自室のソファーに深く腰かけ、ライディースは目を閉じていた。明かりを暗めに落とした室内。
まるで眠っているかのよう。
……控えめにドアをノックする音がした。

「どうぞ」

良く通る声で返す。ドアを開けて入ってきたのは……アヤ・コバヤシ。無言でソファー近くまで歩を進める。ライもまた無言で、ドアをロックした。
声も交わさない動作。既に二人の間で確立されたスタイル。
視線を合わせないまま、二人は服を脱いでいく。淡々と、羞恥を感じさせないふるまい。
ショーツを足から抜き去り、たたんだ衣服に重ねたアヤ。と、背後からそっとライが抱き寄せた。

「あっ……」

豊かな胸乳を、生身の右手で柔らかく愛撫する。肩越しに唇を寄せるライに、アヤは顔を仰いで唇を委ねた。一刻、ため息と一緒に二人の唇が別れる。部屋に入って初めて二人の視線が交差した。

「……せめてベッドに運ぶくらいはしませんとね」
「……紳士ね、ライは」

微かな笑みを浮かべる彼女を、そっと抱え上げてベッドに横たえる。ついばむような口付けを交わし合う二人。つ、とお互いの顔が離れ、瞳に視線を据えたまま……ライはアヤの腕を取った。彼の手にあるものは……皮手錠。

キシッ

皮手錠が軋む音。続いて、高く小さな擦過音。彼女の腕はベッドのフレームに、磔状に固定された彼女の息が弾む。反らすように広げられた胸は、興奮に汗が浮き、しっとりと光を照り返す……

「……綺麗だ、大尉。美しくて、淫らで、最高の生け贄だよ」

ライの声が一変していた。普段からクールな言動の彼だったが、それはもう冷酷と表現していい言い方だった。だが……アヤの口から出た言葉は……

「はっ……はっ……。はい……私は……あなたに捧げられた……生け贄……。奴隷です……。どうか、いじめて……目茶苦茶にして、私を……ああぁぁっ!!」

おのれを誇示するように突きだされた乳房の頂点。勃起しきった両方の乳首を、ライがきりきりとつねりつぶした。

「また忘れてしまったようだな。奴隷だと? 生け贄に捧げられるのは、何だ? 言ってみろ」

指を緩めず、冷たく問う。

「……!! ああっ! ……申し訳ございません! 私は、家畜です! あなたに捧げられた、生け贄の家畜……牝ブタですぅっ!」

必死に苦痛に耐えながら口上を搾り出すアヤ。だが、紅潮した頬、潤みきった瞳は、彼女が感じているのが苦痛だけではないことを示していた。


彼女の胸の上に馬乗りになって、ライは彼女の口を使う。

「おぶっ! おぅぅっ! ごぶっ!」

彼女に奉仕させるのではなく、一方的に口にペニスを突っ込んで動かすイマラチオ。髪の毛を掴み、力ずくで頭部を揺り動かす。

「うぶぉぐぉ…… うぶぅ! おぶぉごぅ!」

口にペニスを突っ込まれながら、何かを訴えようとしているアヤ。涙と涎にまみれた顔。
ライは愛おしげに、そんなみじめな彼女の顔を見下ろし、一際深く腰を突きだした。

「うぅぅぅ〜〜〜っ!!」
「ふっ! くふぅっ!」

ライの白濁液が、真っ直ぐアヤの喉を直撃した。ゴボゴボと音を立て、顔を振り立てるアヤ。ライは彼女の口から己を引抜き、横向きに放り出した。

「ごほっ! ごほっ! はっ……はっ……ぐほっ!」

激しくむせかえるアヤ。口元から胸までを吐きだした精液と涎が汚した。……息が整うのを待って、ライは髪をつかんで彼女の顔を上げさせた。

「なってない家畜だな。主人が与えたものを無駄にするとは」
「ご……ごめんなさい……。すみませんでした、御主人さま……。今度こそ、ちゃんと飲み干しますから……ああっ!」

