ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

御蛇本・パルティータ




世界各地に日本の相撲に類似した格闘技は点在するが、その中でも特に有名なのは モンゴル相撲である。

その歴史は古く、ジンギスカーンの時代までさかのぼるという。

勇猛果敢な騎馬民族である彼らは戦闘訓練の一環としてこれを行った。

中でも17世紀に 時の暴君・ジミヘンカーンによって発案された地獄相撲は、地上15メートルの高さに土俵をつくり、 そこで生死をかけて戦うという凄まじいものであった。

〜〜民明書房刊 マルコポーロ著『東方見聞録』より〜〜

1.初めに

このシナリオはサプリ「Secrets of Japan(以下SoJ)」の設定・世界観に準拠しており、このため一部現実とは大きく異なる部分があるが、このサプリを持っていなくてもプレイは可能だ。

このシナリオは現代日本の京都を舞台にしている。プレイ時間は2〜3時間を想定している。
前作『イゴの富士』から続くシナリオであり探索者はその時の継続である事が望ましい。
前作から2ヶ月経過して12月下旬頃からシナリオは始まる。
キーパーは前回の冒険で探索者達が所属する京都県立大学の相撲部がどうなったかを決める必要があるだろう。
イゴーロナクの腕を持ち帰りトロフィーとしたのならその実績が認められ廃部にはならないだろう。
失った顧問の代わりを務めるのは新しい探索者だろうか?それとも助けた希瀬ノ山だろか?

日本人にとって季節は重要である。2月の町の路上には溶けきれていない雪がまだ残り日差しを反射している。
家の軒先には木の棒にイワシの頭やにんにく、ラッキョウを飾った日本伝統の魔除けが飾られている。

シナリオを始める前に

キーパーはシナリオを始める前に一人のPLとその探索者を選ぶ必要がある。
その探索者はイゴの富士との戦闘で活躍した者、またはトドメをさした者が良いだろう。
その探索者はシナリオ内でイゴーロナクの残留した意思が乗り移っており悪夢を経験する(以後この探索者を憑依者と記載)。
憑依者が完全にイゴーロナクの精神を乗っ取られていない理由は神の力の大半が龍脈に流れてしまっている為だ。
憑依者は龍脈の気配を感知する事ができ龍脈の乱れによって起こる事故や事件を予知する事ができる。
それがこのシナリオに大きく関わってくる。
また、そのPLに事前にさりげなく1つ質問をする。「もし来世があるなら最もなりたくない物はなに?」
もしこの質問の意図を把握して来世がアラブの石油王や魔術師などとほざく者が現れた場合は自動的に来世はトイレブラシの毛先になる。
正直者が得をする世界である。

2.背景

このシナリオの黒幕は前回登場した行司である稲葉 権之助(いなば ごんのすけ)、本名を御蛇本 丸尾(おじゃもと まるお)である。
イゴの富士で周りに居た観客は龍王会の人間であるがこのシナリオでは気にする必要はない。
彼は元々は落ちぶれた相撲の本場京都に存在していた行司家の者だったが蛇人間の精神体(通称:星蛇)が入り込んだ。
この蛇人間はムー大陸崩壊の頃から生き残っており、未だに帝国の復活を目論み、地上を闊歩する人間と言う種族を根絶やしにしようと考えている。
ムー大陸で暮らしていた蛇人間たちの一部は、ムー大陸崩壊後の混乱の中で肉体を失いアストラル体となっていたのだ。
彼にとって幸運だったのは入り込んだ人間の体が神事である相撲を仕切る行司であった事だ。彼はこの立場を利用し京都の地で計画を進めた。

御蛇本は相撲協会に入り込んでいたイゴーロナクの存在を感知しており、この邪神を利用する事を思いついた。
彼は用意した土俵で神聖なる儀式をイゴーロナクに行わせた。
その戦いの結果に意味はない。土俵の上で邪悪の塊が神事を行ったという過程こそが重要なのである。
この儀式によりイゴーロナクの邪気が京都の地下をめぐる龍脈に流れ込んだ。
龍脈の力のバランスが乱れた事により京都では連日異常気象や事故が多発している。
町そのもののカルマが捻じ曲げられたのだ。しかし御蛇本の真の計画はそうではない。

御蛇本の真の計画は京都に張り巡らされた五芒星を不安定にし封印された地獄門を開く事である。
安倍晴明が陰陽術とスモウで作り上げた五芒星は、京都の龍脈をエネルギーを頼りにしている為、龍脈が不安定になる事は五芒星の封印の消滅に等しかった。
封印が解かれ、開かれた地獄門を通じて地獄のエネルギーが京都の水面下に押し寄せている。

3.導入

探索者の導入は2つに分かれている。
1つは一人のKPから選ばれた探索者(イゴーロナクの憑依者)が死亡し地獄へと行くシーンだ。
このシーンではその憑依者が自分の体の中に宿った存在に気づかず冤罪を受ける事になる。
憑依者を裁くのは地獄の裁判官である閻魔王である。
閻魔王は憑依者の罪を記したカルミック・コード(閻魔帳)を元に憑依者を裁くが閻魔王は断罪を戸惑っている。
憑依者の罪は偽りの物であり閻魔王はチャンスを与える。現在地獄で起きている出来事の調査の為に探索者は動き出す。
もう1つのグループは憑依者の冤罪を晴らす為に再び再集結し事件の調査を開始するグループだ。

両グループ共にシナリオ開始前にわかっている情報として現在京都では大雪が降り注いだり大雨による洪水が多発し、自動車事故や火災など自然災害から人為的事故に及ぶ様々な問題が発生している事が分かる。
ここ2ヶ月でそれらは爆発的に増えており、つい最近では五重塔が火災に遭い大事件となった。

餓鬼界

キーパーによって選ばれた探索者(憑依者)の導入だ。
憑依者は前回の冒険以降悪夢を見るようになった。その悪夢はこの京都が地獄と化す風景を写したものだ。
川は赤く染まり道路には鬼によって体を摩り下ろされ、焼かれ、摩り下ろされ、煮られる人々でごった返している。
道路に入ったヒビの隙間からおびただしい数の妖怪達が溢れ出している。
妖怪達の大群を引き連れた血まみれの行司が往来を歩き目の前にあるすべてを蹂躙している。
この悪夢の経験が2ヶ月続いており、3%のクトゥルフ神話技能を得ている。

