当Wikiは快活委員会の創作作品をデータベース化していくための新型創作コンテンツです。

●物語の文章において【】でくくられている用語について解説してあります。



 
【月面庭園】

 月の女神セレーネが管理する巨大庭園。その総面積は日本の九州のそれに匹敵するという。それほどの広大な庭園を管理するために、セレーネ御抱えの庭師たちは約2000名ほどいる。さりとて2000名ていどの庭師でも管理するのが一苦労だ。庭園内は、中心部にあるセレーネの宮廷と巨大樹をくり貫いた地下温室庭園を核として、その周囲を環境の異なる30のブロックに分けられている。ここでは様々な植物たちが群生しているが、その総数は計り知れない。一節によれば数百万種とも数千万種とも言われるが、王国の最新資料によると、現在は二千万種もの植物があるらしい。また、庭園内は「命の源泉」から引かれた水路が縦横無尽に伸び、大きな水路では船も運行している。セレーネは、時たまこういった船に乗船して余暇を楽しむらしい。月面庭園の位置は、王都「ルナドルック」から直線距離で北西方向に約1100キロ離れた「豊かの海」沿岸のクレーター「ペタウィウス」と「フェンデリヌス」との間にある広大な平原にある。王都からの月面横断急行で約20時間の距離。

(用語引用:「序説 遥かなる月面王国」より)



【閣僚神】

 月面王国の元首である月霊王ムーンムーンに仕える12人の神を指す。閣僚という名前がついているように、王国内の政治・経済・生活部門の省庁を管轄する大臣であり、各々が特殊かつ強大な神通力を保有し、王国のために様々な職務をこなすエキスパート集団として君臨している。王国の政治運営はムーンムーンおよび閣僚神で行われる。「議会」というものが存在しない王国では、すべての政治決定が閣僚神と月霊王で裁決される一極集中型になっているために独裁色は非常に強い。閣僚神も月霊王が任命・罷免権をもっており、閣僚ポストは余程のことがないかぎり(たとえば現閣僚神が死亡するなど)変更されることはない。このような閉鎖された政治組織であるのにもかかわらず、大きな政治腐敗や問題が発生しないのは、月面王国自体が精神的に発達した文明をもち、また月面人の特殊な生態系(第3抄を参照)により特殊な出産構成から成り立っているのであり、強いて例えるとすれば「禁断の果実を齧る以前のアダムとイブの楽園的」な構図になっているからと捉えてもらえれば分かりやすいかもしれない。
 現在の閣僚神は、宰相ハーシェル(官房・政治全般・総務部門担当)、戦闘神ドルドライヴ(国防部門担当)、伝送神センリ(通信・郵便・外交部門担当)、経済神アダルクス(経済・財政・金融部門担当)、光神ランサーラ(エネルギー・労働部門担当)、火神アーク・グリマルディ(治安・地方自治・建築部門担当)、水神オリューン(治水・漁業部門担当)、豊穣神エプサイラン(国土管理・農林業部門担当)、鉱物神アカーツィア(鉱産資源・交通部門担当)、智神エンデュミオン(教育・科学・文化部門担当)、医療神ファルクラム(医療厚生部門担当)、時計塔の管理者クザイ=ロー(時間管理・気象・メディア部門担当)から構成されており、宰相ハーシェル、医療神ファルクラム、火神アーク・グリマルディ以外のメンツは、大地戦争終結以来に新しく任命された「第3世代」とよばれる若い世代の閣僚神である。



【神通力】
 
 妖精体から神体へと変身を遂げた月面人が保有する特殊な能力全般を指す。月面人は妖精体と神体という二重の進化を一生の内に行う特殊な生命体であり(詳細は第3抄にて)、その進化の過程において、細胞内のミトコンドリアが遺伝子と何らかのエネルギー変換を行い、神体へと進化した時に、細胞質を妖精体とは全く異なる原形質細胞に有機的変化をさせることが分かっているが、詳しくはまだ究明されていないのが現状だ。
 妖精体でも若干の神通力を保有することができるが、神体のそれとは比較にならないほどの差がある。そのため、妖精体の者は、神体の者から神通力を増幅させる力を分け与えてもらい、職務を遂行する場合が多い。



