女勇者陵辱 361@Part17

  • 1
本当は正々堂々勇者を討ち取りたいんだお…

でも、何度勝っても復活してきて無効試合にされるお…

だから、リトライ不可にするお! ←イマココ!

「というわけで、お気の毒ですが冒険の書は消えてしまいましたwwwおっおっおっwwwww」

ここはバラモス城。
メタルを狩る根性の無い勇者たちが幾度となく足を運び、その度に腕試しと称して返り討ちにあう、レベル上げスポットである。

「三行であらすじ説明しちゃったよ!そして喋り方うぜぇ!」

とてもそうは見えないが、捕虜相手にバカ笑いしている太った魔物は、泣く子も黙る魔王バラモス。
割とマジな殺気を放っている捕虜の少女は、何を隠そうアリアハンの勇者その人である。
しかし、切札の呪文につぎ込むべきMPはすでに底をつき、戦士顔負けの重武装もすべて奪われた今、彼女に戦う術は無い。

「皆をどこにやった!?答えろ、魔王ッ!」

全裸に剥かれ、両手を高々とつるし上げられた屈辱の体勢にもかかわらず、勇者は毅然とした態度を崩さなかった。
羞恥心が無い訳ではない。
単に、それどころではなかったのだ。

「誰が教えるかい!お前らが何度も何度も何度も何度も死に損ないよるせいでワシの評価はダダ下がりじゃ!この間もなぁ!アレフガルド勤務の弟になぁ!延々5時間も説教をなぁ…う、うううぅぅ…」
「うわぁ…」

吐き捨てるように叫びながら嗚咽を漏らす魔王の姿に、勇者も若干引き気味である。
しかし、そんな和やかな空気とは裏腹に、事態は深刻だった。
武道家、僧侶、そして魔法使い。
戦いに敗れてから、丸一日以上たった今も、苦楽を共にした三人の仲間の安否は確認できていない。

「と、とにかく!皆に手を出してみろ、ただでは置かないぞ!」
「よう言うわ、最初からただで置くつもりなどないくせに!」

ぐぬぬぬぬぬと火花を散らして睨みあう勇者と魔王。
正視に耐えない低次元な言い合いがいつまでも続くかと思われたその時、至って事務的に救世主が舞い降りた。

「バラモス様、魔法使いの転職が完了しました。」
「おお、でかしたぞ!たしか、そやつが最後だったな!」
「転職…?貴様、魔法使いに何をした!?」

報告に来たエビルマージの肩を叩いて労うバラモス。
彼らの会話の中に不吉な気配を見出して、勇者が吠える。

「フフ…知りたいか?後悔しても知らんぞぉ?イヤならやめてもいいんじゃよ?」

にたり、といやらしい笑みを浮かべてバラモスが挑発する。
話したくてたまらないと言ったそぶりだ。
突然の手のひら返しに訝るも、元より勇者の返答は一つだった。

「当たり前だ!お前たちが何を企んでいようと、私達は絶対に魔物なんかに負けたりしない!」

力強く言い放つと、バラモスは待ってましたと言わんばかりに配下に命じ、
勇者の戒めを解いた。
透き通るような白い肌が、どさりと石牢に叩きつけられる。
いかに虚勢を張ろうとも、もはや抵抗する力など残っていない事は、だれの目にも明らかだった。

  • 2
「ほれほれ、キリキリ歩かんか。置いて行ってしまうぞ?」
「…くっ」

結局勇者は、自力で歩く事さえ出来なかった。
憎むべき魔王に肩を貸される屈辱に歯を食いしばり、のろのろと歩を進める。
長い長い廊下に敷かれた絨毯を、勇者の汗が点々と濡らした。

「…ぁ……ぁ…ぅぁぁ…」

どこからか、かすかに声が漏れ聞こえる。
聞き覚えのある声だ。

「…あぁ…ああぁぁぁ…いっ…ぃ…」

歩くにつれて、声は少しづつ近づいて来る。
発生源は扉の向こうの大広間だ。
ニヤつくバラモスが分厚い木の扉を押しのけると同時に、押し込められていた喧騒が洪水のように飛び出した。

