多人数で神話を創る試み『ゆらぎの神話』の、徹底した用語解説を主眼に置いて作成します。蒐集に於いて一番えげつないサイトです。

人物
キュトスの姉妹
結界の六十二妹

Cu1-20アルファラルファ

「ブリンクリンク」 「ハイダル・マリキア」 「巡る必殺」

白皙の魔女。
邪神ウンウンオクト?が降臨するためにパンゲオン飛散以前から存在していた祭壇で誕生。

性質

自らの写像を生成し、それぞれに「自分こそはオリジナル」であるという認識を持たせることによって限りなく実像に近い写像作成能力を保持する。量産された写像は実像と何ら変わらない能力・知識を保有し、実像をホストとして精神ネットワークを接続し続ける事で決して消滅する事のない分身を使役可能となる。
しかし自らを唯一無二の本体だと信じこんだ写像たちは厳然として存在する真の本体たる実像に反逆、殺害することで精神的な安息を得る。写像たちの自我領域の構築密度があまりにも高かったため、実像=本体の死後もネットワークは維持され続けた。共有されたネットワークは強い共振性でもって彼女らを結びつけ、限りなく同じに近い思考パターンを実行させた。その様は複数の身体を保有する単一の精神体とも呼べるものであり、写像構造体として同一の肉体を再構築・再量産可能な精神ネットワークの魔女という存在が誕生した。

巡る必殺

無数に分裂し敵対者を襲う武器、といえば伝承の上では枚挙に暇が無い。
メクセトが作った1032の神滅ぼしの武具に名を連ねる【無限の剣】を初めとして、全く同じ槍を無数に出現させる槍の群、放った矢を倍々に増やしていく魔弓【英雄】など・・・。
これらと似た性質を持つアルファラルファの写像複製能力は多角度からの同時(あるいは時間差)並列的魔術射撃を実現させている。
いわば上記の武具の魔術版とも言えるアルファラルファの必殺の術は、対象となる領域を複数の写像実体で包囲し結界により隔離。閉じ込めた敵対者に対して容赦の無い魔術の嵐を叩きつけると言う恐るべき奥義である。
この術の精髄はその持続性にある。アルファラルファを上回る技量の持ち主がこの魔術の乱舞を耐え切るか回避するか、あるいは結界を突破して周囲の魔女を全て駆逐するなどして苦境を回避したとしても、遥か遠く、相手の間合いの有効範囲外で常時一人以上を待機させたアルファラルファは一旦包囲を解除して、瞬時に包囲体勢を再度構築する事が可能なのである。
幾度打ち破ろうとも延々と包囲され続け、相手が疲弊していき必殺の機会が訪れるのをひたすら待ち続ける。蛇の如き恐るべき執念でもって敵対者を駆逐するアルファラルファの奥義。それが【巡る必殺】である。

ブリンクリンク

幻の古都ハイダル・マリクを覆う生きた百年外壁を作り上げるため、東の果てのグレートウォールの一部を砕いて運搬した。
この際に用いた彼女の能力こそ「ブリンクリンク」、接触した物質を自らの肉体の延長として意識する事で無数の写像・分身たちと同化させる能力である。
アルファラルファの複数に並列維持された写像実体は、その瞬間に其処にある、という事実が彼女らが維持するセイシンネットワーク内で認識されているが故に存在が可能なのであり、従って精神ネットワーク内における認識の総意が「その瞬間には其処にはない」と変化すればその写像実体は消失する。
この性質によってただ一つでも写像実体が存在している状態であれば、精神ネットワークの拡散範囲内におけるいかなる場所でも瞬間的に消滅・出現が可能となる。
接触したものを自己と見なす彼女の能力は、その能力の有効範囲内における限り瞬間的な転移によって大規模な運送能力を保有するのである。
アルファラルファ一人最大精神拡張域はおおよそ半径5キロメートル程度だが、5キロ先にもう一人のアルファラルファを配置した場合はその限りではなく、範囲は倍加する。
これにより複数のアルファラルファの数珠繋ぎ的なネットワーク連結、バケツリレーの如き体勢を執る事で瞬きの間に超長距離を転移可能なのだ。
写像の最大生成可能数は20とも200とも言われているが、実際の所は定かではない。

彼女が伝説の都市を訪れ、その完成に協力する様になったのはその地が彼女の出生の場だったからとも無二の友人がいたからだとも言われているが、スレズニアの学者であるロセッティ?の見解によれば、
アルファラルファとはハイダル地方一帯で信仰されていたという道祖神の名前であり、外部の精神干渉や伝達素子などの要因に極めて脆弱な精神構造体である彼女はその地に足を踏み入れた際、その強力な信仰心に強く影響されてしまったのではないかと考えられる。
アルファラルファという同音・同義の名を持つ彼女の符号が、その地の神話性と共鳴し、結果彼女は神としてその地の人々に貢献せざるをえなかったのではないか、ということである。
そうなると、キュトスの魔女達の名前とはいかなる必然性を持って命名されているのか、という疑問も生じてくるのだが、それについては此処では省く。

ハイダル・マリクの百年外壁を築き上げた彼女は、後年一夜にして滅んだ古都と共にその生涯を終えることになる、と各地の伝承には伝えられている。
しかしこれは我々キュトスの魔女たちが知る事実とは大きく異なる。
というのも、第一次図書館襲撃?に際して神々との闘争に挑んだディスペータ派の一員であったアルファラルファは、その能力を生かして戦利品、神々の宝物を運搬している最中戦死しているはずだからである。