【ヴァグファイア】

 月面王国側が警戒する謎の存在。国王と宰相の密談の中で、月霊王ムーンムーンが「娘を奴等に悟らせてはならない…」と言っていることから、どうやら単独の存在ではないらしい。セレーネの持つ特殊な能力をどんな目的で狙っているのかは定かではないが、王宮側がセレーネを必死にひた隠ししようとしているその姿勢をみるだけで、ただならぬ感じを受ける。また第1抄後半部分には、ヴァグファイアと関係をもつ「スピリッツファイア」と呼ばれる男が次元回廊を彷徨うサァシャの前に現れ、意味深い言葉を残しているのが印象的である。



【大地戦争】

 かつて地球と月の間に勃発したといわれる巨大戦争。なぜ「大地」戦争と言われるのか、その真理に追求する謎は第3抄で語られるであろう。この戦争は月面の神々の勝利に終わったが、その惨禍は地球・月の双方に生々しい傷跡を残したと言われる。現在、地球は月の監視下に置かれているとはいえ、人間達も独自の文明を再構築し始めている。伝送宮殿からの報告によれば、地中海に面したアフリカ大陸に、新たな高度文明の兆しが見えているとの事。



【種(シーズ)】

 セレーネが創り出す植物の種は、一年におよそ3000種類。その大半は地球へと送られるが、地球へ蒔かれる時は一括で行われる。伝送宮殿の資料によれば、一回の散布で約1000種類の種が地球へ蒔かれるという。そのため、劇中のセレーネが個別の種をセンリに手渡すような事は滅多にない。また、残りの種は月面にまかれ、主に食用の野菜やハーブなどの種が主である。これらの種は温室庭園で創られ、命の水を源泉として生気を持つようになる。



【セレーネの樹】

 伝送宮にセレーネが持参した種を見て、宮殿の管理者センリが命名したもの。この「セレーネの樹」は、今後他の抄の中で何度も登場してくることになる。



【月面横断急行】

 王都「ルナドルック」は政治の中心地でもあるが、もちろん月の経済・交通・文化の中心地でもある。王都には、月の裏側や月面各地から伸びる道や鉄道が一挙に集まり、巨大分岐点を形成している。とかく鉄道での移動が盛んな月面では鉄道網が発達しており、王都から幹線20本、支線15本もの鉄道が放射状に伸びている。月面横断急行とは、その幹線を走行する各特急列車の総称で、セレーネが乗車した列車は、月面鉄道でも最も豪華と称される寝台特急列車「ルナクレール」である。ルナクレール(月光)は王都ルナ・ドルック中央駅からセレーネの月面庭園がある「豊かの海」沿岸のクレーター「ペタウィウス」を経由し、さらにその奥の「フェンデリヌス」クレーターの大都市ディアヌールをおよそ32時間をかけて結ぶ長距離列車である。機関車には月光炭使用の大型スチームロコ(SGC-63型)が使用され最高時速は130キロ。編成は貨物車2両を含め16両編成で、うち3両は一等プルマン個室車、1両は食堂車、残り10両は2等寝台個室車両が連結されており、この編成で王都〜ディアヌール間を走行している。



【次元回廊】

 次元回廊の記述は、別物語「蒼天のエトワール」でも描かれている。劇中に登場するこの回廊は、月と地球を結ぶための通路のようなもので、広大な宇宙空間の中を移動する際には欠くことのできない道である。主に伝送神センリによって次元空間を歪曲させて、地球へ妖精達を送り込む時に使われる。また、送り込んだ妖精達を戻すためにも使われる。とにかく、次元空間に過度の力を注入させるために、並大抵の神通力を持つ者でなければ回廊を開けることはできない。月面の神々でこの回廊を自由に扱えるのは、伝送神センリの他、月霊王ムーンムーン、戦闘神ドルドライブ、時間塔管理長クザイ・ロー、火神アーク・グリマルディ等の少数の閣僚神に限られる。さりとて、ムーンムーンを除けば、他の閣僚神よりもセンリの力は強大である。