みなまで言わさず、再びベッドに彼女を放り出す。

「……別の穴を使うか」

物憂げに言い放ち、ライは皮手錠を取りだした。アヤの足にかけ、腕を留めているフレームに、一緒に絞り上げて行く……。「両足で万歳」の形に固定した。いわゆるまんぐり返し。
秘裂も菊門も、これ以上ないほどさらけ出された姿。

「ははっ! こいつはどうだ。まいったな、この牝ブタは!」
「くぅぅっ……!」

アヤの股間は既に潤み切っていた。羞恥に、全身が桜色に染まる。

「全くいやしいブタだな。躾けようとすればするほど、物欲しそうにマンコから涎を垂れ流す」
「うぅっ……ひくっ……うう〜っ」

羞恥と屈辱にすすり泣くアヤ。だが、股間の愛液は、涙と一緒にあふれ出して来るかのように止めどもなく湧いてくる。

「どの穴もゆるみきって、何を突っ込んでも仕置きにならないな。……一つだけを除いて」

酷薄な笑みと共に手にしたものは、細いカテーテル。アヤの顔から一瞬で血の気が引いた。

「ひっ! そ……それだけは、それだけは許して! 壊れちゃう……私、壊れちゃいますっ!」

全身に鳥肌が浮き、カチカチと歯が鳴る。そんな彼女に見せつけるようにカテーテルをかざし、ゆっくりと股間に差し伸べた。

「ひいぃぃっ! だめぇっ! 汚しちゃいますぅ! ご主人様のベッド、汚しちゃいますから……あああ〜〜〜〜っ!!」

尿道口に、ゆっくりとカテーテルを押し込むライ。軸を回し、細かく前後させ、アヤの悲鳴を楽しみながら。

「あああ〜〜〜っ! ……だめ……えぇっ……! 許して……ゆるしてぇっ! 出る……でちゃうのぉっ……」

悶絶寸前でうわごとのように繰り返すアヤ。冷ややかな瞳を一瞬細めて、ライはとどめをさした。単位にすればほんの数ミリ。カテーテルで尿道を貫く。

「あおぉぉ〜〜っ! でるぅぅ! いやあぁぁっ!」

悲鳴と共に抵抗が失われた。カテーテル内を黄色い液体が走り、つながれていたパックにジョロジョロと音を立てた。
乾いた笑い声で彼女の痴態を讃えるライ。アヤは子供のように泣きじゃくった。

「……そんなに泣く事はないだろう? 別に辺りを汚した訳じゃないんだ。……さあ、よく我慢したね。ご褒美をあげなきゃな。俺の可愛い家畜に」

しゃくり上げる彼女に、再度見せつけるように取り出したのはクリップ型のローターだった。
普通は乳首をはさんだりしていじめる用途だが……。それを再び股間に差し向けられると、アヤはその用途を察して絶叫した。

「いやあぁっ! やめてぇっ! 死んじゃう……そんなの、死んじゃうぅっ!」
「ふふ……クセになるかもな。こいつも」

尿道深く突き刺さったままのカテーテルを、ローターのクリップが掴んだ。何の警告もなしにスイッチを入れる。

「ひぃあぁぁぁ〜〜! ひんじゃうぅ〜〜っ! ひぬぅ……あああ〜〜〜〜っ!!」

不自由な体勢のまま、電気ショックを与えられたように痙攣し続ける汗まみれの肢体。
だが……信じられない事に、彼女の悲鳴が次第に甘やかに染まりだした。

「あぁぁ〜〜〜〜っ……ひぬ……ひびれるぅっ! うそぉ……こんなの……こんなの、知らないぃっ! おまんこ……じんじんすりゅのぉっ! ああぁぁ〜〜〜っ! いい〜〜っ! うそぉぉ〜〜……感じるうぅぅっ! いいぃのぉぉ〜〜〜っ!」

