「………っ!!」
何かを叫んでいた。
意味ある言葉かどうかは不明だが、恐怖というものに駆られていた事は誰でも分かる。
グラキエース自身それによって自分が目を覚ましたことは分かっていた。
そうで無くとも自分の寝巻きを肌に張り付かせているのと、頬を伝っている二種類の液体が否応無しに理解させていた。
(…泣いていたのか…私は…)
『泣く』という生理現象を覚えたことは殆ど無い。
少なくとも悪夢による恐怖から来たものは初めてだった。
しかし悪夢自体は何回も見たものだった。
その夢を見て起きた後、自分から何かが削り取られた感覚が身を襲う。
今もそうだ。
創造主であるペルフェクティオが自分を破壊している。
恐らくはラキの―――

「ラキっ!」
ドアが勢いよく(自動ドアだから一定速度には違いないのだが)開いて一人の青年が入ってくる。
歳はそれなりに若い、正確な比率におけば青年6・少年2・大人2といったところか。
切れ長の目と黒髪が容姿と会わせてクールなイメージを出している…筈なのだが、今は焦燥以外の感情がない。
「どうした?」
ベットの上で身を起した状態だったラキは、その青年ジョッシュを見上げながら小首を傾げる。
その仕草がジョッシュとは違う、どこか冷たさを漂わせるラキには妙なギャップとして現れていた。
「い、いや…何か感じたというか、聞こえたのもあるんだけど…」
「…そうか…」
「あ…な、何も無かったのか?」
反応の薄いラキに対し、女性の部屋にいきなり押し入った自分というもの気付いたジョッシュはシドロモドロになる。

「夢を見た」

「前言っていた、ペルフェクティオの夢か?でもあいつは…」
「あれは死んだわけではない。こちら側に現れる術が無くなっただけだ。それにだ」
自分の細い肩をきゅっと抱きしめ、痛みに耐えるかのように顔を伏せるラキ。
「あれによる最後の破壊は、今この時行われている…私の身体をな」

生命の営みでもなく、人工でもなく、滅びを撒く為だけにグラキエースはこの世界に生を受けた。
紆余曲折あったが今では彼女はジョッシュと共に暮らしてはいる。
だが死の使者はその身も滅びゆく運命を持っていたのだ、例え創造主が人間もろとも破滅と言う名の審判を下せなくとも。
ジョッシュは医学専攻というわけでは無いが、自分よりその方面に詳しい変人がそう言っている。
認めたくは無いが、現実というものは受け入れてこそ救われる道がある筈なのだ。
グラキエースに与えられた時間は―――約3年。
その事を本人に話したことも無く、変人も話してはいない(筈)。
だが彼女は知っており、むしろジョッシュが知っていたことに驚いたほうだ。

「そのことは…話さないって約束だったんじゃないのか」
肩を捕まれたラキは一瞬ジョッシュと視線を交差させるが再び下を向いてしまう。
「…すまない。そうだったな」

ずーんと重い空気が部屋を渦巻く。
(しまった…もっと優しくすれば良かったのか…?)
突き放すような発言が悔やまれるものの、その話題をしないという約束は確かにした。
お互い考えたくないものだ。
だが今になって思えばそれは『逃げ』なのではないか…いやしかし…

時間は夜中の1時過ぎ、部屋は暗く、ジョッシュも寝巻き(Tシャツにトランクス程度だが)のままで上がり込んでいる。
ますます自分の状況が恨めしく思った。
「そ、それじゃ…部屋に戻るから…おやすみ」
普段の冷静さは何処へやら、ぎくしゃくしながらドアへ向かう。
こんな所を妹(達)に見られたらなんと言うだろう。
『お兄ちゃん、駄目駄目だよー』
『女心が分かってないね、押しというか詰が甘いよアニキは』
(ほっとけ…)

