば誰かの部屋に入るのは、
ツグミ以外では初めてだ。さっきの緊張は多分そのためだろう。
そう考えると、強張っていた体が和らいでいくのがわかった。
「お待たせ」
そう言ってフィリオがいれたてのコーヒーを目の前のテーブルに置いた。
美味しそうな香りがする。
「美味しく淹れたつもりだよ。わりと皆褒めてくれるんだけどね。
僕のコーヒーの味。」
そう言いながら、フィリオは私の隣に腰かけた。
「ほんと。美味しそうだね」
猫舌の私は、すこし息を吹きかけ、それからカップに口をつけそっと飲んだ。
スイーツ好きの私には、少し苦かった。
「ごめん。苦かったかい?」
顔に出てしまったのだろうか。フィリオが尋ねてくる。
「ううん。大丈夫。おいしいよ。」
「そうかい?よかった。そうだ、クッキーもあるんだ。」
「ほんとに?嬉しい。」
フィリオは立ち上がると、向かいの棚の下の引き出しから、美味しそうなクッキーを取り出して
小皿に入れてくれた。
「どうぞ」
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
口に含んだ、そのクッキーは、とてもやわらかく、そして甘い。
「おいしい。」
「はは、今度は本当においしそうな顔してるよ。」
そう言ってフィリオは私を茶化すように笑った。
「もう・・・ひどいよ」
多分顔が真っ赤になってたかもしれない。私は拗ねるようなふりをしながらも
またクッキーを頬張った。やっぱり美味しいものはおいしかった。

「それで話なんだけど」
唐突にフィリオが切り出した。
「あ、うん。どうしたの?」
「君は努力している。腕も悪くない。」
「・・・」
「でも、それだけじゃ足りない。今の君ではパイロットとして力不足だ。」
「・・・そう」
フィリオの言葉が私の胸に突き刺さる。

力不足

スレイや仲間には何度も言われてることだ。
けれど、フィリオに言われると、なぜかすごくつらかった。
他の誰よりも、フィリオの言葉は私の胸を締め付けるように響く。
「それ・・で・・・アタシは・・・もう乗せてもらえないの?」
私は涙をこらえながら、必死の思いで言葉を絞り出した。
「今のままだったらね。でも、僕はアイビスの夢を追いかける想いを大切にしたいんだ。」
「・・・フィリオ」
「だから、個人的に訓練してあげようと思うんだ。
厳しい訓練になると思う。頑張れるかい?」
「うん。うん・・・頑張るよ。ありがとう、フィリオ。」
私は、即答した。考える必要なんてなかった。
フィリオがそこまで私を買ってくれているのがうれしかった。
絶対にフィリオの期待に応えたいと思った。
「試験段階のものもある。それでも構わないかい?」
「うん。」
「そこまで強い意志があるなら、問題ないね。
じゃあ、今日から早速始めよう。特別ルームへいこうか。」
「そんな部屋あるの?」
「こっちだよ。実は、この部屋からいけるんだ。
と、その前に、これを手につけて。」
手渡されたのは、手につけるリストバンドのようなものだ。
「訓練の一環だよ。」
フィリオの言葉に、私はなにも疑わずにそれを両手にはめた。
「実は、まだ実験段階の設備もあるからね。
人に見られるわけにはいかないんだ・・・。悪いけど少し後ろを向いていてくれるかい?」
私は、フィリオの言葉に、素直に従った。
その瞬間、首に何かを撃ち込まれるような感覚を覚えた。
思わず倒れこんだ私は、薄れゆく意識の中で、
自分を見下ろしながら下卑た笑いを浮かべるフィリオを見た・・・。


今考えれば、おかしな所がいくつもある。
でも、あの時の私は、フィリオに不安をあおられ
「正規のパイロットになりたい」「宇宙を飛びたい」
その思いばかりで、冷静さをなくしていた。
全てはフィリオの計画通り。
私は、すごく愚かだった