憑依者は今日も悪夢にうなされながら起床しいつもどおりの生活を始める。しかし今日はやけに胸騒ぎがする。
キーパーは憑依者の少ない余生を謳歌させ早い段階で殺害せよ。
交通事故や駅のホームから偶然落ちるなど何でも良い。憑依者はイゴーロナクの業を背負っておりそれを精算する時が来たのだ。

次に目覚める時憑依者は廃墟と化した古い民家の立ち並ぶ街に自分がいる事に気づく。
服装はボロボロの布を素肌から羽織っただけの粗末な物で木の杖を一本携えている。
木造の家屋が立ち並び、全ての建物に蜘蛛の巣が張られている。
道には這うようにして土や石、糞尿を貪る人々の姿がある。
彼らは服を来ておらず糞尿と泥のまみれ悪臭を放っている。
骨が見えるほどにやせ細りそれはさもや死人と変わりない。
しかし彼らは死ねず空腹に喘ぎながら腹を満たす為に自分の糞を喰らい、中にはもはや肉などついていない死体を貪る。
この風景を目撃した探索者は1/1d6の正気度を喪失する。
<アイデア>に成功すれば探索者はこの場所が餓鬼界であると分かる。

街をしばらく歩くと大通りに出る。
大通りは薄い霧に包まれ探索者と同じ服装の人間が一列に並びどこかへ向かっている。
探索者が列に並んでいる人間に声を掛ける場合彼らは普通に会話をする事ができる。
彼らはこの道が餓鬼界に住む閻魔王の宮殿への道であると語る。
しばらくの間、探索者が列について行くことがあれば霧の中に巨大な赤い宮殿を発見する事ができる。
廃墟の街に似つかわしくないひときわ異彩を放つ宮殿の外壁は真っ赤に塗装されいくつもの大理石の柱が並んでいる。
宮殿へは108の階段が用意されており人々はそれを苦しそうに登っていく。
宮殿の入り口は高さ約20mほどはあり門の脇に金棒を持った赤い鬼と青い鬼が腕組みをして立って足元を通る人々を見下ろしている。
鬼を見た憑依者は1/1d6の正気度を喪失する。

宮殿の中へ入るとそこには黒曜石のパネルの床が広がり終わりの見えない天井まで伸びる翡翠の柱が均等に並んでいる。
宮殿の一番奥には大量の人骨によって作られた椅子に座りながら巨大な机の上に置かれた帳を見る巨人がいます。
その巨人こそ餓鬼界に住み罪人を裁く地獄の審判「閻魔王」である。
閻魔王の目撃によって憑依者は1/1d6の正気度を喪失する。
閻魔王は憑依者がやって来ると何も言わず机の閻魔帳を見て憑依者が生きている間に行った所業を見ます。
しかし他の罪人と違って閻魔王は憑依者の記録を見て困惑する。
そして滅多に開かない口を開き憑依者が何者かを問う。
閻魔王は憑依者の嘘をすべて見抜く事ができる。

閻魔王は憑依者の身に通常の人間ではありえない程の業を背負っている事を教える。
その業の数は人間がたとえ100年生きたとしても積む事のできないほどの悪行の数々であり、これを精算する場合憑依者はほぼ永遠に等しい時間地獄に囚われ輪廻の輪を巡る事はできなくなるだろう。
閻魔王は憑依者の体の中に何か邪なる物が潜んでおりそれが憑依者と一体化し業を背負わされていると言う。
しかし閻魔王はそれを取り除く事はできない。地獄の規則でその者に相応しい制裁を与えねばならない。
閻魔王は憑依者の来世について説明する。最初はPLに質問した際に答えた物に憑依者はこのままではなってしまうと言う。

閻魔王は憑依者にチャンスを与えてくれる。
彼は現在地獄世界で起きている奇妙な状況について憑依者に説明する。
最近地獄に落ちた悪人の魂や邪悪な妖怪達が人間界へといとも容易く逃げ出しており、人間界の人間が何故か地獄に落ちてくると言う現象だ。
閻魔王の配下である獄卒の鬼達にも怪しい動きを見せ始めており閻魔王自身もすべてを監視できないと語る。
彼はその原因が人間界にあると確信しており憑依者にその調査を依頼する。
もし原因を突き止め解決する事ができれば彼は閻魔帳から憑依者が背負わされた何者かの業を特別に消し去る事を約束する。
憑依者は自らの冤罪を晴らす為にこの依頼を受けなければならない。
約束を受理すれば閻魔王は憑依者に豪華な装飾の施された鏡を見せる。
それは浄瑠璃鏡と呼ばれ憑依者の人間界の姿が映されている。
憑依者はその鏡の中へと入る事で人間界に戻る事ができる。
白い光に包まれながら憑依者は最後に閻魔王の励ましの言葉を聞き目が覚める。

病室にて

死亡した憑依者は京都四菱病院の病室で目を覚ます。
窓の外は夜で少し雪が降っている。
遠くには輝くビルが立ち並んでいる。
憑依者の腕には点滴が刺され口には人工呼吸器が装着されている。
脈拍機の一定の電子音だけが部屋に鳴っている。
そしてベッドの周りには憑依者を心配してやって来た仲間の探索者がいる。
着替えや果物の入ったバスケットが近くの机に置かれている。
他の探索者も仲間が寝たきりの状態から戻る事に気づく事ができるだろう。
脈拍が正常値に回復した事によって少ししてから医者と看護師が訪れる。
それまでに憑依者は自分が見た物や経験を共有する事ができる。

死亡した憑依者はその日の内に病院に担ぎ込まれ緊急手術を受けた。
生死の境を3日間彷徨っており今日か明日が山場だった。
病室にやって来た医者と看護師は憑依者の容態を調べ驚く。
傷は完全に治っており事故に遭う前よりも健康的な体になっているのだ。
医者は退院を推める事は無いがすぐに憑依者が望めばすぐに退院する事ができる。