「んあああああーーッ!ふかいぃーーーーッ!!!」
「あがぁぁ!?ぴぎゃっ!!イ、イクぅぅん!!」
「はぁ…き、気持ち…いい…んはぁぁ…」

三者三様、広間の中では、色とりどりの女たちが、大勢の魔物に囲まれてよがり狂っていた
艶やかな黒髪の女が、あろうことか魔物の股間に跨って腰をくねらせている。
流れるような青髪の女は、自ら股を開き、されるがままに絶頂を貪っている。
そして、燃える様な赤毛の女…這いつくばり、恍惚の笑みを浮かべた顔に勇者は見覚えがあった。

「ま、魔法…使い…?」
「まほう…?あたし…まほう…?あ…?」

勇者がおずおずと声をかけると、地に伏せていた上半身が持ちあがった。
夢見心地だった顔がじわじわと青ざめて行く。
その様を満足げに見詰めながら、バラモスはゆっくりと歩み寄り、女の頭を掴んだ。

「なんじゃ、まだ自分の職業が分からんのか?しかたの無い奴め。」
「ヒッ…あああ!お許しを!お許しをッ!バラモス様ぁッ!」
「まあよい、レベル1では無理もなかろう。ここはひとつ、ワシが気合を入れてやるとするかな。」

嫌々と首を振る女の顔面を、バラモスの掌が覆う。

「お許し…やめてぇぇ!いやあああああああーーーッ!」
「お、おい!やめろッ!その手を…くっ…は、なせっ…」

もちろん勇者も指を咥えて見ていたわけではない。
震える体に鞭打って、必死にバラモスの腕に噛り付く。
しかし、立つこともままならない少女の力では、魔物の剛腕を動かすことなど到底不可能だった。

「はなせ…はなせよぉ…」
「これ勇者よ、焼きもちはいかんぞ?」
「あぁ…あぁぁ…あはぁぁぁぁ…」

汗みずくの裸体を擦りつけることもいとわず、勇者は必死にバラモスの手を押し続ける。
しかし、当のバラモスはといえば、全く微動だにせず、赤毛の女に『気合』を注入し始めていた。
異形の手から放たれた鈍い光が女の顔を照らすと、青ざめた顔がたちまち上気し、うっとりと崩れて行く。

「あ、あ、あああああッ!気持ち…いい…」
「だめだ負けるな!気をしっかり持つんだっ!」
「ああ、やだぁ…気持ちぃ…やなのにぃ…あああダメ…あああああ!」

ついにはダラダラと涎をこぼしながら赤毛の女が痙攣し始める。
もう限界が近いのだ。
勇者に見せつけるように、女を犯していた魔獣がひと際大きく腰を引き、勢いよく叩きつけた。

「ああああーーーんッ!!!おっおおぉぉぉぉーーーッ!!!!」

おそらく、ラストスパートだったのだろう。
肉棒を赤毛女の中にうずめたまま、魔獣の腰が小刻みに跳ねる。
胎内にバケモノの精を打ち込まれながらも、女は一切の抵抗を見せず、やがて、溢れた精液が滴り落ちる頃になって、ようやく名残惜しそうに結合を解いた。

「そんな…酷い…」

勇者はただ、変わり果てた仲間の姿を呆然と見守ることしかできなかった。

  • 3
「はぁぁ…うひひひひひ…ごめんなさい勇者様…感じすぎてお話しできなかったのぉ」

先程とは別人ような、甘ったるい媚声で赤毛女が話し始めた。
目の前で起こり、止める事の出来なかった悲劇の結果に、勇者の心は静かにひび割れてゆく。

「あー、でも魔法使いじゃないのは本当ですよ?だってもう、勇者様以外はみぃんな…」

何が楽しいのか、クスクスと笑いながら言葉を切る赤毛。
勇者は、不吉な予感が最悪の形で現実になった事を悟った。

「『転職』しちゃってるんですからぁ」

乱交がひと段落したのか、いつのまにか黒髪と青髪も勇者のそばに這い寄ってきている。
白目をむいてイき狂っていた時には分からなかったが、落ち付いて見れば見間違えようも無かった。

