PINKちゃんねる-エロパロ&文章創作板「依存スレッド」まとめページです since2009/05/10

作者:3-660氏


僕はこいつが嫌いだ。
僕と同じ声。同じ顔。僕はこいつの「代用品」として育てられた。

「企業」の創設者、その血を最も濃く受け継いだ小さな少女は、生まれた時から敵に囲まれていた。
だから、「企業」は一つの保険をかける事にした。
危険から少女を遠ざけるために。
「もしも」の時、少女の不在を隠すために。
つまりは、影武者という代用品を使って。

「でも、僕はあなたの事が大好きですよ」

僕はこいつが心底嫌いだった。

こいつと同じ顔でさえ無かったら、僕は僕として生きることが出来たろうに。
こいつと同じ声でさえ無かったら、僕は僕として生きることが出来たろうに。

こいつと同じでさえ無かったら―――
僕はこいつを、愛する事が出来ただろうか。

「構いません」

こちらの考えを見透かしたように、言う。

「あなたが僕を愛してくれなくても、あなたが僕を憎んでも、僕は構いません」

だから、だからどうか。

「何処にも行かないで。何処へも行かないで。僕を、独りにしないで。」
「あなたを縛った僕を許してくれなんて言わない。あなたが望むなら僕は今すぐ舌を噛み切ります。だから」

だからどうか、僕を置いて死なないでください――



僕が死んでも誰も悲しまないと思ってた。
「代用品」が居なくなったって、何も変わらないと思ってた。だけど。

僕と同じ顔が泣いていた。
僕と同じ声で泣いていた。

結局、僕は死ねなかった。



僕の世界には、価値のあるものなんて一つしかない
その一つが無くなってしまった世界なんて、滅びてしまえばいい
僕がそう思っていること、あなたは知っていましたか?

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