舞「なんでジョーなのよーっ!!」
富士山麓に舞の声が響きわたる。
納得いかないといった表情でテリーを睨みつける。
舞が怒るのも無理はない。キングオブファイターズのイタリアチームから、
三年連続で外された怒りが今年に来て爆発したのだ。
テリー「う。舞ちゃん…そんなデカい声で叫ばなくても…」
テリーはあたふたしながらジョーと顔を合わせる。
ジョー「あのな〜舞ちゃん。今年は優勝奪還のかかった大事な年なんだ。
わかるよな?だったら戦力的に俺を選ぶのが妥当ってもんだろ。」
テリー(おぃおぃ…火に油を注いでどうすんだよ…)
頭を抱えるテリー。
舞「はぁ?それは聞き捨てならないわね!私があなたより弱いって聞こえたけど?」
テリー「まぁまぁ…舞いちゃん。」
なだめに入ろうとするテリーを押し払いジョーに歩み寄る舞。
ジョー「おいおい。なんのつもりだ舞ちゃん。」呆れた顔で腰をかけていた岩から立ち上がる。
舞「じゃあ遠慮なく言わせてもらうわ。去年の大会、あなたのせいで負けたのよ。
ちゃんと理解してるのかしら?」
穏やかだったジョーの表情が一変する。
ジョー「言ってくれるじゃねーか。だが所詮は女性格闘家の見解だろ?もっと実力を上げてから意見するんだな。」
舞「なんなら私と勝負してみなさいよ。まぁムエタイごときが不知火流に通用するわけ無いけどね」
テリー「おっと。二人ともそこまでだ!」
二人に割って入ろうとした瞬間…
ジョー「待ってくれテリー。ここまで言われて引き下がれねぇ。この場で勝負さ
せてくれねーか?アンディーには悪いが、ちょっとお仕置きが必要だろ。」

テリー(…まぁ幸いアンディーがいないことだし。しかし、さすがにジョーが負
けるなんてことはないよな…)
数秒の沈黙の後、テリーが重い口を開く。
テリー「まぁ今回はしかたない…勝者を正式なメンバーに決定する。準備はいい
か二人とも?」
ジョー「さてといっちょもんでやるか。」
上着を脱ぎ捨てると、体脂肪率3%以下という脅威の肉体が姿を表す。

テリー「ヘイ!ジョー!素晴らしいぜ。鋼の肉体は今年も健在だな。」
白いハチマキを素早く結んだジョーは早くも戦闘体勢に入っている。
数分後…。
舞「待たせたわね。」
不知火の忍装束に身を包んだ舞が小屋から出て来る。
歩く度に豊満な乳房が真紅の布一枚越しに縦に揺れているのがわかる。
テリー(くの一のスピードはあの身軽なコスチュームのおかげか。
しかし…それより脅威なのはあの妖艶な体か。戦いに集中できなければ、
いくらムエタイ王者とて危ういな…これはもしかすると)
ジョーが舞を指差す。
ジョー「俺にお色気が通用すると思ったら大間違いだぞ。
女を叩きのめすのは心許ないが、この戦いだけは特別だ。二度と挑戦出来ないようにしてやる!」
舞「ふぅ〜。あなたみたいな自信満々な男を倒すのが一番気持ちいいのよね。さぁかかってらっしゃい!」

パワーの差。
体力の差。
スタミナの差。
どれをとってもジョーが一枚上手だった。
テリー(あれは爆裂拳か…。高速でくりだされる拳の弾丸。技のキレは前大会以上だな…。)

ジョー「オラオラオラオラァーッ!どうしたんだ?さっきまでの強がりはよォ!」
なんとか攻撃を防いでた舞だったが…。
ジョー「オラァーッ!!」岩をも砕くタイガーキックが舞のガードを弾き飛ばす。
ジョー「こざかしいガードなんざこじ開けてやったぜ!いくぜぇぇ!
とどめはハリケーンアッパーだァァ!!!」

必殺技の構えに入ったその瞬間…
体勢を崩しながらも舞の拳がジョーの顎を打ち抜く。
テリー(前かがみの必殺技にカウンターのショートアッパーか!?。しかもこの
土壇場で…不知火舞、出来る!!)
面食らった表情で片膝がガクッと崩れるが、追い討ちにきた舞の左ハイキックを間一髪後方にかわす舞
「たぁぁぁッ!!」。
まるでしなやかな鞭。
空を切り裂くような衝撃音がジョーの耳を突き抜ける。
ジョー(く。油断したか…!しかし…な、なんて蹴りだ…こいつの脚技には注意が必要か…)
舞「あら?びっくりした顔ねジョー。わたしの蹴りをかわしたコトは誉めてあげる。
だけど気付いてないのかしら?無様にも顎が割られちゃったコト。」

ジョー(…んッ!?ぐッ!なんだこの痺れるような痛みは…ま、まさかさっきのアッパーで!?)
思わず両手で口を塞ぐが込み上げてくる血の量が半端ではない。
ジョー「あ゛がぁ…」
押さえきれず一気に吐血してしまうジョー。
ジョー(ば、ばかなッ…女のパンチごときで…)
舞「女の子相手とか油断してたあなたが悪いのよね。もう気付いてると思うけど
致命的なダメージを受けたのよあなた。」
困惑するジョーとは対称的に、扇子でパタパタあおぎながら余裕の表情で見下す舞。
舞「顎が割れて、呼吸が困難でしょ?酸素が足りてない状態で必殺技なんて出し
たら酸欠で失神ね。技を封印されたあなたと、私とじゃあ結果は見えてるってワケ。
大人しく降参したらどう?。土下座して謝れば許してあげなくもないわよ。」

