最終更新:ID:Bbk/DH21Jg 2015年08月10日(月) 15:32:58履歴
“世界を拓く者”との戦闘からしばらく経ったある日、アナグラでは、ブラッドとユノの会食が予定されていた。
片や極東防衛の要(その二)、片や世界を股にかける歌姫とあって、日程調整その他諸々でごたついたものの、何とか双方の予定を合わせることが叶ったのだった。
そんな会食だが、ブラッドの面々は珍しいお客さんかつ大親友とのお食事会と捉える中、ユノは全く別の意味を持って考えてしまっていた。
……ブラッドの隊長と会える。いやあわよくばあんなことやこんなことを……って、そんな仲まで発展してなかった……要約するとこんなところだ。
話は、あの作戦の日まで遡る。
*
終末捕喰同士の相殺という、突拍子もないにしたって程があるようなプランを説明した榊は、ブラッドの隊長とユノだけを残らせた。彼との付き合いが長い者には分かったかもしれない程度に嘘をついて。
「……発案者である僕が言ってはいけないことだと思うんだけど、この作戦は、成功する率がとても低い。どこまで成功するかも分からないし、赤い雨に関する仮説そのものが間違っている可能性だってある」
「分かってますって。それも承知で、私はやるつもりでいるんですから」
彼女の姿は、ユノにとって憧れと恐れの双方を感じさせていた。いつの間にかどこかへ行ってしまいそうでありながら、確かにそこにいる危うげな存在……とでも言えばいいのだろうか。とにもかくにも、この時のユノは、ただ頷くことしかしなかった。
「それともう一つ。……君達が助からない確率は高い」
「何%?」
「考えたくはないけれど、99,9%生きてはいられないだろうね」
榊の言葉を、ユノはどこか遠くのことのように聞いていた。それとは対照的な隊長の姿も目に入らないほどに。
「そうですか」
「……話はこれで終わりだよ。この作戦を実行するかどうかは、君達に一任しよう」
淡々とした様子の彼女。
その場から動けなくなっていたユノの手を、彼女は無造作に掴んで外へ連れ出した。どちらの手も、手袋をはめているとかそういったことは一切なく、ユノは自信を犯す黒蛛病の蜘蛛達が喜びに打ち震えているかのような錯覚を覚えていた。
「……ねえユノ。私と心中しない?」
「!?」
自分と背が変わらなくて、自分より胸周りが1cmだけ短くて、自分よりウエストが0,5cmだけ細い女の子からの、怖いのに胸が高鳴る誘い。それが何を意味し、何を意図としての言葉かが分かっていながら、ユノは彼女からそう言ってもらえたことを喜んでしまっていた。
「あっははっ!冗談!……どうなっても、恨みっこなしね」
瞬間、彼女が自分の手の届かないところへ消えてしまいそうで、ユノはその手をさらに強く握り返していた。
*
「あー、あったあった……ような気もするけどほとんど覚えてないや」
「嘘っ!あんなに驚いたのに!」
「ちょっ!痛い痛い痛い!そこ痣!今だめだって!」
……その二人は、会食後にさらに二人だけで話し倒しているわけなのだが。
「……うん。嘘。ちゃんと覚えてるよ」
「……」
「そんな怖い顔しないでってば。かわいいのに台無しじゃん」
「……」
「ま、まあまあ……ほら。チョコもっと食べなって」
バレンタインが近かったこともあり、会食会料理担当(隊長)はチョコを作っていた。
……これが、今現在二人だけになっている理由でもある。
未成年集団の会食に、食べ過ぎると酔っぱらう程度のチョコを作っていたのだ。
始めにナナが、次にサツキが酔い、二人に絡まれたシエルが酔い、ギルは……
『だーめ。これから私達はガールズトークだから』
と、一蹴されたあげく、おっさん×2が飲み倒しているところへと連行されていった。