4. 調査開始

探索者は退院後調査を開始する事になる。
探索者に大きく分けて2つの調査対象が存在する。
1つは憑依者が2ヶ月間の悪夢で見た妖怪の軍勢を引き連れている行司についてだ。
この行司の特徴は探索者全員が一度は目にしている。
前回の冒険でイゴーロナクとの試合に突如として現れ試合を仕切った人物だ。
彼について調査を行う場合最も良い場所は相撲協会本部である。

2つ目の調査対象は京都国技館である。
前回の冒険以降京都国技館は使われなくなってしまった。
原因は様々だ。
殺人事件が起きたと言う理由が最も多きがそれ以外にもある。
その理由についても探索者は調査の過程で知る事になるだろう。
この京都国技館はイゴーロナクに取り憑かれた憑依者の意識を引き寄せている。
この京都国技館にはこの事件と深い関わりがあると言う根拠の無い自信がどこからか湧いてくるのだ。

シナリオ中探索者は京都市内から出る事はほとんど無いだろう。
キーパーは京都であちこち巡る探索者にちょっとしたイベントを好きなタイミングで起こす事ができる。
イベントはシナリオが進み時間が経過する毎にだんだんと派手で頻繁になっていく。
そして憑依者が見た悪夢が次第に現実となっていくのだ。現実のイベントは実際に探索者の身に影響を及ぼすものだ。
キーパーの想像力に任せた地獄を描写し残酷で血しぶきの飛ぶ凄惨な事故を引き起こす事ができる。
これらがまだ幻覚は共通して空が赤く染まり錆びた鉄の匂いが辺りに漂う、強い風が吹く事ですべて元通りに消えている。
この風は地獄に吹き荒れる業風である。

●幻覚イベント
血の川
京都の川を流れる清流が段々と赤色に染まっていく。
そしてどこともわからぬ上流から沢山の切り刻まれた人間の死体が糞尿や空き缶、ビニール袋、煙草などのゴミと共に流れてくる。
死体には蝿や蛆が湧いており血の匂いと入り混じり激しい吐き気を催す。
死者の紅葉
紅葉で彩られた京都は実に美しく風情のある物である。
道端には多くの赤く染まった紅葉が落ちている。
ふと探索者は自分の肩に紅葉が一枚落ちてきた事を確認できる。
だが目を向けた瞬間それが赤く血に染まった人間の手である事が分かる。
通りに目を向ければすべての木々の枝から無数の手だけが生えている事に気づける。
周りの観光客らはそれを美しい物を見る様な目で眺め中国人達は血まみれの手を瓶やバッグに詰め込んでいる。
熱灰の道
コンクリートの道路に徐々にヒビが入っていく。
そして割れ目から赤い光と共に蒸気が吹き出す。
道路を走っていた車のタイヤは溶け歩いている人間の足が焼かれる。
皮膚の焼ける匂いと灼熱の蒸気で大通りはむせ返る。
獄卒
獄卒達が人々を切り刻んだり、押しつぶしたり、握りつぶしたり、棍棒で殴打して殺したりている。
彼らは罪人を笑顔で殺している。
彼らは最初こそ探索者に無関心であるがそのうち気づき追ってくるだろう。
獄卒の鬼のデータはシナリオの最後、もしくはSoJを参照すること。

●現実イベント
居眠り運転
徒歩や自転車などを利用する探索者は、運転手が居眠りをするトラックが自分達めがけて突っ込んでくる。
<目星>or<聞き耳>に成功した探索者はトラックが自分達の方向に向かってきているのが分かる。
失敗した探索者は<回避>を行わなければいけない。それも失敗した探索者は5d6のダメージを受ける。
居眠り運転2
探索者が自ら運転する場合、突如として運転手は交代を求める暇もなく激しい眠りに襲われる。
<CON*5>に失敗した場合居眠りをしてしまい、無垢なる通行人(ただしこれはキーパーが詳細を決める)に突っ込んでしまう。
<運転>に成功しなければそのまま通行人を轢いてしまい罪の意識から1d10(他人レベル)〜1d100(恋人)の正気度を失わせて良い。
邪悪なカルマが探索者にこの犠牲者を殺させたのだ。
ガソリンの値上げ
探索者がガソリンスタンドに立ち寄ると前日より10円値上げされている事に気づく。
それを見てクレームをつける客がいる。店員は悪態をつき、クレーマーは自分を神と主張する。
喧嘩は文字通りヒートアップし、クレーマーが店員にガソリンをかける。
これを目撃した探索者は、0/1D2の正気度を喪失する。
人身事故
車や徒歩ではなく電車を利用する探索者の目の前で人身事故が発生する。
ランダムで探索者の中から1名を決め、その探索者が最も近くにいた事にする。
その探索者だけは飛び降りる人物が最後に「オーム・リュウジン・マッポウ・フム」と言った事が分かる。
(地獄門が開いたことで、世界が加速度的に末法に向かっていった影響と邪神の覚醒を初めに感じ取った人間がこの自殺者だ。)
謎めいており、恐ろしいこの破滅を示唆する言葉を聞いた探索者(最も近くにいた者)は1/1d6の正気度を喪失し、それ以外の目撃した探索者は0/1d3の正気度を喪失する。
病気の蔓延
日に日にマスクをつけて通りを歩く人が増え始めている事に気づく。
彼らは風邪やインフルエンザや肺炎に苦しんでおり、うがい手洗いをしない探索者は
<CON*5>を行い失敗した場合病気に感染してしまう。
この病気は、<東洋医学>ロールに成功すれば、すぐに治療する事ができる。
洪水
連日の雨によって洪水が発生する。一部の道路は通行不能になり、マンホールから京都の清らかなゴミだらけ下水が溢れ出す。

オプション:菩薩、お地蔵様

地獄の恐怖に追われる探索者を助けてくれる存在が京都の街のあちこちにいる。
彼らは様々な呼び方で呼ばれる。
菩薩、お地蔵さん、観音、弥勒、そして仏陀である。
日本のかつての都である京都には神社や寺が数多く存在している。
そして日本の様々な道には石などで作られた道祖神が置かれている。
これらは通常の世界では拝むだけの存在であるが地獄を探求する人間を助ける時にのみ真の姿を現し守ってくれる。
これらのデータについてはSoJを参照すること。