「…武道家と…僧侶…?」
「だから違うってば!」
「うふふふ、『元』をお忘れですわ。勇者様。」

仕方ないなあと言わんばかりに、仲間たちが顔を見合わせる。
旅の中で培った阿吽の呼吸だ。

「「「わたしたち、『肉便器』(だよ)(です)わ)!」」」

一斉に、自らを貶す言葉を吐きながら、女たちは己の性器をさらけ出した。
各々の髪と同色の毛をあしらった肉穴から、ゴポリと魔物の精液が吹きこぼれる。

宿敵たちの無残な末路を満足げに眺めながら、バラモスはさらなる追い打ちをかけた。

「これ、お前達。職業の名前だけで伝わるわけがないだろう。ちゃんと勇者どのに説明せんか。」
「お、お前ッ!いいかげんに…」

この期に及んでまだ仲間を辱めようと言うのか。
鼻白む勇者を阻んだのは、皮肉にもその仲間自身だ。
かつての元気そのままに、黒髪の女がピョコンと勇者に抱きついた。

「聞いて聞いて、勇者様。『肉便器』ってすごいんだよ!」
「力は魔法使いより弱く、素早さは戦士より遅くなります。もちろん賢さだって最低ですわ。」

普段と変わらぬ理知的な口調で青髪が続く。
しかし、純潔を重んじていたはずの股間には、自らの言を証明するかのように、深々と中指が突き刺さっていた。

「でもね、感度だけはすごく上がるんだよ!」
「ええ、それはもう。私も今朝から20回は…」
「やめて!聞きたくないッ!」

皆笑っていた。
魔物達は嗜虐的にニヤニャと。
仲間達は好色にヘラヘラと。

「ひひひ…勇者様ぁ、一緒に幸せになりましょ?」

耳を押さえて絶叫する勇者に、赤毛がそっと耳打ちする。
孤立無援となった勇者の心を折るには、それで十分だった。

  • 4
「さて、お分かり頂けたかな?勇者よ。」
「ひっ!?」

気付けばバラモスの顔が、勇者の目の前に迫っていた。
これから何をされるのか、先程の魔法使いの豹変を見れば嫌でもわかる。

「何か言い残す事があれば聞くが?」
「やめ…やだ、やめて、許して…お願いやめてぇぇ…」

もはや虚勢を張る事さえ出来なかった。
萎えた足を引きずって、必死に後ずさる勇者。
僅か一日の間に取り返しがつかないほど堕ち切った仲間達の痴態が、否応なしに目に入る。

「おら、もっと腰振れや!」
「ひゃん!わ、わかったぁ!んっ…んっ…!ど、どうっかなっ…?」

胡坐をかいた魔物に正面から抱きすくめられているのは、黒髪の元武道家だ。
まだあどけなさの残る肢体に刺青の竜が巻きついている。
アクロバティックな格闘技で鍛えた体の柔らかさは、そのまま脚の角度、結合の深さに反映された。

「ぐはははは、良いぞ、その調子だ。そら!」
「んあああぁッ!!いいーッ!!!」

激しい前後運動に合わせて、サイドテールが揺れる。
時折、突き上げに合わせて反りかえる、幼いうなじだけが、かつての面影を残していた。

「ああん、意地悪をなさらないで…」

元僧侶が誘うように片足を跳ね上げる。
先程の手遊びで溢れた粘液が、水色の陰毛をベットリと濡らしていた。

「おいおい、そんな誘い方じゃ勃たないぜぇ?」
「もう、仕方のない方…」

逸物をいきり立たせながら、魔物はさらに破廉恥な振る舞いを要求する。
しかし、注文をつけられた側も嫌がるそぶりは見せなかった。

陰唇につけられたピアスをつまみ、左右に広げて見せる。
こなれた膣がさらけ出され、その奥、子宮口までもが外気に触れた。

「ココに、たっぷりと注いでくださいませ…」
「何を注いでほしんだぁ?おぅ、言ってみろ。」

子種
そう答える前に、魔物の腰が打ちつけられていた。
途端に、つぶれたカエルのような声で喘ぎ始める元僧侶。
それから僅か数往復、乳首のピアスを弾かれた拍子に、彼女は何十回目か絶頂を迎えた。

「ほらみて、勇者様。」
「………」

赤毛の魔法使いは無邪気に笑う。
ごつい首輪に指をかけ、板状の金具を握っている。

「あひゃ、ベキラマー!」

いや、それはせいぜいギラだろう。
勇者は虚ろな目で、見る影もなく衰えた友の呪文を見つめる。
小指ほどの小さな炎だが、それでも熱量は十分だ。
素材の融点自体も、そう高くはないのだろう。
たちまち真っ赤に赤熱し始めた金具が硬度を失い、絡みあう。

