「震えるぞハート 燃え尽きるほどヒート 刻むぞ血液のビート 山吹色の波紋疾走!!」
いつにも増して力んだタスクが叫ぶ。
眉を顰めて、緑と赤、二つの眼が刺すような視線を送る。

静寂が、二人きりの格納庫へ広がる。ほんの数秒だったろう、開きかけた唇を固く結び、カチーナは
決めポーズのまま固まったタスクへ背を向ける。
ヤバイ。本気でヤバイ…少年の背に、冷や汗が流れる。

赤いパイロットスーツの背に向け、静寂を打ち破るべく、言葉をかける。

「あ・・・あの女の目・・・・・・養豚場のブタでも見るかのように冷たい目だ…
冷徹な目だ・・・<かわいそうだけど明日の朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのね>って感じの!」

ほんのコンマ秒だけ動きを止めた足が、再び冷たく動き始める。
仕舞った…胸中で後悔が沸き立つ。もっと他に言うべき台詞があったのでは無いか…と。
青ざめ、俯いた顔を上げるタスクの瞳へ、離れた筈のオッドアイが映る。
カチーナの唇が開き、そして…

「スピードワゴンはクールに去るぜ」

ポツリ、一言を残して背を向けると、きょとんと眼を見開いたタスクを残して艦内へと消えた。
姿の消えた扉を、見つめるタスクの口からポツリと言葉が漏れる…やれやれだぜ…と。

Fin

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