ジョー「ふ…ふざるなッ!誰が女ごときに降参なんてするかよッ!」
腕で血をぬぐいとり、再び戦闘大勢に入るジョー。
舞「ふぅ〜。じゃあしかたないわね。テリーの前で哀れな姿を晒すがいいわ。その女ご・と・き・に・ね!」

テリーは自分の目を疑った。
ムエタイ王者のジョーが舞に一方的にやられている姿に…。
攻撃を当てては距離を置き、相手の攻撃を交わす。
舞のヒット&アウェイは見事なまでに完成されていた。
スタミナを失ったジョーにとって、舞の動きをとらえることはほぼ不可能。
縦横無尽に繰り出される舞の攻撃にジョーは為す術が無く、体力も底を尽きようとしてた。

ジョー「ひィ…卑怯もの!ちゃんと正々堂々闘いやがれ!」
思いもよらないジョーの発言に戸惑うテリーと舞。
舞「はぁ?まったく呆れるわね。これも立派な戦術よ。一方的にリンチされてる
からって格闘家として最低な発言ね。」
攻撃の手を一時止めた舞は扇子を強く握り締め、ジョーを睨みつけた。

舞「もう格闘家として失格ね!おしおきとして二度と闘えないように一番屈辱的
な敗北を味あわせてあげるわ!」
テリー(可哀相だが、ジョー…今のお前では舞ちゃんに勝つことは不可能だ…)
舞「陽炎の舞の応用技。まだ開発段階だけど、ジョー!!あなたに実験台になっ
てもらうわ。せいぜい私に捕まらないように逃げ回ることね。」

ジョーの頭部に脚を絡ませてくる舞
ムエタイ王者が涙目になりながら必死に舞のグラップを避けている姿がそこにあった。
舞「あらあら?負け犬のクセに以外と粘るのね。いつまでもつのか楽しみだわ。」
ジョー「な、何を狙ってやがる!?や…やめろぉ!!」
頭部にグラップに来る両脚からは、紅の前掛けがヒラヒラとはためき、顔をかすめていく。
時折覗く舞のティーバックに視線を奪われた瞬間…
舞「おほほほほ。ついに捕まっちゃったわねジョー。」
首根っこをしっかりと両太股で締め上げ、ジョーが暴れないよう両腕をしっかりと両手で掴んでいる…
完全に脱出不可能な状態。
テリー(う…なんだこの技は…ジョーの苦悶の表情から察するに…まず呼吸を封
印され、尚且つ舞ちゃんのお色気で頭が真っ白になりかけているのか…。しかも
この状態で陽炎の舞を使うのか!?はっきり言ってこれはヤバすぎる…)

テリーの予感はほぼ的中していた。
腕の三倍の力があるといわれる脚で首を締め上げられ、ほとんど呼吸ができない
状態。しかも舞の太股の香りで冷静さを保っていられない始末。脱出不可能と悟
ったジョーは降参を口走ろうとするが…。
ジョー「や…やめろ舞!!オレの負けてでいい…降…ぐぅ…さ…………!?」
太股の締め付けが急に強くなり言葉を出せなくなるジョー。
舞「ん?全然聴こえないけど、なんか言ったわけ?さぁ陽炎の舞とくと味わいなさい!」

スババババァーーッ!
地面から吹き上げる灼熱の炎に一瞬にして丸焦げにされる。
ジョー「…ひ…れぇ…ぇ…」
舞「あはははは。何語喋ってんのかな〜?さぁもう一丁サービスよっ!!!」
ズババババァーーッ!!
ジョー「……ぐぇ…ぇ。」
ジョーのパンツに染みが浮かび上がる。

テリー(……!?ジョー…お前…失禁!?…もう見ちゃいられない…)
テリー「舞ちゃん!ジョーはもう闘えない…このくらいで勘弁してやってくれ。」
舞「ダメよテリー!ジョーが降参を言うまでは闘いたいって意志なんだから。」
テリー「そう言ってもな…ジョーが再起不能になりかね……!?」
舞「とどめのぉ〜…陽炎の舞!!」
テリ(おいおい…)
ズババババァーッ!!
ジョー「……ぁ…へ…。」
ついに白眼を剥いてしまうジョー。
股関から溢れ出した液体は太股を伝い大地へ滴り落ちていた。
舞「あらあら?格闘家が戦闘中にお漏らし?なっさけないわね〜」
ジョーから飛びのく舞。拘束から解放されたジョーは力無く崩れ落ちる。
舞「あ〜すっきりした!そうだ!失禁KOなんて初じめてだし記念に写メしてユリとキングに送信しちゃおっと。」
テリーに携帯を渡すと、白眼を剥いてピクピク痙攣しているジョーの上に腰を下ろす舞。
舞「さぁテリー。ちゃんと綺麗に撮ってよね。」
テリー(しかし…不知火の力、底が知れない…あのジョーをこんな姿にするなんて…)
2006年8月20日15時20分。この瞬間をもってイタリアチームのメンバーが正式に決
定した。

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