そのチョコを勧められるがままに食べてしまったユノも、当然ながらそこそこ出来上がり始めていた。
「……心中の言葉の意味……知ってる……?」
「んー?誰かと誰かが一緒に、ってことじゃないの?」
答えを聞いたユノの口角は、自分でも気付かないほど小さく上がった。
「……愛し合う者同士が、それぞれに同意した上で、一緒に死ぬこと……だよ?」
「ふーん……わっ!」
蛙に食らいつく蛇の如くユノは彼女へと飛びかかり、その後ろにあったベッドへ押し倒した。
その目は完全に蕩けきっており、どう見てもまともな思考の上での行動には思えない。
しかしてそれはやはりユノの意志であり、されている本人の本気の抵抗でもない限りは止めることは叶いそうになかった。
「ねえ……私と心中しない?」
「え、えっと……ユノ、もしかして酔って……ふあっ!?」
太股を撫でられるという、ありそうでなかった未知の感触に思わず声を上げた彼女に気を良くしたのか、ユノは妙に素早く服を脱がせにかかった。
「ユ、ユノ!さすがに女の子どうひんっ!」
「ばたばたしちゃダメ……ほら。ここ、気持ちいいでしょ?」
ブラウスのボタンを外していたはずの手が、ジーンズの中へと侵入していた。
ベルトすらまともに緩められていないそれの内側は狭く、下腹部でユノの手の形を感じられるほどで……ぐいぐいと押し付けられながら、恥丘の周りをなぞられる。
どう考えても達することが出来ない快感に身をよじらせるも、ズボンとユノの手がそれを彼女に許しはしなかった。
そうして焦らしながらも、もう片方の手は器用にブラウスを脱がせていた。……色気の欠片もないようなスポーツブラ。
「……女の子っぽくないなあ……」
その布地の上から、徐々に自己主張を始めていた突起を舐め、弄ぶ。
「だ、だめぇ……こんな……一緒になんて……あっ!……ひうっ……」
恥丘の周りだけかと思っていた手が下着越しに秘裂に触れる度、背筋がぞわぞわとかき乱される。
いつしかユノの全体重がかけられる格好になり、完璧に逃れる術を失っていた。
「……?」
チョコでほろ酔いになっていたこともあってか、すでに彼女の股間はしっとりと濡れ始めていた。
それを悟ったユノは、胸を弄くっていた手でジーンズのベルトを外しにかかる。
「そ、そっちは!」
「んー?何らか湿ってるよ?どうひたのかな?」
気付いてその手を掴もうとした彼女だったが、時すでに遅し。空ぶると同時に、するりとジーンズを脱がされてしまっていた。
その間も続けられる胸と秘部への焦らすような愛撫に、艶めかしくその身を暴れさせるも……
動きすぎてはユノに怪我をさせてしまうと考え、その場から大きく動こうとはせず、それだけに小さな快感が積み重なっていく。
「……もしかして感じちゃってる?無理矢理押し倒されて、遊ばれてるのに」
「〜〜〜!」
舌での愛撫をやめ、耳元で囁くように言葉責め。顔を真っ赤に染め、両手で顔を覆った彼女の無防備な耳を、ユノの舌が撫でる。
「んぅう!?」
「耳、感度良いんだね。苛めがいがあるかも」
「やあっ……はう!」
ジーンズを脱がし終えた手が、いつの間にかブラをずり上げてその胸をまさぐっていた。
張り裂けそうな程ピンと立ち上がった乳首を直接撫でられ、摘まれ、転がされ、秘部から与えられるより大きな快感が、胸から子宮まで降りていく。
下腹部に蓄積される疼きに声が出そうになるのを指を噛んで堪える彼女を見て、ユノは意地の悪そうな笑みを深めていた。
少し強めに胸の先端が摘まれる度、彼女の体は跳ね、ショーツの染みは大きくなる。
目は潤み、体は震え、息づかいはどこまでも荒く……どう見ても、あと一押しでイってしまうところまで高められていた。
「もうイっちゃいそう?」
「はあ……あくっ!も、もう!……やめてえ!」
「じゃあやめるね」
「やっ……」