「まさか…」

そのまさかだ、彼女は溶接しているのだ。
自由を奪う呪いの装備を、自らの手で作り上げようとしている。
止めなければ、頭の片隅で警報が鳴るも、勇者の体は鉛のように動かなかった。

「そんでもってヒャドー!」

急激に冷却されても破損しないのは、さすがメイドイン魔族といった所か。
手渡されたリードを繋ぎ、2・3度引っ張って強度を確認すると、魔法使いは高らかに宣言した。

「あははははは!はいっ、あたしの人生終了でーす!」
「…ッ!?」

そうだ、敗れて教会に送られるのとは訳が違う。
ここで飼い殺されている限り、人間の世界に帰る事は決してできないのだ。
いまさらになって魔王の恐ろしい企みに気付き、勇者は慄然となった。
しかし、今さらである。
とっさに出口を確保しようと振りかえった時には、すでにバラモスの掌が目の前まで迫っていた。

  • 5
「ぐああああああああッ!?」

熱い。
まず感じたのはそれだった。
そして眩しい。
至近距離から、直接感覚気に叩きこまれるメダパニの呪文が、全ての感覚を洗い流していく。

「どうじゃ!ワシの霊距離メダパニ攻撃は!もう中ボスなんて言わせない!」
「あううう!?や、めっ…あや?あややあああやああ!?!?!?!?」

例えるなら、葡萄酒による酩酊を数十倍濃くしたような効果。
しかも、本質的に毒物であるアルコールと違い、肉体への苦痛はない。
ルーラで空を飛んでいるような、塔から突き落とされているような、言い様のない浮遊感だけを過剰に与えられ、勇者は前後不覚に陥った。

「うえぇええぇっ!?なんぃぃぃ!?やらぁ!これやらあぁぁ!?」
「嫌だと言われてやめる奴があるかい!手下が増えるよ、やったね!」

とうとう失禁し始めた勇者を肴に、元仲間たちの乱交もまた、最高潮に達しようとしていた。

「ぶひゃひゃひゃひゃ!お前んトコのリーダーすげぇな!」
「ひゃああん!お、お兄ちゃんもすごいよぉ!すごい!すごぉい!」

ヘコヘコと腰を揺すりながら醜い巨人を褒め称える元武道家。
胎内にはまり込んだ巨塊に向かって、幼い子宮を夢中で叩きつけている。

「嬉しい事言ってくれるじゃないの。そんじゃ、このまま中に出すぜ?」
「う、うん!いっぱい、いっぱい出してねぇ、お兄ちゃぁん!」

ドスンと二つの肉塊が衝突する。
そのまま腹が膨らむほどの射精を受け入れながら、元武道家は幸せそうに、毒々しい刺青を撫でた。

「まあ、あんっ!勇者様ったら…ひぃぃ!は、はしたな…おっおぉん!」
「お前が言うかよぉ?」

元僧侶は、子供ほどの背丈の魔物に翻弄されていた。
すでに隅々まで探り当てた弱点を気まぐれに責める。
ただそれだけで、ふくよかな体が弓なりになって痙攣する。

「はああ!いけませんっ…んひっ!もっと、おしとやかに、しませんとぉ…おおおおお!た、種付け!していただけなくなってしまいますわぁあああ!!」
「あー、それだけはないから安心しろ。お前みたいなド淫乱でも、こうして相手がつくんだからよぉ。」

半ばあきれたように、魔物が腰を押しこんだ。
足を浮かせ、全体重をかけて女に組みつく。
そうでもしなければ、射精の瞬間に大暴れする女から振り落とされてしまうのだ。

「うひゃあああーーッ!?淫乱っ!?わたくし、淫乱ですかぁぁ!?」

十人が見れば、十人が肯定するだろう。
股ぐらから小悪魔を生やしてのたうち回る元僧侶の姿は、まるでケダモノだ。
しかし、そこは魔族クオリティである。
まるで、ではなく本物のケダモノに圧し掛かられて泣き喚いている元魔法使いの姿も、同様に淫らで悲惨だった。

