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登場人物紹介


光騎士アルマノン/

オフェリア/



【ネオベテルギウス王国】

トリトン国王/

ネレイド皇子/

王国参謀プロテウス/
リゲール将軍/アークツルス将軍/デネボラ提督/

ダークナイト/シルバーナイト/フレイムナイト/
ミストナイト/タイムナイト/ゴールドナイト/


【地球連邦】

ケン/マコト/

カネコ地球連邦首相/

ラピート/


【ドランガード帝国】

クイント始皇帝/

戦士長フォーマルハウト/魔導師フェーベ/賢者サリス/


【ナウレカの民】

ナウレカ皇帝/

ジョゼラス将軍/
パイシーズ/リンドブルース/


【クリスタル王国】

クリスタル王/

シルフィード/


【レジェンドラ共和国】

聖メルシーズ/

宰相ブラフマン/リューメ師/ポエニ/


【ウンブリエル王国】

ウンブリエル53世/


【ソレント無限帝国】

大神官ヘルマブーゼ皇帝/

殲滅卿クザイ/次元卿ファイ/洗脳卿ラムダ/変幻卿プサイ/

アルファ将軍/ガンマ将軍/オメガ将軍/

艦隊司令キルライア/

ラスコー=ドレル大佐/


【ヴァルハラ宮】

戦神オーディン/

シャルル/

ヴァーミリオン・フェニックス/インディゴ・ドラゴン/
プラチナ・タイガー/バソールト・スネートル/


【神話世界】

ンドゥー/

全能神ゼウス/

唯一神バシャール/

次元創造神ビックバン/
光神アルテミラ/
知恵神バルドレル/
慈愛神ミスティ/

タジロー/



あらすじ
第1部:新たなる脅威




 地球西暦5025年。



 銀河中を巻込んだ「ハルマゲドン大戦」の終結から、はや15年が過ぎようとしていた。


 
 タジローの犠牲によって、ビックバンの魂は超新星化したベテルギウス褐色矮星の中へと再び封印され、銀河を覆い尽くそうとした危機は消え去った。

 人々の間には笑顔が戻り、20万年以上続いた星間戦争の終結によって、銀河系は「平和の世紀」に突入したのである。

 かつて銀河を席巻していた五大勢力は姿を変え、代わりに銀河系を統治する共同機構「銀河連邦」が創設。
 地球はその要となる「銀河連邦首星」として存在していた。

 銀河連邦は、構成する6つの「常任指導惑星国家」によって各星間区域で高度な自治がなされており、独立した自治権限が認められていた。その6大指導国家とは即ち、

 先の銀河大戦でタジロー達と戦ったトリトン・ネレイド皇子が、大マゼラン雲にて新たに築き上げた『ネオベテルギウス王国』

 タジロー達を介して地球側と確固とした友情関係を築いた『ナウレカの民』

 同じく、ハルマゲドン大戦で主導的役割を果した『クリスタル王国』

 一時はベテルギウス側から造反を起こして敵対したが、銀河大戦後に宥和を計った『ドランガード帝国』

 旧スィクルブルーク連合と旧コボプトホ共和機構が統合した『レジェンドラ共和国』

 そして、数世紀前までは銀河の辺境星系にしか過ぎなかったが、ハルマゲドン銀河大戦でタジロー達英雄を輩出させ、一躍、銀河平和の立役者となった『地球連邦』

 
 この各6大勢力は、ハルマゲドン戦争が終結した後、銀河連邦の平和と安定の為、互いに手をとりあっていくことを堅く誓い合ったのである。

 かつて、木星に住んでいた純朴な少年であったケンとマコトは、自分達に降り掛かった数奇な運命と、親友タジローの死を乗り越え、今では地球連邦を治める要人になっていた。

 ケンは地球連邦軍の司令長官に、マコトは連邦執政長官となり、ハルマゲドン戦争終結15周年を記念して、最大の激戦地であったベテルギウス星系にて平和式典を催す準備に忙殺される日々を送っていた。

 この式典計画は、ネオベテルギウス王国のトリトン国王から提案されたもので、戦後初めて各惑星国家の首脳陣が一同に介する大規模プロジェクトとして、銀河系内からも注目を集めていた祭典である。