胸から手を離しつつ上体を起こしたユノの手を、彼女は無意識に引き留めた。
……いたずらっ子のように、ユノが笑う。
「!?あっ……かっ……」
「じゃあ……イかせてあげる」
ショーツごと二本の指が膣内へと押し込まれた。唐突すぎたそれに内蔵までもが圧迫され、満足に息が出来なくなる。
……苦しそうに喘ぐ彼女を見ながら、ユノはその膣壁を思いっきり押し上げた。
「ぁぁぁあああああっ!」
プシッ、と控えめに潮を噴きながら達したのを見て、ユノの口角は知らず知らずの内に上がっていく。
残りの下着をはぎ取りながら感じる、守られる側の征服感。何にも勝るかと思われた悦楽はしかし、腕を掴まれ引き倒される感覚に上書きされる。
処理の追い付かない頭が認めたのは、たった今自分の真下でビクビクと痙攣していたはずの、憤怒とも興奮ともつかぬ表情。
それを、恐怖と期待の入り交じった目で見返す。
「やられっぱなしは……性に合わないんだよね」
「……怒って……る?」
「うん。とっても」
……聖母のような笑みを浮かべながら、何という殺気を放つのだろう。
隊長の前じゃ、ご馳走があっても逃げ出しちゃうよー、と言っていたナナに激しく同意するな。
自分の服を脱がせている彼女に自分がされるであろう愛撫と陵辱を想像しつつ、ユノはそう考えていた。
しかし……
「ひっ!?」
「さあて。普通じゃつまらないし……」
「ま、待って!そこっ……ちが……ひああっ!」
彼女の行動は、完璧に想定の斜め上……どころか、全く別の軸を持ってしなければ測ることが出来ないほど、ユノの想像からはかけ離れたものだった。
「……攻守こうたーい」
「ぁ……」
ナナと共に。いや、ナナ以上に大槌を握っているはずの繊細な指が、キュッと閉じた綺麗な菊門を押し潰す。
優しく、力強く、緩やかに、豪快に。一人の人間が(彼女は神機使いであるわけだが)これほどまでに自身の動きに差を付けられるのか、と言うほど激しい緩急が付けられたその責めの前に、ユノの腰は浮き上がっていた。
わざと触れていないのであろう秘部は疼きともどかしさに苛まれて濡れそぼり、それでもなお新しい愛液を噴出させ……菊門の潤滑剤に使われていく。
「お尻の穴いじられてるのに、こんなに濡らしちゃうんだ。ユノって変態さん?」
「違っ……ぁっ……ん……」
「違う?」
ズプリと、前触れなくその菊門へと人差し指が沈められた。全く準備していなかったにも関わらず、他ならぬユノ自身の愛液によって指は難なく受け入れられる。
「!?〜〜〜〜〜っ!」
「仕返しっ、と。……あれ?もしかしてイっちゃった?」
声もなく小刻みに震える体と穴の中の感触を楽しみつつ、彼女は体の向きを変えた。
シックスナインに近い体位……だが彼女の秘部はユノが舐めることが出来ない距離にあり、かつユノの手が足首で緩くもしっかりと抑えられてしまう、彼女優位の一方的な体位。
ついさっきイったばかりの彼女の少し開いたままの秘裂からユノの胸へとこぼれる淫猥な臭いが体の奥底から昂ぶらせ、ユノの股間をさらにヌルヌルと滑らせる。
「いっただっきまーす」
「ああっ!むぐ……」
足ごと開かれた秘裂を舐めた舌にユノが声を上げた瞬間、その口へヌルヌルとした何かが降ってきた。
それが今自分を責めている者の秘部だと気付くのに数秒……その臭いに満たされたユノは、またも絶頂へと押し上げられた。
声を出せない分、余計にその絶頂は深くなっていく。
「んんっ!んんんんっ!!」
「イき過ぎちゃって……はっ……辛いでしょ?……あ……ん……私、を……イかせてくれたら……止めてあげ……んんっ!」
秘部の表面を舐められ、とうとう二本目を押し込まれた菊門をめちゃくちゃにかき回され、それなのに膣へは何もしてくもらえず、動かせない手では自分で慰めることも出来ない。