頭を振り立て、涙と涎をまき散らしながら、彼女は未知の感覚にもだえ狂っていた。

「……すごいな……大尉は。こんな刺激も、快感にしてしまうとは」

一瞬、素に戻ったライの口調。だが、文字通りの一瞬だけ。ローターのコントロールを取り、バイブレーションを最大にした。

「あごをぉぉぉ〜〜〜っ!! ひぬぅ〜〜〜っ!! いぐぅぅ〜〜〜っ!! あおぉぉぉ〜〜〜っ!!」

拘束具を真っ直ぐ引き絞り、震わせて……かくりと全身が弛緩する。アヤは白目を剥いて、完全に失神していた。


彼女の足から拘束具を外す。くたり、とシーツに沈む足。カテーテルを慎重に抜き、絞ったタオルで体液まみれの体を清める。優しく、壊れやすい物を扱うように。
……奇妙に表情の欠け落ちたライの横顔。先程までの冷酷な表情は、ぬぐったように消えていた。
三度目に取りだした道具は、目隠しとヘッドフォン、そしてボールギャグ。取り付ける物には似つかわしくない優美な手つきで、それを彼女に装着した。

「……う……ん……」

ボールギャグのため、くぐもった声。アヤが目を覚ましたらしい。
どこか切なげな瞳で、ライは彼女の胸乳に触れた。

「んぅっ」
『……こんな風に、触れたかった』

柔らかく揉みたて、先端の蕾を唇に含む。

「ん……んん……」
『優しく、愛撫して……思うままに感じて欲しかった』

口づけたまま、彼女の肌を這う。乳房から、引き締まったお腹。形のいい臍をくすぐって、そのまま、毛の彩りの薄い股間へと……

「んうっ! んぉ…… んぉぉん……」
『何もかも蕩かして、あなたの全てをむき出しにしたかった……。あんなに背負っていたものが、重すぎたのだから』

甘く、丁寧な愛撫に、アヤの体が激しく弓なりに反る。優しい愛撫も苛烈な責めも、悦楽として貪る彼女の肉体。クリニングスだけで絶頂に達したらしい。ライは秘唇から顔を起こし、高ぶり切った自分の物を添える。真摯で紅潮した表情は、どこか幼くさえ見えた。

「くうっ!」

声も抑えずに彼女を貫く。

「ほぉむうっ!」

くぐもった嬌声で応えるアヤ。自由になった両足が、彼の体を抱き留めるように巻き付けられた。
挿入の余韻に浸り、柔らかく彼女の体を愛撫し……そしてゆっくりと律動を始めた。

「おむ……おうぅっ! ふぉうぉ……ふぉうぉぉっ!」

ボールギャグの向こうでアヤが声を上げる。人の言葉ともわからない。だが、こんな道具でさえも、その声の、高く切ない響きは消せなかった。

「あっ……あっ……ああっ……愛してる……愛しているっ!」
「ふぉうふぁ……ふぉうふぁっ……ふひぃ……おぉぉ〜〜っ!」

絶頂が近い事を、ライは既に隠しもしない。アヤもまた、優しく、全てが行き届いた行為に、達しかけていた。二人を同時に奔悦の波が押し上げる。

「ああ〜〜っ! 義姉さん……ねえさんっ……! カトライアぁっ!!」
「おぉぉ〜〜っ! いんぐおぉ……いんぐおぉ……ふぉうふぁ〜〜っ!!」

射精の律動が過ぎ去り、ゆっくり彼女に身を預けるライ。目隠しとギャグにほとんど覆われた彼女の顔に、憑かれたような口付けを繰り返した……


軽くまどろんだ後、それぞれに身支度を調える二人。互いに手は貸さない。体を拭くのも、服を着るのも。

「……ありがとう」

低くそう言い残して、アヤは部屋を去った。定めるともなしに定まった、いつも通りのスタイルだった。

彼女がイングラムから、依存心を植え付ける為、M属性に調教されていたのは事実だった。
そんなやり方でなければ、もう歓びを得られない呪わしい肉体。
しかし二人とも承知している。本当は、ヘッドフォンとボールギャグは、お互いが別の女と男の名前を呼んでいるのを、覆い隠すための小道具に過ぎない事を……
もう決して届かない誰かの名前を呼び、肌を重ねる。二人は互いにそれを認めた「共犯者」だった。


一方、そのころ、リュウセイは……
部屋にマイとラトゥーニを集めて、本放送録画版とDVD版の違いを熱く語っていた。
  • END -

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