 だがしかし、銀河系に刻一刻と忍びよる影が、遥か彼方に存在する別の銀河系にて、芽生えようとしていた。


 銀河系から約350万光年離れた所にあるアズール銀河(M101銀河)


 壮大な歴史の陰謀がなければ、恐らく「銀河連邦」と永久に交わる事がなかったアズール銀河系の中心部から、突如として超巨大なブラックホールが出現する。

 銀河の中心渦(バルジ)から飛び出したこのブラックホールは、直径100万キロを超える恒星級の大きさを誇り、その尋常ならざる重力を原動力にして、アズール銀河の星々を次々と呑み込み、ひしゃぎ、破壊して進む運動天体として猛威を奮っていた。

 ブラックホールの移動速度は秒速3000億キロメートル。
 実に光速の100万倍の速さを誇り、嵐のように過ぎ去っては、あらゆるものを奪っていく様を例えて、ブラックホールの惨禍から免れた人々は恐怖に戦(おのの)きながら『ブラックストリーム(黒嵐)』と口を揃えて形容した。
 
 恐るべきことに、この超巨大ブラックホールの中心部には、人工の惑星で造られた国家があり、その進路上に豊富な資源や技術などを持っている惑星があれば、どこからともなく暗黒の闇の中から強力な宇宙艦隊が飛び出してきては、次々と侵略・植民地化させ、アズール銀河に点在する文明惑星を蚕食していたのだ。

 この黒嵐を意のままに操る謎の勢力の名は『ソレント無限帝国』
 
 大神官ヘルマブーゼ皇帝を筆頭とするソレント無限帝国は、無機質の機械生命体(レプリロイド)によって造られた国家であり、銀河連邦を遥かに凌駕する軍事力、そして不滅に近い躯(からだ)を持つ彼らは、十次元世界の支配と、唯一神バシャールの復活を究極の目的としていた。

 唯一神バシャール…
 それは、遥か古代神話の時代に、神々との闘いで封印されし6大神の一神。

 全能神ゼウスを倒して全宇宙の支配を目論んだバシャールの魂は、連綿と続く時間の奥底の中で眠り続け、復活の刻を虎視眈々と伺っていたのである。

 20万年前より続いていた銀河系5大勢力の星間戦争…。
 
 この永き時間に渡る星間戦争で、銀河系の文明を撹拌し続けた結果、スペース・アノドの力を持つ光の申し子を辺境の惑星系で目覚めさせた事…。

 その光の申し子が、銀河系の戦乱を巻き起こして創造神ビックバンを復活させ、ビックバンの肉体と魂を分離させて封印した事…。

 この全てが、バシャールによって予め仕組まれた陰謀だとすれば、何と恐ろしく、気が遠くなる程の執念だろうか。
 
 あらゆる歴史が、全てバシャールの掌で転がされていたとなれば、この世の行く末もまた、絶望に覆われることが約束されてしまうのである。

 瞬く間にアズール銀河を支配下に置いたソレント無限帝国は、次なる目的地を見定めていた。


 超光速移動をするブラックホールの向かう先に存在するのは、我らの『銀河連邦』。



 15年ぶりに銀河連邦の首脳が一同に会して行われた「終戦15周年平和記念祭」では、旧敵国のトリトン国王と堅い握手を交わす地球連邦のマコト長官の姿があった。

 この平和の祭典が銀河中に中継され、人々が歓喜の渦で沸いている中、新たなる脅威が銀河系に差し迫っている事など、その場にいた者達はまだ、誰一人として知らなかったのである…
 





第2部:光騎士アルマノン







 異変の徴候は、ほどなくして現れる。



 平和の祭典から本国へ帰国する途中であったトリトン国王ら一行は、謎の艦隊の攻撃に追われる一隻の宇宙船を保護してしまったが為に、敵の攻撃に遭ってしまう。

 この謎の艦隊こそ、ソレント無限帝国が銀河系へ派兵した先遣部隊の一角であり、艦隊司令キルライアは、その尋常ならざる武力でもってトリトン艦隊へ襲い掛かるも、トリトン国王の攻撃によって蹴散らされてしまう。