どれくらいの時がたったのか分からない。
目を覚ました私は、先ほどと同じくらい薄暗い部屋の中にいた。
私はベッドの上に寝かされているようだ。
さっきの部屋とは違う。はっきりとは見えないけれど、変わったものがたくさん置いてあるようだった。
なんだか生臭い匂いが鼻にを刺激する。
「う・・・うん・・・」
目が覚めた私は、体を動かそうとしたがうまく動けない。
薬を打ち込まれたのだろう。力も入らない。
瞼が重く、うまく開けない。
私は、おぼろげな視界を、自分の体に移して、驚いた。
「な・・・何これ」
私の手足は、ベッドに鎖で固定されており、体には
バスローブしか身につけていない。
「ど、どうして・・・」
頭の中が混乱していてさっぱりわからない。
混乱している私の耳に、誰かの靴音が届いた。
私は緊張から全身をこわばらせる。
「フィ・・・フィリオ・・・?」
暗闇の中にいて、顔が見えない相手に向かって
私は恐る恐る問いかけた。
「おはよう。アイビス」
間違いない。返ってきたその声は、フィリオのものだった。

「かわいいよ、アイビス。すごく素敵だ。」
そう言いながら、フィリオは私の体に触れる。
「や・・・やめて・・・」
緊張しすぎて声がうまく出せない。フィリオに触られたあたりが、ひどく気持ち悪い。
「大分緊張しているね。」
そう言いながら、彼は私の全身を品定めするように見る。
その目はひどく恐ろしかった。全身から血の気が引いていく感覚に襲われる。
もう声すらだせない。ただ、恐怖で体を硬直させ、今起こっていることを悪夢なんだと自分に言い聞かせた。

ずっと訓練ばかりだった私は、世情に疎い。
でも・・・何をされるか何となく感じた。凶暴な宇宙怪獣の前に放り出されたような恐怖。
逃げようと、力を振り絞ってもがいても、腕を固定している鎖は切れるはずもない。
私がもがく姿を見て、フィリオがニヤニヤ笑っている。
「そんなに恐がらなくてもいいじゃないか、アイビス。もしかしてしたことないのかい?」
「・・・あ、、そ、そんなこと・・・」
「ははは、嘘はよくないな。」
「う、嘘じゃない!!」
「顔真っ赤にして言われても、説得力がないよ」
私を嘲笑するフィリオ。
言い返したいけれど、何も言い返せない。
私は経験がないどころか、彼氏だっていたことがない。
それなのに・・・こんなのって・・・
悔しくて・・・怖くて・・・私の眼から涙がこぼれおちる。
「おやおや・・・泣きべそかい?よしよし僕が拭いてあげるよ。」
そう言ってフィリオが、私の顔に、自分の顔を近づけてくる。
「あ、あ・・・」
なんだか怖くて声が出ない。
やめて、と叫びたい。
フィリオが、私の涙を、舌を出し舐めとる。寒気がする。気味が悪い。
体中に虫が這いずりまわってるような感覚だった。
悔しさでまた涙が出てくる。
「おやおや。そんなに僕になめてほしいのかい?
可愛いね、アイビス」
そういって、フィリオは高笑いをした。
変態、変態、変態・・・気持ち悪い
こんな奴に、これから犯されるって考えると、悔しくて涙が止まらなかった。

