女魔法使い 97@Part12

 レベル20になったら賢者にしてあげる。そんなおいしい話にのせられて勇者様のパー
ティに加わった魔法使いローザ(♀・レベル6)は、半ばピクニック気分でルビスの塔に
向かったのだった。平凡な日々は終わり、血塗られた悪夢の生活が待っているとも知らず
に・・・。

 あたしは知らなかった。知ってたら魔法使いになんか、ううん冒険者なんかにならなか
ったと思う。ルビスの塔の最上階に着くまであたしは2回死んだ。レベルも低くて経験も
ないあたしはみんなの動きについていけない。下がってろって言われてもどこに下がれば
いいのかわからない。必死でまごまごしてるあたしの前にラゴンヌの巨大な牙が現われて、
ものすごい力で圧し掛かられたとき、あたしは意識を失った。

 気がつくと賢者のヒスイさんに抱きかかえられていた。勇者様と盗賊のトパーズさんは
あたし達を挟むように背中を向けて立ちながら、通路を睨み付けている。魔物を警戒して
いるんだろう。
「よかった。ちゃんとつながったみたい」目を開けたあたしに気づいたヒスイさんが首筋
を優しく撫でてくれる。「つなが・・・?」何がつながったんだろう。あたしの戸惑った呟
きにヒスイさんは微笑んでうなずいた。
「立てるかな? 大丈夫?」手を貸してもらって立ち上がると、ドラゴンローブの胸と肩
のあたりに血がこびりついてごわごわしている「こんなに血が・・・。あたしどうなっちゃ
ったんですか?」
「気にしなくていいわ。そのうち慣れるから」ヒスイさんは質問に答えてくれない。答え
られるわけなかったんだ。アリアハンに帰れなくなってから、トパーズさんがあのときの
ことを話してくれた。あたしはラゴンヌに首を食い千切られて即死。3人が魔物を全滅さ
せたあと、ヒスイさんがザオリクをかけてくれて、つながったのはあたしの首と胴体・・・。

 それからはみんながあたしを囲むようにして慎重に進んだのだけど、固まっているとこ
ろにサラマンダーの激しい炎をうけて焼き殺された。自分の声じゃないみたいな物凄い絶
叫を上げながら、こんなに苦しいなら死んだほうがましって思いながらのた打ち回って死
んだ。目が覚めたあたしは正気を失ってて、勇者様が肩を貸してくれたけど、ほとんど引
きずられるみたいにして最上階に着いた。ザオリクって焼け焦げた髪も元に戻るんだって
ぼんやり思ったのを憶えてる。

 戦闘はもっと優雅だと思ってた。スライムに体当たりされて脚を挫いちゃうあたしみた
いなへっぽこ魔法使いと違って、レベルの高い人たちはすばやく身をかわしながら、ばし
ばしやっつけちゃうんだと思ってた。でも現実はもっとおぞましくて、死んじゃうほど痛
い。ヒスイさんがガメゴンロードに踏み潰されたとき、勇者様はサラマンダーの角に掴ま
りながら口の中に腕ごと剣を突っ込んで止めを刺していた。トパーズさんはメイジキメラ
の炎をかわしながら、飛びかかる隙をうかがっている。あたしは泣きながらガメゴンロー
ドにベギラマを撃ちまくった。ヒスイさんは脚を潰されて、左肘で身体を支えながら、自
分を噛み砕こうと首を寄せてくる魔物に向かって掌を突き出した。突然の爆風。あたしの
ベギラマなんかぜんぜん効かなかったガメゴンロードが、打ち出されるみたいに吹っ飛ん
で壁に叩きつけられた。ヒスイさんが自分の身体ごとイオナズンで吹き飛ばしたんだ。爆
心地には右手の肘から先が無くなってて、顔が焼け爛れたヒスイさんが痙攣しながら、そ
れでも何か呟いていた。ベホマだったと思う。あたしが駆け寄るより先に身体を再生した
ヒスイさんは二人の援護に駆けつけていった。こんなの耐えられない。この人たちは手足
が千切れても、誰かが死んでも、全滅しなければ勝ちなんだ。

 狂気の時間はあたしがレベル20になるまで続いた。
 勇者様に抱きかかえられて、泣きじゃくりながらルビスの塔を後にしたとき、賢者にな
ることなんかどうでもよくなってた。
 ローザも今日中に賢者じゃん。ヒスイなんか追い越しちゃえ。なんて盛り上がってたこ
とをなんで懐かしく感じるんだろう。
 今のあたしは今朝のあたしとは別人で、ルイーダの仲間たちとオオアリクイを追いかけ
回してた日々がどうしようもない自己満足だったことに気づいちゃってる。 
 全身を焼かれたり、頭を砕かれても、身体が動く限り反撃して、魔物を殺す。
 よく考えたらあたりまえなのに、そのことからずっと目を逸らしてきたあたしは、死ん
だほうがましな恐怖と痛みに打ちのめされて、泣くことしかできなかった。
もう戦えないかもしれない。
ダーマ神殿のことを口に出す人は誰もいなかった。