そんな状況に置かれたユノに、選択の余地は残されていなかった。
「んっ!んむう……んふぅ!」
「ちょっ……ユノ!いきなりがっつき過ぎ……んああっ!」
収まりかけていた絶頂の余韻を一気に振り戻された隊長と、彼女に当てられて尚一層感じてしまうユノ。
達さずとも噴き上がる愛液で二人の顔はドロドロになり、汗とそれとの臭いが部屋に充満していく。
いつしかユノの手を抑えていた足も震え、時に膝立ちとなり……理性か本能か、ユノはその拘束から抜け出し、眼前でひくつく二つの穴を蹂躙し始めた。
「ああっ!?り、両方なんてぇ!」
「んん……ぷはっ!し、仕返し!ひゃあっ!」
二人の嬌声が絶え間なく響き、ベッドのしわがどこまでも増えて……際限なくその身をよじらせていた彼女達にも、とうとう限界が訪れた。
「だめ!だめだめだめえ!も、もうっ!」
「!?それ以上入んないっ!入んないからあ!ユノ!待って!止まってえ!」
イく寸前になって抑制が利かなくなったのか、彼女にとって深すぎるところまで押し込まれていく。
これ以上力を加えれば拳ごと膣内へ埋没しようという時、彼女の指がユノの秘裂に突き立てられた。
「負け、ないんだか……らあっ!」
「きゃあああああっ!」
悲鳴と化した嬌声と共に、ユノはここまでで一番大きな絶頂に達した。
片割れを愛液まみれにしながら、彼女が弾き飛ばされてしまうほどの勢いで腰を跳ねさせ、耐えきれない快感にただ痙攣するのみ……
……ではなかった。
「ユノ……気持ち、良さそうだね……次……私も……」
「ふえぁ……?ぁぁあああああ!」
私はまだイってない。そう言わんばかりに、彼女は自分の股間をもう一つへと擦り付けた。
激しすぎる愛撫で閉じ切らなくなってしまった双方が水音を立てる度、ユノの体は跳ね回る。
「あああっ!やらっ!やらあっ!もうイぎたくらいろお!」
「大丈夫、だよっ!何もっ……分かんなくなるくらい……イかせてあげるっ……からあっ!ふあああん!」
腰が立たなくなったユノの片足を持ち上げての貝合わせ。
すでに限界を迎えていたユノが泣き叫ぶことすら快楽に感じながら、彼女はただただ一番気持ちいいところを擦り付ける。
パンパンに膨れ上がった蕾同士がぶつかり合う度、彼女は近付いてくる最後の予感に全身を震わせ、ユノは悲鳴を上げながら達し、その際に出された愛液が二人の擦り合いを加速させ、絶頂の周期を短くした。
相手がもうすぐ達することを知ってか知らずか、その短い周期の中でさらに快楽が増していく。
残っていないに等しい意識の中、二人は最後に来るであろう大きすぎる絶頂に心を躍らせた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ!!」
*
……それがまるでなかったことであるかの如く、翌日彼女は隊長としての仕事を完璧にこなしていた。
「こちらブラッドβ。隊長。任務完了しました」
「終わったよー!」
「ブラッドγ。こっちも終わりだ」
「うん。こっちも完了。損害は?」
「こっちはない。要救助者も全員無事だ」
「こちらも問題ありません。……あ、ナナがおでんパンを取りに行こうとして、転んで膝を擦りむきました」
「わわっ!シエルちゃん!」
「あははっ!よっし。それじゃあ合流ポイントまで移動。すぐに帰還しよう」
「「「了解!」」」
任務内容は、芦原ユノの移動ルート確保及び当該地域にて孤立している民間人の救助。作戦終了の通信が入ると同時に、ユノは極東支部を発つ手筈になっていた。
『私と心中しない?』
自分が彼女に言った言葉。
『私と心中しない?』
彼女が自分に言った言葉。
「……心中、か……」
全く同じ言葉を頭の中で重ね合わせながら、彼女はクスリと笑った。
「ま、もうちょっと先かなあ?」
to be continued...?