「さて、そろそろ始めようか。
まずは、これをつけようね・・・」
そういって、彼は取り出したアイマスクで、私の目を覆う。
視界をふさがれ、私の緊張はさらに高まる・・・。
鼓動が速くなる。全身から汗が出る。
怖い、怖い、怖い、怖い・・・
「ふふ、怖がってるね?ビクビクしていて素敵だよ、アイビス。
君は昔から臆病だ。その臆病さが、パイロットとして致命的なんだよ
その程度の腕で本当にパイロットになるつもりかい?
さて、舌を噛み切られると困るから、これを口にはめさせてもらおうかな・・・」
目隠しされていて何か分からない。
布上のものを口にねじ込まれ、さらに何かで口を固定される。
「――――-!!」
声を出そうとしても、声にならない。
「ははは、何か言いたいのかい?だめだよ・・・
抵抗できない子をいたぶるのが好きでさ・・・
特に、君のような臆病で、男を知らなさそうなウブな子を虐めるときが最高だ・・・
最高だよ、アイビス。」
そう言った、フィリオの手が私の胸に触れた。
視覚を奪われた私の身体は、突然の刺激に激しく反応した。
思わ身体が反り返る・・・。
その様子を見たのだろう・・・フィリオは満足そうに笑った。

視覚を奪われ、手足も拘束され、声を出すこともできない私は
フィリオの執拗な愛撫に必要以上に反応してしまう。
彼の手が私に触れるたびに、私は体をくねらせて反応してします。
「ははは、素敵だよ。
そうやって、よがる様子をみてると、最高に興奮してしまうよ。」
彼の愛撫はとまらない。
腰から太ももに、そして、徐々に私の大事な部分へと手がうごいてくる。
まるで、虫が這っているような気味の悪さ・・・
「やっぱり初めてみたいだね・・・」
満足そうに言うフィリオの声が聞こえる。
「―――――-!!」
必死に抗うが声が出ない、手足も動かない・・・
彼の指が・・・私の中に入ってきた・・・

頭の中が真っ白になり
私の目から、また涙が零れおちた。

「ははは、指一本でやっとだよ・・・」
彼の声が聞こえる。彼は指を擦りつけるようにゆっくり動かす。
痛みが走る。思わず悲鳴を上げるけれど
その声は、部屋に響くことはなく、口の中のかき消される。
「痛いかい?でも、指一本で、これを味わえるのも最初だけだ。
だから、もっと味あわせてあげよう。」
そういって、彼の指の動きは激しさを増す・・・
初めて味わう痛み。
全身に強烈な衝撃を受けたような感覚
「―――!!―――!!」

やめて!!助けて!!

必死に叫んでも、誰にも届かない
猿轡をされた私の口からは「う」という音がむなしくこだまする。
不安が恐怖に変わり、恐怖が絶望に変わっていく

「それにしても小さな胸だね、アイビス」
「―――」
フィリオの言葉が私の羞恥心を刺激する。
「まるで、幼女のようだよ。ツグミの胸なんて、手からこぼれるほどなのに・・・
ほら・・」
そう言うと、彼は私の胸に手を触れる。
どんなふうに、いつ触れられるのか分からない私は
またしても過剰な反応をしてしまう・・・
それを嘲笑するように、彼は胸を愛撫してくる。
「でも、これだけ小さいと、コックピットで無駄なGがかからないだろう?
なんてね、ハハハ」
「――――!!!」
何がおかしいのよ、変態!!
今すぐ引っ叩いてやりたい・・・
あの下品な笑いを浮かべられないくらいに
こんな奴に、嬉しそうに夢を語ってたのか・・・
こんな奴に・・・こんな奴に・・・
「宇宙を飛びたい」
自分の大事な夢まで、なんだか汚された
最低な気分

フィリオは私の体をまさぐり続ける。
アイマスクに阻まれて、様子がわからない。
不快な感覚だけが、全身を這いまわる。
「さて、そろそろ味見してみようかな・・・」
愛撫がやんだ。
ベッドがきしむ音がする。彼もベッドの上に登ってきたようだ・・・
鼓動が速くなるのが分かる。
「―――!!」
さっき私の顔を走ったおぞましい感覚が
私の大事な部分にも走る。
舐められてる・・・
目ではわからないけれど、感覚で十分にわかる・・・
それほどに残酷に、ハッキリと理解できた。
初めての感覚に、私はひどく動揺していた。
「ん・・・んぅ・・・」
思わず鼻から声が漏れる。
「どうしたんだい?気持ち良かったかな?
ハハハ・・・アイビスはこれがお気に入りなのか?」
そういった彼の舌が、さっきより深く侵入してくる。
気持ちいいわけない・・・吐き気がする・・・
「―――んっ!?」
一瞬、頭が真っ白になる。
体の全身でショックを受けた感覚。私は、のけぞってしまう。
「ははは、クリトリスを責められるのがいいみたいだね?」
フィリオは何度も何度も同じ場所を刺激する。
そのたびに信じられないほどの痺れが体中に走る。
自分の体が、まるで、どうにかなっているようだった。

