最終更新:ID:0YAKB6iOsA 2016年11月28日(月) 20:05:08履歴
突如拉致され、目覚めた一室から始まった物語
一人の男の足跡を頼りに歩みを進め
じわり、じわりと進行する症状に抗い
あなた方は女王は倒した
街に戻れば、今までの出来事は泡沫の夢のよう
それでも、今夜起こったことを胸に秘めて―――
一人の男の足跡を頼りに歩みを進め
じわり、じわりと進行する症状に抗い
あなた方は女王は倒した
街に戻れば、今までの出来事は泡沫の夢のよう
それでも、今夜起こったことを胸に秘めて―――
PCより
PLより
@--/--
“たまには外出てちゃんと飯食え”ってそんな文章に触発された訳ではない。久しぶりに家を出て街を彷徨った一日だった。
が。
吐きそう。
足を地に着けるたびに振動が来る胃の辺りを摩りながら、イヤホンの音楽に神経を傾けて、ふらふらと帰路につく。酔っ払いより酷いかもしれない。
そんな大したことはしていない。たまには外に出ないと、らしいことが呟けない。そう思って、流行りのパンケーキの店にふらっとやって来て、行列に一人で並んで、写真撮って、食べて来ただけの話だ。
それだけなのだが、アルコールのグラス二桁飲んだ時より全然吐きそうだった。世の女さんはよくあんな油脂と砂糖の塊を平然と食えるなぁとおもう。
男が一人でそんな店に行ったら浮きそうではあるが、生憎と脱色して染めたアッシュ系の茶髪、アイメイクと眼鏡、マスク、緩いロングカーディガン、ロング丈のシャツにスキニー、ブーツで大凡あの雰囲気に馴染めていた。
買う機会が多いのが女物とかフリーなものが多い――というかガチガチの男物がサイズ的に合わない――だけで、特に女装のつもりはない。
そういう趣味なのか、と言われたら、否、と答える。その問は、河原でキャッチボールをしている小学生を見て「将来プロ野球選手になるんだな」と決めてかかるものと同義だろうと思う。
吐き気を抱えたまま、アパートの玄関の鍵を開けて、開けていない段ボールや梱包を足でどけて、バッグを放り投げてベッドに飛び込んだ。眼鏡と暑苦しいマスクを外す。ついでにピアスも外してベッドサイド(だと思う場所)に放り投げる。
『帰宅ー』 帰宅の旨をどこかで呟いた。
『おかえりー』 何処かの誰かが通知音で囀る。
『おかありー』 まとめて返す、何時もの形式的なアレ。
一周回って元通り。
あの事件から何日、何週間たったかはあんまり考えていない。
あの病院から帰って、彼の部屋と仕事を代わりに整理したのは何となく憶えているが、その辺りのことがあまり思い出せない。超真面目に仕事をしていたせいで知恵熱出して頭が駄目になっていたのかもしれない。
メンヘラ気味の女垢に引きずられかけた――具体的に言うと家賃三カ月分くらいが服とか化粧品とかピアスとかカラーリングに消えたけど概ね普通に過ごせている。
そう、これで普通だ。
寝て、目が覚めて、ゲームのログインボーナスの為に一通りアプリ起動させて、寝落ちて、また目が覚めて、呟いて、適当にネットサーフィンして、コンビニ行って、ゲームして、寝て、みたいな。
寧ろ今までそこそこ"まともな"生活をして、仕事らしい仕事が出来ていたという事実に驚きを隠せない。真面目に働くなんてそもそも出来るような人間ではないのだ。だから、今は休みたい。必要な休業期間。
――ただ一つ変わったことがあるなら。
もうきっと俺の電話が鳴らないことだろうか。
それはそうだろう。ほぼ唯一の発信元が自分の手元にあるんだから。
どう考えたってセンチな感傷に浸る場面なのだろうが、涙は出なかった。元から感情を表に出すっていうのは苦手だったけど。
最後のメモ。水と彼の血に濡れて、自分が握りつぶしてぐしゃぐしゃにしてしまったそれに閉じ込めてしまったようだった。
鳴らない代わりに、啼いていてほしい。ねえ餌は幾らだってあげるから。
@12/29
都会生まれ都会育ちを自負している。ここまで真っ白な光景は中々見たことがない。良く生活ができるな、とそんな感想を抱く。
今日だって乗り慣れない新幹線に乗ってこんな所まで出てきたのは、引きこもり過ぎて本気で真新しいネタがなくなってきたというのも大きかった。
かれぴっぴとお泊り〜♥とかネタにしようと思っている。無論そんなものはいない。呟きの主からあくまでフィクション。悲しいなあ。
目的地の住所が書かれたメモを取り出そうと、手紙を取り出す。添えられたのは二枚の乗車券、必要なのは一枚だって分かってるだろうに。先生もとことん意地が悪いよなぁ……いや、あの人はマジモンの天然なんだろうなぁ。あとその名前だと結婚したみたいじゃん。
新幹線の通る駅から、更に電車を乗り継いでやってきた駅から外に出る。当然ながら辺り一面が雪に覆われていた。この景色を共有する相手は画面の向こう側の誰か達しかいなかった為、車窓から写真を一回だけ撮ってあとはずっとゲームをしていたのだ。改めて白さと寒さと足元の不安定さを目の当たりにしてため息が出る。
ふと思い立って、しゃがんで道端の雪に左手を突っ込んだ。
じんじんと冷たさが痛みになって沁みる。
スマホを構えて、白に埋もれた手の先、動きが儘ならない指の位置を派手なネイルが映える様に調整してシャッターを切る。男っぽいパーツを隠して、写真映えする構図は無意識の内に身体が憶えていた。
フィルターを掛けて、肌の色味を誤魔化す。雪の白さが損なわれなければ問題ない。
『雪やばすぎ笑』
文字を打ち込むのは一瞬、画像の添付も一瞬、送信も同じく。
全てが終わったら、遅れてきた反射の様に急いで手を引き抜く。
「あー、無理、つめた……」
マフラーに埋めていた口元を晒して全力で左手に息を吐きかける。若干失せかけていた感覚が戻ったら、ポケットのコートに手を突っ込んだ。手袋はスマホが弄りにくいから普段はしない主義。
視界にチラつく赤い前髪が鬱陶しいが、掻き上げるために手を出す方がダメージを喰らう気がした。
髪色はあの時と同じ様にした。あの先生に認識されるか怪しかったというのもあったし、そういう気分だったというのもある。仕事が休業状態だからとピアスは増えたが、まあ大凡変わらないだろう。
シルバーのピアスに飾られた唇で煙草を咥え、煙と白い息を吐きながら、駅の周辺をうろつく。
都会生まれには信じられないような公共交通機関の充実っぷりを目の当たりにする結果に終わった。
「……」
大人しく財布を開ける。
仮にも旅行だというのに千円札が数枚。家賃電気携帯回線、その辺りを考慮して口座から引き出せたのがコレだけだった。
クレジットカードは多分既に限度額。クリスマスに託けてイベントが大量にあったせいで課金額も相応のものだったというのが大きい。
地図アプリを見直す。タクシー捕まえて数千円で行ける距離か? 無理では? そもそも滅多にタクシーというものを使わないので相場が分からない。
「はぁあ……ともちん、タクシー代奢ってよ、……」
家賃も携帯代も俺が払ってやってるんだぞと言いかけて口を噤む。何を言ってるんだ俺は。
二日くらいミルクティーだけで生きてたからカロリーが足りてないのかもしれない。リアルまでマジキチとか霊感とか電波とか、そんなキャラじゃないでしょう。
「あーもう、ヤダー、タスケテセンセー」
うん、迎えに来てもらおう。その辺りのプライドは皆無に等しいので、迷わず先生、の付き人であるなっつーにコールする。
仲良くしてる所邪魔しないかなぁ、とか漠然と思う。だから電話は嫌いだ。呼び出し音を遠くに聞きながら、駅の壁に凭れてぼんやりと辺りを見渡す。
視界の端に喫茶店が留まった。迎えに来てくれるならアイスでも食べながらのんびり待とう。
来てくれない場合はカロリー入れてから一人でウォーキングするしかないんだけどな。
“たまには外出てちゃんと飯食え”ってそんな文章に触発された訳ではない。久しぶりに家を出て街を彷徨った一日だった。
が。
