みどり・市民派をめざす 井奥まさきが収集した情報、書き込んだ情報を整理して公開するために作った公開用のウィキです。

平和に関する論点をまとめられたらと思い、作成しました。
「みどり・ひょうご」で議論し、みどりのテーブルの足立力也さんからもいろんなコメントをいただきました。


グローバルグリーンズ憲章勉強会

「平和と安全保障」
2006.2.1 井奥

■項目に沿った基礎知識と基本的な論点

(1)パワーバランス論と絶対平和主義【9.1】

(2)「国を超えた議論」と今ある政府(国連を含む)をどうとらえるか【9.1】【9.2】【9.5】【9.7】

(3)戦争の原因論と物理的抑制【9.0】【9.4】【9.6】【9.8】

(4)民衆の抵抗、自衛権をどこまで認めるべきなのか

(5)自国の平和施策と世界平和への「貢献」

(6)アジア共同体への道と15年戦争(太平洋戦争)

(7)超大国アメリカにどう立ち向かうか 【9.9】

********************************************************

(1)パワーバランス論と絶対平和主義【9.1】

・平和を求めるのは万国共通、でも「平和、自衛のための戦争」は必要という議論は非常に多い

・しかし、「パワーバランス論」は軍事拡大にしかつながらない、たとえ話のように言われていた「ローマの平和(パックスロマーナ)」も実は強大な軍事力による抑制というよりは、多文化共生の思想とその制度に原因を求める議論が増えてきたようだ。

・世界的にみれば「パワーバランス論=右派」ではあるが、左派は必ずしも「絶対平和主義」ではない!
実はヨーロッパの平和運動では「絶対平和主義」は非常に少数 ナチスの経験で「悪を見過ごすことはより大きな悪を拡大する」という議論が強い


・欧米の「赤」(社民勢力)が絶対平和主義の立場にたたない中、「緑」は少なくとも初期は「非暴力」という原則を打ち出したところがユニークだったようだ。

・また左翼の世界で「革命のための戦争」という議論もある。日本は割合とそれに引きずられてきた。(ヨーロッパは早い段階で武装革命を放棄)近くで中国やベトナムが成功した事例をみてきたからかもしれないが。

・そうした中、日本の「憲法9条」はある意味で突出した存在であり、だからこそ思い入れが強い人が多いのだろう。

・憲章では9.1にあるように「武力」を認めている。

・このあたりの議論では、「警察力」と「軍隊」とを区別すべきだと言う議論もある
警察=ゲリラなど紛争を予防、鎮圧 軍隊=先制攻撃も含めて展開能力を持つ組織

参考文献 戦争論ー絶対平和主義批判 西部 邁
 毛沢東語録 毛沢東  ローマ人の物語 塩野七生


(2)「国を超えた議論」と今ある政府(国連を含む)をどうとらえるか【9.1】【9.2】【9.5】【9.7】

・自治体外交、市民外交、民際外交はまだまだ知られていないし、実践も少ない。もっと広げるべき概念であるとは思う。

・これ自体は国単位で考えすぎた(資本主義国と社会主義国がどっちが正しいかなど)弊害の裏返しであり、それ自体は「国(実は政府)」と「民」とを分ける議論である。
カンボジア紛争の時の日本国際ボランティアの活動、現在の朝鮮民主主義人民共和国に対する支援などが典型。

・無防備地域宣言(ジュネーブ条約の追加議定書に規定)のように「市民と政府は別」という考えももっと普及すべきかもしれない
これを極端に押し進めると「白旗論」(民衆は他の国が攻めてきたというだけでは抵抗しない、政府が変わっても統治者が変わるだけ)になる

・とはいえ、では今ある政府、国連の無謀な活動を放置しておくことにはつながらないはず
これは「国の制度がどうあれ、今私たちができることは」ということで逆に議論が薄まってしまう可能性がある。(例えばPKOの時のNGO、国際援助団体)

・国の外交政策の変更と同時に、国連の民主化も同時に進める必要がある。また国際法廷の活用など既存施策も有効になるように努力しなければいけない。

参考文献 
「地球人として生きる」岩崎駿介


(3)戦争の原因論と物理的抑制【9.0】【9.4】【9.6】【9.8】

・左派には「物理的抑制より原因をつかむべきだ」という主張が多い。

・例えば、紛争の原因として物理的なものだけでなく、貧困といった原因を重視する考え。「人間の安全保障」などが典型。

・これも重要だと思うが、実は原因はわからない場合が多く、そこで混迷が起きる。

・例えば武器禁輸(小火器を含む)、非核地域構想、人間の安全保障施策など、それぞれ素晴らしい。しかし、えてして効果は見えにくく、現在起きている議論から的外れに見える。

・個人的にはブレア首相の犯罪施策で掲げられた「犯罪に厳しく、?犯罪の原因にも厳しく」という主張がわりと好きです。

参考文献 外務省 人間の安全保障
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hs/index.html  人間安全保障論序説ーグローバルファシズムに抗して 武者小路公秀