 彼が保護した宇宙船内には、2台の冬眠カプセルが設置されており、調査の結果、カプセル内には、10年前より眠り続けている二人の若い男女が居ることが判明する。

 トリトンは急いで本国へ戻り、二人の乗る宇宙船と、彼らの冬眠装置を徹底的に解明し、銀河系に迫る新たな敵の正体を知る事になる。
 
 この時すでに、無限帝国の前衛部隊はネオベテルギウス王国の恒星系へ侵攻を開始してきたのであった。
 
 前衛部隊を指揮するのは、ソレントのレプリロイドの中でも強靱なる機械躯を持つ「不敗三将軍」の一角ガンマ将軍と、ソレントの中で唯一、人間の身体をもつラスコー=ドレル大佐。

 二人はキルライア部隊が追尾していた宇宙船が、トリトンの艦に保護されたのを知り、ネオベテルギウス本星に前衛部隊の兵力を集結させてきたのだ。

 宇宙船とその中で眠る人物の引き渡しを拒否したネオベテルギウス王国は、母星上空の宇宙空間でソレント艦隊と激しい戦闘を展開することになる。
 だが、「銀河連邦」屈指の軍事力をもつネオベテルギウス軍でさえ、ソレント無限帝国が誇る未知の兵器には歯が立たず、防戦一方となってしまう。

 トリトンとネレイドが自ら陣頭指揮に立つが、出撃してきたガンマ将軍の猛攻に苦戦を強いられ、本星を護る国防軍はソレントの誇る「巨大機械神兵」軍団や「気化粒子要塞クラウド」によって壊滅状態に陥り、ネオベテルギウス王国は絶体絶命の危機に立たされてしまう。


 その時、冬眠カプセルにて眠りについていた一人の若き青年が目覚める。
 彼の名は光騎士アルマノン。


 アルマノンは自分が置かれている状況を瞬時に悟ると、目覚めたばかりであるのにもかかわらず、トリトンらが闘う戦場へと瞬時に移動してきたのだ。

 彼がもつ神秘的な力は、トリトンやネレイドのそれを遥かに凌駕するものであり、アルマノンの剣から繰出される必殺技「オーラブレイク」によって、ソレントの機械神兵団や要塞は次々と沈黙させられてしまうのであった。

 三人の力を合わせ、何とか不敗三将軍ガンマを倒す事に成功するが、続いて出現したラスコー大佐の罠によって、トリトンとネレイドは戦闘不能状態になり、アルマノンまでもが大きな負傷を追ってしまう。

 だが、遅れて目覚めたオフェリアの治癒能力によって傷を回復したアルマノンは、一騎討ちによって、圧倒的有利の立場にいたラスコーを退かせる。
 この時、アルマノンとラスコーの間には目に見えぬ因縁が生まれるのであった。

 ソレントの前衛部隊を何とか駆逐することに成功したトリトンは、なぜアルマノン達が彼らに追われていたのかを問いただす。
 アルマノンの口から話された経緯は、トリトンらの想像を絶するものであった。

 彼は、母国がソレント無限帝国に侵略され、国王の忘れ形見である王女オフェリアと共に、この宇宙船に乗ってアズール銀河から脱出してきたのだ。
 行き先は、彼の夢の中で出てきた「タジロー」と名乗る人物によって導かれた銀河系。

 アルマノンは、ソレントが唯一神バシャールを復活させようと企んでおり、その為には、6大神の一神「光神アルテミラ」の力を受け継ぐオフェリアの絶対治癒能力を、彼らが欲しがっていることを打ち明ける。

 トリトンは、アルマノンの話に出てきた「タジロー」の存在に注目。
 彼らを一度、銀河連邦の首星である「地球」へ連れていくことを決意するのであった。


 この後、物語は激動の展開を迎えていく。


 ソレントの侵攻によって、次々と交信が途絶えていく6大指導惑星国家。

 地球へ辿りついたトリトン一行に襲いかかる不敗三将軍アルファの機動艦隊。

 アルファ将軍とアルマノンの月面上での戦闘。

 そして、再び彼らの前に現れたラスコー大佐によって帝国に捕らえられてしまったオフェリア。



 数々の死闘を繰り広げ、命よりも大切なオフェリアまでもを奪われたアルマノンは、ラスコーが仕掛けた必殺技「ラグナロクアタック」の激しい爆発の中に姿を消す。

 誰もがアルマノンの死を直感したが、彼の身体は地球軍が密かに建造した外宇宙探査船「アポロギニア」に収容され、昏睡状態に陥りつつも何とか一命を取り戻したのであった。


 ここで、銀河連邦はマコト長官の指揮の下、迫りくるソレントのブラックホールを迎え撃つべく、2つの戦略的作戦を提案する。


 1つは、トリトン国王が中心となり、ソレントの侵攻を何とか防いだ「ナウレカの民」「クリスタル王国」の残存兵力と、ネオベテルギウスの兵力を集結させて『銀河絶対防衛圏』の構築を進めること。