 マイラに着いたら、宿屋の主人が丁重に出迎えてくれた。
 出発のときちょっと立ち寄っただけの初めて入る部屋は、日当たりは悪いけど清潔で、
あたしはローブとブーツを脱いで奥のベッドに横たわった。涙の痕が乾いてヒリヒリして
る。
 みんなは焼け焦げた切り裂きだらけのアンダースーツも脱いで身体を拭いているみたい。
 あたしは震える身体を抱きしめながら、常闇の空を見つめていた。

 衣ずれの音がして、ガウンに着替えたヒスイさんがベッドの端に腰掛けてきた。
 彼女の指が優しく髪に触れて、労わるように撫でてくれる。
「よくがんばったわね。助けてあげられなくてごめんなさい」
「…あたし…怖くて」
「身体…拭いてあげる」ぼろぼろになった下着の切れ端をはがすようにして、ヒスイさん
はあたしを裸にすると、温かい布が胸に優しく触れた。
 また涙があふれて止まらなくなった。

「ローザ、抱いて欲しいか?」勇者様にそう言われて初めて、男の人に裸を見られていた
ことに気づいた。そういえば、ヒスイさんとトパーズさんが肌を露わにしていたときも、
彼は目を逸らすでもなく一緒に着替えていたような気がする。
「あたしたちも戦いのあとは眠れなくて、いつもアンバーに抱いてもらってるのよ」ヒス
イさんの反対の端に腰掛けて、トパーズさんが言った。
 ヒスイさんが何かを思い出したように口を開いた。
「最初の頃は、私がみんなにラリホーかけて寝てたのよね。でもだんだん夜中に目が覚め
るようになっちゃって、そうなると朝まで眠れないから」
「そうそう、初めてのときひどかったよねー。ヒスイがあたしたちの部屋にアンバー連れ
込んでさぁ。あたしが隣で寝てるのに始めるんだもん。めちゃくちゃにしてーって叫びま
くるし」
「言わないでよっ」
「あんときはトパーズも誘って3人でって話だったんだが、なんて言えばいいかわからな
かったしな」
「あんたたち初めてだったもんね」
 みんなも平気であんな戦いをしてるわけじゃないんだ。絶え間なくフラッシュバックす
る死の光景を忘れたくて、苦しんで…。
 あの情景を忘れさせてくれるなら何されたっていい。ちょっと気になってたルイーダの
武道家さんの顔が頭をかすめたけど、今はまるで遠い感情のように思えた。
「…あたしも…めちゃくちゃにして…欲しい」
「かわいいわぁ。あんたと一緒ね。ヒスイ」トパーズさんがニヤニヤしながら言った。
「知りませんっ」

 ヒスイさんがあたしの肌に唇を近づけた。汚れを落とされて湿った肌を胸のあたりまで
なぞっていた唇が、優しく乳首を含む。
 トパーズさんがいたところに勇者様が来て、あたしの頭を抱えるようにしてキスしてく
れた。男の人の匂い。
 トパーズさんはあたしの立てた膝を開いて、太ももに口づけする。
 みんなの体温に包まれて、強張った身体から力が抜けてくる。気持ちいいとかより、心
地よくて、ずっとこうされてたかった。
 
 トパーズさんの指が、あたしの一番敏感な部分に触れとき、三人の愛撫を受けて少しず
つ溜まっていた何かが弾けた。
「あんっ」
 すでに入り口まで来ていた雫で濡れた指が、襞を掻き分けてまた突起に戻ってくる。鋭
い快感が身体を突き抜けて、もっとして欲しくて腰を押し付ける。
 両側から二人に吸われた乳首はもう固くなってて、上と下から与えられる快感に身体が
溶けていきそう。
 あたしは無我夢中で快感を貪った。
 浅いところを掻き回されて、もどかしくて、もっと圧倒的な何かでそこを貫いて欲しか
った。