執拗なまでのクリトリスへの責めを受け
私の体は完全に抵抗する力を失っていた。
「さて、そろそろ頂くとしようか・・・」
その言葉の意味するところは分かったけれど
もうすでに、私には何もできない。
声を出すことも、ここから逃げ出すこともできない。
手足にしびれが残り、力が入らない・・・
「そうだ、せっかくだし、アイマスクを外してあげよう。
みたいだろ?」
そう言って、彼は私のアイマスクに手を懸け
ゆっくりと外した。
私の上で、フィリオが卑しい笑いを浮かべている・・・
「ほら、こいつが今から君の中に入るんだ・・・」
そう言って彼は私に、アレを見せようとする。
見たくもなかった。
私は目を閉じて、顔をそむける。
「ほら、御覧よ・・・」
見たくない。その一心で私は目を閉じたまま頭を左右に振った。
「いいから、見るんだ」
「見るんだよ、アイビス」
「・・・・」
何といわれtも、彼のものなんて見たくない。
「見ろと言ってるいだろ!!!!この糞あまがぁっ!!!!」
彼の怒声が轟いた。
あまりの豹変に、私は驚き、激しく動揺した。
穏やかな様子の、普段の彼からは想像もつかないほどだった。
「お前は、僕に、従ってればいいんだよぉっ!」
私の頬を二度三度と、彼が平手打ちする。
あまりの恐怖に、うめき声すら出ない。
「ほら、見ろよ・・・こいつが今からお前を犯すんだ・・・
手加減してやらないからな・・・」
彼の様子は、普通じゃなかった・・・
恐怖に支配された私の心は、ただ彼の言葉に従うことしか考えられなかった。
目を開き、それを見る。
激しく怒張したそれが、いまにも私の中に入ってこようとしている。
今から起ころうとしていることも、彼自身も、直視できない・・・
「目をそらしたら、只じゃ済まさないからな・・・は、はは」
私は、真白な頭で、彼の言葉を受け入れた。
叩かれた頬が痛む、まるで恐怖を刻まれて様に
私は朦朧とした頭で、彼をみる。
ゆっくりと、ゆっくりと彼のものが私の中に入っていく。
「はは、もうっちょっとだ・・」
自分の中に異物が撃ち込まれる感覚。
激しい痛みが私の体を駆け巡る。
「―――!!」
その痛みに、思わずかぶりを振る。
「見てろっていっただろ!!!」
繋がったその場所から、目をそらした私を、彼が激しくぶつ。
体が、いうことをきかず・・・がたがた震える。
痛さと怖さが同時に心を責める。
「いいぞ、動かすからな・・・」
そう言って彼は前後運動を始める。
突かれるたびに、私は下腹部をナイフで刺されるような痛みが襲う。
全身に杭を打ちこまれるような感覚を覚える。
初めてのそれはただ、ただ痛かった。
目をそらすたびに頬を激しく叩かれる。
はっきりとしない頭で、ただその行為を見つめていた。

ひとしきり行為を終えた彼は、私の中に精液を吐き出した。
ぼんやりとした頭で、それを確認する。
もうなにも感じなくなっていた。
「さて、仕上げにビデオを撮ろうか。記念撮影だ」
そう言って、奥の方へと歩いて行く。
もうどうにでもなればいい。