吐きそう。
足を地に着けるたびに振動が来る胃の辺りを摩りながら、イヤホンの音楽に神経を傾けて、ふらふらと帰路につく。酔っ払いより酷いかもしれない。
そんな大したことはしていない。たまには外に出ないと、らしいことが呟けない。そう思って、流行りのパンケーキの店にふらっとやって来て、行列に一人で並んで、写真撮って、食べて来ただけの話だ。
それだけなのだが、アルコールのグラス二桁飲んだ時より全然吐きそうだった。世の女さんはよくあんな油脂と砂糖の塊を平然と食えるなぁとおもう。
男が一人でそんな店に行ったら浮きそうではあるが、生憎と脱色して染めたアッシュ系の茶髪、アイメイクと眼鏡、マスク、緩いロングカーディガン、ロング丈のシャツにスキニー、ブーツで大凡あの雰囲気に馴染めていた。
買う機会が多いのが女物とかフリーなものが多い――というかガチガチの男物がサイズ的に合わない――だけで、特に女装のつもりはない。
そういう趣味なのか、と言われたら、否、と答える。その問は、河原でキャッチボールをしている小学生を見て「将来プロ野球選手になるんだな」と決めてかかるものと同義だろうと思う。
吐き気を抱えたまま、アパートの玄関の鍵を開けて、開けていない段ボールや梱包を足でどけて、バッグを放り投げてベッドに飛び込んだ。眼鏡と暑苦しいマスクを外す。ついでにピアスも外してベッドサイド(だと思う場所)に放り投げる。
『帰宅ー』 帰宅の旨をどこかで呟いた。
『おかえりー』 何処かの誰かが通知音で囀る。
『おかありー』 まとめて返す、何時もの形式的なアレ。
一周回って元通り。
あの事件から何日、何週間たったかはあんまり考えていない。
あの病院から帰って、彼の部屋と仕事を代わりに整理したのは何となく憶えているが、その辺りのことがあまり思い出せない。超真面目に仕事をしていたせいで知恵熱出して頭が駄目になっていたのかもしれない。
メンヘラ気味の女垢に引きずられかけた――具体的に言うと家賃三カ月分くらいが服とか化粧品とかピアスとかカラーリングに消えたけど概ね普通に過ごせている。
そう、これで普通だ。
寝て、目が覚めて、ゲームのログインボーナスの為に一通りアプリ起動させて、寝落ちて、また目が覚めて、呟いて、適当にネットサーフィンして、コンビニ行って、ゲームして、寝て、みたいな。
寧ろ今までそこそこ"まともな"生活をして、仕事らしい仕事が出来ていたという事実に驚きを隠せない。真面目に働くなんてそもそも出来るような人間ではないのだ。だから、今は休みたい。必要な休業期間。
――ただ一つ変わったことがあるなら。
もうきっと俺の電話が鳴らないことだろうか。
それはそうだろう。ほぼ唯一の発信元が自分の手元にあるんだから。
どう考えたってセンチな感傷に浸る場面なのだろうが、涙は出なかった。元から感情を表に出すっていうのは苦手だったけど。
最後のメモ。水と彼の血に濡れて、自分が握りつぶしてぐしゃぐしゃにしてしまったそれに閉じ込めてしまったようだった。
鳴らない代わりに、啼いていてほしい。ねえ餌は幾らだってあげるから。
@12/29
都会生まれ都会育ちを自負している。ここまで真っ白な光景は中々見たことがない。良く生活ができるな、とそんな感想を抱く。
今日だって乗り慣れない新幹線に乗ってこんな所まで出てきたのは、引きこもり過ぎて本気で真新しいネタがなくなってきたというのも大きかった。
かれぴっぴとお泊り〜♥とかネタにしようと思っている。無論そんなものはいない。呟きの主からあくまでフィクション。悲しいなあ。
目的地の住所が書かれたメモを取り出そうと、手紙を取り出す。添えられたのは二枚の乗車券、必要なのは一枚だって分かってるだろうに。先生もとことん意地が悪いよなぁ……いや、あの人はマジモンの天然なんだろうなぁ。あとその名前だと結婚したみたいじゃん。
新幹線の通る駅から、更に電車を乗り継いでやってきた駅から外に出る。当然ながら辺り一面が雪に覆われていた。この景色を共有する相手は画面の向こう側の誰か達しかいなかった為、車窓から写真を一回だけ撮ってあとはずっとゲームをしていたのだ。改めて白さと寒さと足元の不安定さを目の当たりにしてため息が出る。
ふと思い立って、しゃがんで道端の雪に左手を突っ込んだ。
じんじんと冷たさが痛みになって沁みる。
スマホを構えて、白に埋もれた手の先、動きが儘ならない指の位置を派手なネイルが映える様に調整してシャッターを切る。男っぽいパーツを隠して、写真映えする構図は無意識の内に身体が憶えていた。
フィルターを掛けて、肌の色味を誤魔化す。雪の白さが損なわれなければ問題ない。
『雪やばすぎ笑』
文字を打ち込むのは一瞬、画像の添付も一瞬、送信も同じく。
全てが終わったら、遅れてきた反射の様に急いで手を引き抜く。
「あー、無理、つめた……」
マフラーに埋めていた口元を晒して全力で左手に息を吐きかける。若干失せかけていた感覚が戻ったら、ポケットのコートに手を突っ込んだ。手袋はスマホが弄りにくいから普段はしない主義。
視界にチラつく赤い前髪が鬱陶しいが、掻き上げるために手を出す方がダメージを喰らう気がした。
髪色はあの時と同じ様にした。あの先生に認識されるか怪しかったというのもあったし、そういう気分だったというのもある。仕事が休業状態だからとピアスは増えたが、まあ大凡変わらないだろう。
シルバーのピアスに飾られた唇で煙草を咥え、煙と白い息を吐きながら、駅の周辺をうろつく。
都会生まれには信じられないような公共交通機関の充実っぷりを目の当たりにする結果に終わった。
「……」
大人しく財布を開ける。
仮にも旅行だというのに千円札が数枚。家賃電気携帯回線、その辺りを考慮して口座から引き出せたのがコレだけだった。
クレジットカードは多分既に限度額。クリスマスに託けてイベントが大量にあったせいで課金額も相応のものだったというのが大きい。
地図アプリを見直す。タクシー捕まえて数千円で行ける距離か? 無理では? そもそも滅多にタクシーというものを使わないので相場が分からない。
「はぁあ……ともちん、タクシー代奢ってよ、……」
家賃も携帯代も俺が払ってやってるんだぞと言いかけて口を噤む。何を言ってるんだ俺は。
二日くらいミルクティーだけで生きてたからカロリーが足りてないのかもしれない。リアルまでマジキチとか霊感とか電波とか、そんなキャラじゃないでしょう。
「あーもう、ヤダー、タスケテセンセー」
うん、迎えに来てもらおう。その辺りのプライドは皆無に等しいので、迷わず先生、の付き人であるなっつーにコールする。
仲良くしてる所邪魔しないかなぁ、とか漠然と思う。だから電話は嫌いだ。呼び出し音を遠くに聞きながら、駅の壁に凭れてぼんやりと辺りを見渡す。
視界の端に喫茶店が留まった。迎えに来てくれるならアイスでも食べながらのんびり待とう。
来てくれない場合はカロリー入れてから一人でウォーキングするしかないんだけどな。
お疲れ様でした。こころがしんどすぎて語彙力が死んでいます。許してください。
・古都子さん
PLとしてご一緒することがあまりないので貴重な機会でした。相変わらずのRP力……先生は可愛い。
PC的にはちょっと距離がある感じになってしまいましたがもうちょっと絡みたかったですね。
色々と推理をしていただけて助かりました。中の人が脳筋で直ぐに突っ込む性分なので……。
後日談……とにかく、とにかくありがとうございました。美味しく頂きました(合掌)
・最中さん
お久しぶりの同卓でした。お母さんの包容力を感じました……圧倒的保護者力。
完璧な付き人というか従者でした……先生への愛がすごかった。お二人の以心伝心な関係がひたすらに羨ましかったです。
技能面でも大いに助けて頂いて、感謝しきりで御座います。
これからも先生と仲睦まじく?過ごしてください。
・くろつづみさん
KPお疲れ様でした!