「がああーーッ!あん!あん!あん!あん!あおおおーーんッ!」
「お前うるさいニャ。」

振り乱された赤毛が、たてがみの様に広がる。
魔獣にしてみればマイペースにゆるゆると性交を楽しんでいるだけなのだが、サイズ・形状ともに凶悪極まりない肉棒に、人間の理性は数合と持たなかった。
肉瘤がヒダを掻くたびに、四つん這いの尻がビクビクと痙攣する。

「雰囲気が台無しだニャ…もうさっさと出して隣に行くニャ。」
「はひぃっ…あぎゃああああーーッ!あぐっ!?んぶああああッ!!」

ショボーンと効果音のつきそうな顔だった魔獣が、おもむろに腰の動きを速める。
射精のためだけのおざなりな腰使いとはいえ、突かれている側はたまった物ではない。
だらしなく舌を突き出し、虚空に視線をさまよわせながら、元魔法使いはその瞬間を待った。
そして

「ふごおおおおおーーーッ!孕むゥゥーーーッ!!」

忘我の中、勇者は確かに仲間たちの声を聞いた。
間もなく自分もああなるのだ。
誰にでも、それこそ魔物相手でも簡単に股を開き、当たり前のように受胎を請う色狂いに。
目もくらむような倒錯感のなか、絶望的な想像から逃れようと、勇者は咄嗟に手を伸ばした。

「…あ。」

何か当てがあったわけではない。
ただ、じっとしていると恐怖に耐えられなかった、それだけだ。
しかし、勇者は今、バラモスに鷲掴みにされており、その状態で正面に手を出せば、何に触れるのかは明白だ。
そう気付いた時、勇者は何か大切な事を理解したような気がした。
最初からこうすればよかったのだ。

「悟りは、得られたかね?」

もう頭を掴まれてはいない。
優しい声色で頬を撫でる、たくましい手を勇者はそっとかき抱いた。

「はい、バラモス様…私は、肉便器の悟りを手に入れました…」

そう、最初からこうすればよかったのだ。
苦痛を与え、困難にぶつけた上で、これ見よがしに救って見せる。
わざわざ塔に隠された悟りの書と同じ事だ。
こうして力の根源を奪ってしまえば、何度復活しようと関係ない。
勇者は永久に無力となる。
待ちに待った完全勝利の味に、バラモスは有頂天になった。

  • 6
「それでは勇者よ、肉便器の気持ちになって祈りなさい。」
「はい…」

ダーマ神殿を模した儀式の間。
見よう見まねで神官を務めるエビルマージに、勇者はうやうやしく跪いた。
しかし、静かに目を閉じること数秒、勇者は突然立ち上がった。
ダーマならば即刻摘み出される暴挙だが、ここはバラモス城である。
取り巻く魔物達にも動じた様子はなく、むしろ、ニタニタ笑いながら勇者の動向を追っている。

「…」

虚ろな目で、頭に手をやる。
触れたのは、全裸に剥かれた後もなぜか取り上げられなかったサークレット。
勇者の印であるそれを、勇者は何の迷いも無く、足元に叩きつけた。
観衆がどっと沸く。
勇者はまだ止まらなかった。
祭壇に飛び乗り、部屋の反対側、バラモスに向かって腰を下ろす。
両膝を外に向けた、蹲踞と呼ばれる座法だ。
本来は武芸の試合の作法であるその仕草は、あるいはこれから一戦交える相手への礼儀だったのかもしれないが、魔物がそんな謂われを気にするはずもない。
剥き出しの性器を視姦しやすくなった事に喜ぶばかりである。
そして、僅かな重みから解放された後頭部で両手を組んだ所で、ようやく勇者は我に返った。

「…あれ?私、いったい何を?」
「肉便器の気持ちになったのであろう?」

バラモスが声をかける。
低く、重い声。
それは、今の勇者にはたまらなく甘美な調べだ。

「己の生き方に対して、お前の出した答えがそれだったと言う事よ。」
「答え…?あっ。」

バラモスが指差す先に転がっているのは、先程投げ捨てたサークレットだ。
部屋の隅には、同じように持ち主に捨てられたのだろう、僧帽やスカーフ、トンガリ帽子が積み上げられている。