 もう1つは、ソレントの不敗三将軍オメガによって滅ぼされたドランガード帝国のクイント始皇帝が、地球に向けた最後の交信で伝えた「ヴァルハラ宮」の所在を確認すること。

 このヴァルハラ宮は、銀河辺縁部の大ハローのどこかに存在し、そこには神話の時代に活躍した6大神の一神、戦神オーディンが居城しているというのだ。 

 戦神オーディンの力を借りれば、ソレントに対抗できうる巨大な戦力となる。
 だが、直径10万光年におよぶ大ハローをくまなく探索することは、事実上、不可能に近かった。


 しかし、ソレントに捕われたオフェリアが残したペンダントが、この絶望の壁を撃ち破ることになる。


 彼女は光神アルテミラの力を受け継ぐ末裔であり、彼女のペンダントは、かつてオーディンがアルテミラに贈った宝石で造られているものであったのだ。

 捕われたオフェリアは、その直前に最後の力を振り絞って、宝石に封印されし戦神の意志を甦らせたのである。そして、突然まばゆい光を放った宝石は、オーディンの住まうヴァルハラ宮に向けて、光の道筋を示したのである。


 条件はこうして整った!


 トリトン国王らと別れたマコトたちは、眠り続けるアルマノンを乗せ、アポロギニアの超絶航行能力を駆使して、一路、銀河系辺縁部にあるという「ヴァルハラ宮」を目指すのであった。






第3部:そして光の神話へ







 地球を出立して半年。ヴァルハラ宮に辿り着いたマコトらは、密かに追尾されていたオメガ艦隊の奇襲攻撃を受けてしまう。

 だが、ラスコーとの戦いからずっと昏睡状態を続けていたアルマノンが、突如、覚醒する。覚醒したアルマノンの活躍により、オメガ艦隊は撤退を余儀無くされるのであった。
 この戦いの一部始終を見ていたオーディンは、ヴァルハラ宮より使者シャルルを遣わし、アルマノンらは戦神との謁見を許可される事になる。

 戦神オーディンは、神世の時代から生き続けているのにも関わらず、若く凛々しい姿でアルマノン達の前に現れた。
 
 ソレントとの闘いに協力してほしいという彼らの要望に、戦神は首を縦に振らなかった。だが、力を分け与える事は可能だとし、アルマノンの能力を最大限に引き出す術を約束する。

 ただし、それには彼の弟子でもある女剣士シャルルと戦い、勝つことが条件であった。

 小柄で華奢な身体をしているシャルルを見て、誰もがアルマノンの勝利を確信したが、結果はシャルルの大勝であった。
 オーディンは彼の力の全てを見透かしていたのだ。
 「敗北は成長に必要だ」と言い残し、アルマノンはヴァルハラ宮での修行をオーディンに勧められる。

 時間が止まる宮殿深部の中で修行を行い、数カ月後、見違えるほどに成長したアルマノンは、みごとシャルルに勝利し、オーディンより戦闘宝玉を授かる。

 更に、オーディンより神具ドラグーンアーマーを授かったアルマノンは、ヴァルハラ宮に侵攻してきた不敗三将軍オメガを、一瞬で破壊してしまう。
 
 オーディンは、宮殿から動けない自分の代わりにシャルルをアルマノン達一行に付き添わせる。彼女の力もまた、今後、大いに役立つことになるのだ。

 一方、銀河系まであと数十万光年までの距離にまで接近しつつあったブラックホールの内部では、捕われたオフェリアが、無気味な装置の中に組み込まれ、唯一神バシャールの復活を待っていた。