彼女の移動は極めて瞬間的であり、点と点での移動であった。
通常の存在が出発する点から到着する点へ直線的に、時間と距離とを一定の速度で駆け抜けていくのに対し、彼女は消失する点を意識したその瞬間には出現する点に存在している。
目標となった戦利品に接近し、接触し、再度消失して外に持ち運ぶまで、一秒とかからないのである。
彼女は巨大すぎる自らの精神的密度・・・即ち拡散維持される複数の思考による統括意識の齟齬や乖離に常に悩み苦しんでいた。既に群体として完成されつつある自分達アルファラルファが、単体としての自意識に悩み苦しむさまはいっそ滑稽ですらあったが、そうした悩みの答えが神々の図書館にならば存在するのではと期待した彼女はディスペータに従い襲撃に参加したのである。
彼女の視線は大いなる書庫の、意識と認識についての知識の書を探り続けていた。無論のことその身体は常時出現消失を繰り返し、無数の書架を丸ごと移動させていたのであるが、それとて上位姉妹達が定めた方針路線に従った優先順での運搬であり、彼女の望む知識が入っているかどうかは定かでない。
機を見て、自分の目的を果たさねば。
写像の一体を図書館の探索に回していた彼女は、その奥の区画に黒いなにかがうずくまっているのを発見した。
一瞬いぶかしんだ彼女だが、その正体が思い当たった途端、アルファラルファの精神(ひいては全身)が絶望という名の漆黒に染め上げられた。
汝、黒く小さきもの。
恐るべき群神、その紀神の名はマロゾロンド大神院に於いてはアルセスに次ぐ第二の神格とされ、図書館を守る神々に対する戦略を組み立てる際にも最も注意が必要であるとされていた神であった。
その正体、気質が杳として知れぬ神であるゆえ、ほとんど対策らしい対策が立てられなかった神であるが、それでも遭遇した際に各員が執るべき手段と言うのは決められていた。
第一に、上位姉妹であり情報統括を担当するアーザノエルへの連絡と、高度な戦闘能力を保有する姉妹への連絡である。紀神ともなれば襲撃に参加した姉妹の総力を結集してでも立ち向かうべき相手であるが、こと今回の襲撃においては速度こそが命であると言われていた。だからこそ運搬役にこのアルファラルファが選抜されたのである。
故に、紀神と対峙した際に行う事。それは相手の撃滅ではなく、足止めであった。
そしてその足止めを行うのに最も適任であると任命されていたのは、何を隠そうアルファラルファである。
のそりと黒い布のようなものが起き上がり、その瞬間魔女にとっての戦闘が開始された。
現在の位置座標と送信時刻を直接アーザノエルへと送信すると、23にも及ぶ数の写像体をマロゾロンドの矮躯の周囲に現出、間髪入れずに叩き込んだのは火炎・岩石・暴風・怒涛・氷塊、ありとあらゆる高位魔術の乱打であった。
形成した拘束結界の中で吹き荒れる魔術の嵐を見ても魔女は一切の気を抜かなかった。大いなる神がこの程度の術でくたばるはずも無い。確信はしかし所詮神ならぬ身の確信に過ぎなかった。彼女は慢心をどこかで抱えていたのだ。
足止め程度なら、どうにかなるだろう、と。
無数に浮遊し神を包囲する彼女らの頭の後ろから、ぬっと黒い布が覗き込んでいた。
眼に映るのは、何もかもを飲み込む宇宙の深淵。
絶対的な虚無を示された途端、無数に存在していたアルファラルファの全てが消失した。アルファラルファに気付かれる事なく突如として出現した23のマロゾロンド・・・否、コマロゾロンド?達はその包囲を一瞬にして打ち破ったのである。だがアルファラルファの【巡る必殺】はその程度では破れない。はるか5キロ先で状況を把握する四体のアルファラルファ・・・・・・万全を期して東西南北に配置された魔女の陣が再び写像体を、それも先に倍する46の魔女の群を出現させた。黒い布の群を取り囲んだ魔女は再び神を魔術の乱舞で撃滅したが、それとほぼ同時に背後に出現した黒衣によってアルファラルファたちは消滅。
果たしてその攻防は繰り返され、規模と術者の数を膨張させてそれは軍勢対軍勢の包囲合戦の様相を呈していた。
気付いた時にはその攻防は5キロの最大範囲にまで広がっており、複雑化した精神ネットワークは写像を広範囲に拡散させて逃れる余裕すら持てなかった。現時点で存在する全てのアルファラルファを包囲した砂粒ほどのマロゾロンド・・・マトリョーシカ人形の如く数を増やし体躯を小さくしていったマロゾロンドは、魔女の全てにその漆黒の虚無を覗かせて完全消滅に追い込もうとした。
最後の瞬間、アルファラルファの一体が疑問を持つ。自分達は恐るべき勢いで戦場を拡大していったはずなのに、何故他の姉妹達はその状況に気付かず、巻き込む事もなかったのだろうかと。
そして、自分達の外側、目を向けることの無かった頭上を見て全てを理解した。
漆黒の天蓋。世界を覆う黒衣。そこは、大いなるマロゾロンドの黒衣の内側の世界だったのだ。
自分達は際限の無い神の世界の中で、勝てるはずの無い戦いを続けていたのだ。全ては神の掌の上、最初から自分は包囲されていたのである。
マロゾロンドの包囲によって完全に消滅させられたアルファラルファ。マロゾロンドの暴虐はその起源にまで遡り、深く関わったハイダルマリクに及ぶまでを完全消滅させた。かくして一夜にしてハイダルマリクは魔女と共に滅ぼされ、その痕跡はまるで残らなかったと言う。

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