男勇者×女僧侶 たたら陣内

「勇者サマ、アレしてよ」
 ようやく部屋に落ち着いて、ブーツを脱ぎベッドに腰掛けていた私にマリカが抱きつい
てきた。彼女はブーツを履いたままベッドに上がっている。脛と私の首に絡めた腕に体重
をかけて、半ば欲情した吐息を耳にあててくる。
「君ほんとうに好き者ですね。トーマスとエリカがあんな目にあったばかりだというのに」

 戦士トーマスとマリカの姉、魔法使いエリカは、ガルナの塔の吊り橋から転落して死ん
だ。もともとエリカは魔法には強いが白兵戦闘には慣れていない。足場の悪い吊り橋の上、
トーマスは足手纏いになりがちな彼女を庇うように戦っていて、文字通り足に纏わりつか
れて二人して落下した。即死だった。
 私と僧侶のマリカは二人を携帯式棺桶に収納すると、ガルナの塔をあとにした。ダーマ
神殿に着いた頃には日も暮れていて、神父の手を煩わせるのも気が引けたので、二人の復
活は明日ということにして、厩の一隅に二人分の棺桶を積み上げた。宿の主人には秘密だ。
一晩くらいならそれほど臭いも出ないだろう。

「あの二人デキてたんだし、二人で死ねて幸せでしょ」
 エリカが耳に噛み付いてくる。本気噛みに近い。アリアハンにいた頃なら、呻いて女を
突き飛ばしていたに違いない痛みだ。十指に余る凄惨な死と数え切れない負傷のせいでわ
ずかな痛みでは反応しない身体になってしまった。
「私は今そんな気分じゃないんですよ」
「なら勝手に触るからいいよ」
 マリカの手が私のベルトをはずし、股間に潜り込んできた。冷たい右手がまだ柔らかい
モノを弄り始める。
「マリカがこれ勃起させたら、アレしてくれる?」
 私は黙って、まだ足に絡み付いていたズボンを払いのけると、ベッドに上がり奉仕を待
ち受ける体勢になった。マリカは私がその気になるまでちょっかいを止めないだろうし、
今日は彼女を止める二人はいないのだ。そして私自身は彼女の要求を撥ね付けるには疲れ
すぎていた。
「臭いよ勇者サマの。すごい臭い」
 マリカがまだ膨張していないモノに顔を近づけて言う。防具に押し付けられながら、一
日中動き回ったのだ。想像もしたくない。
「いつものことでしょう。それ言わないと気がすまないんですか」
「マリカ、この臭い好きだから……すごく臭くて好き」
 自分の発言に欲情して、マリカが股間の一切合財を頬張ってきた。まだ柔らかい棒と袋
の一部が温かい口内に包まれる。この状態で噛み付かれたらきっと悲鳴くらいはあげるか
もしれない。温かいマリカの唾液と舌が棒に絡みつく。
 彼女の口に育てられて、肉棒が次第に大きさを増す。縦横無尽に動いていた舌が、肉棒
の形に合わせるような動きへと変化した。マリカの口に入りきらなくなり、根元についた
唾液が蒸発してそこだけ冷たくなった。
 できるだけ喉の奥まで飲み込もうとしているようだ。限界まで入れて、また戻し、舌を
亀頭に絡めて、竿全体を頬の肉で味わっている。
「口の端からよだれが垂れてますよ。臭いペニスをそんなに夢中で頬張って、見境なしの
淫乱女ですね君は」
「んー、んー……」
 何を言ってもペニスを放すつもりはないらしい。私は肘から力を抜いて横たわり、目を
閉じてマリカから与えられる快楽に集中しだした。