PCがクリスぺ出しまくったりでしたが、本当にお疲れ様です。
NPC、NPCのアレは、ああああKP何て嫌いだ大好きィイ状態でした……。
何ていうか、色々合わさって心がへし折られましたが、頑張って生きます。
今はそれしか出てきません()
本当にありがとうございました!
・古都子さん
PLとしてご一緒することがあまりないので貴重な機会でした。相変わらずのRP力……先生は可愛い。
PC的にはちょっと距離がある感じになってしまいましたがもうちょっと絡みたかったですね。
色々と推理をしていただけて助かりました。中の人が脳筋で直ぐに突っ込む性分なので……。
後日談……とにかく、とにかくありがとうございました。美味しく頂きました(合掌)
・最中さん
お久しぶりの同卓でした。お母さんの包容力を感じました……圧倒的保護者力。
完璧な付き人というか従者でした……先生への愛がすごかった。お二人の以心伝心な関係がひたすらに羨ましかったです。
技能面でも大いに助けて頂いて、感謝しきりで御座います。
これからも先生と仲睦まじく?過ごしてください。
・くろつづみさん
KPお疲れ様でした!
PCがクリスぺ出しまくったりでしたが、本当にお疲れ様です。
NPC、NPCのアレは、ああああKP何て嫌いだ大好きィイ状態でした……。
何ていうか、色々合わさって心がへし折られましたが、頑張って生きます。
今はそれしか出てきません()
本当にありがとうございました!
PCより
一 燈取蛾
ナツが傍にいてくれているというのに、何故か時間が止まってしまっている心地だった。
朝が、昼が、夜が、そしてまた朝が、順繰りに巡っていく中をただぼんやりと。朝食を、昼食を、夕食を、そしてまた朝食を、使用人が都度、ナツの指示で運んでくるのを他人事のように眺めながら、嗚呼そんな時間なのか、とやはりどこか他人事のように思っていた。
それでもやはり、ナツの一挙一動は克明に分かったし、心中もいつも通り言葉にされなくても伝わっていた。
ナツは不安がっている。そして僕の、僕自身にさえよく分からないこの状態を酷く怖がっている。だから普段はナツが取りに行ってくれる僕の食事も、他の使用人に取りに行かせてまで僕の傍にいる。僕にどんな変化が出てもすぐにわかるように、備に僕を観察している。
そんな怖い顔をしないで。僕は大丈夫だよ。もう大丈夫。そう伝えたいのだけれど、どんなに思っても体も口もなかなか思うとおりに動かない。僕の思考は体と切り離され、独り歩きしてしまっているかのようだった。何をしようにも体が面倒くさがってしまっているかのようだった。
どうにか頑張って動かしても、それはひどく緩慢で、鈍く、僕が思ってから動き始めるまでに間があって、その都度ナツの顔が強張り、肩が小さく跳ねるのが見えたものだから、そのうち動くこともやめた。動かなくても、ナツがいれば、僕は生きられる。
そんな日々の繰り返しの中、不意に僕の視界を掠めるものがあった。
「……、………、…あ、虫」
それは一匹の蛾だった。その蛾はやけに僕の目を惹きつけて離さなかった。そうして、僕は、気が付けば飛んでいる蛾に手を伸ばしていた。
「…、シズ」
すぐさまナツが、怒ったような、たしなめるような押し殺した静かな声で僕を呼んで、虫よけにと焚かれていた蚊取り線香を蛾に近づける。
「蛾に蚊取り線香は効果があったかしら」などと頭の片隅で考えつつも、僕の目も、手も、蛾に釘付けだった。今までが嘘のように、ひらひら、と蛾と踊るかのように指先は軽快に蛾を追いかける。
蛾は煙をモノともせず、煙の元、赤々と輝く熱に心惹かれたようにそちらへふらふら飛んでいく。僕の手もひらひらとその蛾の軌跡を辿った。
じゅ、
と。
形容するならきっとそんな音が聞こえたような気がした。それは勿論、空耳であったのだけれど。指先からぞわりと寒気に似たようなものが一気に全身を駆け廻り、殆ど同時に指先に激痛を感じて僕は手をひっこめた。ここ数日の間では一番素早い動きだったと思う。
「、……」
「シズ…!?」
まじまじと焼けた指先を見つめる。けれどもそれも数秒のことで、酷く焦ったような、驚いたような、ナツの悲鳴染みた声(実際それは悲鳴に違いなかったのだ)と共に、手首ごと引っ張られた。少し体がぐらぐらする。何か言わなくちゃ。
「……、あ、ナツ。なあに…?」
自分でも酷く場違い且つ間の抜けた台詞であったと思う。これが舞台ならブウイングの嵐に違いない。
「なにじゃない、火傷してんなら冷さねえと…、…! つうかお前、熱!?」
ほら案の定、ナツが怒ってる。でもこの怒っているは僕に対してというよりも、不安が爆発して何処へ向ければいいのか分からない時の怒っている、だ。謝らなくちゃ。
でもふと、ナツの最後の言葉が引っかかった。
「………熱?」
はて、熱。火傷をしたら熱を持つのは当然だろうけれど、ナツのいう熱はそれではないような気がする。としたら何か、僕は熱を出しているのか。
そんなことをぼんやり考えながら畳に視線を落とすと、さっきの蛾が死んでいた。手をひっこめた拍子に衝突してしまったのか、それとも焼かれたのか。此処に来るまでの間に何度もどこかにぶつかっていたのか、羽はぼろぼろで、少し形が崩れていた。
一匹の娥の死を見つめる。死んでいる。そう、この蛾――“虫”――はもう死んでいる。そう思ったら、何処かでぷつり、と何かが切れるような音を聞いた気がして、次いで、鼻に小さな不快感と、ぬるりとした何かが伝う感触。ぽたり、と畳の上に赤がひと滴。
ぽた、ぽた、ぽた。
「……あ、はなぢ…」
着物が汚れないように鼻を押さえたのは半ば無意識の行動だった。
「…!?」
ナツは先ほどから目まぐるしくあれやこれやと考えているらしく、許容量を超える寸前のようだった。
「なつ、ち、とまらな」
だから僕は、とりあえず一番最初にやってほしいことを言おうとしたのだけれど、残念ながらそこまで言った後の記憶はぶっつりと途絶えてしまっていた。
二 過労
意識を取り戻した僕は、そのまま殆ど休む間もなく筆を取り、原稿用紙の上でペン先を滑らせている。
お医者先生曰く、僕が倒れたのは過労であったらしい。
僕があんな変な状態に陥ったのも、事件に巻き込まれた後で緊張の糸が解けなかったからではないか、とのことだった。緊張しっぱなしの状態が続いているから常時神経が研ぎ澄まされていて、けれども僕の体はさほど体力がないものだから、すぐに体力切れを起こし――思考は目まぐるしく回るのに体は思った通りに動かなかったのはそのためだった――それでも気力か何かで持続し続けていたものが、やっと切れたのだろう、と先生は締めくくった。僕が聞いた何かの切れる音は、僕の緊張の糸が切れる音だったようだ。
三 度し難い
