月がインスペクターに襲撃される前のこと、ノイエDCの蜂起に各PTのロールアウトを急がねばならず、マオ社は普段以上の忙しさをみせており。トロニウムエンジン搭載型のmk-IIIを任せられているリョウトも、与えられた社員寮に帰ってきたのは二日ぶりだった。
 この三日間洗っていない作業服からは油と汗のつーんとする臭い、これは明日の朝クリーニングに出して、下着だけ取り替えて。――ああ、その前にシャワー浴びないとと考えながら、部屋の電気を点けると。
「……あれ?」
 簡素なベッドの上に普段着のままでリオが寝ていた。
 リオはリョウトの枕を抱え幸せそうな微笑を浮かべている、リョウトはリオがここにいる理由が分からなかったものの、まあいいかと口元を弛めてシャワールームへと向かった。
 汗で汚れた下着を脱ぎ捨てながら、心配性な彼女の父親への言い訳を考えたが、良い案は浮かばなかった。
 これまで何度かリオがリョウトの部屋に来ることはあったが、その時には一週間くらい前から予定をたてて、上申しなければならないような厳重さだ。
 それを破れば、翌日他に用もないだろうに開発部まで押しかけてきて、「何をしていたか」「何故無断で連れ出したのか」と言い詰められるのだ。
 リョウトは連絡を入れるべきだろうかと考えて、やめた。今更服を着なおしてリオを彼女の家まで送るのは、寝ているリオにも悪いし、なによりリョウトの身体はもうシャワー を浴びて眠りたかった。
 怒られるにしても、カーク・ハミル博士が多少は守ってくれるし、なによりリオも庇ってくれるだろうと思えばそれほど怖くはない。
 リョウトは不意に笑った。なんだか小さな頃に戻ったようだ、と。
 幼い頃のリョウトは今以上に臆病で、近所の犬の前を通るときには姉の誰かがいてくれなければ駄目だった。
 あの時と今はそれほど変わっていない、犬が彼女の父親に変わったというだけで。
 だが、変わっていないようで変化はある。
 リオはあの頃守ってくれていた姉たちではなく、ユアンの大切な一人娘であり、DC戦争やL5戦役を共に乗り越えた戦友であり、誰よりも大切なガールフレンド。
 ああしてぽんと寝ていられると、情けないのか男らしいのかリョウトの男の部分は多少反応してしまう。
「無防備なんだよな、リオは」
 リョウトはやましい考えを、明日も早く起きねばならないことから切り捨て、切り飛ばし。シャワールームから出ると寝巻きに着替えて、押入れから替えの掛け布団を取り出し、電気を消して床で包まって眠ることにした。
 リオが側にいるにも関わらず、疲れたリョウトの身体はあっさりと眠りに誘われ、眠りへと……落ちそうになったのだが。
 ごそごそと衣擦れの音が聞こえ。
「あれぇ? リョウトくん床で寝て――うそ、もうこんな時間」
 リオが一人で何か言っていたが、リョウトは悪戯心が働きリオを驚かしてやろうと眠ったフリをしていると。リオはベッドから降りて、部屋の中をうろうろ歩き回りはじめたようだ。
「どうしよう、今更帰っても怒られる……でも帰らないと……ダメよダメよそんなのっ!」
 薄目を開けて見て、リオは立ったまま身悶えしていた。
 リオは腕を組むと、時計を睨みつけていたかと思うと、リョウトへ視線を向け、リョウトは慌てて目を閉じた。
「…………」
 しばらく無言でいたあと、小さくため息を吐いた。
「今更、帰っても帰らなくても変わらないわよね」
 リオはそれだけ呟くと足音を小さくして歩み寄ってくると、リョウトの隣に座り、隣に横たわった。
 リョウトは思わず声を上げそうになったが、なんとか堪えていると、リオは掛け布団の中に潜り込んで来て、子供のように抱きついてきた。
「……へへ」
 小さな笑い声と共に、部屋に買い置いているシャンプーと同じ臭いに鼻腔をくすぐられ。疲れているせいもあってかリョウトの下腹部が反応しそうになっていた。
