ハワード×ゼシカ

「えっ……私?」
「そう,どうしても君の力が必要なのだ。手を貸してもらえんか」

 ハワードはそう言って,ゼシカに頭を下げた。
 ここはリブルアーチの宿屋の一室。部屋で休んでいたエイト達一行を,ハワードが訪ねてきたのだ。

 なんでも,とあるアイテムの錬成にゼシカの協力が必要なのだという。

「とあるアイテムって……一体何なの」
「それはここでは言えん。とりあえず屋敷に来てほしい」

 煮え切らない返事に,ゼシカは不信感を募らせる。
 
 とはいえ,ハワードの目は真剣そのもので,下心を抱いているようには見えなかった。
それに,以前ラプソーンに操られたときの負い目もある。

「……わかったわ」

 結局ゼシカは,ハワードの依頼を了承することにした。
 
 時刻は真夜中。日はとうに沈み,月明かりが部屋を青く照らしていた。長旅で疲れたのか,
仲間たちは皆すやすやと寝息を立てている。
 ゼシカは彼らを起こさないように,そっと部屋を後にした。

「すまないね,こんな夜遅くに」

 屋敷の応接間で,ゼシカにお茶を勧めながらハワードは言った。

「かまわないわ。明日の昼前にはここを発つから,協力するなら今しかないし。
 ……それよりも,いい加減教えてくれないかしら。とあるアイテムの錬成って,
 一体何なのよ。それにわたしの力が必要って……」
「ああ,全て教えるとも」

 ハワードはゼシカの向かいに腰を下ろし,ゆっくりと口を開いた。

「……君はシャマル・クランバートルという人物について知っているかね?」

 突然投げかけられた質問に,ゼシカはきょとんとする。

「もちろん知ってるわ。シャマル・クランバートル――七賢者の一人で,天才彫刻家で
 魔法剣士……そして,私の先祖に当たる人」

 その血を引くアルバート家の者は,誇りある血統を自覚し,自らを戒めていかなければならない
――それが母さんの口癖だったっけ。
 でも,その血のせいでサーベルト兄さんは……
 
 複雑な感情を抱くゼシカを尻目に,ハワードは話を続ける。

「そう,それが世間一般に知られているシャマルの姿だ。しかし彼女には,
 あまり知られていないもう一つの顔があったのだよ」

「もう一つの……顔?」

 重いまぶたを開けながら,ゼシカはハワードに聞き入る。そこでハワードは,
意味深な笑みを浮かべてその答えを出した。

「彼女は魔乳の持ち主だった。その乳は多くの男達を狂わせ,彼女の母乳を求めては
 錬金術師たちがこぞってやって来たという」

 いきなり猥談を始めたハワードに,ゼシカは警戒心を強める。

「あまり私の先祖を愚弄すると……許さないわよ」
「……残念ながら事実なのだよ。これを見たまえ」

 ハワードはそう言って,ゼシカの前に古びた本を広げてみせた。内容までは読み取れないが,
どうやら何かの錬金レシピらしい。

「なぜ錬金術たちはシャマルの母乳を求めたと思う?」

 ぼやけた意識の中,ゼシカはハワードの言葉に耳を傾ける。

「チーズだよ。それを口にした者は激しいエクスタシーを覚え,性に乱れ狂うという禁断のチーズ
 ――その材料に用いられたのだ。そこに載っているのはその錬金レシピなのだよ」
「そ,それが一体何の関係が……」
「……まだ分からないのかね」
 