体力が尽きるまで原稿用紙に向かい、限界が来るたびに倒れて寝込み。それでもまた懲りることなく体力が尽きるまで原稿用紙に向かう。まるで何かに取り憑かれているかのようだった。事実そうだったのだろう。
お医者先生はそんな僕に呆れはすれど、僕のそう言った性質(或いは性分)は承知のため、止めるようなことはせず、ただ少しでも症状が緩和されるようにと薬やら食事についてやら、ナツに手渡したり説明したりしていた。ナツは熱心に先生の話に聞き入りメモを取っていた。
しかし、お医者先生を呆れさせるような僕のある種病的なそれらも、ここ最近はなりを潜めざるを得なかった。筆の進みはさながら暗礁に乗り上げた船の如く、極めて遅々としている。
今まさに背後で繰り広げられている取っ組み合いのせいであった。
残念ながら会話の内容は二人にしか分からぬ部分が多い為、いまいち、何でもめているのかは定かではない。まあ内容が分からずとも後ろの二人が相容れぬものであることの想像くらいは容易にできるので、それは良いとして。
「作家先生、理佐はそんな出来る奴じゃねえよ。もう少しだらしがない」
「戀淵先生、私はそこまでセンチメンタリズムな女ではありません」
何故、仲の悪そうな二人は、こと僕の今まさに書きあげている最中の原稿に意見する時だけは、結託してくるのだろう。
指摘される度に「そうだったっけ、ごめんね」なんて笑いつつ書きなおしている僕は阿呆か気狂いの類に違いない。実際傍にいるナツが少し――いやかなり――心配そうな顔をしている。疲労が溜まりに溜まってありもしない何かを聞いているのではないかと危惧しているようだ。これが幻聴ならまだ良かったのかもしれないが残念ながらこの二人は幻聴でも、幻覚でもないのである。幻聴あるいは幻覚と言うのは雪子や母のような――と考えたところで麻縄の軋むような音が聞こえたので僕は思考を中断せざるを得なかった。
一先ずナツには何が起こっているのか素直に説明し――了解してくれたのは当然として、お茶と茶菓子と座布団を持ってくる辺りは流石ナツだと褒めた――二人の意見を取り入れつつ新作を書きあげていく。いつになれば原稿は書き上がるのだろうか。
四 メッセエジ
あれからひと月が経ち、ふた月が経ち、そろそろみ月目に入ろうとしている頃。ようやく原稿は大詰めに入った。
今は原稿の中の秋津風さんが、杏さんの分も奮闘していた場面の最後、物語の佳境を書き切ったところである。ここから場面は切り換り、病院の一室に移る。
大怪我を負って入院中の杏さんを、秋津風さんが揶揄う。揶揄いながらも秋津風さんは時折不安や安堵を覗かせ、杏さんは見て見ぬふりをしながら努めて普段通りに振る舞う。
此処まで来ると流石の僕も心得たもので、覗きこんでくる彼――もとい杏さん――も「理佐なら確かに言いそうだな……想像してちょっとイラっとした」「あいつは本当に心配で心配でしょうがない」などと、これまでのような意見ではなく、純粋な感想や気持ちを零していた。
物語は二人の会話で締めくくられる。
そして、最後。これが一番重要。
「杏さん」
――ん?
「秋津風さんに何か言いたいことは?」
――そりゃ山ほど。
「そんなにたくさんは書けないよ」
――…あー……、いや、大先生の新作の最後を伝言板みたいな使い方するのはどうなのよ。
「いいじゃない、これはフィクション、ということになっているんだから」
――全世界に発信される私信とか恥ずかしい以外の何者でもないんだけど、それは。
「書いたのは僕ってことになってるから大丈夫」
――………はあ、
杏さんは散々渋った後にやっと折れてくれ、一言だけ呟くように言った。僕はその言葉の一音一音を聞き零さぬよう大切に拾いあげ、一番最後の原稿用紙に、一文字一文字丁寧に書き記した。
五 棗へ宛てたメモ
原稿
秋津風さん
メエル
六 引用
“たまには外出てちゃんと飯食え”
戀淵靜夜の新作【ヒトリガの母】の最後のページより引用。(原文ママ)
七 杏智也宛ての手紙
杏さんへ
杏さん、この間(といっても結構前になってしまいますが、とりあえずこの間ということで)はありがとう。
御蔭で良い旅館を予約できました。
約束していた通り、同じ旅館の予約、入れておきました。
予約日は十二月二十九日から翌年一月三日までの五泊六日です。
杏さんのお名前で予約してあります。
“夢見月靜夜の紹介で来た”と言っていただければ通じるはずです。
万が一何かあった場合はナツのスマートフォンに連絡してくれれば、僕たちも宿泊しているのでそちらへ伺います。
秋津風さんと二人で楽しんでくだされば幸いです。
…あ、取材するんでしたっけ…?
えっと、取材しながら、楽しんでください。
行き帰り用の新幹線のチケットも手配してあるので、よろしければどうぞ。
P.S.
お二人が兄弟じゃないということは了解していました。ごめんなさい。
でも本当の兄弟より兄弟のように思えたことは本当です。
P.S.2
秋津風さんが杏さんのように記事を書くようになるなら、ペンネームを杏理佐にしてしまえば良いのではないかと思いました。
P.S.3
よろしければ一緒に年越ししませんか。
戀淵靜夜より
――手紙には二人分の行き帰りの新幹線の切符と、旅館の住所が記されたメモが封入されている。
八 椿
「真っ白だね、ナツ」
「真っ白だな」
二人でそんな話をしながら窓の外を眺める十二月二十九日。
二〇一六年もあと一寸でおしまい。
一面銀世界の庭に、真っ赤な椿が雪の被衣を被りながら花開いている。
「秋津風さん、来てくれるかな」
「さあな」
朝食に出された食事を二人で突きながら、そんな話をする。新幹線の時間も考えて、真っ直ぐ来れば昼過ぎには到着すると思うのだけれど、さてさて。
「杏さんが連れて来てくれるといいんだけれど」
「どうだろうな。引きずり出すのは無理だろうし、言葉で言って来るものか」
「…ナツ、ちょっと冷たい。いじわるだ。いじわるナツだ」
「…悪かった」
「嘘、拗ねてないよ。…えへへ」
「知ってる」
「流石ナツ」
そんな会話をしつつ、もう一度窓の外を見た。
重たそうな被衣に椿は今にも首が折れそうに曲がっていた。もう少し日が照って、雪が解ければ雪の方が落ちるのか、それとも椿の方が先に折れるのか。そんなことを考えつつ、椿の花言葉はなんだったかしら、と頭の中の辞書を捲った。
* * *
朝食も食べ終え、秋津風さんが来るかもしれないから、昼食は今は控えておこうと二人で決めながら、他愛のない話に花を咲かせていた。