 拘束されている感触よりも、触れ合って伝わる熱と熱にリョウトの気は行き、甘えてくるリオに口を開くタイミングを逸した。
 リオはリョウトの腕を掴み、静かに静かに自らの腰に回そうとする、リョウトはどうしようかと思いながらも、腕を動かし、リオの華奢な腰を抱き寄せた。
「――えっ!?」
 驚きの声を上げるリオに、リョウトは言った。
「お、おはよう」
「おはよう……じゃなくて、起きてたの?」
「う、うん。ごめん」
 薄暗闇の中で常夜灯の光を反射して、まんまるに開かれたリオの瞳は月のようだ。
「起こしちゃった?」
「いや、起きてたよ。丁度寝ようと思ってたところなんだ」
「そうなんだ……」
 リオは口の中で「うう、失敗した」と呟き大きな瞳が一瞬だけ逸れてしまって、それが残念だった。
 リョウトの首筋を見つめてリオは言った。
「ご飯作っておいたんだけど食べる?」
「今はいいや、もう眠りたいし――ていうか、ベッドで寝ようよ。ここじゃ身体おかしくしちゃうよ」
 そう言ってリョウトは腕の中から逃れると、先程までリオが寝ていたベッドの上を整え、リオの方を振り向くとリオはどこかを見て固まっていた。
「どうしたの? 寝ようよ、明日も早いよ」
「……あ、うん」
 リオは立ち上がるとこてんとベッドに寝転がったので、リョウトはその隣に身体を置こうとしたが、リオの一言によって止められた。
「……あの、したいの?」
「え? なにを?」
 胸の上に手を置き、少しだけ身体を横にして、リオは唇を尖らせて言った。
「……せ、セックス」
「――っ!?」
 リオは身体を起こすと、ベッドの横に立つリョウトを見上げて。
「だって、したいんでしょう。その、それ、そんなにして」
 言われて見てみると、リョウトのそこは内部でいきりたっているのか小さなテントが出来ていた。
 慌てて手で隠してリョウトは言った。
「これは違うんだ。あの、疲れてたし、ただの生理現象っていうか。ほら放っておけば直ぐに収まるし。だから大丈夫だよ」
 二人は少しの間黙って睨みあったあと、リオが言った。
「でも、今日逃したら次はいつできるか分からないし……」
「リオ?」
「それに、最近リョウトくんかまってくれないし。だから、その……してあげるから、しよ」
 強い瞳で見上げてくるリオに、リョウトは
「分かった、しよっか」
 あっさり折れた。


 服を脱いだリョウトはベッドの端に大股を開いて座った、何度か見せているにも関わらず、何時になってもリオに見せるのはなれないなあと思っていると。リオはリョウトの股の間に座り、中途半端なたちかたのリョウト自身を掴み上げ、顔を近づけくんくんと臭いを嗅いだ。
 リョウトがリオの行動に戸惑っていると、リオはむぅと唸り。
「……シャワー入ったのよね?」
「え、うん」
 リオはもう一度顔を近づけると。
「ちゃんと洗わなかったでしょう、いつもよりなんか臭いわ。ちゃんと洗わないとダメよ」
 突然怒られてリョウトは戸惑う前に、少しばかり気になることがあり。まだ怒っているリオの口を止める為に言うことにした。
「次はいつシャワーに入れるか分からないんだから、ちゃんと清潔にしておかないと」
「あ、あのさリオ」
「だ――なに?」
 リオは不思議そうに首を傾げた。
「いや、いつもより臭いとか、よく分かるなあって」
 リョウトがそういうとリオは面食らったように目を見開き、口をぱくぱく上下に動かすと、首を横に振り。引きつった笑みを浮かべると。
「そ、そういういみじゃなくて……もう、明日も早いんだから、変なこといわないのっ」
 怒ったようにそういうと、リオはもう喋らないと言うアピールかリョウトの陰茎を咥えた。
 口腔内の暖かい空気にリョウトは馴染む間もなく、先端の敏感な部分に舌が触れると、リョウトもまた押し黙った。
 先程までシャワーを浴びていて充分に火照った体の特に熱い部分は、リオの舌が絡み付いてくると、びくんと痙攣してしまい、上顎を叩いた。
「――っ」