オプション:末法の夢

このオプションはSoJ掲載の「The yonaguni Monuments」をプレイした、またはプレイする予定の探索者がいる場合行う事を推奨する。
日本が大きな津波によって海の底に沈み、龍神が目覚め世界が滅亡する夢を見る。
そして、目覚める前にどこからか「オーム・リュウジン・マッポウ・フム」という声が聞こえる。
この夢によって探索者は1/1d3の正気度を喪失する。

5.京都国技館

京都国技館はここ2ヶ月で誰も立ち入っていないし立ち入れないようにされている。
入口全てが鎖と南京錠によって施錠されており立入禁止と書かれた金属製の看板が置かれている。
国技館前の通りは昼間は人通りが多いため侵入しようとする物は一目でバレてしまうでしょう。
そして国技館に近づいた憑依者は建物の中から異様な雰囲気と自分を引きつける何かの気配を感知する事ができる。

前回の冒険以降京都国技館には様々な噂が立っている。
これらの噂について知りたい場合<図書館>or<コンピューター>などに成功する事により情報を得る事ができる。
この京都国技館は使われなくなってからと言う物中から赤ん坊のうめき声が聞こえると言う話が上がっている。
確かめに入った人間が書き込みでその赤ん坊は白い大福の様な見た目だったと語る。
彼が撮った暗くブレた写真を編集する為に更に<コンピューター>or<写真術>に成功すれば赤ん坊の幽霊の姿をかろうじて知ることができる。
それは探索者が戦ったイゴの富士にとても似ている。

京都国技館への立ち入りを正式に申請する場合探索者の身分ではほとんど受理されないだろう。
<法律>+<言いくるめ>or<説得>or<信用>の組み合わせロールを1/5で成功すれば可能かもしれないがその場合でも3日間は掛かる。
夜間に忍び込むのが最も手短である。
夜間の人通りは少なくはないものの人目にはつきにくい。
閉じられた扉をよじ登る(<登攀>or<跳躍>)か南京錠を解く(<鍵開け>or<機械修理>)に成功する事により敷地内に入る事ができる。
敷地内に入った探索者は<目星>に成功する事によりつい最近できた自分達以外の足跡を発見できる。
足跡は芝生と土の領域を歩いた後コンクリートの道で消えている。
会館のガラス張りの扉は何者かによって一度鍵が開けられており探索者は入る簡単に入る事ができる。

会館内は2ヶ月間誰も手入れをしていない為に埃っぽく昼間でもとても暗い。
壁には沢山のポスターが張られたままで誰かが捨てた空き缶やゴミが少し落ちている。
埃の積もった床に2種類の足跡がある。
1つは敷地内にあった物と同じ大きさの物で会館の中心部にある相撲場に続いている。
もう1つの足跡は正確に言えば小さな赤ん坊サイズの手の跡である。
その手の跡はあちこちに見られまるでネズミの様の様に沢山散らばっている。

妖怪ハンター零

会館の中心部は広い空間になっており屋根つきの土俵がある。
周りの観客席の座布団は全て撤収されており暗く静寂に包まれた巨大な空間がどこか不気味だ。
土俵に対して<風水>or<POW*1>に成功すればこの土俵が龍穴として機能しており禍々しい邪気が龍脈に流れている事に気づける。
土俵には1つだけ奇妙な物が落ちている。
近づいて確認すればそれが一枚の小判である事が分かる。
小判は本物の金でできておりほとんどの探索者の目を引くことだろう。
全員の意識が小判に向けられた瞬間暗闇から突如として何かが飛び出し真っ先に憑依者を襲う。
暗がりの中探索者達は第一声に女性の声を聞く。
「死ねどす!」
暗がりの中から現れたのは刀を振りかざす女子高生の姿だ。
憑依者は<回避>に成功する事により攻撃を避ける事ができる。

彼女は攻撃が成功したか失敗したかに拘らず探索者、特に憑依者に激しい敵意を向けている。
彼女は探索者達に「やっとこさ姿現したなバケモンどもめ、待ってたぜこの瞬間(とき)をよぉ!おんどりゃ覚悟せいよ!」と言い二撃目の準備をする。
探索者が言葉による応対や彼女を武力でねじ伏せる事ができれば彼女は探索者とまともに会話を行う事ができる。
彼女はまず探索者達の正体について名乗らせる。
その後に自分の名前、杉崎 零を名乗る。
彼女は探索者が怪物の仲間でないと分かればその刀を鞘に収めるが憑依者への警戒を解く事はない(刀には小さな招き猫のストラップがついている)。
彼女は自分がこの京都にはびこる妖怪達を倒すハンターであると語りこの京都国技館に邪悪なエネルギーを感知した為にやって来たと語る。
そんな所に更に邪悪なエネルギーを持った人間が来た為に探索者達を攻撃したのだ。
小判はそんな探索者の注意を引かせる為の罠だった。
彼女は切りかかった事を詫び、慰謝料として小判を渡す。
小判の値打ちについてはキーパーが決定すること。

零は今京都で不穏な事が起きている事を知っており探索者に何か知っているかを尋ねる。
探索者の事情をすれば彼女は探索者に協力してくれるだろう。
この土俵で起こった事について零は知らない。
探索者がここで起こった事を伝えれば彼女はその邪悪な神の力が相撲と言う神事の力を借りて龍脈に流れ込み京都の街の力場が不安定になっていると語る。
零と探索者が打ち解けたタイミングで<聞き耳>を行う。
成功した場合土俵を取り囲む周囲の物陰から沢山の赤ん坊の鳴き声が聞こえる。
それは徐々に大きく数を増し最終的に探索者を取り囲む様にイゴーロナクの従者が6体やって来る。
この怪物の目撃により0/1d4の正気度を喪失する。

6.行司の調査

行司について調査を行う探索者はまず最初に相撲協会へと行くだろう。
相撲協会本部は京都の中心部位にある。
本部の建物には協会に所属する行司や力士達の名簿リストが保管されているが部外者にそれを閲覧させる事は難しい。
探索者の新しい顧問となっている希瀬ノ山がいるならば彼を通して閲覧許可を申請する事ができる。
<言いくるめ>or<説得>or<信用>のいずれかに成功する必要がある。
資料室の行司のリストはいくつもあり全てのプロフィールシートに顔写真が張られている。
<図書館>or<経理>に成功する事により4時間を掛けてある物を発見する事ができる。
それは行司リストの本から唯一破られているシートだ。
協会員に確認してもその破られたページが誰の物かを把握している者はいないが行司のリストデータを管理している者が一人だけいると教えてくれる。
その人物の名前は柴田 幸三郎だ。幸三郎は最近協会本部に顔を見せていない為行方を知る人は少ない。
彼の家の住所を知っている者は多くいる。彼は南区の住宅街に妻と共に住んでいると知られている。