(4)民衆の抵抗、自衛権をどこまで認めるべきなのか

・左派の議論では「民衆の抵抗」は「政府」と分けて認めるべきという議論があります。

・じゃあ「民衆の抵抗」はどこまで許されるのか、「デモ」「アピール」「ゲバ棒」「投石」「爆弾闘争」「自爆テロ」・・・

・インティファーダというパレスチナの抵抗運動は「投石という穏やかな方法」でアピールすることから始まりました。

・自衛隊が「民衆の軍隊」ならば、自衛権や徴兵制は認められるのでしょうか。

・敵が攻めてきた時に「家族を守る」自衛を否定するのかと詰め寄られます。

・しかし、すでに日本に軍隊はあるのは事実です。(海外では自衛隊などというややこしい言い方はせずに「日本軍」と言います)海外派兵までしました。

参考 平和基本法 前田哲男さんらが雑誌「世界」に提言


(5)自国の平和施策と世界平和への「貢献」

・日本が「良心的兵役拒否国」として「非軍事」のみの貢献をすればいい。私はこの立場ですが、では「グローバルグリーン」でどう主張するのかという時に非常に悩みました。

・少なくとも少数派/原則反対派でいるうちはあえて「外にいかない」ということは必要かもしれません。しかし、これはいわばモンロー主義(孤立主義)ですね。

・論点として、国連軍が出来たらいいのかという問題があります。正式の国連軍は存在しませんから。(あるのは多国籍軍と安全保障委員会決議による派遣)
ちなみに、日本の憲法9条と国連憲章は矛盾します。しかし、「それでいい」と当時の政府は答弁しています。

・日本では「日の丸を掲げないと世界的には意味がない」として湾岸戦争時に「貢献論」が巻き起こりました。右派が「自国を守る」、左派が「世界平和」という構図が一変し、右派が「世界貢献」をいい、左派が「他国に関わらない」という時期の節目だったと思います。

・北欧では人権/平和と国連軍の不在を解決するために「国連待機軍」という構想を行い、PKOにつなげました。また、仲介外交を掲げて研究や活動もしています。日本もそこを目指すべきでしょう。

・しかし、じゃあ現実に戦争が起きている時にどうするのか。(ちょうどこの時期はユーゴスラビア内戦の解決に向けて、コソボ空爆が議論になっていました。)特に政権与党だった「ドイツ」「フランス」などのヨーロッパでは現実的対応を重視したわけです。
<憲法9条の議論ではヨーロッパから「私たちはおとぎ話の世界にいるのではない」と厳しく指摘されました。
私たちの「あらゆる武力を行使すべきではない」という修正案はアジア/アメリカ 賛成、ヨーロッパ/アフリカ反対 で否決されました。逆を言えば、少数派のアメリカ緑などは絶対平和主義の原則に賛成でした>

 参考 良心的兵役拒否国 小田実
http://www.odamakoto.com/jp/Seirai/991130.shtml
    

(6)アジア共同体への道と15年戦争(太平洋戦争)

・世界的には無理でも、アジアで平和地域を構想できないか

・姜尚中や和田春樹の「東北アジア共同の家」構想とか、外務省でも経済に限ってでも「北東アジア共同体」議論がされている。

・しかし、ドイツと違って戦争責任を不明確にして、歴史教育も十分でない中、「自虐歴史を見直す」という動きが活発。彼らは司馬史観だったはずなのに、司馬氏も認めていた「間違った戦争」を否定し、「自衛のための戦争」「虐殺はなかった」「あったとしても大したことはない」と言い出した。

・小泉首相自らが靖国参拝で挑発行為を繰り返している。

・しかし、一方で中国の動きも「抑圧された民衆のはけ口」的なところがあり、韓国も「不満をそらせる手段」「日本を敵に回して、アジア外交を有利に」という思惑が透けて見える。
韓国の場合は、民主労働党やみどり勢力のような「良心的」勢力が見えるので「市民外交」ができるが、中国はそれすらできない。
みどりはそこをきちんと批判すべきでは。

・台湾と中国の関係も微妙で、基本的に日本政府は台湾を認めていないので、非常に中途半端。

・しかし、われわれみどりとしては「台湾、韓国、モンゴル、日本、フィリピン」だけででも「市民外交」「歴史的認識の一致」「経済共同」「ビザなし、簡易な相互交流」「共同体」というステップを踏んでいきたい。

・ベルギー(第一次、第二次大戦で侵略を受けた)ではすでに「ドイツとの歴史認識による紛争」は存在しない。フランスとドイツが戦争はもはやありえない。そういうふうになぜアジアがなれないのか。

・論点 地球政府(9.1)という考えをどう受け止めるか

参考文献 東北アジア共同の家をめざして 姜尚中

(7)超大国アメリカにどう立ち向かうか 【9.9】

・日本には「反米保守」がほとんど存在しない。経済も「グローバル化」という名の「アメリカ化」を押し付けられてしまった。

・食や文化も依存度が高い。

・アメリカ合衆国も国内では非常に民主的な制度がたくさんあり、国外に対する弾圧的な動きとイメージがたくさんある。

・日本は国連ではアメリカべったりの採決行動をしていることも言われている

・日本においては独自外交、世界レベルでは「1強」主義にならない民主的な国連運営がされるべきかもしれない

参考文献 なぜアメリカはこんなに戦争をするのか ダグラスラミス
     国連と日本 川辺一郎 岩波新書

ページ内検索

管理人/副管理人のみ編集できます