戻って来た彼の右手にはバケツ、左手には三脚、カメラが握られていた。
「よし、じゃあ準備するから少し待っていてくれよ・・・」
彼はにやにや笑いながら、三脚をベットの足の方に固定する。
カメラが私の姿を収めようと、レンズをこちらに向けている。
(バケツは何のためなんだろう・・・)
私はその様子を、ただ見つめていた・・・
「カメラはオッケー。じゃあ、仕上げだ。」
そういうと、彼はベットの上半身部分を起こした。
なるほど、顔を映して脅しにでも使うつもりか・・・

どうせ話せる相手なんていない。
二番目に信頼していた人に裏切られて、一番信頼してるのはソイツの彼女だもん
言えるわけないじゃない・・・

「ふふふ。ただカメラに収めるだけだと思うかい?違うよ・・・」
そう言って、彼はさっきのバケツから、注射器のようなものを取り出す。
私には、何に使うものか理解できなかった。

「分からない?こうするんだよ・・・」

彼はそれを、ゆっくりと、私のお尻の穴へと差し込む・・・
(まさか・・・嘘・・・)
「いくよ・・・」
彼はそう言って、私の顔を見てにやりと笑う・・・
ゆっくりと、ゆっくりとビストンを押し込む。
私の中に、冷たい感覚が広がっていく。
(あ・・・あぁ・・・)
「あれ、空になっちゃった?もう少し入るよね・・・」
そう言って、彼はまた注射器を満タンにして、私の中へと注入する。
おなかが苦しい・・・痛い・・・痛い・・・・
「二本分も入るなんてすごいよ。ははは」
そう言いながら、彼はビデオを回し始める。
おなかの苦しみに、悶える私を、嬉々とした表情で見つめている。
信じられない・・・くるってるとしか思えない・・・
お尻がヒクヒクしているのがわかる。
カメラの前でなんて絶対に嫌だ・・・
嫌だよ・・・

「早く出しちゃいないなよ・・・」

彼がそう言い終わるか終らないかの刹那・・・
耐え切れなくなったように、塞き止められていたものが、噴出した
フィリオの高笑いがこだまする中、私は気を失った。

そのあとのことは、何も覚えてない・・・
気がつくと、自室のベットで寝ていた。
枕もとに、アイビスへと書かれたCDが置かれていた。

起き上った私は、震える手でCDを再生した。

そこには、派手に排泄物をまき散らす私の姿があった。
体が火照ったように熱くなる。目をそらしたいけれど、石化したように体が動かない。

そこからは、さらに信じがたい映像が映っていた。
フィリオが、私の腕に何か薬を打っている。
そのして、猿轡をはずし、拘束を解いている。

そして、意識を失ったと思っていた、私は
恍惚とした表情で、彼と交わっている。
自分の排せつ物にまみれ、彼と絡み合うその姿に
私は引き裂かれるような思いになる。

テープは一時間ほども続く。
彼のものを咥えながら、自らの手で股間に張りぼてを挿入する私
後ろから、下から、彼に犯されよがり狂う私

全身から血の気が引いていく・・・
映像が終わり、画面が真っ黒になったけれど
私はその場でただ画面を見つめていた。
自分が信じられなかった。

「そうそう、この後にもう一本薬をうってあげたんだ。
薬の内容が知りたいだろ?今晩また、僕の所においで。
来ないなら、このテープ、君だけ編集したものがあるから
それを館内にばら撒くからね。楽しみにしてるよ・・・」

ビデオの最後にあった、フィリオの言葉を、頭の中で反芻していた。

その日の訓練中、ツグミと顔を合わせるたびに辛かった
いつも以上の散々な結果に、スレイに罵倒される。

お前のような負け犬が、兄様の機体に乗るな!!

・・・私だって、もう乗りたくないよ。こんな機体に
こんな機体に乗ってると、フィリオの顔が思い浮かぶから。
そのたびに吐き気がする。
汚物まみれで彼と交わっていた、自分の姿がフラッシュバックする。

アイ・・・ビス・・・アイビス・・・アイビス!!!