 リオが苦しそうにしたのをみて、リョウトは口から抜こうとしたが、リオは放さず、口端に笑みを浮かべた。
 リオは根元の部分を手で掴むと、口をすぼめて吸い付き前後に動かし始めた。
 敏感な亀頭粘膜が温く湿った口腔粘膜が擦れる感触に、腰が落ち着かなくなってくる。
 疲れたリョウトの身体を労わってくれてるのか、リオはゆっくりと動かしてくれているが。その分、擦れている時間は長く、じれったさを覚えてしまう。
 リョウトは手持ち無沙汰な手をリオの髪に触れさせ、その柔らかな髪を梳いていると、リオは子猫のように目を細めた。それが可笑しくてリョウトは小さく笑うと、時計をちらりと見て、リオの肩をちょいちょいと叩いた。
「くちゅ……ちゅぷ……ん……なあに? リョウトくん」
 唇から漏れ落ちそうになった涎を指先で拭ってリオが言うと、リョウトは額にかかった髪をあげてやって。
「もう二時だし、あんまりゆっくりだと寝る時間なくなるからさ。一緒に準備しよう」
「……ふぇ?」
 いつもの――というほど回数を重ねてはいないが――パターンだと、この後リョウトがリオのヴァギナに愛撫するのだが、このペースでフェラされていると、挿入にいたるまでに二時半になってしまいそうだからとリョウトが提案したのは――

 リョウトはベッドに仰向けになって横たわると、身体の上にリオに跨らせた。リオの小ぶりな尻がリョウトの顔に向くように。
「や、やっぱりやめない……」
 リオは不安げな声を上げて臀部を隠しているが、元よりリオの余り見られたくない部分も陰になっていて、リョウトの位置からは全く見えないのだが。リョウトはそう説明しようと思ったが、それはそれでうそ臭く思われるのではないかと思って言わなかった。
「リオ、ほら四つんばいになって」
 リオはそれでも怨めしい顔でリョウトを見ていたが、ゆっくりと腰を曲げ、尻を突き出すようにしてリョウトの上で四つんばいになった。
 それでもリオは後ろを気にしながらも、リョウトの肉棒を大事そうに掴むと、ゆっくりとストロークし始めたが。
「ねえリオ、届かないよ、もう少し腰を落としてくれないかな」
 リョウトがそういうと、動きが止まった。
「……落とすって、リョウトくんの顔に、近づけるってこと?」
「うん」
 リオは沈黙したまま静止し、「どうしても?」と訊いてきた。
「え、嫌ならいいんだけど……僕に見せるの、どうしてもいや?」
 リョウトがそう聞き返すと、リオは首を横に振った。
「……見られるの、恥ずかしいかなあって」
「恥ずかしい?」
 リオはいつになく恥ずかしそうに言った。
「うん。だって、いつもは見られてても私の目が届くとこでだけど……」
「リオの目の届かないところで見られるのがいやってこと?」
 その言葉にリオは首肯した。
 リョウトはどうしたものかと考え。だが、親友のタスクならばまだしも、不器用な彼にリオを説得する手段は思い浮かばず。取り合えず口の動くまま、説得してみることにした。
「え、ええと……リオは恥ずかしいかも知れないけど、僕は見たいなあ」
「……なんで?」
「ほ、ほら。リオの綺麗だし可愛いし、だから……かな」
 言ってから後悔した。見られるのが恥ずかしいって言ってる女の子の性器を褒めてどうする。リョウトが自己嫌悪に陥っていると、リオの腰が音もなく下りてきて顔の直ぐ側まで来た。
 リオはどこか嬉しそうな声でリョウトへ言った。
「……リョウトくんがそういうなら」
「いいの?」
「……うん」
 そういわれてリョウトの方が驚いてしまいそうになった。嫌そうにしていたのに、こんなにあっさり赦してくれるなんて。
 リョウトはリオの許可が下りたのを幸いに、リオの控えめな唇に触れ開いた。リオの大陰唇は少し湿っていたが、リョウトは言わず、その雫を舐め取った。
「くちゅ……ひゃぷっ」
 陰茎を咥えていたリオは変な悲鳴をあげ、しなやかな腰を痙攣させた。