「あ…ちょ…っと」
腕をひんやりした手で掴まれる。
ラキ細くすらりとした指がジョッシュを引き止めていた。
「今日は…特に怖かった…から……」
ぽつりぽつりと言葉を紡ぐラキは伏目がちにジョッシュを見詰める。
(…そ、そんな目で見るな…)
「い、一緒にいて欲しいのだが…」
つまり一緒に寝てもいいかということ。

こんな弱弱しい状態の彼女を放っておけるわけもなく、渋々一緒に就寝…しかし半ば心が浮ついた彼であった。


ジョシュア・ラドクリフは今、一つの石となっていた。
凍てついた氷とでも言ったほうが適切かもしれない。
とにかく固まっていた、動けないのだ。
最初は寄せ合ってもいいかということだ。
柔らかい腕の感触が…駄目だ駄目だ。
次に手を繋いでもいいかということだ。
柔らかい手の感触が…いかんいかん。
三番目、腕にしがみついてもいいかということだ。
柔らかい胸の感触が……感触が……

(参った…)
南極の遺跡発掘に小さな頃から付いてまわっていたジョッシュはそちらの方面の免疫が少ない。
異性といれば義理の妹一人(?)だけだった。
そういうわけで戦いの中でも女性との付き合いは極力自然に避けてしまっていた。
まぁどうでもいい話だが。

ラキの方は寝てはいないものの、すっかりリラックス状態である。
安らかな寝息からして、ジョッシュの体温が安心感として彼女の心を満たしているのだ。
最もそのジョッシュは、二の腕に感じるふくよかな感触に動けなくなっていたことが情けない。

「…ジョシュア?」
「何だ…」
固まったまま人形のようになっている。

「何故硬くなっている。何かに緊張しているのか」
「何かって言われてもな…」
「変な奴だな……」
ラキは全身を包んでい彼の暖かさにうっとりして表情で呟いた。
「…暖かいな…ジョッシュは」
「…そうか?」
「あぁ…恐怖が無くなる気がする。可笑しなものだな、私が恐怖を知る事になった要因はお前だというのに」
「ラキ…」
「後悔などしてはいない。むしろ嬉しい。そうだ、今私は『幸せ』というものを感じているのだろう」
すっとジョッシュの腕から首に手を回した。
必然的に彼女の胸は、彼の腕から肩に移動する。
「ら、ラキ?」
「ジョッシュは『幸せ』じゃないのか?」
「いや、俺は…」
「こうすれば暖かい筈だが…」
ラキはさらに上体を上げてジョッシュの頭を抱え込む。
(む、胸が…顔に…!)

「動くな、くすぐったいぞ」
「だけど…!」
「暖かいか?」
横になってラキの胸に顔を埋める状態、確かに暖かい。
氷を操るようなイメージ(現にそうにしか見えないが)の彼女の体温を、鼓動を感じる。

「…生きているんだな…」
「? 何だ」
くぐもった声を聞き取れないラキには答えず、自ら頭を彼女の胸に押し付けていく。
「…じょ、ジョシュア…?」
「音まで聞こえる…ここから」
そっと手を伸ばして寝巻きごとラキの乳房に手を伸ばす。
「ひゃっ…」
胸を掴まれた感覚に驚く。
そんな彼女に構わず指に力を入れる。
「っ、何を…」
(柔らかい…)
感触を楽しむかのように、手が動く。

(ジョシュアが…私の胸を…)
胸に顔を埋めて弄るジョシュアの姿に、ラキは何処かしらから愛しさを感じた。
彼女自身は分からないだろうが、母性本能に近いものだ。
「う…ジョシュア…っ」
布越しの擦れる感触はそのままで、指に胸の頂点を弄られる。
同時に本格的に胸が揉まれる。
寝巻き越しでもその大きすぎず小さすぎずな胸の形が分かってくる。