気がつくと、シュミレーターの画面に、撃墜された旨の文字が浮かんでいる。
「どうしたの?いつも以上に調子が悪いじゃない?
体調でも悪いの?」
「そんなことないよ・・・ごめんなさい。」
「いいわ。今日はもう休みなさい。」
「はい・・・。」
私は、ぐったりとした体を起こし、シュミレーターから降りる。
監督ルームには、ツグミの傍から私を見下ろすフィリオがいた。


こ・ん・や・も・まっ・て・る・よ


口の動きがそう言っていた。行きたくはない。
けど、あの映像を施設の人間に見られるなんて耐えられない。
それに
あの時に、腕に打たれた薬のことが、気になる・・・

その日の夜
私は、フィリオの部屋をノックする。
「どうぞ」
中から、フィリオの声が返ってきた。
声を聞いただけで、体が硬直する。
「やぁ、待っていたよアイビス。」
部屋に入った私を見て、彼が満足そうに言った。
立ち上がり、ゆっくりと私の方に歩み寄ってくる。
「掛けなよ。」
言われるままに、昨日と同じようにソファに腰を掛ける。
「ビデオは気に入ってくれたかな?」
背後から、私の耳元で、彼がささやくように言った。
耳に当たる吐息に、私の体は萎縮する。
「あ、・・・あんなの・・・」
声に出して罵りたいのに、うまくしゃべれない。
気持ちがざらついている。
「もしかして、興奮した?ははは、ずいぶん乱れてたもんね、アイビスは」
「そんなことない!!!・・・あれは・・・そう、あれは・・・」
「あれは?」
「く、薬のせい・・・」
根拠はなかったけど、ほかに思い浮かばない。
あんな風になるわけない・・・だって、私は覚えてない・・・
「じゃあ、これでまた、ああなるのかい?」
彼は、素早く私の首に、何かを注射する。
「な・・」
「それは即効性だからね。すぐにその気になるよ・・・」
「ひ・・ひどい」
「そんなこといっても・・・」
そう言いながら、彼は後ろから私の胸に触れてくる。
「ひぁ・・」
「可愛く鳴くね・・・昨日の今日なのに・・・」
そう言いながら、彼は少し強く、ゆっくりと手を動かす。
手慣れた様子で服を乱される。
触られた胸がジンジンする・・・
「薬は即効性だからね・・・もう感じるんだろ?」
「ん・・・くぅ」
声が漏れる・・・力が抜けてしまう。

「目が覚めたかい?アイビス」

・・・何で隣にフィリオがいるんだろう?
そう思いながら、私はぐったりとした体を起こし、あたりを見回した。
「な・・・何これ・・・」
私は誰のものとも分からない排泄物にまみれ、床の上に横たわっていた。
「フィリオ!!」
「どうしたんだい?怖い顔して。
さっきまであんなに嬉しそうに、自分のマンコを弄って喘いでたじゃないか。
糞にまみれ、指についた愛液を、アヘ顔でなめてだろ?」
「それは・・・あなたが薬を使って!!」
「くっくっく・・・はっはっは」
「何が可笑しいの!?」
「これが薬のせいだって?違うよ。あれは催淫効果なんてない
ただの栄養剤。常習性があるだけなんだよ。
つまり君自身が淫乱なのさ。」
「嘘よ!!だって・・・」
「軽い暗示さ。朦朧とした意識の中で、薬を打たれ乱れた。
それをはっきりした意識のもと、ビデオで見た。
薬のせいだという思いが強くなる。そして今日・・・」
「暗示・・・?」
「でも・・・」
「今日は驚いたよ・・・浣腸してほしいってアナルを広げるなんてね。
でも、おかげでいい画がとれたよ。みんなにも見せてあげたいな・・・」
「やめて・・・」
「いいよ・・・そのかわり、床に落ちてるくそを掃除してくれるかい。
道具はそこにあるよ。ただし・・・
最後の仕上げは、君の舌でね。」
「・・・はい」
私は、言われるがまま、自分の出した排泄物を掃除する。
情けなさでいっぱいだった。
「ほら・・・床にへばりついて、仕上げをしろ」
「わかりました」
私は膝をついて、床に顔を近づける。
糞便特有のにおいが鼻につき、思わず顔をしかめてしまう・・・
臭い・・・
それでも床をなめる私を・・・フィリオが嬉しそうにビデオに収めていた。