 ソレントのブラックホールが、ビックバンの魂が眠る褐色矮星を呑み込んだ時、バシャールの復活が実現する。

 大神官ヘルマブーゼは全滅させられた不敗三将軍の代わりに、帝国最強のレプリロイドである「四大暗黒卿」を召喚し、帝国の主力部隊を集結させて、トリトン国王らが構築しつつあった「銀河絶対防衛圏」の破壊を命令する。

 こうして、ハルマゲドン大戦を上回るかつてない規模の戦いの火蓋が、切って落とされようとしていたのだ。

 
 物語はいよいよクライマックスに向けて、怒濤の展開を迎える。


 一路、地球への帰還を目指すアポロギニアを、四大暗黒卿の一角・変幻卿プサイが強襲したのだ。
 
 リキッドフレームボディと呼ばれる変幻自在な機械躯を持つプサイは、オフェリアの姿でアルマノンに襲い掛かる。

 目の前に現れたオフェリアの姿に混乱するアルマノン。
 だが、シャルルの身を呈しての呼び掛けにより正気を戻したアルマノンは、増援に駆け付けたナウレカ皇帝たちと共にプサイを追い詰める。

 だが、帝国最強を謳う四大暗黒卿の力は想像以上に巨大であった。
 第2形態へと変形したプサイは、その異形なる巨体でアポロギニアそのものを撃沈せんと攻撃してきたのである。

 恐るべき破壊力に成す術もないアルマノンだが、ナウレカ皇帝による捨て身の攻撃によって、変幻卿プサイを撃破することに成功するも、失った犠牲は大きなものであった。ナウレカ皇帝というあまりにも大きな戦力を失ってしまった重責に、アルマノンは自分の力の無さに無念の涙を流すのであった。
 
 地球へ帰還したアルマノンは、オフェリアを失い、ナウレカ皇帝までもを犠牲にしてしまった責任に苦しむ日々を送る。
 
 彼に淡い恋心を寄せていたシャルルの慰めも、アルマノンの心には伝わらなかった。

 しかし、彼の前に現れた一人の少年ラピートの出逢いによって、アルマノンは自らの運命と、使命を教えられる。

 「犠牲になった者達の意志を君は受け継いでいる。彼らの死を無駄にしてはいけない」

 少年ラピートの言葉は、アルマノンの心を縛っていた鎖を解き放ち、新たな力を萌芽させることになる。

 一方、地球の首都ニューホープワシントンでは、銀河連邦軍の指導者が一同に介し、既に銀河系に突入しつつあるソレント無限帝国の巨大ブラックホールを迎撃するための作戦会議が開かれていた。

 トリトン国王の尽力の下、銀河絶対防衛圏に銀河連邦の全軍が集結を完了しており、応戦体制は整えつつあったのだ。

 そして、後世「ジハード大戦」と呼ばれる銀河系最大の戦争が、いよいよ始まったのであった。

 ソレント帝国は、侵攻するブラックホールの前衛に、莫大な数の主力艦隊を配備。更に、四大暗黒卿の一角、次元卿ファイと洗脳卿ラムダをも派遣し、一気に攻め込む布陣を敷いていたのである。

 戦(いくさ)が始まり、激突する両軍の中で、再び尊い命が犠牲となる…

 ソレント帝国軍との最前線で果敢に戦っていたネオベテルギウス軍の最高司令官トリトン国王は、洗脳卿ラムダの罠に落ち、アルマノンと戦う事になってしまう。

 自分を助けてくれたトリトン王と戦う事になったアルマノンは、血の涙を流してまで「自分を斬れ」と叫ぶトリトンに、攻撃ができないままでいた。だが、弟ネレイドの懇願によって、アルマノンはネレイドと共に、洗脳されたトリトンを渾身の一撃で討つ。

 「立ち止まるな。常に前を見て進め…」トリトンはアルマノンにそう言い残し、弟ネレイドに国王の称号を譲り、息絶える。

 トリトンの死に怒りを爆発させたアルマノンは、ラピートの力によって目覚めつつあったスペース・アノドの能力を覚醒させる。

 その力は圧倒的に凄まじく、もはや洗脳卿ラムダの能力をもってしても適うものではなかった。

 一方、アルマノンと別行動をとっていたシャルルは、次元卿ファイによる多角空間攻撃によって苦しめられていた。自分の躯を分解し、独立駆動機関を備えたファイの攻撃は、シャルルを庇ったクリスタル王の身体を貫き、彼女もまた、大きな傷を負ってしまう。

