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猫の国

『伝承の部』『術式の部』『補遺の部』の三部からなるという魔導書

オカルト雑誌『月刊レムリアンジャーナル』に、
某国の魔術結社が用いるテキストという触れ込みでその「日本語訳」が
連載されたが、「伝承の部」の翻訳完結と同時に連載が中止された。
そのため『術式の部』『補遺の部』はオカルト愛好者の間で幻の文書とされた。
ただし懐疑的な見方からは「アポクリュフォン」そのものの真贋が疑われており
『術式の部』と『補遺の部』はもともと存在していないか、
捏造はしたがお蔵入りになったと見なされている。

グノーシスの神話やソロモン王が悪魔を使役したという伝説、
グリゴリやサタンといった天使が堕天する神話、等が下敷きにされているが、
「ミカエルとルシファーは双子の兄弟」「ルシファーの翼は十二枚」
など、正確な大元の出典(ソース)が不明な設定も多い。

伝承の部

神や天使、悪魔の物語が記された部分。至高神の御子デルデケアスが、
魔術師シモンに教えを伝授するという体裁で語られる。
出てくる名前はグノーシス主義や中世の悪魔学に由来するものが多い。

内容

無謀にも唯一神に挑んだが、打ち倒された堕天使たち。神を倒して栄光を得るとか
言ってたくせに話が違うじゃないか、と首謀者ルシファーが槍玉にあげられる。
いろいろあって彼は壮絶なリンチを受け、地獄の底で悪魔からも責め苦を受ける羽目になった。
かわって魔王となったのはサマエルだった。彼は責め苦を受けるルシファーの十二枚の
翼のうち六枚をもぎ取って自分の背中にくっつけ、合計十二枚の翼を持つことになった。

他にやることもないしムシャクシャしてどうしようも無かったので
悪魔どもは人類に悪徳やら災いやらをもたらすことにした。
それが「人の信仰を試す試練」のように神に都合の良い効果をあげることも
あるということに薄々気づく者もいたが、今さらどうしようもない。

自分から悪徳や暴力に溺れ我を忘れることができた者を除き、
堕天使たちの間には将来への不安と絶望感が渦巻いていた。
そんな時、悪魔の一人アブラクサスが新しい宗教を説き始めた。

アブラクサスは「自分達が歯向かった唯一神は実は偽の神で、
本来の神は別におり、もっと至上の存在である」と説いた。
かつて堕天使たちが行った戦いは偽神打倒の試みとしては正しく、
偽の神から見放されても、「真の神、至高者」の救いは残されている。
この教えに飛びつく者は多く現れた。まさに藁をもすがる
といった様子でこの最後の希望に夢を託したわけである。

信徒の増加に従い発言力・影響力を強めていくアブラクサス、
魔王サマエルとしては快いものではなかった。
サマエルは地獄のグノーシス信者たちを押さえ込もうとした。
アブラクサスはサマエルを教化しようとして討論を仕掛けた。

彼は唯一神が「私は妬む神である。私の他に神はいない」と
言ったのを神が自ら唯一ではないとばらしてしまったものだ、と主張した。
神が唯一至高の存在なら他の誰に嫉妬するだろうか?
神しかいないだろう、というわけである。

サマエルにははっきり言ってピンとこない話だった。
「上位の存在は下位の存在に嫉妬しない」という前提が
どこから沸いて出てきたのかさっぱりわからない。

アブラクサスは憤然として帰っていった。彼は祈りと分析の結果
サマエルが実は偽の神の化身だからシラを切ったのだ、という結論を導き出した。
彼は信徒に向かって宣言した「サマエルは偽神の化身『サマエール(盲目の神)』だ」と。
さらに偽神の化身サマエルとその勢力に対する聖戦を唱えた。

こうして地獄における宗教戦争が勃発した。

サマエル軍は強大で、アブラクサスたちは一時は危機に立たされる。
だが、その祈りに応じ至高者はその御子デルデケアスを遣わした。
デルデケアスの力はサマエル軍を圧倒し「真の神」の信徒らを勝利に導いた。

戦いの後、ルシファーの繋がれた獄に赴くアブラクサス。
かつての魔王の眼光はなおも鋭く、また荒んでいた。
彼にサマエルが奪った六枚の翼を返し、真の神の救いを説くアブラクサスだったが、
翼を取り戻したルシファーは「真の神」をも打ち倒しその上に君臨するという
新たな野望を燃え上がらせた。それを目の当たりにしたアブラクサスは
デルデケアスに自分を中に残したまま獄を閉ざすように願い、地獄・地上での伝道の志を託した。
アブラクサスはどれほどの時間がかかろうともルシファーを教化すると心に決めたのだった。

思想について

一応グノーシス文書という設定で、サマエルとの討論の場面でもアブラクサスを字の文では援護している。
だがまったく論破できていない。アブラクサスの言い分よりもサマエルが抱いた疑問や反論のほうが筋が通っているようにも見える。
グノーシス文書の形式をとりながらグノーシス主義を皮肉った作品だという見方もできる。

術式の部

天使や悪魔を召喚する術などが記された部分だという。
『シモン・マグスのグリモア』と呼ばれることもある。

サマエルとアブラクサスの勢力との戦争などで用いられた魔術、という位置付けである。
元が「悪魔による魔術」であるため人間が使って効果が無くても言い訳ができる。

補遺の部

『伝承の部』や『術式の部』の内容を補う部分だという。

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