片や極東防衛の要(その二)、片や世界を股にかける歌姫とあって、日程調整その他諸々でごたついたものの、何とか双方の予定を合わせることが叶ったのだった。
そんな会食だが、ブラッドの面々は珍しいお客さんかつ大親友とのお食事会と捉える中、ユノは全く別の意味を持って考えてしまっていた。
……ブラッドの隊長と会える。いやあわよくばあんなことやこんなことを……って、そんな仲まで発展してなかった……要約するとこんなところだ。
話は、あの作戦の日まで遡る。
*
終末捕喰同士の相殺という、突拍子もないにしたって程があるようなプランを説明した榊は、ブラッドの隊長とユノだけを残らせた。彼との付き合いが長い者には分かったかもしれない程度に嘘をついて。
「……発案者である僕が言ってはいけないことだと思うんだけど、この作戦は、成功する率がとても低い。どこまで成功するかも分からないし、赤い雨に関する仮説そのものが間違っている可能性だってある」
「分かってますって。それも承知で、私はやるつもりでいるんですから」
彼女の姿は、ユノにとって憧れと恐れの双方を感じさせていた。いつの間にかどこかへ行ってしまいそうでありながら、確かにそこにいる危うげな存在……とでも言えばいいのだろうか。とにもかくにも、この時のユノは、ただ頷くことしかしなかった。
「それともう一つ。……君達が助からない確率は高い」
「何%?」
「考えたくはないけれど、99,9%生きてはいられないだろうね」
榊の言葉を、ユノはどこか遠くのことのように聞いていた。それとは対照的な隊長の姿も目に入らないほどに。
「そうですか」
「……話はこれで終わりだよ。この作戦を実行するかどうかは、君達に一任しよう」
淡々とした様子の彼女。
その場から動けなくなっていたユノの手を、彼女は無造作に掴んで外へ連れ出した。どちらの手も、手袋をはめているとかそういったことは一切なく、ユノは自信を犯す黒蛛病の蜘蛛達が喜びに打ち震えているかのような錯覚を覚えていた。
「……ねえユノ。私と心中しない?」
「!?」
自分と背が変わらなくて、自分より胸周りが1cmだけ短くて、自分よりウエストが0,5cmだけ細い女の子からの、怖いのに胸が高鳴る誘い。それが何を意味し、何を意図としての言葉かが分かっていながら、ユノは彼女からそう言ってもらえたことを喜んでしまっていた。
「あっははっ!冗談!……どうなっても、恨みっこなしね」
瞬間、彼女が自分の手の届かないところへ消えてしまいそうで、ユノはその手をさらに強く握り返していた。
*
「あー、あったあった……ような気もするけどほとんど覚えてないや」
「嘘っ!あんなに驚いたのに!」
「ちょっ!痛い痛い痛い!そこ痣!今だめだって!」
……その二人は、会食後にさらに二人だけで話し倒しているわけなのだが。
「……うん。嘘。ちゃんと覚えてるよ」
「……」
「そんな怖い顔しないでってば。かわいいのに台無しじゃん」
「……」
「ま、まあまあ……ほら。チョコもっと食べなって」
バレンタインが近かったこともあり、会食会料理担当(隊長)はチョコを作っていた。
……これが、今現在二人だけになっている理由でもある。
未成年集団の会食に、食べ過ぎると酔っぱらう程度のチョコを作っていたのだ。
始めにナナが、次にサツキが酔い、二人に絡まれたシエルが酔い、ギルは……
『だーめ。これから私達はガールズトークだから』
と、一蹴されたあげく、おっさん×2が飲み倒しているところへと連行されていった。
そのチョコを勧められるがままに食べてしまったユノも、当然ながらそこそこ出来上がり始めていた。
「……心中の言葉の意味……知ってる……?」
「んー?誰かと誰かが一緒に、ってことじゃないの?」