仕事の話――【ヒトリガの母】は僕の知らない間に随分と売れていたらしく、シリーズ化のオファーが来ているらしい――だとか、秋津風さんに提案したい話――雑誌への寄稿についてはジャーナリストの秋津風さんの方が伝手が広いんじゃないかとナツが言ってきた。杏さんの話を聴いていたら秋津風さんが心配になってきてしまったらしい。素直じゃない。つまるところ秋津風さんにちょっとしたお小遣い稼ぎがてらのアルバイトをお願いしてはどうだということなのだろう。そこにはナツの、もう少し僕といられる時間を確保できるという打算も入っていることは言うまでもない――だとか、この間観光がてら外へ出た時食べたタルトが美味しかった話――僕は甘すぎる甘味が実のところ苦手なのだけれど、あのタルトはカスタードや生クリームが甘さ控えめで、瑞瑞しい果物の甘さや酸味が生かされていた。惜しむべくは僕がやはり量をこなせないのでひときれで満腹になってしまったことだろうか。また行きたい。次はフランボワアズのショコラのタルトとか食べてみたい――だとか、今日の昼食はどうしようか――秋津風さんが来るなら外で食べるのもいいかもしれない、と提案したのだけれど、ナツは「シズの手料理で良いだろ」と不思議そうに言った。人様に食べさせられるほどすごい腕前ではない気がするのだけれどナツが言うなら検討しておこう――とか。(家の話は一つも話題に上らなかった。どちらともなく、暗黙の了解としてそこに触れることは避けていた。今くらい、家のことは考えずに過ごしたい気持ちは二人とも同じだった。)
そんな話をぽつぽつとしていると、不意にナツのスマートフォンが静寂を破るように歌い出した。どこかで聞いたことのあるようなメロディに乗せて、男性ボオカルが歌う。僕が聞いたことがあるということは、結構有名な流行りの曲なのだと思う。でもナツの趣味ではない。そういえば少し前、大学の同窓会に行ったところ、知人にスマートフォンを弄られた、と不機嫌そうな顔をしていたのを思い出した。(ナツが不機嫌そうな顔をしている時は振りか、あるいは見た目以上に大変機嫌が悪いときである。この場合は勿論後者だ。) もしかしてその人の趣味かしら、なんて考えていたら、
「悪い、少し待っててくれ」
そういってナツはスマートフォンを拾いあげて客室の外へ出て行った。別に此処で話していてもいいのにな、と思いつつ、ナツの僕に対する気遣いに心がくすぐられるような嬉しさを覚える。(この場合の気遣いというのは世間一般で言うマナアなどとは違う。僕とナツにしか分からないことだ。)
ナツが出て行く直前、ボオカルの歌う歌詞の一節が耳を掠めた。それは僕の心を酷く惹きつけるものであると同時に、僕に椿の花言葉は何であるかを思い出させてくれた。
「“愛してるだけじゃ足りないんだ”」
最後の歌詞を、耳を掠めたリズムに乗せて口ずさんでみる。ボオカルの人に比べると随分へたくそだった。思わず笑いが零れる。
「愛してるだけじゃ足りないんだって。まさしくその通りだよ」
それから知らず、庭の椿に話しかけてみたりした。雪の重みで頭を垂れている椿は、自身を恥じらっているようにも見えたし、謝っているようにも見えた。もしかしたら別の言葉を必死に探しているのかもしれない。
そんな空想にふけりつつ、背後からナツが僕を呼ぶ声が聞こえたような気がして、僕は自然と立ち上がる。
「なあに、ナツー…?」
そういえば、電話の相手は誰だったのかな。
そんなことを頭の片隅で考えつつ、興味はもう殆ど先ほどの歌詞と椿の花に移っていた。あの椿の花をいくつ束ねたら僕のこの気持ちとつり合いがとれるのかな、なんて頭の中で椿を一つ一つ手折りながら考えてみたりもした。頭の中の辞書は椿のページが開きっぱなしになっていて、その上にぽとりぽとりと手折られた赤い椿の首が一つ、二つと落ちていく。
そんな想像をしながら僕は微笑んだ。
やっぱりナツは僕を呼んでいたらしい。
僕は電話の相手が誰かと聞くことを殆ど忘れかけていたのだけれど、聞かなくてもナツの方から教えてくれた。
PLより
一 燈取蛾
ナツが傍にいてくれているというのに、何故か時間が止まってしまっている心地だった。
朝が、昼が、夜が、そしてまた朝が、順繰りに巡っていく中をただぼんやりと。朝食を、昼食を、夕食を、そしてまた朝食を、使用人が都度、ナツの指示で運んでくるのを他人事のように眺めながら、嗚呼そんな時間なのか、とやはりどこか他人事のように思っていた。
それでもやはり、ナツの一挙一動は克明に分かったし、心中もいつも通り言葉にされなくても伝わっていた。
ナツは不安がっている。そして僕の、僕自身にさえよく分からないこの状態を酷く怖がっている。だから普段はナツが取りに行ってくれる僕の食事も、他の使用人に取りに行かせてまで僕の傍にいる。僕にどんな変化が出てもすぐにわかるように、備に僕を観察している。
そんな怖い顔をしないで。僕は大丈夫だよ。もう大丈夫。そう伝えたいのだけれど、どんなに思っても体も口もなかなか思うとおりに動かない。僕の思考は体と切り離され、独り歩きしてしまっているかのようだった。何をしようにも体が面倒くさがってしまっているかのようだった。
どうにか頑張って動かしても、それはひどく緩慢で、鈍く、僕が思ってから動き始めるまでに間があって、その都度ナツの顔が強張り、肩が小さく跳ねるのが見えたものだから、そのうち動くこともやめた。動かなくても、ナツがいれば、僕は生きられる。
そんな日々の繰り返しの中、不意に僕の視界を掠めるものがあった。
「……、………、…あ、虫」
それは一匹の蛾だった。その蛾はやけに僕の目を惹きつけて離さなかった。そうして、僕は、気が付けば飛んでいる蛾に手を伸ばしていた。
「…、シズ」
すぐさまナツが、怒ったような、たしなめるような押し殺した静かな声で僕を呼んで、虫よけにと焚かれていた蚊取り線香を蛾に近づける。
「蛾に蚊取り線香は効果があったかしら」などと頭の片隅で考えつつも、僕の目も、手も、蛾に釘付けだった。今までが嘘のように、ひらひら、と蛾と踊るかのように指先は軽快に蛾を追いかける。
蛾は煙をモノともせず、煙の元、赤々と輝く熱に心惹かれたようにそちらへふらふら飛んでいく。僕の手もひらひらとその蛾の軌跡を辿った。
じゅ、
と。
形容するならきっとそんな音が聞こえたような気がした。それは勿論、空耳であったのだけれど。指先からぞわりと寒気に似たようなものが一気に全身を駆け廻り、殆ど同時に指先に激痛を感じて僕は手をひっこめた。ここ数日の間では一番素早い動きだったと思う。
「、……」
「シズ…!?」
まじまじと焼けた指先を見つめる。けれどもそれも数秒のことで、酷く焦ったような、驚いたような、ナツの悲鳴染みた声(実際それは悲鳴に違いなかったのだ)と共に、手首ごと引っ張られた。少し体がぐらぐらする。何か言わなくちゃ。
「……、あ、ナツ。なあに…?」
自分でも酷く場違い且つ間の抜けた台詞であったと思う。これが舞台ならブウイングの嵐に違いない。
「なにじゃない、火傷してんなら冷さねえと…、…! つうかお前、熱!?」
ほら案の定、ナツが怒ってる。でもこの怒っているは僕に対してというよりも、不安が爆発して何処へ向ければいいのか分からない時の怒っている、だ。謝らなくちゃ。