幸三郎の行方について調査する場合協会内の人間に対して聞き込みを行い1時間毎に<幸運>を行い成功するか、<図書館>or<コンピューター>でネットや図書館を使って調べる、もしくは彼の自宅に行くという手段がある。
彼の自宅には妻の宮子がいる。
彼女は部外者である探索者に夫の行方を聞かれ不審がるだろう。
<言いくるめ>or<説得>or<信用>に成功すれば夫の場所を教えてくれる。
幸三郎は数週間前に交通事故に遭い現在京都市立病院に入院している。
新聞などで彼が煽り運転の被害に遭い相手の運転手に突如殴られたと報道されている。

京都市立病院

京都市立病院に幸三郎は入院している。
病室を聞けば教えてもらう事ができる。
病室は病院の3階にあり病室には幸三郎以外入院していない貸し切り状態である。
幸三郎は足にギプスを巻かれ天井から吊るされた縄に足を預けている。
午前中彼は小説を読んだりテレビで相撲の試合風景を見て楽しんでいる。
幸三郎は探索者の訪問を快く受け入れてくれる。
彼は自分が相撲協会の人間あった事は覚えているがリストの事などについて不自然に記憶を忘れている。
<心理学>or<精神分析>に成功すれば彼が何らかの洗脳もしくは催眠術を受けている可能性があると分かり再度<精神分析>or<東洋医学>に成功する事により1時間ほどで治療する事ができる。
幸三郎の記憶が戻れば彼は自宅のPCに全ての行司のPDFファイルが収められていると語る。

探索者が幸三郎に相撲協会の行司のリストなどについて何度質問していると幸三郎は頭痛を抱え何かを微かに思い出し始める。
そのタイミングで主治医と一人の看護婦がやって来る。
看護婦は病院食を手に抱えている。
<聞き耳>に成功すれば料理から微かにラズベリーの匂いを嗅ぎ取ることができる。
料理にラズベリーを使うような物は入っていない。
主治医は幸三郎は事故のショックで一時的記憶の健忘を患っていると語る。
<心理学>に成功すれば主治医の言う事が嘘であると分かる。
もし相撲のテレビなどを見ていた場合リモコンを取りテレビを消すかチャンネルを変える。

この主治医と看護婦が支配血清を使って幸三郎の記憶を操作している蛇人間である。
彼らはこのシナリオの黒幕である御蛇本の仲間であり彼によって集められた。
御蛇本は自分の正体を隠す為にリストを破り、名簿を管理する幸三郎の記憶を操作し自分の正体に誰も近づけさせない様に命令している。
主治医と看護婦は病院内で最近人が変わった様であると噂され2人の間に恋が芽生えていると言う噂が少し調べれば分かる。
2人は御蛇本の正体に近づく探索者を殺そうと動き出す。
いざとなれば彼らは病室で姿を明かすしうまく逃亡する事ができれば日常の中で探索者のスキを狙う暗殺者となる。
探索者に捕縛されれば自分達の大いなる計画について大々的に口走る。
ムー大陸の崩壊で地獄へと追いやられた同胞達を復活させる御蛇本の計画を探索者は知るだろう。

7.御蛇本邸宅



御蛇本の情報を手に入れた探索者は彼の行事名が稲葉 権之助(いなば ごんのすけ)であると分かる。
江戸時代から続く廃れた行司家の家名である稲葉は相撲界では少しだけ有名だ。
御蛇本邸は京都にあり塀に囲まれた日本庭園を敷地に持つ武家屋敷である。
屋敷を見た探索者は<風水>技能に成功する事によってアストラルハンターの残留意思を感じ取る事ができる。
近隣の住民などから邸宅に関する情報を聞けば御蛇本氏本人はここ2ヶ月程姿を見せていない事が知られている。
最後に姿を見せた時彼は明らかにヤクザらしき人達を一緒に居た事が近隣の住民によって目撃されている。

御蛇本邸は四方を2m弱の瓦付きの塀で覆われている。
入口は2つあり南側の正門と西門の別口だ。
西側の別口は小さく簡素な扉で高さは1m強程だ。
正門は木製の高さ3m程の両開きの扉で上から「龍王会」と書かれた提灯がぶら下がっている。
正門のインターホンを押すと機械的な女性の声で応対がなされる。
彼女は探索者の話も聞かす家主がいない為追い返す。