 気持ちよさに陶然となってきた頃、肉棒が彼女の口から解放されたのに気づいた。
 目を開けると、マリカは僧侶の制服である前掛けを脇にどけて、上半身を露わにすると
ころだった。戒めから解き放たれて、彼女の胸が空気に晒される。明らかに格闘向きでは
ないサイズ。正面から見ても乳首が勃っているのがはっきりわかる。
 マリカは慌しくタイツから身体を抜き取り、覆い被さってきた。
「その口でキスしないでくださいね」
「じゃあ、ここにするぅ」
 身体を登ってきていたマリカが動きを止めて俯くと、温かい感触がした。彼女の舌が乳
首をなめているらしい。
「勇者サマもマリカのここにして」
 舌先でなぞりながら言う。
 私は両手でマリカの身体を起こすと自分の臍の上に座らせた。陰毛が擦れてざらざらす
る。
「今日はマリカが上なんだぁ。入れてもいい?」
 遠慮のない重量が腹にかかっている。
「ダメです。君が入れたまま暴れだしたら折れてしまうかもしれないでしょう」
「勇者サマってけっこうびびりだよね」
「君がチャレンジャーすぎなんです」
 私は指先に意識を集中した。まず身体の芯が熱くなり、その熱が全身に広がっていき、
そして指先に収斂する。熱量の実感はあるものの火傷を負うたぐいの感触ではない。両手
の人差し指と親指の先端に激しい熱量が感じられるまでになってから、私は両手をマリカ
の胸の先端に近づけた。
 彼女の左右の乳首をそれぞれ挟もうと両手の親指と人差し指が近づいていく。直接触れ
てはいないけれども、熱を感じるのだろう。目を閉じて待ち受けるマリカの身体が震えた。
私は口の中で呟く。メラと。
「おぁああああああっ、あぅぁぁぁっ、あぁああっ」
 鋭い炎がマリカの乳首を焼き焦がす。肉の焼ける香ばしい匂いと彼女の悲鳴が部屋を席
巻する。私の腹に全体重で激しく性器を叩きつけながら、マリカの全身が舞う。痛みに耐
えながらしかし決して両手で揉み消そうとはせずに、マリカは悲鳴を上げ続け、激しく全
身を揺らす。彼女の唾液が乾き、先走りの汁だけで先端を湿らせた怒張が、何度もマリカ
の尻に衝突し、肌の上を滑る。
「あぁぅ、ぁっ、ぁっ、ぁぁー……」

 炎は満足いくまで乳首を蹂躙しやがて消えた。力を抜いて覆い被さってくるマリカを両
手で支えて、私は焼け焦げた左の乳首を口に含んだ。
「痛いよ……勇者サマ」
 肉の焦げた気味の悪い味がする。
「んっ、あぁ、あっ、あっ、ぁ……痛くて……気持ち、いいよぅ」
 右の乳首に指先を近づけ、揉むようにして癒してやる。痛々しかった乳首が弾力を取り
戻し、固くしこる。
 左の乳首も癒してやりながら、体勢を入れ替え、マリカを組み敷く。
 常軌を逸した前戯のせいで、マリカの愛液でびしょびしょの腹がやけに冷たい。彼女の
下腹部も、陰毛はもちろんのこと、中心から太ももの根元にかけてびっしょりと湿ってい
る。襞がびくんと痙攣し、膣に溜まった愛液が滴りシーツを濡らした。
 怒張の先端を当てて、ゆっくり入れてやる。
「んあっあああぁぁぁぁー……」
 マリカの膣を掻き分けるように怒張を潜らせる。
 そして、先端が彼女の最奥に辿り着いた瞬間、唐突に部屋の扉が開いた。
 その音で、中がキュウと締まる。

「あんた何してたんだ? 女は生きてんのか?」
 宿の亭主が女の悲鳴を聞きつけて様子を見に来たらしい。部屋に戻ったとき鍵をかけ忘
れていたようだ。
「生きてますよ。むしろ元気すぎるくらいですね」
 奥を小突いてやる。
「あっ……んっ、やだ。やめてよ」
「確かに元気そうですな。すごい悲鳴が聞こえたもんで、あんたが女を殺してるんじゃな
いかと思いましたよ。元気なお嬢さんですな」
「閉めて!帰ってよ!」
「あんまりシーツを汚さないでくださいよぉ」
 殺人現場でなかったことに安堵して、今度は意地汚くマリカの身体を眺め回し始めた亭
主を追い返し、再開する。
「ぁ、ぁ、あんっあっあっ……」
 マリカの中を規則正しく突きながら、私は口に残る乳首の味を感じて思う。このまま彼
女の要求に答え続けて、身体の一部を焼いていたら、いつか私は彼女の肉を喰うことにな
るのではないだろうか。まだ宿の亭主を驚かせる程度で済んでいる睦み合いが、悪魔の交
媾と化す前に、旅の目的を果たすことができるのだろうか。
 中に放って、マリカが食事も摂らずに寝入ってしまった後も、私はその忌まわしい想像
を打ち切れないままだった。
2008年12月27日(土) 20:01:56 Modified by test66test




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