答えを聞いたユノの口角は、自分でも気付かないほど小さく上がった。
「……愛し合う者同士が、それぞれに同意した上で、一緒に死ぬこと……だよ?」
「ふーん……わっ!」
蛙に食らいつく蛇の如くユノは彼女へと飛びかかり、その後ろにあったベッドへ押し倒した。
その目は完全に蕩けきっており、どう見てもまともな思考の上での行動には思えない。
しかしてそれはやはりユノの意志であり、されている本人の本気の抵抗でもない限りは止めることは叶いそうになかった。
「ねえ……私と心中しない?」
「え、えっと……ユノ、もしかして酔って……ふあっ!?」
太股を撫でられるという、ありそうでなかった未知の感触に思わず声を上げた彼女に気を良くしたのか、ユノは妙に素早く服を脱がせにかかった。
「ユ、ユノ!さすがに女の子どうひんっ!」
「ばたばたしちゃダメ……ほら。ここ、気持ちいいでしょ?」
ブラウスのボタンを外していたはずの手が、ジーンズの中へと侵入していた。
ベルトすらまともに緩められていないそれの内側は狭く、下腹部でユノの手の形を感じられるほどで……ぐいぐいと押し付けられながら、恥丘の周りをなぞられる。
どう考えても達することが出来ない快感に身をよじらせるも、ズボンとユノの手がそれを彼女に許しはしなかった。
そうして焦らしながらも、もう片方の手は器用にブラウスを脱がせていた。……色気の欠片もないようなスポーツブラ。
「……女の子っぽくないなあ……」
その布地の上から、徐々に自己主張を始めていた突起を舐め、弄ぶ。
「だ、だめぇ……こんな……一緒になんて……あっ!……ひうっ……」
恥丘の周りだけかと思っていた手が下着越しに秘裂に触れる度、背筋がぞわぞわとかき乱される。
いつしかユノの全体重がかけられる格好になり、完璧に逃れる術を失っていた。
「……?」
チョコでほろ酔いになっていたこともあってか、すでに彼女の股間はしっとりと濡れ始めていた。
それを悟ったユノは、胸を弄くっていた手でジーンズのベルトを外しにかかる。
「そ、そっちは!」
「んー?何らか湿ってるよ?どうひたのかな?」
気付いてその手を掴もうとした彼女だったが、時すでに遅し。空ぶると同時に、するりとジーンズを脱がされてしまっていた。
その間も続けられる胸と秘部への焦らすような愛撫に、艶めかしくその身を暴れさせるも……
動きすぎてはユノに怪我をさせてしまうと考え、その場から大きく動こうとはせず、それだけに小さな快感が積み重なっていく。
「……もしかして感じちゃってる?無理矢理押し倒されて、遊ばれてるのに」
「〜〜〜!」
舌での愛撫をやめ、耳元で囁くように言葉責め。顔を真っ赤に染め、両手で顔を覆った彼女の無防備な耳を、ユノの舌が撫でる。
「んぅう!?」
「耳、感度良いんだね。苛めがいがあるかも」
「やあっ……はう!」
ジーンズを脱がし終えた手が、いつの間にかブラをずり上げてその胸をまさぐっていた。
張り裂けそうな程ピンと立ち上がった乳首を直接撫でられ、摘まれ、転がされ、秘部から与えられるより大きな快感が、胸から子宮まで降りていく。
下腹部に蓄積される疼きに声が出そうになるのを指を噛んで堪える彼女を見て、ユノは意地の悪そうな笑みを深めていた。
少し強めに胸の先端が摘まれる度、彼女の体は跳ね、ショーツの染みは大きくなる。
目は潤み、体は震え、息づかいはどこまでも荒く……どう見ても、あと一押しでイってしまうところまで高められていた。
「もうイっちゃいそう?」
「はあ……あくっ!も、もう!……やめてえ!」
「じゃあやめるね」
「やっ……」
胸から手を離しつつ上体を起こしたユノの手を、彼女は無意識に引き留めた。
……いたずらっ子のように、ユノが笑う。
「!?あっ……かっ……」
「じゃあ……イかせてあげる」