でもふと、ナツの最後の言葉が引っかかった。
「………熱?」
はて、熱。火傷をしたら熱を持つのは当然だろうけれど、ナツのいう熱はそれではないような気がする。としたら何か、僕は熱を出しているのか。
そんなことをぼんやり考えながら畳に視線を落とすと、さっきの蛾が死んでいた。手をひっこめた拍子に衝突してしまったのか、それとも焼かれたのか。此処に来るまでの間に何度もどこかにぶつかっていたのか、羽はぼろぼろで、少し形が崩れていた。
一匹の娥の死を見つめる。死んでいる。そう、この蛾――“虫”――はもう死んでいる。そう思ったら、何処かでぷつり、と何かが切れるような音を聞いた気がして、次いで、鼻に小さな不快感と、ぬるりとした何かが伝う感触。ぽたり、と畳の上に赤がひと滴。
ぽた、ぽた、ぽた。
「……あ、はなぢ…」
着物が汚れないように鼻を押さえたのは半ば無意識の行動だった。
「…!?」
ナツは先ほどから目まぐるしくあれやこれやと考えているらしく、許容量を超える寸前のようだった。
「なつ、ち、とまらな」
だから僕は、とりあえず一番最初にやってほしいことを言おうとしたのだけれど、残念ながらそこまで言った後の記憶はぶっつりと途絶えてしまっていた。
二 過労
意識を取り戻した僕は、そのまま殆ど休む間もなく筆を取り、原稿用紙の上でペン先を滑らせている。
お医者先生曰く、僕が倒れたのは過労であったらしい。
僕があんな変な状態に陥ったのも、事件に巻き込まれた後で緊張の糸が解けなかったからではないか、とのことだった。緊張しっぱなしの状態が続いているから常時神経が研ぎ澄まされていて、けれども僕の体はさほど体力がないものだから、すぐに体力切れを起こし――思考は目まぐるしく回るのに体は思った通りに動かなかったのはそのためだった――それでも気力か何かで持続し続けていたものが、やっと切れたのだろう、と先生は締めくくった。僕が聞いた何かの切れる音は、僕の緊張の糸が切れる音だったようだ。
三 度し難い
体力が尽きるまで原稿用紙に向かい、限界が来るたびに倒れて寝込み。それでもまた懲りることなく体力が尽きるまで原稿用紙に向かう。まるで何かに取り憑かれているかのようだった。事実そうだったのだろう。
お医者先生はそんな僕に呆れはすれど、僕のそう言った性質(或いは性分)は承知のため、止めるようなことはせず、ただ少しでも症状が緩和されるようにと薬やら食事についてやら、ナツに手渡したり説明したりしていた。ナツは熱心に先生の話に聞き入りメモを取っていた。
しかし、お医者先生を呆れさせるような僕のある種病的なそれらも、ここ最近はなりを潜めざるを得なかった。筆の進みはさながら暗礁に乗り上げた船の如く、極めて遅々としている。
今まさに背後で繰り広げられている取っ組み合いのせいであった。
残念ながら会話の内容は二人にしか分からぬ部分が多い為、いまいち、何でもめているのかは定かではない。まあ内容が分からずとも後ろの二人が相容れぬものであることの想像くらいは容易にできるので、それは良いとして。
「作家先生、理佐はそんな出来る奴じゃねえよ。もう少しだらしがない」
「戀淵先生、私はそこまでセンチメンタリズムな女ではありません」
何故、仲の悪そうな二人は、こと僕の今まさに書きあげている最中の原稿に意見する時だけは、結託してくるのだろう。
指摘される度に「そうだったっけ、ごめんね」なんて笑いつつ書きなおしている僕は阿呆か気狂いの類に違いない。実際傍にいるナツが少し――いやかなり――心配そうな顔をしている。疲労が溜まりに溜まってありもしない何かを聞いているのではないかと危惧しているようだ。これが幻聴ならまだ良かったのかもしれないが残念ながらこの二人は幻聴でも、幻覚でもないのである。幻聴あるいは幻覚と言うのは雪子や母のような――と考えたところで麻縄の軋むような音が聞こえたので僕は思考を中断せざるを得なかった。
一先ずナツには何が起こっているのか素直に説明し――了解してくれたのは当然として、お茶と茶菓子と座布団を持ってくる辺りは流石ナツだと褒めた――二人の意見を取り入れつつ新作を書きあげていく。いつになれば原稿は書き上がるのだろうか。
四 メッセエジ
あれからひと月が経ち、ふた月が経ち、そろそろみ月目に入ろうとしている頃。ようやく原稿は大詰めに入った。
今は原稿の中の秋津風さんが、杏さんの分も奮闘していた場面の最後、物語の佳境を書き切ったところである。ここから場面は切り換り、病院の一室に移る。
大怪我を負って入院中の杏さんを、秋津風さんが揶揄う。揶揄いながらも秋津風さんは時折不安や安堵を覗かせ、杏さんは見て見ぬふりをしながら努めて普段通りに振る舞う。
此処まで来ると流石の僕も心得たもので、覗きこんでくる彼――もとい杏さん――も「理佐なら確かに言いそうだな……想像してちょっとイラっとした」「あいつは本当に心配で心配でしょうがない」などと、これまでのような意見ではなく、純粋な感想や気持ちを零していた。
物語は二人の会話で締めくくられる。
そして、最後。これが一番重要。
「杏さん」
――ん?
「秋津風さんに何か言いたいことは?」
――そりゃ山ほど。
「そんなにたくさんは書けないよ」
――…あー……、いや、大先生の新作の最後を伝言板みたいな使い方するのはどうなのよ。
「いいじゃない、これはフィクション、ということになっているんだから」
――全世界に発信される私信とか恥ずかしい以外の何者でもないんだけど、それは。
「書いたのは僕ってことになってるから大丈夫」
――………はあ、
杏さんは散々渋った後にやっと折れてくれ、一言だけ呟くように言った。僕はその言葉の一音一音を聞き零さぬよう大切に拾いあげ、一番最後の原稿用紙に、一文字一文字丁寧に書き記した。
五 棗へ宛てたメモ
原稿
秋津風さん
メエル
六 引用
“たまには外出てちゃんと飯食え”
戀淵靜夜の新作【ヒトリガの母】の最後のページより引用。(原文ママ)
七 杏智也宛ての手紙
杏さんへ
杏さん、この間(といっても結構前になってしまいますが、とりあえずこの間ということで)はありがとう。
御蔭で良い旅館を予約できました。
約束していた通り、同じ旅館の予約、入れておきました。
予約日は十二月二十九日から翌年一月三日までの五泊六日です。
杏さんのお名前で予約してあります。
“夢見月靜夜の紹介で来た”と言っていただければ通じるはずです。
万が一何かあった場合はナツのスマートフォンに連絡してくれれば、僕たちも宿泊しているのでそちらへ伺います。
秋津風さんと二人で楽しんでくだされば幸いです。
…あ、取材するんでしたっけ…?
えっと、取材しながら、楽しんでください。
行き帰り用の新幹線のチケットも手配してあるので、よろしければどうぞ。
P.S.
