みどり・市民派をめざす 井奥まさきが収集した情報、書き込んだ情報を整理して公開するために作った公開用のウィキです。

東京での高木健二さん(自治総研)のお話より、今回の全体像をまとめてみました。

(1)第一期「三位一体改革の総まとめ」の年


三位一体改革は同床異夢です。私たちのような「地域に権限を」という分権自治派と「規制緩和から小さな政府」という勢力(財政再建論者)とが一緒になって中央政府の権限縮小を求めているので、矛盾もあります。
しかし、いずれにしても今回は地方団体の提言など大きな動きが置きました。
なぜ、今回の三位一体改革が大きな議論となったのか。80年代からの流れでは補助金の整理は交付税措置という形で処理されてきました大都市の不交付団体はいずれにしても関係ありませんでした。
ところが今回の「三位一体改革」では「税源移譲」の要素が入ったので、議論が活性化しました。
06年度はその第一期の総仕上げの年となります。
三位一体改革とは
「補助金削減」「地方交付税交付金の改革」「税源移譲」をセットに議論し、改革しようというもの。補助金削減や税源移譲は国の官庁がいやがり、地方交付税交付金の改革は地方、特に財源が少ないところがいやがった。

(2)06年の直接影響


地方財政計画の歳出においては、次のような特徴があります。
・給与関係費の削減
・投資的経費の2兆円削減と経常経費1兆円削減
・児童手当の拡充(1490億円)
三位一体改革においては、次のような特徴があります。
(ア)補助金負担金廃止
・国民健康保険、児童扶養手当、児童手当、義務教育等で国の負担率が変更
・施設整備費補助金廃止(50%しか税源移譲しない)
(イ)税源移譲
・所得譲与税で配分(詳細は資料)
(ウ)交付税見直し
・税源移譲分は100%算入(「トク」はなくなった)
・交付税の行革算定(行革インセンティブ/都道府県の留保財源変更/アウトソーシング算定など)

(3)基準財政需要額と実際の予算措置のチェック


税源移譲をめぐる議論で文部科学省が「補助金から一般財源化するとちゃんと予算措置がされない」と反撃した。(資料参照)
本来、基準財政需要額は「最低これだけは必要」と国が決めているもの。それをむやみに低い額で予算化し、他にまわすのはどうか。
井奥注 これも100%実施ということになると、地方の自主性がなくなってしまう。しかし、税制委譲の議論からみても80%程度は確保していないとおかしい。文部科学省の教材費を例にした反論では5割以下が続出。これはおかしい

また、今話題となっている「建築確認」は使用料や手数料だけで歳出をまかなうことになっており、かなり現実味が乏しい。だからこそ行政は手を抜き、確認が形式的になっている。

高木さんは「基準需要額のチェックが必要」と訴えていた。
基準財政需要額とは
国は「地方はこれくらい必要」という歳出を項目ごとに積み上げ、最終的に補正をかけて額をだす。これを基準財政需要額(A)という。さらに、「地方はこれくらい収入がある」という歳入を計算する。これを基準財政収入額(B)という。Bの75% と A とを比べて、差がプラスならば、不交付団体。マイナスならば交付団体として、差額を交付金でもらえる。

(4)06年度から導入される特徴的な制度


退職手当債 団塊の世代の大量退職に向けて新設。今までは、再建団体や財政健全化計画を出したような限定した自治体だけだった。今回は広く実施される予定。
起債の自由化 許可制から事前協議制に変更される。ただし、実質は変わらないかも。
実質公債費比率 今までより幅広い考えの公債費比率を導入。今まで除外されていた「土地開発公社への債務負担」「公営企業への繰り出しの一定額」を入れた数値のため、今までの「起債制限比率」より高くなるかもしれない。この比率が高いところは起債は許可制。
起債の許可
今までは「借金すること」自体が許可が必要であり、それも「ハコ物」建設のいわゆる建設債しか認められていない。(いくつか例外はあるが)
今回の協議制でどう変わるかは不透明。

(5)第二期 三位一体改革へ


・6か月後くらいに次の方針がでる(07年以降)すべては不透明
・ただし、竹中さんらが「自治体破産法」などを企画中

高木さんは、「第二期にむけて国の動きをチェックし、声をあげていかねば」と締めくくりました。
ただし、「景気回復による税収アップ、消費税アップに伴う地方消費税アップなどを原資に、地方交付税交付金の削減はここで下げ止まるのでは」との楽観的な見込みを示しました。

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