「あ、ごめん。痛かった?」
「……う、ううん。大丈夫、驚いただけ」
 リオは振り返りそう言って笑うと、直ぐにリョウトの一物に向き直り、いとおしそうにしゃぶった。
 リオのその健気さにリョウトは少し感動し、なにより興奮した。勃起した陰茎に血がたぎるのが分かるようだった。いつもは華やかに笑うリオが見せる、淫の気にリョウトの下心がそそられる。
 リョウトはリオに負けないようにとリオの大陰唇に舌を這わせ、零れてくる涎を洩らさず舐め取り、それを味わい。時折変化をつけるように、小さな淫核に吸い付きゆるく噛んだ。
「くちゅ……ちゅ……っ……んぅ……いいよぉりょうとくん……」
 リオの言葉にリョウトは口で淫核を弄びながら、リオの淫靡な割れ目に指を挿し込み、よくしったその内部を指先で擦った。
 熱いリオの膣をほぐすように指を動かし、まだ使い込まれていないそこを受け入れられるよううに優しく愛撫する。
「く……ちゅぱ……ちゅ……んンっ……ぷはっ。だ、そこ、あんまり触らないで……だめぇ」
 リオは咥えていた陰茎を溜まらず放すと、リョウトの身体の上に身を投げ出し辛そうに悶えた。
 リョウトはくすりと口元に笑みを浮かべた。
「そういうけどリオ、ここ触られるの好きだよね。ほら」
「冗談は――っ、」
 リオは身体全体に、特に子宮に響くその痺れに言葉を失い、辛そうにいやいやをした。
 リョウトにとって亀頭の先端のように、リオにとってその部分はもっとも敏感な部分らしく、リオはリョウトの上で喘ぎながら悶えた。
 リョウトはリオのその姿に、ほぐれてきたような気がする膣に、そろそろ大丈夫かと指を抜いた。
 するとリオはくたっと力を失い、寝そべって深く息を繰り返した。
「じゃあ、リオ、入れるよ」
 リョウトはそういってリオの下から抜け出ると、倒れるリオの腰を掴んで持ち上げ、リオの呼吸に合わせて挿入した。
「……あっ……ぁぁァ……」
 身震いするリオにリョウトは訊いた。
「大丈夫、痛くない?」
「う、うん……」
 リオは頷くと、拡がる感覚に身震いして。
「でも、できれば早くしてもらえると嬉しいかな……」
「え?」
 引き寄せた枕に顔を埋めてなにかから逃れるようにして言った。
「もう少しでいけそうなの、……だから……」
 小さな声で求めてくるリオに、リョウトは頷き答える代わりにゆっくりと腰を動かし始めた。
 リオの膣はリオの言葉以上に正直にリョウトを求め蠢動し、深く深くへと誘う。
 リョウトはその動きに合わせるように、腰を動かしリオを攻める。
 熔けそうなほど熱した肉筒にリョウトの陰茎は呑み込まれ、擦るたびに、出し入れするたびに境が消えていく。
「っ……い……ぅんッ……ああ……うあ……」
 リオの膣は痙攣するように収縮し、リョウトの肉棒を抱擁し溶け合う。
 リョウトはリオに求められるまま腰を動かし続け、先んじてリオに愛撫されていたおかげで興奮していた陰茎が鼓動する。精子が肉棒へと次から次へと注送されていくのを感じてリョウトは。
「ご、ごめん。もうでそうだから抜くね」
 そういうと、リオは小さく首を振って言った。
「……いいよ……そのまま」
「え? でも」
 リオはふふふと笑うと。
「一緒に居てもお父様に怒られないように、既成事実つくっちゃおう、リョウトくん」
 リョウトはその言葉に、それでも気後れするものを感じたが。彼女が望むことならば、と。抜かずに更にストロークを速めた。
 激しい水音を聞きながらリョウトは熱い滾りをそのまま解放した。
 その虚脱感にリョウトはリオの上に重なり、どくどくとリオの中に精液が注ぎこむのを感じながら、リョウトは深く息を吐き、そのまま身体から力を抜いていき、眠ってしまった。
 リオの呆れる声を聞きながら、リョウトはぐっすりと眠りその日は珍しく遅刻をした。

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