お二人が兄弟じゃないということは了解していました。ごめんなさい。
でも本当の兄弟より兄弟のように思えたことは本当です。
P.S.2
秋津風さんが杏さんのように記事を書くようになるなら、ペンネームを杏理佐にしてしまえば良いのではないかと思いました。
P.S.3
よろしければ一緒に年越ししませんか。
戀淵靜夜より
――手紙には二人分の行き帰りの新幹線の切符と、旅館の住所が記されたメモが封入されている。
八 椿
「真っ白だね、ナツ」
「真っ白だな」
二人でそんな話をしながら窓の外を眺める十二月二十九日。
二〇一六年もあと一寸でおしまい。
一面銀世界の庭に、真っ赤な椿が雪の被衣を被りながら花開いている。
「秋津風さん、来てくれるかな」
「さあな」
朝食に出された食事を二人で突きながら、そんな話をする。新幹線の時間も考えて、真っ直ぐ来れば昼過ぎには到着すると思うのだけれど、さてさて。
「杏さんが連れて来てくれるといいんだけれど」
「どうだろうな。引きずり出すのは無理だろうし、言葉で言って来るものか」
「…ナツ、ちょっと冷たい。いじわるだ。いじわるナツだ」
「…悪かった」
「嘘、拗ねてないよ。…えへへ」
「知ってる」
「流石ナツ」
そんな会話をしつつ、もう一度窓の外を見た。
重たそうな被衣に椿は今にも首が折れそうに曲がっていた。もう少し日が照って、雪が解ければ雪の方が落ちるのか、それとも椿の方が先に折れるのか。そんなことを考えつつ、椿の花言葉はなんだったかしら、と頭の中の辞書を捲った。
* * *
朝食も食べ終え、秋津風さんが来るかもしれないから、昼食は今は控えておこうと二人で決めながら、他愛のない話に花を咲かせていた。
仕事の話――【ヒトリガの母】は僕の知らない間に随分と売れていたらしく、シリーズ化のオファーが来ているらしい――だとか、秋津風さんに提案したい話――雑誌への寄稿についてはジャーナリストの秋津風さんの方が伝手が広いんじゃないかとナツが言ってきた。杏さんの話を聴いていたら秋津風さんが心配になってきてしまったらしい。素直じゃない。つまるところ秋津風さんにちょっとしたお小遣い稼ぎがてらのアルバイトをお願いしてはどうだということなのだろう。そこにはナツの、もう少し僕といられる時間を確保できるという打算も入っていることは言うまでもない――だとか、この間観光がてら外へ出た時食べたタルトが美味しかった話――僕は甘すぎる甘味が実のところ苦手なのだけれど、あのタルトはカスタードや生クリームが甘さ控えめで、瑞瑞しい果物の甘さや酸味が生かされていた。惜しむべくは僕がやはり量をこなせないのでひときれで満腹になってしまったことだろうか。また行きたい。次はフランボワアズのショコラのタルトとか食べてみたい――だとか、今日の昼食はどうしようか――秋津風さんが来るなら外で食べるのもいいかもしれない、と提案したのだけれど、ナツは「シズの手料理で良いだろ」と不思議そうに言った。人様に食べさせられるほどすごい腕前ではない気がするのだけれどナツが言うなら検討しておこう――とか。(家の話は一つも話題に上らなかった。どちらともなく、暗黙の了解としてそこに触れることは避けていた。今くらい、家のことは考えずに過ごしたい気持ちは二人とも同じだった。)
そんな話をぽつぽつとしていると、不意にナツのスマートフォンが静寂を破るように歌い出した。どこかで聞いたことのあるようなメロディに乗せて、男性ボオカルが歌う。僕が聞いたことがあるということは、結構有名な流行りの曲なのだと思う。でもナツの趣味ではない。そういえば少し前、大学の同窓会に行ったところ、知人にスマートフォンを弄られた、と不機嫌そうな顔をしていたのを思い出した。(ナツが不機嫌そうな顔をしている時は振りか、あるいは見た目以上に大変機嫌が悪いときである。この場合は勿論後者だ。) もしかしてその人の趣味かしら、なんて考えていたら、
「悪い、少し待っててくれ」
そういってナツはスマートフォンを拾いあげて客室の外へ出て行った。別に此処で話していてもいいのにな、と思いつつ、ナツの僕に対する気遣いに心がくすぐられるような嬉しさを覚える。(この場合の気遣いというのは世間一般で言うマナアなどとは違う。僕とナツにしか分からないことだ。)
ナツが出て行く直前、ボオカルの歌う歌詞の一節が耳を掠めた。それは僕の心を酷く惹きつけるものであると同時に、僕に椿の花言葉は何であるかを思い出させてくれた。
「“愛してるだけじゃ足りないんだ”」
最後の歌詞を、耳を掠めたリズムに乗せて口ずさんでみる。ボオカルの人に比べると随分へたくそだった。思わず笑いが零れる。
「愛してるだけじゃ足りないんだって。まさしくその通りだよ」
それから知らず、庭の椿に話しかけてみたりした。雪の重みで頭を垂れている椿は、自身を恥じらっているようにも見えたし、謝っているようにも見えた。もしかしたら別の言葉を必死に探しているのかもしれない。
そんな空想にふけりつつ、背後からナツが僕を呼ぶ声が聞こえたような気がして、僕は自然と立ち上がる。
「なあに、ナツー…?」
そういえば、電話の相手は誰だったのかな。
そんなことを頭の片隅で考えつつ、興味はもう殆ど先ほどの歌詞と椿の花に移っていた。あの椿の花をいくつ束ねたら僕のこの気持ちとつり合いがとれるのかな、なんて頭の中で椿を一つ一つ手折りながら考えてみたりもした。頭の中の辞書は椿のページが開きっぱなしになっていて、その上にぽとりぽとりと手折られた赤い椿の首が一つ、二つと落ちていく。
そんな想像をしながら僕は微笑んだ。
やっぱりナツは僕を呼んでいたらしい。
僕は電話の相手が誰かと聞くことを殆ど忘れかけていたのだけれど、聞かなくてもナツの方から教えてくれた。
2日間の卓、皆さまお疲れ様でした!!
様々な局面でご迷惑おかけしまくったり、空気の読めないRP・PL発言を繰り返してしまい、大変申し訳ありません…。(土下座)
ここ最近はKPとしての活動がメインになっており、PLとして卓に参加するのはとても久々だったので新鮮な気持ちで挑めました。
「女王の卵」について実は動画があるということすら知らないどころかシナリオタイトルすら知らなかった有様だったのですが…。
でも却って、だからこそ“シナリオを知らない”からこそのPL視点での感情と言いますか、そういったものを改めて感じさせてもらえたように思います。
本当に先が見えず不安で、あれこれ想像したり疑ったり…見当違いなことばかり言っていたかもしれませんが、とても楽しかったです。
以下、私信。
まほろさんへ
あまり卓中交流することができませんでしたが、理佐さん大好きです。
帰宅後は無表情に普段と変わらずネットに沈みつつも、杏さんのスマートフォンを見てはセンチメンタルになっているのだろうか…、
なんて、理佐さんのその後についても非常に気になる卓の結末でした。(後日談楽しみにしてますでも無理して書かずにのんびり書いてください。)
とりあえずご本人の承諾が得られたので頑張って靜夜に小説書かせます。その辺は…こちらの後日談でも触れられ、たらいいな、と…。(委縮)
最中さんへ
今回同じHO2ということで共同で探索者を作らせていただいた上での参加となりましたが…色々な場面でご迷惑やご負担おかけし、大変申し訳ありませんでした…。
靜夜も、ともすれば傲慢とも受け取れかねないような、すれっすれの発言が多く…(裏側の意図をくみ取っていただけていたようで本当にありがとうございます…)。
それでも一から一緒に設定を組み立てていくという貴重な経験をさせていただいたと共に、普段の自分の探索者とはまた一風変わった子が生まれ、
そういった意味でも今回の卓をとても新鮮なものに感じさせてもらえました。本当にありがとうございます。
後日談でも棗さんにはやはりご迷惑おかけする気しかしませんが、よろしくお願いします。(深深)
くろつづみさんへ
この度は卓へお誘いいただきありがとうございます。そしてTRPGへの復帰、純粋に嬉しく思います。おかえりなさいませ!
復帰一回目で問題しかない探索者を捻じ込む問題しかないPLで大変申し訳ございませんでした……。
卓中様々な場面でもやきもきさせたり、ご迷惑おかけしまくっていたと思います…、ハイ…。精進します…。
色々ありましたが…どうか今後もTRPG仲間としてお付き合いしていただければ幸いでございます。
そして後日談で勝手に杏さんとか間暮我さんを喋らせてしまうかと思いますがなにとぞご容赦を…。朝一番で集めた石ならここに…。(そっと籠ごと差し出し)
最後になりますが、KPのくろつづみさん、そしてPLのまほろさん、最中さん。
久しぶりのPLとして、皆さまと同じ卓を囲めて本当に楽しいひと時を過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました!!