フィリオの部屋でシャワーを浴び
脱力した体を引きずりながら部屋に戻った。
部屋の明かりをつけずに、そのままベットに潜り込む。
きちんと洗ったはずなのに、まだ体が臭いような気がする。

私が望んだの・・・?

もう自分がわからなくなった。
その日は、そのまま眠ってしまっていた。

次の日、目が覚めると、日が大分高く上っている。
時計をみると、もう10時半になろうかというところであった。
「そっか・・・今日は訓練休みの日だっけ・・・」
いつもなら、街までツグミとスイーツを食べに行くところだけれど
今日はとてもそんな気分になれなかった。
暗い気持ちで、蒲団を頭からかぶったとたんに部屋をノックする音が聞こえる。
手元のボタンでパネルを操作し、外を確認した。ツグミのようだ。
「アイビス、聞いてる?一緒に食事に行かない?」
どうしよう・・・あんなことがあった後だし・・・一緒に行きづらいな

「実はフィリオも一緒なの。たまには三人でっていうのもいいでしょ?」
「どうだい?アイビス?」

寒気がした。強烈な悪寒が体を包み込む。
何で・・・フィリオも一緒なの・・・?

「寝てるのかい?・・・アイビス」
一瞬だったけれど、フィリオの目つきが変わった。
初めての日と同じように、私に何かを命じる目に・・・
「いま・・・起きたの。すぐ行くから・・・入口で待っていて・・・」
私は、か細い声で返事をして、回線を切った。
凶暴な獣ににらまれたような気分だった。
体中ががたがたと震える。「あの瞳」に対する恐怖が、私の体に刻みこまれているのがわかった・・・

「遅いわよ、アイビス」
時計を見ながら、ツグミが怒っている。
「ご、ごめんんさい。ちょっと準備に手間取って・・・」
「ははは。女の子だから当然だよ。
ツグミだって、いつも―――」
「ちょっと、フィリオ!!」
そう言って、ツグミは、わざとらしく頬を膨らませ、フィリオの腕を叩く。
理想的な恋人同士だ。ツグミは気立てもいいし、研究熱心。器量だっていい。
それに、すごくフィリオを愛してる。
言葉にしないけど、それは二人を見てればわかる。
それなのに・・・


「今日はどこに行くんだい?」
「そうねー・・・んー・・・アイビス、どこがいいかしら?」
急に話を振られて、私は我に帰った。
「あ、・・・ごめん。何?」
「もう!!訓練中だけじゃなくて、私生活でもぼーっとして。
今日はどうするのって話?」
「あ・・・そうだね・・・どこでもいいよ。アタシは」
「あら、いつもなら私をひっぱりまわすのに・・・どうかしたの」
ツグミは、心配そうに私をのぞきこむ。
(言えるわけない・・・言えるわけないよ・・・)
私を気遣うツグミを見ていると、涙が溢れそうになる。
その涙をこらえながら、適当な店の名前を言った。
「そのお店なら僕も知っているよ。じゃあそこに行こうか」
フィリオが笑顔で賛成する。ツグミも、それをみて、安心したようだ。
フィリオの顔を見るたびに、ビデオの映像を思い出す。
乱れて、正気を失い、彼を求めていた自分の姿が脳裏によぎる。
(ごめんなさい・・・ツグミ)
声には出せない。だからせめて、心の中で
彼女への謝罪を繰り返した・・・

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