「ふっ…ぅ……」
鼻で息をするラキを見て寝巻きの上をたくし上げる。
トレーナーの様な作りになっているので、真白い胸がジョッシュの目に見えたすぐ後、首の下まで脱がされる。
サイズやカップなどは妹(達)に敵わないかもしれないが、御椀型とでも言おうか美しい曲線を描いていた。
「綺麗なものだな…」
「………な…」

自分の身体の事を褒められている、今までに無かった事がラキの目元を赤く染める。
「白くて、整ってて、それで…」
「ぐ、具体的に言うな」
「ここも」
ぴんっと薄い色の乳首が弾かれる。
「あぅっ…あ…」
鋭い刺激に眉を潜め、ジョッシュの息が近づいていることに身じろぎする。
しかしさしたる抵抗もせず、乳頭はそっと口に含まれた。
ぬるっ
「………!」
舌の感触が先端に広がり、さらに歯で軽く噛まれた。
いちいち自分の頭で再認識してしまい、情緒が不安定になっていく。

左の胸を口で責めている間、ジョッシュの左腕はもう片方の胸を責め立てる。
乳首を捻るように苛めた後、今度は押しつぶすような動き。
「うく…む、胸が…」
横たわっていた体勢からジョッシュが上に乗る状態に移行させられる。
耐えているラキの表情からジョッシュの気持ちに火が付き、一旦唇を離す。
慣れていない感覚から開放されたことに息をついたラキの唇を奪うことなど、まぁいわゆる「造作も無いこと」だった。

「んん!うーっ」
突然目の前にジョッシュの顔があることと、唇に感じる感触に混乱状態に陥るラキ。
「ふ、んく…んぅっ!?」
割って侵入してきたぬめりとしたもの、慌てて歯を噛み締めてそれ以上の侵入を防ぐ。
それに大して歯茎をなぞる様に舐め上げる。
「…ん…っ」
寒気とは違ったぞくりとする感覚が肩を震わせて力を抜く。
その瞬間にジョッシュの侵入を許してしまうことになった。

(ジョッシュの…口の中で…!)
舌が舌に絡まれる感触に目をぎゅっと瞑らせる。
そんなラキの反応が面白いのか、さらに舌を絡ませ胸への責めも激しく本格的に再開する。
「ふんぅっ…ぅ…」
首を捻って抵抗を続けていたが、直ぐに全身から力が抜けていく。

「…ぁ…」
離れた唇の間に架かった銀色の橋がプツンと切れる。
その様を見ているのか見ていないのか、ラキの視線は定まらない。
「ジョシュア…何をする…」
揺れる瞳でジョッシュの目を見詰めるが、直ぐに視線を外してしまう。
「嫌だったか?」
「…嫌では無い…だがこの行為は…」
そこでラキは自分の身体に引き起こっている異変に気付いた。
(下着が…)
「あ…いや、そうか。『キス』と『性交渉』というものだな」
「な…」
「前に『エロ本』というものを見た…理解に苦しむ行為だったが…」
何処でそんなものを手に入れたのか。
ジョッシュには想像もつかないが…とにかく、
「そ、そういう本は…余り参考には成らないと思う」
「そうなのか?本というものは知識を得る為に創造されたものと聞いている」
「………読むより、実践した方が良い筈だ」
「ん、それは…そうだろうな」
適当な事を言って納得させると、舌先を胸から腹の方へと滑らせる。

「うく…!」

へそに軟体動物が這う感じそのものに眉が潜められる。
ジョッシュは次の行為に移ろうとするが…
(…脱がせられない…)
ズボンに手をかけようとするが、ラキが仰向けに寝ている為にゴムの輪が腰から脱げない。
「ラキ、少し腰を上げてくれ」
「こ、こうか…?」
疑問に思うことなく腰を上げる。
すっとズボンを脱がした。
(げ)
「…どうした?」
自分の寝巻きを脱ぎとったジョッシュが再び固まっている。
水色の薄い茂みに囲まれた部分が外気に晒され、肌寒く感じていた。