「もういいわ。入れてあげて」
 みんながあたしの身体から離れた。
 身体を包んでいた温かいものが消えて、急にひとりぼっちにされたみたいで、切なくな
った。
 勇者様があたしの太ももを開いて、熱い先端が襞に当たって、押しのけて、入ってくる。
「痛っ」
 一番太い部分が侵入してくる痛みで思わず声が出る。
 腰が逃げそうになるけど、彼ががっちり押さえつけててぐいぐい押し込んでくる。身体
を引き裂かれるような痛み。でも死の瞬間の苦痛に比べたらきっと耐えられる。もっとも
っとあたしを壊して。
 あたしの一番深いところまで突き入れて、勇者様は動きを止めた。鼓動とともにくる鋭
い痛みが、つらい記憶を塗り潰すように頭の中を真っ白にする。
 誰かの指が男の人の形をなぞるように優しく触れた。何か唱えてる。ヒスイさんの指か
ら癒しの呪文が溢れ出て、あたしの中から痛みを取り除いていく。
 ほっとしたような、物足りないような気持ちと同時に、普段なら有り得ないほど太もも
を開いて、熱い塊を締め付けている自分に気づいた。恥ずかしくて頬が熱くなる。
 固く閉じた瞼に誰かの唇が触れた。
「力を抜いて。すぐに気持ちよくなるよ」トパーズさんの声だ。
 中のものがゆっくりとあたしの中から抜けようとしてる。絡みついた襞がそれを追いか
けて、途中で止まり、また奥まで押し込まれた。

「ん…んっ……んっ……んっ」
 ゆっくりとした抜き挿しがしばらく続いた。
 膣内が満たされるたびにあたしの口からは吐息が漏れる。少しずつ湧き上がってきたは
っきりしない感覚が快感だと気づいたころ、吐息が鼻にかかったような声に変わってた。
「ああ…あっ…あっ…」
 気持ち…いい…。
 粘膜が擦れて先端が奥まで届く。
 快感があたしをどんどんおかしくする。
 探るように動くペニスがあたしの急所を探し出して、初めての高みへ追いつめていく。
「ああっ…あっ…いやっ…あっ…あぁん…」
 固いものを締め付けてほとばしった快感が、あたしを焼き尽くした。
 気持ちよくて、自然に溢れた涙が新しい道をつけてシーツに落ちる。
 身体に響いている余韻を味わうあたしに、でも、勇者様は容赦しなかった。彼の腰が再
び動き出して、さっきよりも速いペースで挿入してくる。
 今までで一番感じやすくなってるそこに激しく突き入れられて、身体が勝手にはねて、
それでも受け止めきれなかった快感が涙になって頬を流れる。
「いやっ…気持ち…いい…や、あっ、あっ、ああっ」
 何度も何度もイかされて、腰が溶けたみたいになって、痙攣して、締め付けて、気持ち
いい声が止まらない。
 糸が切れた人形みたいに全身を捻じらせて、終わりのない快感に啼いているあたし。
 彼が背中に腕を回して抱きしめてくれて、あたしのすべてが暖かい何かに包まれたとき、
膣内の一番深いところで欲望がはじけた。
 注ぎ込まれた熱い液体にとどめをさされたように、あたしは最後の絶頂を迎えた。

 つながったまま柔らかくなったのがわかって、それまでキスしてくれてた勇者様が身体
を起こした。
 待ち切れなかったみたいにヒスイさんが飛びついた。
 二人がお互いの唇を貪る。
 豊満な胸が勇者様の胸板に潰されて、流れ込んでくる唾液を飲み込む音が聞こえてきそ
う。
 ヒスイさんの唇が勇者様の身体をなぞるように下腹に降りてきた。
 今まで舌を受け入れていたそこが柔らかくなったものを含む。横座りに投げ出された太
ももの間から雫が流れた。
 
 回復した勇者様は押し倒された。
 自分から貫いて腰を振るヒスイさんに、トパーズさんが近づいて、二人のつながってい
る部分に顔を埋める。
 それは、力が抜けて見てるだけだったあたしが赤面するくらい、いやらしい光景だった。
 ヒスイさんの中に果てた勇者様がトパーズさんを後ろから突いて、傍に来ていたヒスイ
さんがあたしのクリトリスを舌で包み込んだとき、あんなに感じきっていたはずの身体が
激しく反応した。
 再び固いものがあたしを貫いて、それだけで他愛もなくイかされて、そのままあたした
ちは獣に戻ったみたいに交わり続けた

「夕べはお楽しみでしたね」
 宿の主人に図星をつかれて、あたしは顔が真っ赤になった。
 みんなは華麗にスルー。
 これからあたしは賢者になって、ゾーマを倒す日まで戦い続けるんだ。
 後悔はしてない。
 激しい戦いのあとほど、気持ちよくなれるって知ってしまったから。
2008年12月27日(土) 19:57:11 Modified by test66test




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