 そこで初めて,ハワードは邪悪な笑みをゼシカに向ける。
 逃げなければ……ゼシカがそう思った時には,もう遅かった。

「お茶に入れた薬が効いたようだね」

 強烈な睡魔に襲われ,ゼシカはそのまま椅子に倒れ込んでしまったのだ。

 ひんやりとした冷気を感じて,ゼシカは目を覚ました。
 先ほどいた場所ではない……地下室だろうか。

「気がついたか」

 聞き覚えのある男の声がして,ゼシカははっとする。
 ゼシカの手首は,天井につながった手かせで拘束されていた。

「なっ……一体何のつもりなのよ!」
「クックック……もうわかっているだろう」

 ゼシカの背後からハワードの声が響く。

「君はシャマルの血を引く女だ。そしてその身体は……まさにシャマルの生まれ変わり」
「!……は,離して!」
「協力してもらうぞ……禁断のチーズ作りに」

 ゼシカは必死に身をよじらせたが,背後の魔の手からは逃げられなかった。
その手は指を立てて,ゼシカの乳房を服の上からなぞっていく。

「あっ……!」

 暗闇の中,ゆっくりと乳房を這っていく十本の指先。そのいやらしく優しい手つきに,
ゼシカは思わず声を漏らしてしまった。

「あ……あ……」
「クックッ,ちょっと触れただけだというのに……感度もバツグンだな」

 乳房を這っていた指先は,やがて小さな突起を探り当てる。柔らかな布地の上から
コリコリといじめると,ゼシカの身体は可哀想なくらい反応した。

「あっ!ああっ!!」
「おいおい,いくらなんでも反応しすぎだろう。お楽しみはこれからだというのに……」

 ハワードはあざ笑うように言って,胸先の布地を少しだけ下げた。桃色の小さな乳首が二つ,
ちょこんと顔を出す。

「お,お願い……これ以上は……」

 ハワードは何も言わずに,乳首の先端を軽く引っかいた。

「ひゃんっ!」

 指先が乳首をこするたび,ゼシカの身体はビクッと動く。

 痛みにも似た快感に耐えながら,ゼシカはやっとの思いで口を開いた。

「くっ……や,やめなさい。こんな事したって……あっ!……母乳なんか…… 出ないわよ!」
「ああ,そうだろうとも……この呪文を唱えるまではな」

 ハワードはそう言って,ゼシカの乳輪をなぞり始めた。それと同時に,
ぶつぶつと何かを唱え始める。

「古代の錬金術師たちも,こうやってシャマルの母乳を得たのだ」

 ハワードの呪詛が暗い空間に響く。その言葉の羅列を聞いているうちに,
ゼシカは自分の胸が張ってくるのを感じた。

「なによこれ…………あ……ぁ……」

 乳房に広がるもやもやとした快感。やがてその快感は凝縮され,乳房の先端に集中していく。

「いや……もうだめ……私……!」

 乳首に集まるはち切れんばかりの快感。ゼシカは開放の欲望で頭がいっぱいになる。
 そして狙いすましたように,ハワードはゼシカの乳首をつまみ上げた。

「ああああああああああああああああああああああああ!!!」

 絶叫と共に,ゼシカは己の欲望を解き放った。
 赤く勃起した乳首からは,白濁色のシャワーが止めどなく溢れる。
 ハワードはそこにガラスのビンを当て,ゼシカの母乳を溜め続けた。

「あぁ……あ……」

 母乳を出し続けている間も,ゼシカはヒクヒクと痙攣を続ける。
 闇の中で,ゼシカの身体は性の悦びに打ちひしがれていた。

 己の快楽を出し尽くしたゼシカは,その場でぐったりとうなだれていた。
汗だくの身体は熱を帯び,絶頂の余韻が視界を曇らせる。
 冷たい空間に,ゼシカの荒い息だけが響いていた。

「クックック……だいぶ集まったな。もういいだろう」

 ガラスのビンはクリーム色の液体で満たされていた。ハワードはそれを満足げに眺めた後,
部屋の隅にある試験台へと向かう。

「あとはレンネットの粉と……ああ,これも忘れてはいかんな」

 文献に目をやりながら,次々と素材を混ぜ合わせていくハワード。そうして出来た生地を,
錬金釜へと注ぎ込む。

「これでよし……あとは待つだけだ」

「わ,私にこんな事して……ただで済むと思ってるの……!」

 落ち着きを取り戻してきたゼシカが,息を切らせながらハワードを睨みつけた。
ハワードは我関せずという顔で,ゼシカの批難を受け流す。

「ふん……ワシはあくまで錬金術的手法に従ったまでだ。母乳分泌時の性的快感が強いほど,
 より強力なチーズができるらしいからな」

 ハワードはそこでニヤリと笑った。

「先ほどのイキっぷりから見ても……相当期待できるんじゃないか」

 ゼシカの顔がかあっと赤くなる。それが怒りによるものか,羞恥によるものなのか……
ゼシカ自身にもわからなかった。

 それからどのくらいの時間が経っただろうか……
 
 静まり返った空間に,チン,という小気味よい音が鳴った。

「ついにできたようだな……禁断のチーズが」

 錬金釜を開けたハワードは,取り出した錬成物をまじまじと眺めた。
ところどころに気泡のある,三角柱のなめらかな物体――それはどう見ても,ごく普通の
カットチーズであった。