【青琥珀】

 月面で植生している「月面松」の樹液からとれるヤニが固まったもので、通常の松ヤニとは異なる青色を帯びた琥珀となる。固まっても、しなやかな弾力性を持ち、固形物を押し当てることによって、その形状を記憶することが可能。また、H2O分子と特殊な神通力を化学反応させることによって、蒼琥珀内に含有されている炭化コバルト(CO2C)が量子性タキオン粒子に似た性質をもつことがセレーネの研究によって解明されており、新たな発見が模索されている最中である。この青琥珀は月面でも希少価値の高いものとして知られ、わずか数百グラムのモノでさえ、巨額な値が付けられるほどだ。月面王宮の豊穣農苑では、大粒で純度の高い蒼琥珀を生産するため、エプサイラン主導による月面松の品種改良が繰り返されているらしい。
 


【おまけ:王宮晩餐会のメニュー】


月面産の星小麦で作られた窯焼きのパン

月面北部の農村地帯で生産される星小麦は、主にパン等の材料に最適だと言われている。
この小麦100%で作られた窯焼きパンは、ジャムやバターなど何もつけなくても極めてコクのある甘味を食す者の舌に与える。


橙カボチャの冷たいスープ

雨の海沿岸の「虹の入り江」付近が産地の橙カボチャは、まさしく艶のあるオレンジ色をしたカボチャであるが、その大きさは一般のカボチャよりも実は小さい。しかし、種などは少なく、主にスープやパンプキンパイによく使用される。とりわけ、ムース状にしたスープは絶品。


月光牛のロース焼きに各種スパイスを加えた料理

月光牛は、その肉の霜降りの多さから、月面では最高級の牛として知られる。
脂がほどよく染み渡っているロース肉部分を笹の葉とパイ生地でくるみ、竈で丹念に焼き上げたものに、各種スパイスをかけたこの料理は、肉のジューシーな旨みと食欲をそそるスパイスが口の中で絡み合い、至高の極地を築き上げるのだ。


アモンナイトシュプルングのボイル焼き

王都に近い「熱の入り江」で水揚げされたアモンナイトシュプルングは、海老類の中でもひときわ大きく、その身は絶品とされる。それを丸ごとの状態でボイルし、その後、塩で固めた容器の中に入れて焼いたものがこれ。身が仄かにピンク色に染まっている。


「静かの海」で水揚げされた魚介類のパスタ

食の宝庫といわれる「静かの海」には、様々な魚たちや水生類が泳いでいる。
王都の魚市場では、「雨の海」を経由して水揚げされてくる「静かの海」産の魚介類が毎日のようにやってくる。
もちろん、これら食材をふんだん且つ贅沢に使ったパスタは、あの星小麦で作られている。


宮廷特製のハンバーグステーキ

宮廷自慢のこのハンバーグステーキは、一般参詣者たちが表敬に訪れる時などに利用する宮殿の部外者用のホテルに設けられたレストランにおいても食べることが出来る。そのレストランのシェフは、宮廷おかかえの料理人であるために、料理の腕は保証付きだ。このハンバーグを食べることを目当てに訪れる客も少なくないのだ。


グリムケーキ

グリムとは、主に菓子などに使われる甘い木の実で、形は胡桃によく似ている。
これをすり潰してムース状にし、生クリームと苺をのせたグリムケーキは、いま王都で最もトレンディーなスイーツとなっている。


野菜サラド

主に王都周辺では、サラダをサラドと呼ぶことが多い。
セレーネの月面庭園で採れた野菜は、太陽の光を目一杯浴び、おまけに無農薬なので非常に美味しいのである。


稲妻魚の塩焼き

王都東方に広がる「嵐の大洋」でのみ生息している稲妻魚は、鯵のような形をしているが、体内に帯びている電気を体中に放射しながら、海の中を泳ぐ。その姿は、まさしく稲妻のように見えるためにこの名がついた。
また、体中に電気を帯びているので、漁師たちはこの魚を釣り上げる時には、特製のゴム防具を身につけなければならない。しかし、体内に流れる電流で引き締まった肉はなんとも弾力性があり、歯ごたえのある美味しさがある。電気は、魚が死ぬと3時間ぐらいで全て放電されてしまう。


王宮の特製ヌードル

辛みの効いたスパイススープに、色々な野菜をこれでもかと言わんばかりに山盛りに入れたこのヌードルは、熱い内に額に汗をかきながら食べるのが一番おいしい食べ方。


ショコラ

セレーネの大好きな食べ物。
これを前にすると、さすがの王女様も目を輝かせて喜ぶという。

(用語引用:「第10節 晩餐会」より)




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