御蛇本邸に入る為には不法侵入以外に方法はない。
家は御蛇本の使用人である芸者ロボが警備しており彼が邸宅に仕掛けた様々な仕掛けが存在する。
芸者ロボは京都の富裕層の過程では一般的に利用されるロボットだ。
家事全般をこなしお稽古一式を覚え客人に対して完璧な応対を行う事ができる。
芸者ロボは御蛇本の手によって改造され鋭い刃のついた鉄扇を装備しており侵入者を倒す様と言う命令を実行する。
屋敷を探索する場合<忍び歩き>or<隠れる>に成功しなければすぐさま芸者ロボが駆けつける。
芸者ロボは<お稽古>or<作法>or<芸術>に成功する事によって侵入者を資格ある者として見逃す事がある。
庭園
緑色の芝生と鯉の泳ぐ池が完備されている。
池には黒い蓮がいくつか浮かび自動的に鯉に餌をまくための装置が稼働している。
<医学>or<化学>or<薬学>に成功すれば黒い蓮が麻薬などを作る為の原料であると分かる。
いくつもの石造りの灯籠が置かれており夜になると自動的に火がつくようになっている。
この庭園には一軒すると何も無いように見えるが灯籠の炎は全て炎の精なのである。
日本では鬼火として知られており侵入者を撃退する為に攻撃してくる。
ただし探索者が池に飛び込んだり家に駆け込めば攻撃を中止する。
芸者の間
芸者の間には変えのバッテリーや着替えなどが置かれている。
稽古事に必要な琴や茶道キットや書道道具が置かれている。
来客用の茶菓子もいくつか置かれており一般的な給餌ロボの変わらない。
ただし<目星>に成功すればタンスの裏に手裏剣や鉄扇、日本刀、小太刀、鎖鎌が置かれている。
仏間
畳8畳広さの仏間には歴代の御蛇本家の人間の遺影と大きな仏壇が置かれている。
仏壇には仏様の像はなく代わりに手足を持った蛇の純金の像が置かれている。
<クトゥルフ神話>に成功すればそれがイグの物であると分かる。
座敷
畳と障子に仕切られた座敷には壺や甲冑などが飾られている。
神棚が座敷の一角に飾られており鏡とお猪口、そして奇妙な文字が書かれた札が供えられている。
札の文字はナアカル語で書かれている為現在の探索者に解読は不可能である。
札には呪文が書かれており唱える事により神棚の扉が門として機能しムー大陸の古き情景を目撃する事ができる。
図書室
いくつもの本棚に覆われた図書室には相撲に関する文献の他にオカルト関連の本が目立つ。
ムー大陸やアトランティス、レムリア大陸など失われた大陸に関する数々の学者やオカルティストの本、
解読する事のできない文章で書かれた巻物などがある。
中にはクトゥルフ神話に関する魔導書が存在する可能性は高いだろう。
特に興味深い文献にはムー大陸でかつて行われていた神事が現在の相撲の祖先であると考察されている。
2階&地下
特に情報はない。
書斎
渡り廊下の先に御蛇本の書斎がある。
書斎は静かな人工の竹林に囲まれておりインテリア用のししおどしの音が聞こえる。
書斎は畳18畳程の広さで和モダン風の内装になっている。
竹の柵で塞がれている丸い窓、龍の絵が描かれた掛け軸、座布団に背の低い黒檀製の机があり一冊の本と巻物が置かれている。
違い棚には観葉植物と水晶玉が置かれている。

机の本は難解な日本語で書かれており解読するには6ヶ月の時間を要する為このシナリオ内では解読する事はできないが、巻物について調べる事ができる。
(本を研究した探索者はこれが日本語をナカカル語に翻訳する為の辞書であると分かる。1ヶ月研究する毎に1d10のナカカル語を取得する事ができる)
巻物は古めかしい日本語で書かれている物の長くはなく<日本語>に成功すれば即座に読むことができる。
その巻物は真善寺と呼ばれる寺と成り立ちと地獄門と呼ばれる呪文について言及されている。
この巻物を読んだ物は正気度を1d3/1d6失い、クトゥルフ神話を3%獲得する。
<INT*3>に成功すれば<<地獄門の創造(改)>>の呪文を覚える事ができる。
<歴史>or<宗教学>or<知識/2>のいずれかに成功すれば真善寺の存在と場所を知っている事になる。

・新たな呪文:地獄門の創造(改)
地獄門を創造する為の呪文を改変したもの。この儀式には膨大な魔力が必要でありMPを最低でも1000点を必要とする。
儀式は太陽の見えない時に行わなければならない。

掛け軸は龍が塔を締め付ける風景が描かれた荒々しい水墨画で<クトゥルフ神話>に成功すればそれが末法の龍神であると分かる。
<お稽古>or<芸術>に成功した場合この水墨画を描いた人間の才能が国宝級の物であると理解する事ができる。

8.真善寺

真善寺は京都でもかなり古い方の寺だ。
探索者が御蛇本邸で巻物を回収し、インターネットなどで名前を検索すれば住所が分かる。
杉崎 零などにも巻物を見せれば場所を教えてくれるだろう。
彼女はとても京都の土地に詳しい。
真善寺に関する図書館やインターネットでの情報は多く技能を振るまでもない。
真善寺は平安時代から続く真言宗の寺であり、地獄と言った物に関してとても古い文献や絵画などを保管する場所であると言われている。

真善寺には住職である常守 道元(つねもり どうげん)と彼の弟子が3人いる。
道元は朝の6時から弟子達に教えを1時間説き、朝食の後寺の掃除や修行を行わせている。
寺は18時には閉まり参拝客が訪れる事はない。

探索者が巻物を持って真善寺に訪れた場合住職の道元は巻物の帰還を喜ぶ。
それと同時に持ってきた探索者に門を開いたかどうかを尋ねる。
道元は現在京都で起きている事件の数々が龍脈の乱れと何者かが地獄門を開いた事によって起きた物だと知っている。
彼は地獄門を再び閉じようと考えているが彼一人と弟子達では圧倒的に力不足であると語る。
京都で起きている事は日に日に激しさを増しこのままでは地下から地獄の亡者が溢れ出しこの日本を滅ぼすだろうと語る。
防ぐ方法はたった1つ、地獄門を閉じる事だけだ。

道元は陰と陽(悪と善)、龍脈、そして結界について少々長い話をする。
かいつまんで説明を行うと以下の様になる。
・この世界には陰と陽、つまりは悪と善の力が混在しており、平安京の偉大なる陰陽師であり史上最強のスモウレスラーである安倍晴明は、陰と陽両方の力を司っていた。
彼は龍脈の中に流れる陽の力を利用し5つの寺、神社を作らせ五芒星を形成した。
龍脈から流れる陽の力によって地獄門を封印したのだ。真善寺はその時に作られた寺である。

・2ヶ月程前に京都の地下を流れる龍脈が不安定になった。過剰な陰の力が流れ込んだのだ。陽の力に頼っていた結界は崩壊し地獄門が開かれた。

・再び結界を再生するには陽の力を注ぎ込むか、龍脈に流れる陰の力を利用するしかない。しかし今の日本に安倍晴明程の陰陽師やスモウレスラーはいないし、陰の力を利用できる者は大半が悪の道を辿り邪悪な陰謀にその力を使用するだろう。

