花邑 エレナ -And then...-
一生と忘れ得られない、オーロラの向こうに惑う夜
それは、カルト学者という狂気の世界の人間として
そして、Elena=Liddell=花邑 なる一人の女性として
突き付けられた疑心暗鬼、黒い天秤が裁く罪人
鏡の世界、虚の世界、私達を現から引き剥がす為の世界
そう、彼女の部屋に何気なく並ぶ、あの小説の様に
でもね、貴女は"判事"には為れない
私の朗読に聞き惚れて、見つめる貴女の双眸は
紛れもない、無垢な幼子のそれだったから
−−貴方様がもう少し、生きていてくれたなら
私も、あんな風に穏やかな時間を過ごすのだろうか
膝に乗せてあげるには、頼り無い身体だけど
幼い子に聴かせるには、障る本ばかりだけど
……嗚呼、それでも
最早、行き場を失くした拙い願望と共に干したのは
雪の冠を頂いた様な、マウントフジの白い逆さ峰
カウンターへと据えた空の杯が、乾いた音を立てた
「ペース早いねえ、大丈夫?」
心地好さに重い瞼を否定出来ず、漸くと視線は声を辿る
其処には此方を心配そうに覗き込む、あどけない表情
−−それは、私を温かさで凍て付かせた、一夜の夢の主
「貴女を見てるとねえ、ついつい捗るのよ」
「あは、何それ?」
魔女の冗談を、無垢な一笑で伏した未来のマスターは
慣れた手付きでシェイカーに、次の一杯を拵える
別段どんなオーダーを伺う事も無く、だ
「−−これ、なあに?」
見上げた先には、疑問を浮かべた彼女の表情
私の手が差し出す一枚の片を、受け取る細い指
よくよく見遣れば、"練習"の跡が多々見えるその手が
何故だか、とても綺麗なものに見えていた
「近く、うちで学祭やるのよ」
案内の文句を読み進め、暫く左右していた視線は
やがてある一転に注目する−−そう、目論見通りに
「……へえ、先生、舞台やるんだ?」
「演劇部の諸君がやりたいって言い出してね
ラブコールが凄くて断れなかったの、なんて」
蛍光色でハイライトされているであろう箇所は
彼女の興味を、巧く引く事が叶ったらしい
満更でも無い返事は、我ながら賎しいだろうか
……それでも、期待を抑えられなかった
「折角なら、後々でで知人に講評を賜りたくてねえ
気が向いたら、笑い飛ばしに来てくれると嬉しいわ」
何故だか込み上げる笑みを、一先ずは抑えながら
今宵は仕舞いと、ストールを羽織り席を立とう
ふっと吐いた息に混じるのは、ベルベット・ハンマーの苦味
「"皆"にも宜しく伝えて頂戴、研究室にも歓迎するわよ
……須磨君や船形先生辺りには、お勧めの品もあるかもね」
勘定と挨拶をくべて振り向いた先、既に白んだ窓の外
今日もまた、非日常を望む、日常へと臨む
She returned to the world, when she should be
(悲しみの主は在るべき場所へ)
The world, lost the master, had been abandoned
( 主なき世界はすっかり崩れ)
And then, there were none
(そして、誰もいなくなった)
−−舞台の最後、そんな台詞を高らかに謳う為に
PLより
KP様、PL各位、2日間御疲れ様でした!
まったりした雰囲気が、堪らなく楽しかったです。
折角なので、もーちょっと茶番増し増しで動いて
他のPC様と絡みを増やしても良かったかなあ、と
自分の余裕の無さと頭の固さを反省しつつ。
でもRP楽しかった!
あと幼女ともっといちゃこらしてればよかった!
月並みで恐縮ですが、楽しい時間を有難う御座いました。
また機会があれば、あるいはPC同士またお会い出来ましたら
改めて宜しく御願いしますね!
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