ジョッシュは何とか再び身体を動かした。
“下着を入れたまま”のズボンをベッドの済みにやる。
(いきなりショーツごと脱がすのは良かったのか…)
結果を考えれば非常にどうでも良いことだが、経験薄きジョッシュにとっては自分でマニュアル(?)というものを作っていたのだ。
マニュアル以外の出来事、ショーツの上から擦るというのが定説ではないのか、それも自分の先入観か。

結局ラキ同様ジョッシュも手探り状態に他ならなかった。

「…ジョシュア…あっ、や…!」
ジョッシュの“次の行為”にラキは慌てた。
無駄毛の無い白い両足が彼の手によってぐぐっと広げられる。
「だ…駄目…ひぅ!」
手が股関節に添えられ、悪戯気味に息がふっと吹きかけられた。
今まで自分以外が触れた事も無い場所、そもそも入浴時や排泄時の必須行為以外の使い道を理解していない。
「そこは…い、嫌だ…」
胸よりも、自分が見えない部分が見られている事に言い様も無い気持ちが込み上げてくる。
体中の血液が顔に集中している感覚に囚われている。

ラキの『恥じらい』という感情にジョッシュの意地悪な心が働く。
「本には載っていなかったのか、こういう事は」
言いながらも親指でそっとラキの中心部を広げる。
「……っ!」
着色していない性器があらわになった事が、ラキの情緒をさらに乱す。
「の、載っていたが…うぁ…っ」
敏感な部分を舐め上げられて身体が跳ねた。
構わずジョッシュはそこに顔を埋める。
「は…ふぅ…だめぇ…だ…っ」
顔を真っ赤にしながらジョッシュの頭をどかそうとするが、児戯に等しい非力さでは意味を成さない。
普段から感情の起伏が薄いラキが乱れている、ジョッシュにとってさらに愛撫を激しくする起爆剤となっていった。

「は…はーっはーっ…も、もう…」
息が荒くなり、目元の涙が頬を伝っていく。
悪夢の影響によるものとは違う、生まれ始めた悦楽によるもの。
それと白い肌が桃色に染まった様が妖艶な匂いを漂わせる。
(ここだったか?)
入り口の上部、小さな穴の直ぐ上の膨らみを指で弄ってみる。
「あうぅっ、そ、そこぉっ…何か変…!」
電気が背筋を通っていき、脳を痺れさせる。
脚が引きつりその指先が丸められ、手の指はシーツをきつく握り締める。
(腰が…う、動く…!)
腰が頭の命令を無視して前後にぎこちなく動いていた。
そのことが酷くラキを被虐な感情にしていく。
自分は今、ジョッシュによって乱れさせられているのだ。

「気持ち良いか?」
口を離さずジョッシュに聞かれる。
「ぅ……き、気持ち…い…」
自分が感じている感覚の名称を認知してしまう。
それは一気にラキの下腹部も熱く燃やし始めた。
「うぐ…ぐ…ぅ、はっ…あ、あぅう!」
暗い天井が白く染まっていく。
悪夢で見た破壊された世界とは違う、感覚だけが先行する世界。
それは高く高く上っていくことだけが分かった。
「あ、やっ、何か…何か…がぁ…き、きて…っ!」
ラキの限界を知ったジョッシュは包皮の上から擦っていた陰核を剥き上げ、歯で軽く噛む。

「……うくぅっ、っっぁああ!?」

はっはっはっと胸が激しく上下し、半開きの口から酸素を求める。
とすんと持ち上がっていた腰がベッドに落ちてくる。
ラキの秘部から流れた愛液が既に水溜り程度の染みを作っていた。
それが臀部にひんやりした感覚をもたらすが、ラキはそれに構うことは出来ない。
「うぁ…ぁ…」
だからこそ、ジョッシュが身に着けている物を脱いでいることには気付けるわけもなく。