「なんだこれは……ただのチーズじゃないか……」

 拍子抜けしたとばかりに,ハワードはつぶやいた。

「……ふん,どうやら失敗だったみたいね」

 口の端を釣り上げて,今度はゼシカがあざ笑うように言う。

「これでわかったでしょ。こんなことしても,禁断のチーズなんてできないのよ。
 さあ,早くこの鎖を外してちょうだい。今ならまだ許してあげるわ」

 先ほどとは打って変わって,余裕の表情を見せるゼシカ。しかし,そこでハワードは
独り言のように口を開いた。

「……まだだ」
「えっ?」
「作り方は間違っていなかった……もしこれが本物であるなら,食べた時に効果が見られるはず」

 ハワードはゆっくりと起き上がり,チーズを持ってゼシカに近付いていく。
 ゼシカの身体を舐め回すように見た後,ハワードはおもむろに口を開いた。

「お前で試してみよう」

「なっ……!」

 ゼシカが口を開いたときには,すでにハワードは後ろに回り込んでいた。手にしたチーズを
一口大にちぎり,ゼシカの口元に押し当てていく。

「!!」

 これを口にしてはダメ――ゼシカの本能が脳裏でささやいた。キッと口を結び,ぶんぶんと
頭を振って抵抗する。

「強情な小娘め……これでどうだ」

 ハワードはそう言って,ゼシカの股下に手を潜り込ませた。絶頂から時間が経っていたが,
ゼシカの恥部はまだ熱と湿気を帯びていた。
 ぬるぬるとした隙間に強引に指を入れ,容赦のない手つきでかき回していく。

「んんんんんん!!」

 地下室に広がる,クチュクチュという水の音。その音は次第に速さを増し,堅く閉ざされた
ゼシカの口元をこじ開ける。

「ああああああああっ!!」

 ゼシカは再び絶頂に達した。
 すかさず,大きく開かれた口にチーズの欠片が放り込まれる。

「ん……!!んん……!!」

 ゼシカにはもはや,抵抗する力が残されていなかった。涙で溢れた目を閉じ,快楽の余韻に
身をまかせる。

 強く塞がれた口の中で,禁断のチーズはゆっくりと溶けていった。

 ゼシカに異変が生じたのは,その直後だった。

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 耳をつんざく悲鳴と共に,ゼシカの身体は激しく揺れた。
 天井に繋がれた鎖をチャラチャラと鳴らし,気が狂ったように頭を振り回す。
何かを拒絶するように,もしくは何かに戦慄するように,ゼシカは暴れ続けた。

「これはすごい……想像以上の効果だ」

 冷や汗を流しながら,ハワードが感嘆の息を漏らす。目の前で狂乱する女に,ハワードは
恐怖さえ感じていた。

 やがてゼシカはピタリと動きを止め,ぐったりと身体を宙に浮かせた。虚ろな瞳は天を仰ぎ,
顎はがくがくと震えている。

「フフ……さすがにもう抵抗はせんだろう」

 手かせを外すと,ゼシカの身体はどさっと床に崩れ落ちた。痙攣を続けるゼシカを見下ろして,
ハワードは凶悪な笑みを浮かべる。

 ハワードはそのまま,横たわるゼシカの衣服に手をかけていった。

 ゼシカは何の抵抗もせずに,ありのままの姿をハワードに晒した。
 その身体は汗に濡れ,信じられないほど熱くなっている。

「見れば見るほど美しい身体だ……もう我慢できん」

 ハワードは自らも服を脱ぎ捨て,そそり立つ自身をゼシカにあてがう。その身を一気に沈めると,
ゼシカの身体はビクッと跳ねた。

「ぁ……ぅぁ……」

 絞り出すような声を上げ,ゼシカは大きく身体を反らせた。愛液で溢れたゼシカの膣は
ハワードを絡めとり,そのまま飲み込もうとする。腰を動かすたびに二人の性器は溶け合い,
ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てた。

「くぉ……ぁ……」
「クッ,もう限界だ……」

 ペニスに欲望を溜め込んだハワードは,そこで手にしたチーズを口にした。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」

 絶叫と共に,ゼシカの体内に精液が溢れ出す。放出された精液は止まることを知らず,
洪水のようにゼシカを満たしていく。

「す,すごい……まだ出るぞ……うっ」

 チーズの魔力はハワードに凄まじい精力をもたらしていた。勃起したペニスが栓となり,
ゼシカの子宮はハワードの子種で一杯になる。

「ぁぁぁぁぁぁ……」

 精液を注がれ続けるゼシカの下腹は,ぷっくりと膨んでいた。膨らむ下腹をさすりながら,
ゼシカはうっとりと笑みを浮かべる。
 
 冷たい地下室の中で,二人の男女は性に溺れ続けた。
2013年08月12日(月) 16:56:21 Modified by moulinglacia




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