「そ、それじゃ私…!」
「うむうむ、生まれ変わった気持ちで修業に励むがよい。」

熱く発情した表情で主を見上げる勇者。
みずみずしい肢体にバラモスの巨体が近づいていく。
人間ではありえないその大きさが、彼女にはとても頼もしく思えた。

「おめでとう!勇者様にもタトゥーの型紙貸してあげるね!」
「まあ、うらやましいですわ。では、私からはおそろいのピアスを。」
「あたしも、あたしも!あたしはぁ…そうだ!首輪の溶接してあげるっ!」

バラモスの体越しに、耳慣れた声が聞こえる。
確実に彼女の人格を破壊するであろう、惨たらしい凌辱を前に、勇者はこの上なくリラックスしていた。
勇者の腕がゆるゆると、バラモスの衣を脱がし、そのまま背に回された。
ほのかに湿った秘部に熱い強張りが押し当てられ、そして…

「うあ…う、嬉しいっ…バラモスさまぁぁ……」

仲間たちが祝福する中、彼女は憎むべき宿敵に処女を捧げた。
歓喜の涙を流す彼女の意識の端で、軽い金属音が鳴りひびく。
サークレットが、隅のガラクタの中に蹴りいれられる音だ。
勇者の証が足蹴にされ、ゴミのようにひしゃげても、元勇者は眉一つ動かさなかった。

  • 7
「要注意人物を捕えてから半年も連絡しないとか、あり得ないだろ。常識的に考えて…」

現地視察に来た大魔王ゾーマの第一声は、やはりというかお小言だった。

「兄上、ホウレンソウという言葉をご存じか?報告・連絡・相談。社会人の常識ですぞ?」

ついでに、バラモスブロスの嫌味も追加。
いつもなら、この時点で30度は視線が落ちるバラモスだが、この日ばかりは違った。

「フヒヒwサーセンwwwなかなか、おてんば揃いでしておwwww」

気持ち悪いくらい満面の笑みで応じるバラモス。
遺憾に耐えないが、これが地上を制圧できるとの判断を受けた魔王である。
一行の先頭に立ち、長い廊下を案内している。
ニヤつくバラモスが分厚い木の扉を押しのけると同時に、押し込められていた喧騒が洪水のように飛び出した。

「んあああああーーッ!ふかいぃーーーーッ!!!」
「あがぁぁ!?ぴぎゃっ!!イ、イクぅぅん!!」
「はぁ…き、気持ち…いい…んはぁぁ…」

今日も大広間の乱交パーティは盛大だ。
一番人気は黒髪の肉便器。
幼い顔立ちと、体中に刻まれた派手な刺青のギャップが受けている。

「あぅ!おっ、おっお…大丈夫、お兄ちゃん?重くない?」
「がはははは、ちびっこがもう一人増えたくらい何でもねえよ。」

魔物の体の上でピョコピョコと跳ねながら、肉便器は心配そうに訪ねた。
それもそのはず、毎日数十発の射精を受けとめ続けた彼女の腹は、誰の種ともしれぬ魔物の仔で大きく張り出していた。

「はがっ!あがががッ!く、苦し…」
「おっとぉ、こりゃ失礼。」

二番人気は青髪の肉便器。
耳は勿論、臍や乳首、果ては性器や陰核にまでリングピアスを突き刺した、淫乱女だ。
反応の激しさと、ホイミを駆使した長時間のセックスが売りで、回転率は悪いものの、満足度に置いて他に大きく水を開けている。

「あばっ…や、やぁぁ意地悪しないでぇ!」
「意地悪ぅ?お前が苦しいって言ったんだろうがよぅ。」
「いいの!それがいい!苦しいのだいすきなのぉ!!!」

快感にむせび泣きながら、青髪女が海老反りに跳ねる。
体を逸らすと、大きな腹がいっそう強調された。
彼女もまた、黒髪と同時期に仔を身ごもっている。
相手が誰かは分からないが、人間でないと言う事だけは確かだった。