ショーツごと二本の指が膣内へと押し込まれた。唐突すぎたそれに内蔵までもが圧迫され、満足に息が出来なくなる。
……苦しそうに喘ぐ彼女を見ながら、ユノはその膣壁を思いっきり押し上げた。
「ぁぁぁあああああっ!」
プシッ、と控えめに潮を噴きながら達したのを見て、ユノの口角は知らず知らずの内に上がっていく。
残りの下着をはぎ取りながら感じる、守られる側の征服感。何にも勝るかと思われた悦楽はしかし、腕を掴まれ引き倒される感覚に上書きされる。
処理の追い付かない頭が認めたのは、たった今自分の真下でビクビクと痙攣していたはずの、憤怒とも興奮ともつかぬ表情。
それを、恐怖と期待の入り交じった目で見返す。
「やられっぱなしは……性に合わないんだよね」
「……怒って……る?」
「うん。とっても」
……聖母のような笑みを浮かべながら、何という殺気を放つのだろう。
隊長の前じゃ、ご馳走があっても逃げ出しちゃうよー、と言っていたナナに激しく同意するな。
自分の服を脱がせている彼女に自分がされるであろう愛撫と陵辱を想像しつつ、ユノはそう考えていた。
しかし……
「ひっ!?」
「さあて。普通じゃつまらないし……」
「ま、待って!そこっ……ちが……ひああっ!」
彼女の行動は、完璧に想定の斜め上……どころか、全く別の軸を持ってしなければ測ることが出来ないほど、ユノの想像からはかけ離れたものだった。
「……攻守こうたーい」
「ぁ……」
ナナと共に。いや、ナナ以上に大槌を握っているはずの繊細な指が、キュッと閉じた綺麗な菊門を押し潰す。
優しく、力強く、緩やかに、豪快に。一人の人間が(彼女は神機使いであるわけだが)これほどまでに自身の動きに差を付けられるのか、と言うほど激しい緩急が付けられたその責めの前に、ユノの腰は浮き上がっていた。
わざと触れていないのであろう秘部は疼きともどかしさに苛まれて濡れそぼり、それでもなお新しい愛液を噴出させ……菊門の潤滑剤に使われていく。
「お尻の穴いじられてるのに、こんなに濡らしちゃうんだ。ユノって変態さん?」
「違っ……ぁっ……ん……」
「違う?」
ズプリと、前触れなくその菊門へと人差し指が沈められた。全く準備していなかったにも関わらず、他ならぬユノ自身の愛液によって指は難なく受け入れられる。
「!?〜〜〜〜〜っ!」
「仕返しっ、と。……あれ?もしかしてイっちゃった?」
声もなく小刻みに震える体と穴の中の感触を楽しみつつ、彼女は体の向きを変えた。
シックスナインに近い体位……だが彼女の秘部はユノが舐めることが出来ない距離にあり、かつユノの手が足首で緩くもしっかりと抑えられてしまう、彼女優位の一方的な体位。
ついさっきイったばかりの彼女の少し開いたままの秘裂からユノの胸へとこぼれる淫猥な臭いが体の奥底から昂ぶらせ、ユノの股間をさらにヌルヌルと滑らせる。
「いっただっきまーす」
「ああっ!むぐ……」
足ごと開かれた秘裂を舐めた舌にユノが声を上げた瞬間、その口へヌルヌルとした何かが降ってきた。
それが今自分を責めている者の秘部だと気付くのに数秒……その臭いに満たされたユノは、またも絶頂へと押し上げられた。
声を出せない分、余計にその絶頂は深くなっていく。
「んんっ!んんんんっ!!」
「イき過ぎちゃって……はっ……辛いでしょ?……あ……ん……私、を……イかせてくれたら……止めてあげ……んんっ!」
秘部の表面を舐められ、とうとう二本目を押し込まれた菊門をめちゃくちゃにかき回され、それなのに膣へは何もしてくもらえず、動かせない手では自分で慰めることも出来ない。
そんな状況に置かれたユノに、選択の余地は残されていなかった。
「んっ!んむう……んふぅ!」
「ちょっ……ユノ!いきなりがっつき過ぎ……んああっ!」