 シャルルに止めを刺さんとばかりに襲い掛かるファイの前に立ちはだかったのは、戦神オーディンであった。

 彼は全能神ゼウスによって授けられた「セント・ビースト4人衆」を引き連れて、この戦いに参戦してきたのである。

 援軍にかけつけたオーディンと四聖獣たちは次元卿ファイを撃破し、その光景を見たクリスタル王は、シャルルが助かった事に安堵し、静かに息を引き取る。

 地球を除く6大指導国家の指導者達が、皆すべてこの世を去ってしまうという異常事態の中でも、兵士たちの志気を保ち続けていられたのは、覚醒したアルマノンとオーディンの力によるものであった。

 アルマノンと合流したオーディンは、四聖獣が姿を変えた宝玉をアルマノンの身体に埋め込み、ゼウスが託したスペースアノドを上回る神の戦士「リリティカル」の力を託す。
 
 この力こそ、オーディンの身体を今まで生き長らえさせてきた源であり、不死の呪縛から解き放たれた戦神オーディンの身体は、アルマノンの前に出現した全能神ゼウスに抱かれて、静かに消え去っていくのであった。

 アルマノンはかつて地球で出逢った謎の少年ラピートが、全能神ゼウスであることを、この時初めて知ったのである。

 「光の神話の紡ぎ手は君たちに託す。僕は遥か彼方の神話の時代へ還らなくてはいけない…」
 
ゼウスはそう言い残し、神々を憎むバシャールもまた、犠牲者の一人であるのだと告げて、ソレントのブラックホールを打ち消す「反物質の宝玉」を授け、アルマノンの前から消え去った。

 全能神ゼウスとオーディンより託された力を得たアルマノンだが、戦況は苦しい状態に代わりはなかった。

 ソレント無限帝国のブラックホールは遂に銀河系へ突入し、銀河絶対防衛圏に集結した兵力を次々と呑み込み始めたのだ。
 
 バシャールの復活を急ぐヘルマブーゼは、最後の四大暗黒卿である殲滅卿クザイと、アルマノンの宿敵であり、帝国司令官に任ぜられたラスコー=ドレル将軍を新たに派遣する。

 最後の闘いは、刻一刻と迫りつつあった。

 戦場はベテルギウス褐色矮星へと移り進み、ついに全身が大量破壊殺戮兵器の塊である殲滅卿クザイが立ちはだかる。

 クザイの戦闘能力は想像を絶するほどまでに凄まじく、数百隻の宇宙戦艦を一撃で消滅させてしまう決戦兵器「エンドレスバースト」によって、銀河連邦軍は壊滅状態に陥ってしまう。

 アルマノンは殲滅卿と対決するため戦場へ赴くが、彼の前にリプレロイドの身体を得て「ダークフェイズ」と呼ばれる戦闘形態になったラスコーが立ちはだかる。
 過去何度も激しい闘いを繰り広げてきた両者の決闘は、この戦いでもって、ついに決着を見せるのだ。

 ゼウスによって神戦士「リリティカル」の力を得たアルマノンだが、ダークフェイズと化したラスコーは、それを上回るほどの力をもって挑んできたのだ。長く苦しい闘いの趨勢を決めたのは、アルマノンを助けにきたシャルルであった。

 ラスコーの攻撃を跳ね返したシャルルの額には、何とラスコーの頬にあった紋章と同じ紋様が浮き上がったのである。

 彼の前に現れたシャルルこそ、ラスコーがソレントに身を寄せてまで探し続けてきた、実の妹ユリウスであったのだ。

 ラスコーはとある星系を治める小さな王国の家系に生まれたのだが、幼少の頃ソレントに母星を侵略され、自らの潜在能力に目をつけたヘルマブーゼから、ユリウスの命と引き換えに、彼の力をソレントの為に使うという脅迫を吹き込まれていたのだ。
 しかし、実はゼウスを介して、ユリウスはオーディンによって保護されていたのであった。

 そして、彼らの母星こそ、6大神の一神、知恵神バルドレルの力を受け継ぐ子孫が治めていた星だったのである。

 
 「お前とは、もっと別の形で会いたかった。我が妹を頼んだぞ」


 全ての真実を知ったラスコーは、アルマノンとシャルルにそう言い残し、単身、クザイとの闘いに挑み、相打ちとなる。

 深い悲しみと無念が残る中、遂にアルマノン達の前に黒嵐のブラックホールが姿を現す!