地獄門を閉じる方法を実行できる人間がここに1人いる。
それはイゴーロナクの力を一部受け継ぎ龍脈に流れる陰の力と同調している憑依者だ。
もしPLが気づいていないならば<アイデア>ロールなどでそれを気づかせる事ができる。
<<地獄門の創造>>の呪文を少し改変する事でそれは可能である。
道元は閉じる為には膨大な魔力(龍脈の力)とそれをサイフォンの様に汲み上げる神事が必要であると語る。
探索者は古来より伝わる神事を1つ知っているはずだ。
そう、相撲である。

相撲とは、古来から陰と陽の力を自在に操るための神事であったのだ。

9.地獄門の封印

<<地獄門の創造>>の呪文は太陽の出ていない時、夜か曇り空の時にしか行う事はできない。
儀式に必要な神事の道具として道元は弟子達に太鼓や笛、注連縄、護摩の用意を行わせる。
探索者は相撲を行う為の土俵を作るもしくは探す必要がある。
何れにせよ全ての準備を整えるのに最低でも1日掛かるだろう。
零はその日の間探索者の前には姿を表さない、彼女は溢れ出す地獄の妖怪達を殺す為に妖刀を手に狩りを行っている。
キーパーはその日の間に地獄の具現化が最終段階まで来ている事を描写すると良い。
町では頻繁に火災が発生し大雨と落雷が酷さを増す。
京都国技館は燃え盛り京都のあちこちで化け物の目撃例が多発する。

儀式は土俵を囲んで行われる。
弟子達が土俵を取り囲み太鼓を鳴らし笛を吹く。
道元が護摩の前でお経を読み儀式が開始される。
探索者達はこの儀式で最も重要な役割を果たす事になる。
土俵に入り相撲を行うのだ。
陰の力を使う人間(憑依者)と何度も相撲を取る事によって大地から力を吸い出すのだ。
探索者同士の出来レースを何度も行っていればそれは容易く達成する事ができるだろう。

探索者達の儀式を妨害する人物が寺に現れる。
儀式の最中相撲を取り仕切る行司が突如何者かに殺される。
どこからともなく見覚えるある行司、御蛇本 丸尾が姿を表す。
彼は探索者に告げる。
「我が同胞達は既に地獄から這い上がってきた、太陽の黄金帝国はすぐそこにあるのだ…だが貴様らと言う存在を消さなければその喜びは味わえん様だ。お前らに相応しい力士(ファイター)と観客を用意してやったぞ!」
そう言い行司は探索者のいる場所とは違う方向に軍配を向ける。
すると地面が割れそこから赤、青、黄、そして黒の巨大な鬼達が姿を表す。
鬼達は腰にふんどしをつけている。
鬼の目撃により探索者は1/1d6の正気度を喪失する。
更に探索者達はこの寺に向かって行進してくるおびただしい数の魑魅魍魎を目撃し1d3/1d10の正気度を喪失する。
行司は圧倒的な戦力差に高笑いを上げ探索者達に降伏する様に命令する。

圧倒的な絶望の前に救世主が現れる。
それは雨と血に塗れた巫女服に身を包んだ杉崎 零と彼女の仲間である京都の暴走族がバイクに乗ってやって来る。
彼女の手にはチタン製の妖刀ムラサメが握られている。刀につけられた招き猫のストラップを彼女はちぎり投げる。
すると招き猫は見る見る大きくなり鋭い爪を供えた、今10代前半に人気のアニメカッパモンスターズ(カッパモン)の敵であるマネキネコモンに変化する。
アニメと違い、その猫から禍々しさは感じられない。
(SoJ掲載シナリオの『Meiro (The Labyrinth)』をプレイ済みの探索者は、カッパモンの世界が実在しているという事実により、
1/1D4の正気度を喪失する。)
零と招き猫そして暴走族は寺に行進してくる妖怪達を食い止める。
しかし決して土俵での鬼と探索者の争いに介入する事はない。
零は古代からの礼儀と作法を弁えており相撲と言う神事、そして土俵と言う聖域に汚れを持つ女性が入ってはいけないと知っているからだ。

行司は悔しげな顔をしながらも探索者の土俵に鬼を差し向ける。
鬼との相撲はまさに死闘であり勝利する事が出来れば龍脈に流れる陰の力全てを吸収する事が可能だろう。
儀式に参加している探索者達は1000点のMPを一時的に授かる。
探索者達は鬼との最後の戦いに挑む事になる。
鬼と人間では一見すると不利であるが土俵内の探索者達は龍脈の力を受けており、CONとSTRにそれぞれ2d10加える事ができる。
鬼のHPを0にするか土俵から追い出す事で鬼は死亡する。

10.結末

鬼との相撲に勝利する事によって儀式は完全に完了される。
行司の目論見は裏目に出てしまい憑依者は陰の力全てを龍脈から体の中に取り込む事ができる。
憑依者が<<地獄門の創造>>の呪文を唱えると土俵に割れ目ができ底に地獄が具現化する。
そして地獄から溢れ出した鬼や妖怪などを強烈な風が取り込み始める。
(キーパーは御蛇本を地獄に落としても良い)全ての妖怪達が地獄へ落ちると割れ目は閉じ始める。
そして最後に探索者の四股踏みによって儀式は終わる。
四股は大地の邪悪な霊を踏み鎮めると言う意味を持っており陰陽師が行った反閇(へんばい)に由来する。
安倍晴明も相撲によって地獄門を封印したのだ。

四股を踏むと同時に憑依者の中に宿っていた陰の力全てが抜けていく。
龍脈から陰の力が全て吸い出された事によって京都のカルマは元通りになり、イゴーロナクの残留した意識は地獄へと追いやられた。
今後憑依者が悪夢に悩まされることはなくなるだろう。
空に立ち込めていた暗雲は晴れ闇を突き破る様に雲の隙間から太陽の光がさす。

計画が失敗した御蛇本をどうするかはキーパー次第である。
彼は龍王会上層部の人間であり彼を倒す事は今後探索者が龍王会を巡るキャンペーンに巻き込まれる事を意味するだろう。(現在続編執筆中)
御蛇本の体には龍王会の人間である事を示す入れ墨が彫られている。
ここでシナリオを終わらせたいのであれば彼を地獄に落とすのが一番だ。
憑依者とその協力者である探索者は閻魔王からの恩寵で、御蛇本の地獄の裁判を傍聴席で見る事ができる。

