ヒュキオスは元々は只の平民の生まれだったが、いつのまにか国粋貴族並みの異常なまでの選民思想の持ち主になった。これは、自分の生まれの劣等感、神国への羨望から来たものなのかもしれない。
変化が表に現れだしたのは、
トルクルトア留学から帰国した後であった。
留学で北の国々の力を見せ付けられたヒュキオスは大きな焦りにとらわれた。
「大陸ではメアレンはとるにたらぬ島国とみられ一顧だにされていない。
彼らは草原の蛮族(注:
草の民のこと)の戦士の物語に酔いしれるも
メアレンの偉人たちをろくに知らず、知ろうともしていない。
我々は我々の魂を世界に知らしめなければならない。」