収まりかけていた絶頂の余韻を一気に振り戻された隊長と、彼女に当てられて尚一層感じてしまうユノ。
達さずとも噴き上がる愛液で二人の顔はドロドロになり、汗とそれとの臭いが部屋に充満していく。
いつしかユノの手を抑えていた足も震え、時に膝立ちとなり……理性か本能か、ユノはその拘束から抜け出し、眼前でひくつく二つの穴を蹂躙し始めた。
「ああっ!?り、両方なんてぇ!」
「んん……ぷはっ!し、仕返し!ひゃあっ!」
二人の嬌声が絶え間なく響き、ベッドのしわがどこまでも増えて……際限なくその身をよじらせていた彼女達にも、とうとう限界が訪れた。
「だめ!だめだめだめえ!も、もうっ!」
「!?それ以上入んないっ!入んないからあ!ユノ!待って!止まってえ!」
イく寸前になって抑制が利かなくなったのか、彼女にとって深すぎるところまで押し込まれていく。
これ以上力を加えれば拳ごと膣内へ埋没しようという時、彼女の指がユノの秘裂に突き立てられた。
「負け、ないんだか……らあっ!」
「きゃあああああっ!」
悲鳴と化した嬌声と共に、ユノはここまでで一番大きな絶頂に達した。
片割れを愛液まみれにしながら、彼女が弾き飛ばされてしまうほどの勢いで腰を跳ねさせ、耐えきれない快感にただ痙攣するのみ……
……ではなかった。
「ユノ……気持ち、良さそうだね……次……私も……」
「ふえぁ……?ぁぁあああああ!」
私はまだイってない。そう言わんばかりに、彼女は自分の股間をもう一つへと擦り付けた。
激しすぎる愛撫で閉じ切らなくなってしまった双方が水音を立てる度、ユノの体は跳ね回る。
「あああっ!やらっ!やらあっ!もうイぎたくらいろお!」
「大丈夫、だよっ!何もっ……分かんなくなるくらい……イかせてあげるっ……からあっ!ふあああん!」
腰が立たなくなったユノの片足を持ち上げての貝合わせ。
すでに限界を迎えていたユノが泣き叫ぶことすら快楽に感じながら、彼女はただただ一番気持ちいいところを擦り付ける。
パンパンに膨れ上がった蕾同士がぶつかり合う度、彼女は近付いてくる最後の予感に全身を震わせ、ユノは悲鳴を上げながら達し、その際に出された愛液が二人の擦り合いを加速させ、絶頂の周期を短くした。
相手がもうすぐ達することを知ってか知らずか、その短い周期の中でさらに快楽が増していく。
残っていないに等しい意識の中、二人は最後に来るであろう大きすぎる絶頂に心を躍らせた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ!!」
*
……それがまるでなかったことであるかの如く、翌日彼女は隊長としての仕事を完璧にこなしていた。
「こちらブラッドβ。隊長。任務完了しました」
「終わったよー!」
「ブラッドγ。こっちも終わりだ」
「うん。こっちも完了。損害は?」
「こっちはない。要救助者も全員無事だ」
「こちらも問題ありません。……あ、ナナがおでんパンを取りに行こうとして、転んで膝を擦りむきました」
「わわっ!シエルちゃん!」
「あははっ!よっし。それじゃあ合流ポイントまで移動。すぐに帰還しよう」
「「「了解!」」」
任務内容は、芦原ユノの移動ルート確保及び当該地域にて孤立している民間人の救助。作戦終了の通信が入ると同時に、ユノは極東支部を発つ手筈になっていた。
『私と心中しない?』
自分が彼女に言った言葉。
『私と心中しない?』
彼女が自分に言った言葉。
「……心中、か……」
全く同じ言葉を頭の中で重ね合わせながら、彼女はクスリと笑った。
「ま、もうちょっと先かなあ?」
to be continued...?
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