クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

自室にて、俺は一本の酒瓶と向かい合っていた。
先日の一件でコックさんからもらったハブ酒である。
酒瓶の底で力のない眼をした一匹のハブが鎮座している。
どれくらいだろうか、中々飲む決心がつかないまま時計の針は刻々と時を刻み続ける。
一滴の汗がつぅっと頬を伝う。
ゴクリ。
無音の空間ではやけに唾を飲み込む音が響く。
一呼吸した後、用意したコップへとくとくとハブ酒を注ぐ。
普段飲む酒とは異なる独特な香りがじんわりと六畳一室の我が家に浸透してゆく。
無職な液体が透明なコップの中で優雅に揺らめく。
この瞬間にも俺の心臓の鼓動が徐々に早まるのを感じた。
試合前にするのと同じようにゆっくりと、そしてじんわりと己の精神をコントロールしてゆく。
目を閉じ、明鏡止水の如く全ての感覚を支配する。
そして、カッと目を開き、その勢いのままコップへ口をつける。
ごくごくと味わうことなくその鼻につく液体を飲み込んでいく。
舌がぴりりと痛むが、それもまたいい。
先ほどまでの静寂とは真反対に、俺の心は今燃え盛っていた。
今の俺はまるで人間火力発電所だ。うおォン。
途切れさせることなく、一気に俺はハブ酒を飲み干した。
…………。
これ、あんまりおいしくないな。というか、俺には合わない気がする。
よくよく考えれば俺ってこの間初めて酒を飲んだわけだし、味が分かるはずもないのだ。
今度ジムのみんなと一緒に飲もうかな。
会長こういうの好きそうだしなぁ。うん、そうしようそうしよう。
そういや、他のみんなは何もらったのかな。
今度会ったときに聞いてみるか。
今度の試合が終わったらみんなでまた行きたいものだ。
レストラン『クナーロコ』へ。

皆さんお疲れ様でした。
すごい皆さん個性的なメンバーでとても楽しかったです。
神話生物ボコボコスタイルの戦闘卓はあまり経験がなかったので、そういうところも面白かったです。
後日談は不定の内容絡めようと思ったのですが、トゥルーエンドなのに雰囲気が暗くなりそう(そしてめんどくさい)のでこういう感じにしました。
他の卓で会うことあればそのときはまたよろしくお願いします。
それでは失礼します。

――とある街の一角、美術品販売店。細目の男と女性従業員。そこに二人のガタイの良い男たちが現れる。
あァ、どうも。いらっしゃいませI様。御贔屓にしていただいて嬉しく思いますよ。
今日は何をお求めで？　……えェ。勿論、承っておりますとも。『画』でございますね。
どのような『画』がよろしいでしょうか。さ、こちらへ。
ああ、君、ちょっと私はお客様と『商談』があるから店番を頼むよ。何かあったら呼んでねェ。

――二人組の客と細目の男　応接室に移動
……さて、今回は私をお選び下さいまして有難うございます。
改めまして、風本伊織と申します。こちらの販売店を営む傍ら彫師を……ああいえ、逆でしたねぇ。
とりあえず今までに描いたモノのファイルを御見せ致しましょうか。
――風本、『作品』のファイルを取り出し客に見せる
――客、感嘆しながらもどこか物足りなそうな顔
……ご希望のものはその中にはなかったようですねェ。
ああ、いえ、大丈夫ですよ。さほど珍しい話じゃァない。時折あるのです。
自らの、理解を超えるような、悍ましさ、恐ろしさ、美しさ、醜さ、そういったモノを求めるお方も。
お気を悪くしないでいただきたい。そういう趣味の人を十把一絡げにしているわけではありませんし、
お客様のことを貶めているわけでもございません。えェ。
……一つ、提案を致しましょうか。
双頭の大蛇、なんてどうでございましょう。
鱗は水晶色にぬめり、きらめき、息遣いと共に蠢き、その硬さは銃弾をも弾くほど。
眼光は鋭く、細い瞳孔が見た人間を切り裂くよう。
牙は硬く、鋭利で、毒の香りを振りまいて、一噛みで肉を腐らせていくよう。
こんな化物はいかがでございましょう。
ほう。目が光りましたね。お気に召しましたか。
そんなモノを描くことができるのか？　えェ。勿論。そうでなければ提案することなどおこがましくてとてもとても。
図案は一週間以内にはお渡しいたしましょう。その下地にお客様のご希望を取り入れて、修正して参ります。
どうぞ、一生モノの『画』ですから、悔やまれませんように。勿論、私も持つ技術のすべてを注ぎますよ。
えェ。ではこちらの書類に連絡先を……
――契約が終わり　客退場

――風本、再びフロアに戻る
店番どうも。何かあったかい？
そう、それならよかったよ。……ところで、君は化物が訪れるレストランって聞いてどう思うかい？
ハハ、別にからかっちゃぁいない。まあ、でもそう思うよねェ。
……できればまた行ってみたいもんだが。
ん？　興味があるかい？　社交辞令。そりゃどうも。
そうだねェ……簡単な物しか食べることはできなかったが、料理は美味しいところだったよ。
給仕は無愛想でねェ。出会い頭にメンチ切ってくるような奴だ。
コックは……色々な意味で百戦錬磨。この二人は親子のようでね。仲が非常に良い。相棒とも言えるかもしれん。
あとは土産に……カジュカンサージュースをくれるような所だ。他の人のはまた違うものだったがね。
嫌だよあげないよ。現地に行かないと買えない貴重な物だしさァ。
へぇ。それじゃあ今度、そん時に行ったお仲間と一緒に行ってみるかい。
なァに。ボクサーに女子中学生に神父さ。怪しい連中じゃ……今考えると結構怪しいかな。
ま、何はともあれ行ってみることだ。運がよけりゃ、いや、悪けりゃ、かな。面白いことに巻き込まれるかもしらん。
……おっと、お客様だ。じゃ、まァこのことは頭の隅にでも置いておいてよ。
――風本、店内に入ってきた老夫婦に声を掛ける
いらっしゃいませ。どうぞご覧ください。
――暗転

久しぶりの戦闘卓ということで緊張しておりましたが、とても楽しいひと時でした。
KPのニセさん、暗黒の田中さん、リースさん、蒼雷さん、本当に有難うございました。
早いうちにファンブルが出て、うわぁどうしようと思ったことしばしば。
一人も欠けることなく終わってよかったです。給仕さん可愛いよ給仕さん。
またお会いできることを祈って。