すっと再びジョッシュがラキに被さる。
触れ合うだけのキスの後、流れた涙を舐めとっていく。
「ぁ…ジョシュア…」
「ん?」
「私と…その、『性交渉』して楽しいのか…?」
「楽しいというか…したいからするって感じだと思うな」
ラキの乳房がジョッシュの胸板でむにゅっと潰れる。
「な、何故…したいのだ?『エロ本』には載ってはいなかった」
胸を圧迫されて息苦しくなりながらも、目の前の男に尋ねる。
「『性行為』…『性交渉』だったか。それは…何というか…愛している者同士がするものなんだ」
かなり恥ずかしいことを言っているが、この女性に知ってもらう為だ。
「愛している者同士…お前は私を『愛して』いるのか…?」
「そう…だな……ラキ、お前はどうなんだ」
「私は…分からない……でも…」
金色の目がジョッシュを捕らえる。
「ジョシュアと触れ合いたい…傍にいたいとは思っている」

熱く濡れた秘部にさらに熱い物が触れる。
「…ぁ」
先端がくちゅりと内部に埋もれていく。
「く…」
肉に包まれていく刺激がジョッシュに息をつかせた。
が、すぐに挿入は再開される。
「うっ…うぅーっ…!」
ずずずっと肉棒が膣に収まっていく。
体内に異物が侵入してくる感覚に、ラキの腕がジョッシュの背中を締め付ける。

ジョッシュはある場所で一旦動きを止める。
(こんな場所まで作っているとは…流石親父の身体を奪っただけはある)
全く関係ない。
こんな場所、ペニスにつっかかる抵抗、即ち処女膜。
「ラキ、少し我慢しろ」
「ぅーっ…な、何を……あぐっ、ぁ、くぁあ…っ!」
ぶつんとした音は聞こえなかったが、そんな感触だった。
「痛ぅっ…はっはっ…ぅぁ…」
自分の真下で目尻の涙を増やしながら痛みに耐えるラキ、文字通り痛々しいのだが、ジョッシュはというと…
(…き、きつい…っ)
ぎゅうぎゅうに締め上げる膣内は極めて熱く、経験少ないジョッシュには耐えるだけで精一杯。
ラキは下腹部を襲う痛みで全身が硬直している。

見えはしないが血が流れているに違いない。
「くぁ…はふぅ…」
「だ、大丈夫か?」
「…だいぶ……痛みは引いた…ぐすっ…うっ…」
「お、おい本当に…」
ぐずぐずと泣き出すラキ、ジョッシュは慌てる。
しかしラキは涙を拭って無理矢理に微笑んで見せて言った。
「痛みでも恐怖でもない……嬉しい、という感情がある……嬉しくても泣くものなのか…」
「…ラキ…」
「つっ…わ、私は…お前と、ジョシュアと一つになれた事が…嬉しいと感じているのだ…」
苦しげに息を漏らす彼女をジョッシュは抱きしめる、決して離さないように。
「俺もだ…」

ずぐっ
ゆっくりながら動かされるペニス。
「あふっ…」
「まだ痛いか?」
「…い、いや…それより、何か…もっとして欲しい…」
うっとりした表情で甘い溜息をつく。
膣の壁を擦られ、ぞくぞくと身体がひくつかれる。
「気持ち良い、か?」
「……いちいち聞くな」
子供の様にそっぽを向いてしまう。

ラキの、ジョッシュでなければ気付かないようなころころ変わる感情。
最近徐々に現れてきたそれに、くすっと笑いながら腰のグラインドを強める。
「っ、くぅっ、そんなに動く…な…ぁ!」
「もっとして欲しいんだろ…!」
「や、く…ぁ……は、ふぁ…っ」