 アルマノンはゼウスから託された反物質の宝玉によって、迫りくるブラックホールを消滅させることに成功するが、その中から現れたソレント帝国母星の姿は想像を絶するものであった。

 何と星全体が巨大な機械化要塞であり、また巨大な音楽装置でもあったのだ。
 大神官ヘルマブーゼ皇帝は、星の中枢部で自らの身体を組み込ませたオルガンを弾き、聖なる賛美歌を奏でていた。

 大神官の奏でる音楽は、振動の波となって宇宙空間に共鳴し、捕らえていたオフェリアの体内に眠る光神アルテミラの力を吸い取り、目の前のベテルギウス褐色矮星の中に眠るビックバンの身体をエネルギー粒子に変換させ、2つの力を星中枢にある器の中へ凝縮し、バシャールの魂と融合させようとしていた。

 ソレント本国の要塞内部に侵入したアルマノンは、シャルルやネレイドらと共に大神官ヘルマブーゼとの最後の闘いに挑む。

 既にバシャール復活の儀式を完了したヘルマブーゼは、不敵な笑いと共に、アルマノンが放つオーラの中に消え去った。

 と同時に、崩壊を始める無限帝国母星。
 アルマノンは、脳の中に呼び掛けてくるオフェリアの声を探り出し、遂に感動の再会を果す。しかし、喜び抱き合う二人に、残された時間はなかった。

 アルテミラの持つ治癒能力こそ奪われていたが、オフェリアの中に潜在する魔法力は完全には無くなっていなかったのだ。

 オフェリアの力によってソレントから脱出したアルマノン一行は、バシャールの魂が封印されているソレント母星中枢部の球体が、ベテルギウス褐色矮星と融合を始める姿を目撃する。

 そして遂に、銀河…いや宇宙最大最凶の力を手にした唯一神バシャールが、彼らの前に姿を現したのであった。

 皆の力を譲り受けたアルマノンは、銀河の運命を一身に背負い、最後の敵バシャールとの一騎討ちに立ち向かう。初めは巨大な封印形態の姿をしていたバシャールだが、徐々に姿を変化させ、まずはヒトの姿(神体)となり、次いでビッグバンの肉体を更に進化させた最終完全形態へと姿を変え、アルマノンを何度も苦しめ、瀕死の重傷を負わせていく。

 だが、ビックバンの肉体の復活は、共に犠牲になったタジローの復活をも連動させたのであった。

 ゼウスの力によって、一時的に「生き返った」タジローは、アルマノンの身体の中へ入り込み、自らの魂を結びつけさせ、彼に残された巨大な力を目覚めさせる。
 タジローの結び付けた力こそ、最後の6大神、慈愛神ミスティの力であったのだ。

 戦いは激しくも混迷を極め、全能神ゼウスの下に集う6大神、オーディン、アルテミラ、バルドレル、ミスティ…そしてビックバンの力を得たアルマノンは、オフェリアの愛の力と共に、バシャールを打ち倒すことに成功する。

 バシャール崩御によって、その内に溜め込まれてきたエネルギー解放の放射は、銀河系を包み込み、以後、数年間に渡って宇宙は光の粒子で飽和されるのであった。

 後世、銀河系に住まう人々の子々孫々まで伝わる「銀河物語」と呼ばれるサーガは、銀河に安寧の平和が戻ったことにより、永き巻物の紐を閉じることになる。




 その後、銀河系から故郷アズール銀河へと還ったアルマノンとオフェリアの行方はどうなったのであろうか。

 幾年(いくとせ)か長く平穏な月日が流れ、遠き銀河島で、人心を集めた良き国王と王妃による光の王国が築かれたという風の噂が、銀河系に伝わってくる。



 それが、アルマノンとオフェリアの創りし国なのかどうかは、残念ながら知る者はいない。




 光の神話が終わり、新たなる時代が、始まろうとしていた。








 銀河物語:FIN






 


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