キーパーが、SoJ掲載の『The Hin-no-Maru Slayings』にこのシナリオを繋げたいと望むのであれば、逃げる御蛇本を東京まで追っていた探索者は、
甲冑の武者(西郷隆盛の怨霊)に殺される御蛇本を目撃する。甲冑の武者は「リメンバー・サツマ」とだけ言い残し行方をくらましてしまう。
この続きについては、『The Hin-no-Maru Slayings』を参照すること。

杉崎 零の持つマネキネコモンとの出会いによって、カッパモンたちとの戦いに探索者たちが巻き込まれるかもしれない。
カッパモンについての詳細は、SoJ掲載シナリオの『Meiro (The Labyrinth)』を参照すること。

・溢れ出した魑魅魍魎を地獄へと返した探索者達は1d10の正気度を回復する。
・倒した鬼1体につき1d3点の正気度を回復する。
・閻魔王の依頼を達成した憑依者は1d10の正気度を回復する。

11.ステータス

御蛇本 丸尾(おじゃもと まるお)、32、星蛇の憑依者、龍王会の龍帝
古代の蛇人間魔術師によって精神を交換された行司。
行司という立場を利用し神事を悪用し地獄で苦しむ同胞達を地獄門から解き放った。
「出ておじゃれ。探索者は隠れていても火薬の臭いでわかりまするぞ」
「ほ?残りはたった4人か。見くびられたモノよのぉホホホホ」
御蛇本は、HPが0以下になると、辞世の句を詠む。KPは、状況に即して句を詠むこと。
STR:16 CON:15 POW:24
DEX:17 APP:18 SIZ:13
INT:15 EDU:??
HP:14 MP:24 DB:+1d4
技能
経理:40% 値切り:60% 武士道:62% 隠す:55%
お稽古:57% オカルト:60% 宗教学:40% 言いくるめ:74%
作法:68% 運転(AT車):40% 法律:20% 聞き耳:30%
伝承(神道):52% 図書館:82% 説得:71% 心理学:64%
忍び歩き:70% 族(相撲協会):60% 族(ヤクザ):65%
企業文化:59% 信用:76% クトゥルフ神話:46%
呪文
<<ヨグ=ソトースの拳>>、<<消滅>>、<<地獄門の創造>>
<<イグとの接触>>、<<爬虫類に命令する>>、<<炎の精の召喚/従属>>
<<軍配に魔力を付与する>>、<<末法の龍神の招来/退散(改)>>
攻撃
小太刀:50% ダメージ:1d6+DB+毒、毒はPOT15
鉄の軍配:40% ダメージ:1d6+DB、MPが50点分付与されている
回避:50%
イゴーロナクの落とし子
STR:5 CON:13 POW:7
DEX:6 SIZ:4 INT:1
HP:9 MP:7 DB:-1d6
攻撃
噛みつき:30%(1ラウンドに3回) ダメージ:1d2
芸者ロボ
「結構なお手前どすえ」
STR:16 CON:-- POW:--
DEX:13 APP:15 SIZ:13
INT:-- EDU:--
HP:20 MP:-- DB:+1d4 移動:10/飛行 6
技能
お稽古(ほぼ全て):60%以上
装甲
3点の鉄製の体
戦闘
鉄扇:60% ダメージ:1d8+DB
日本刀:40% ダメージ:1d10+DB
DDos:80% 特殊 10m以内の電子機器を使用できなくする。この攻撃でファンブルすると、電子回路が焼ききれて停止する。
御蛇本の下僕、医者と看護婦に化けた蛇人間
STR:12 CON:10 POW:12
DEX:12 APP:-- SIZ:13
INT:12 EDU:--
HP:12 MP:12 DB:+1d4
攻撃
かぎ爪:50% ダメージ:1d6+DB
噛みつき:30% ダメージ:1d3+DB+POT10の毒
杉崎 零(すぎさき れい)、17、京都旧華族の末裔、女子高生妖怪ハンター、方言キメラ
京都に住む旧華族の末裔にして、闇夜に紛れて妖怪を伐つ熟練の妖怪ハンターだ。
日常の中では年相応のただの女子高生である。
好きなものはクレープとタピオカと招き猫のストラップとVシネマだ。
「生きる術は全てVシネで学んだ」と豪語している。
愛車である単車の「スサノオ号」を愛用しておりなめ猫の免許証を持っている。
その掟破りの地元走りと強さに引かれ京都中の暴走族を従え、その界隈では「姉さん」と呼ばれている。
彼女は一度死亡しておりヨツビシ・サイメックの技術により心臓を妖怪の物と交換し生存した。
杉崎家は四菱の大きなスポンサーだった。
それ以来彼女は妖怪の存在を即座に感知できる様になったが、最も忌むべき存在が己である事を憎み自分の使命が全て終わった時に自殺する為の小太刀を持ち歩いている。
 口癖は「死ねどす」
STR:12 CON:13 POW:15
DEX:15 APP:16 SIZ:11
INT:13 EDU:13
HP:12 MP:15 DB:0
技能
目星:52% 武士道:67% 作法:60% 伝承(神道):52%
隠す:40% マーシャルアーツ(剣道):64% オカルト(妖怪):80% 風水:42%
運転(単車):99% 族(暴走族):99%
心理学:34% 都市ナビゲーション(京都):87% クトゥルフ神話:20%
呪文
<<刀身を清める>>、<<被害を逸らす>>、<<悪霊退散>>
<<記憶を曇らせる>>、<<魔法の感知>>
装甲
装甲8点の巫女服
攻撃
日本刀:78% ダメージ:1d10+DB、チタン製の刀でMPが3d10点分付与されている
弓道弓:60% ダメージ:1d6+1
手裏剣:50% ダメージ:1d3
回避:78%
STR:39 CON:23 POW:9
DEX:5 APP:-- SIZ:33
INT:13 EDU:--
HP:28 MP:9 DB:+3d6
攻撃
金棒:45% ダメージ:1d10+DB
噛みつき:20% ダメージ:1d6
押しつぶし:35% ダメージ:1d6+DB
装甲
2点の筋肉

12.権利要項

・著作人格権及びケイオシアムの規約を侵害しない範囲であらゆる利用を許可する。
・このシナリオを拡散する事を条件に生放送、リプレイ等を許可する。

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