寝巻きが首下で止まっているラキを抱きしめ、普段の2、3度は高く昇っている体温を感じた。
「はっ、あぁ…あ、うぐっ、ふ、はぁっ…」
愉悦と僅かな痛みに喘ぐ女、それは間違いなく生というものの表れであった。
「はぁ………っ、く…」
ジョッシュは込み上げる快楽はよそに、上の空状態であった。
何故なのだろうか。
彼女は間違いなく生きている。
日に日に人間に限りなく近づいていることは確かだ。
物を食べることを覚え、歌を聴き、本を読み、そして…他の生物とは『意義』が違うこの行為。
だが、『限りなく近く』は結局交わらないこと。
彼女は人間に近づくことは出来ても人間にはなれない。
「あぅ、はっ、じょ…ジョシュ…あぁっ…!」
「…く…くそ…っ!」
「はふぁ…、ジョシュア…?」
「何で……何でお前は…!」

「く、ジョシュ…うぁっ、あぁ…お、おく…奥にぃっ」
子宮口を模して作られたそこに、ジョッシュ自身が深く叩きつけられる。
「あ…ま、また…っ!」
再度ラキの視界が白く染まる。
相手に激しく揺すられ、自分はそれをさらに望んで脚をからめる。
淫靡な水音が結合部分から聞こえる。
二人には分かるわけも無いが、既に膣から流れる分泌液は白く泡立ち、破局の血を洗い流していく。
「ぐ…ら、ラキ…っ!」
「ジョシュアぁっ、もう、駄目……っ!!」
耐え切れない快楽の流れにラキは恐怖し、ジョッシュにしがみつく。
「くぁ…俺も…!」
ジョッシュの臨界も既に達し、射出の力が根元に収束される。
「はぅ…ぁ……あぅぅ…!!」
「…ぐ、でる…っ」
子供のような声で互いの限界を察した瞬間、ジョッシュが一番強く押し入った。

「――――ぁっ…うあぁぁああぁああああっ!!」
「つっ……」
大きく背を撓らせ絶頂に達するラキ、締め上げられ背を丸め込むジョッシュ。
対象に頂点に達した二人の間で、ジョッシュの白濁した純粋な欲望が弾けていた。
ほとばしりが叩きつけられる感覚にラキの痙攣が長引く。
そして先にジョッシュ、十数秒後にラキの身体がぐったりと弛緩される。
「…は…ぁ……ジョシュアの、あたたかいのが……はぁっ…」
ラキの呟きが荒い息の合間に、耳に入った気がした。

「……可愛い、か…なるほど、確かに分かる…」
ラキはそのまま睡魔にのまれたジョッシュの寝顔を眺めている。
少し一方向に癖の入った髪を弄ってみると、顔を捩って逃げる。
何時か誰かに教えてもらったこと、愛する人の寝顔は可愛いものだと。

(…私は…どうなのだろう…)
下腹部を侵す粘液を、ジョッシュの暖かさを感じながらラキは思いにふけった。
戦う為の人形。
人形というものは人の形を真似て造られるからこそ、『人形』というらしい。
まさに自分のことだ。
だが………
(例え人形でも……出来ることなら、人間として…)
「んぅっ…ラキ…」
「っ!……寝言か」
一瞬起きたかと思ったが…しかし嬉しかった。
彼に名を呼ばれること、『愛される』こと。
「…お前が私を愛してくれるなら……私は…お前を愛したい……ジョシュア」
ラキは未だ、暖かさを感じていた。
身体と、心に。

「…はぅっ…し、しかし…“コレ”は何時になったら…抜かれるのだ…」
ジョッシュがそのまま寝てしまった為、未だ繋がったまま。
彼が動けばラキの内部で蠢かれる刺激がラキを悩ましていた。
「…ぁっ…むぅ…『性交渉』とは中々に…疲れる…」

このページへのコメント

暖まる。だった…第2次OG延期されたけどD組達の活躍を待ってる。

0
Posted by 助手ラキ 2012年04月12日(木) 19:14:34 返信

この二人は本当にラブラブだな〜読んでるこちらまで心が暖まる?

0
Posted by 助手ラキ 2012年04月12日(木) 19:11:40 返信

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