(そして後日談は今しばらくお待ちくださいぼちぼち書きおろしていきます…(土下座))
書き上がったのでひっそりと……。物凄く冗長な後日談になってしまい申し訳ありません…(書きたいことを詰め込んでいったらこんなことに…)
稚拙な文章ですが、暇つぶし程度にでもなれば幸いでございます…。(深深)
様々な局面でご迷惑おかけしまくったり、空気の読めないRP・PL発言を繰り返してしまい、大変申し訳ありません…。(土下座)
ここ最近はKPとしての活動がメインになっており、PLとして卓に参加するのはとても久々だったので新鮮な気持ちで挑めました。
「女王の卵」について実は動画があるということすら知らないどころかシナリオタイトルすら知らなかった有様だったのですが…。
でも却って、だからこそ“シナリオを知らない”からこそのPL視点での感情と言いますか、そういったものを改めて感じさせてもらえたように思います。
本当に先が見えず不安で、あれこれ想像したり疑ったり…見当違いなことばかり言っていたかもしれませんが、とても楽しかったです。
以下、私信。
まほろさんへ
あまり卓中交流することができませんでしたが、理佐さん大好きです。
帰宅後は無表情に普段と変わらずネットに沈みつつも、杏さんのスマートフォンを見てはセンチメンタルになっているのだろうか…、
なんて、理佐さんのその後についても非常に気になる卓の結末でした。
とりあえずご本人の承諾が得られたので頑張って靜夜に小説書かせます。その辺は…こちらの後日談でも触れられ、たらいいな、と…。(委縮)
最中さんへ
今回同じHO2ということで共同で探索者を作らせていただいた上での参加となりましたが…色々な場面でご迷惑やご負担おかけし、大変申し訳ありませんでした…。
靜夜も、ともすれば傲慢とも受け取れかねないような、すれっすれの発言が多く…(裏側の意図をくみ取っていただけていたようで本当にありがとうございます…)。
それでも一から一緒に設定を組み立てていくという貴重な経験をさせていただいたと共に、普段の自分の探索者とはまた一風変わった子が生まれ、
そういった意味でも今回の卓をとても新鮮なものに感じさせてもらえました。本当にありがとうございます。
後日談でも棗さんにはやはりご迷惑おかけする気しかしませんが、よろしくお願いします。(深深)
くろつづみさんへ
この度は卓へお誘いいただきありがとうございます。そしてTRPGへの復帰、純粋に嬉しく思います。おかえりなさいませ!
復帰一回目で問題しかない探索者を捻じ込む問題しかないPLで大変申し訳ございませんでした……。
卓中様々な場面でもやきもきさせたり、ご迷惑おかけしまくっていたと思います…、ハイ…。精進します…。
色々ありましたが…どうか今後もTRPG仲間としてお付き合いしていただければ幸いでございます。
そして後日談で勝手に杏さんとか間暮我さんを喋らせてしまうかと思いますがなにとぞご容赦を…。朝一番で集めた石ならここに…。(そっと籠ごと差し出し)
最後になりますが、KPのくろつづみさん、そしてPLのまほろさん、最中さん。
久しぶりのPLとして、皆さまと同じ卓を囲めて本当に楽しいひと時を過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました!!
書き上がったのでひっそりと……。物凄く冗長な後日談になってしまい申し訳ありません…(書きたいことを詰め込んでいったらこんなことに…)
稚拙な文章ですが、暇つぶし程度にでもなれば幸いでございます…。(深深)
PLの皆さま、本当に2日間お疲れ様でした。
一年ぶりの公募卓、というより一年ぶりの復帰卓となりました。
それなのに犠牲になっていただき、誠に、誠にありがとうございました。
謎解きやらマップやら、至らぬところが多々ありましたが、温かいお言葉のおかげで無事に卓を終了することができました。
全員生還のベストエンド、となりましたが…
NPCにつきましては、本当に、申し訳ないと申しますか…
まほろ様/理佐さん
ただ一人のHo1ということでしたが、
前日から撫でまわしたくなるほど愛らしいPCでした
おかげで杏と楽しくRPさせていただきましたが、
その分当日に余計な精神的打撃を与えてしまったようで、
誠に申し訳ありません…。
淡々と探索を進める中で、杏の足跡をたどり
どのような感情を胸に秘めているのか、やきもきしておりました。
その心中を察せられるような後日談、ありがとうございます。
最中様/ナツさん
PL同士でご一緒することはありましたが、KPとPL同士では初対面となりました。
稚拙なKPでしたが、お楽しみいただけたなら幸いです。
卓中はHo2として、同じHo2のシズさんを支え、
探索を引っ張って行っていただきました。
お二人のやり取りがまぶしすぎて、KPは胸が一杯です。
そして見事なスペクリ乱舞にKPの心が折れかけていたのはちょっと秘密です。
卓中でゆるぎない絆を見せていただいたシズさんと、
どんな関係で、これからどうなっていくのか楽しみにしております。
古都子様/シズさん
お久しぶりです。長い間音信不通で申し訳なく思っていました。
久々のPLとおっしゃっていましたが、相も変わらず素晴らしいRPを見せていただきました。
流石です、お師匠様。そのRP力を分けてください。
今回はHo2という巻き込まれた被害者枠、だったのですが、
芯が通ったRPと、ナツさんとの確かな絆、そして卓中の推理、と様々な場面で活躍していただいて感無量です。
早々に後日談まで上げていただいて、本当に感謝しかありません。
これからも巻き込んでいく気満々なのでよろしくお願いします。
最後にもう一度、皆さま2日間お付き合いいただき、ありがとうございました。
一年ぶりの公募卓、というより一年ぶりの復帰卓となりました。
それなのに犠牲になっていただき、誠に、誠にありがとうございました。
謎解きやらマップやら、至らぬところが多々ありましたが、温かいお言葉のおかげで無事に卓を終了することができました。
全員生還のベストエンド、となりましたが…
NPCにつきましては、本当に、申し訳ないと申しますか…
まほろ様/理佐さん
ただ一人のHo1ということでしたが、
前日から撫でまわしたくなるほど愛らしいPCでした
おかげで杏と楽しくRPさせていただきましたが、
その分当日に余計な精神的打撃を与えてしまったようで、
誠に申し訳ありません…。
淡々と探索を進める中で、杏の足跡をたどり
どのような感情を胸に秘めているのか、やきもきしておりました。
その心中を察せられるような後日談、ありがとうございます。
最中様/ナツさん
PL同士でご一緒することはありましたが、KPとPL同士では初対面となりました。
稚拙なKPでしたが、お楽しみいただけたなら幸いです。
卓中はHo2として、同じHo2のシズさんを支え、
探索を引っ張って行っていただきました。
お二人のやり取りがまぶしすぎて、KPは胸が一杯です。
そして見事なスペクリ乱舞にKPの心が折れかけていたのはちょっと秘密です。
卓中でゆるぎない絆を見せていただいたシズさんと、
どんな関係で、これからどうなっていくのか楽しみにしております。
古都子様/シズさん
お久しぶりです。長い間音信不通で申し訳なく思っていました。
久々のPLとおっしゃっていましたが、相も変わらず素晴らしいRPを見せていただきました。
流石です、お師匠様。そのRP力を分けてください。
今回はHo2という巻き込まれた被害者枠、だったのですが、
芯が通ったRPと、ナツさんとの確かな絆、そして卓中の推理、と様々な場面で活躍していただいて感無量です。
早々に後日談まで上げていただいて、本当に感謝しかありません。
これからも巻き込んでいく気満々なのでよろしくお願いします。
最後にもう一度、皆さま2日間お付き合いいただき、ありがとうございました。
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