「ぶひぃ!あぁぁ…はふ、ふぅぅん…」
「ふむ、前よりは落ち着いたニャ。よきかニャ、よきかニャ。」

人気が無い、訳ではないのだが、ややマニアックなのが赤毛の肉便器だ。
このような催しには参加するものの、普段はあまり積極的に男を誘わない。
ごつい首輪にリードをつけ、中庭や白の入口に繋いで、ひたすら強姦を待つ受け身の姿勢が、競争率の低さとしてあらわれるのだ。
とは言え、その従順なスタイルが、征服欲の強い魔獣から好評を博しているのもまた事実だ。

「やっぱり、少し浅くなったニャ。咥え込めない分もっと締めつけるニャ。」
「は、はいぃッ!うく…あ、ダメ!むり!んがああああああーーーッ!」
「んニャ!やかましいニャ!ご近所の迷惑だからやめるニャ!」

大声で吠えあいながら、二匹の獣は急激に高ぶって行く。
背後からのしかかった魔獣が激しく腰を振りたくると、赤毛の体もゆさゆさと揺れる。
たわわに実った二つの乳房、ダラリと伸びた巨大な陰核、そして丸々と膨れた孕み腹。
もちろん父親は不明だ。
とはいえ、彼女の場合、候補が魔獣系に絞られると言う点で、ほかの二人よりは当たりがつけやすいだろう。
彼女がそんな事を気にするとすれば、の話だが。

「これが勇者のパーティですか?その割には随分と弱そうと言うか、オーラが無いと言うか…」
「報告では、武道家と僧侶と魔法使いが居ると言う話だったが、こやつらか?」

ゾーマがわざわざ視察に出向いたのは、バラモスから勇者パーティ撃滅の報せを受けたためである。
そして、復活を防ぐために捕えた勇者パーティを見せたいと言う申し出に応じて、ここまで来たのだが…本当にこの惨めな生き物が、占領軍の大物を何体も破った女傑なのだろうか?

「正しくは『元』でございます、ゾーマ様。こ奴らは全員、ダーマを模した転職の儀によって、戦う力を奪い去っておりまする。」

目一杯気取った声で、バラモスが答える。
思わず吹き出すブロスと対照的に、ゾーマは感心顔だ。
あまりにも強い力を持つゾーマに取って破壊以外の方法で敵を駆逐するバラモスの手口は、とても興味深い物だ。

「ほほぉ、なるほど。まずは良くやった。して、勇者の輩は?」
「いませんよ。」

目を輝かせながら続きを促すゾーマに、あらぬ方向から声が掛けられた。

「えっ?」
「もう、勇者なんてどこにもいません。」
「こりゃ!いきなりゾーマ様に話しかけるでないわ!」

いつからそこに居たのか。
振り向けば、赤いチョーカーと青いワンピースを纏った、短髪の女が立っている。
大魔王ゾーマをして気配を感じさせない、得体のしれない女。
とっさに身構えるアレフガルドの支配者たちだったが、当人はボロボロの裾を、窮屈そうにいじるばかりだ。

「ご無礼をお許しください、ゾーマ様。なにぶん、じゃじゃ馬でしてな。手なずけたは良いものの、今度はワシ以外に懐かなくなってしまいまして…」
「えへへ!はじめまして、大魔王様!」

快活な笑みだ。
女は一息に、伸びきった服を脱ぎ捨てる。
下から現れたのは、引きしまった、みずみずしい女体。
しかし、その柔肌はビッシリと刺青に覆われ、乳首や性器はピアスに貫かれている。
チョーカーと見えた物は、首輪だった。
金具から伸びたリードは背中から股間に食い込み、控えめな乳房を縛りあげた後、腹に巻きついている。
縄の戒めをほどき、その先端をバラモスに握らせながら、女はさも自慢げに言い放った。

「勇者、あらためバラモス様の専属肉便器ですっ!末長くよろしくお願いしますね、グランドマスター!」

見よう見まねの敬礼に合わせて、大きな腹がユサリと揺れた。
この種ばかりは出所がハッキリしている。
しているからこそ問題なのだ。

「兄上、家督の話ですが、確か私に…」
「あいたたたたたお腹痛い!持病の癪が!」
「お前、それでいいのか…」

降って沸いたお家騒動に、頭を抱える幹部二匹。
話題の焦点は、勇者と魔王の力を兼ね備えた、おそらくは史上最強の魔人だ。
渋面のゾーマに向かって、元勇者は楽しげに親指を立てた。
2013年08月12日(月) 02:50:32 Modified by moulinglacia




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