コムスン問題5

「介護報酬1億4千万、コムスンは返還を」兵庫県が指導
訪問介護大手「コムスン」(東京都港区)が全国で介護事業所の指定を不正取得していた問題で、兵庫県は28日、同社が2004年3月〜07年6月に県内8事業所で常勤職員数を虚偽申請するなどして、介護報酬計1億4142万円を不正受給していたとの監査結果を発表した。
県は同日、全額を関係市町に返還するよう同社に求めた。同社は事実関係を認め、返還の意思を示しているという。
県内40か所を調査。問題のあった事業所の大半は、職員の勤務実態が国の基準の4割程度しかないのに、基準を満たすだけ勤務していたことにして介護報酬を不正に受給していた。国の基準に従って延べ週100時間常勤しているとしていたホームヘルパーが、実際には6時間しか勤務していないケースもあった。(2007年8月28日20時22分 読売新聞)

ニチイへの譲渡価格は210億円 コムスンの施設介護2007年08月28日21時19分(asahicom)
グッドウィル・グループ(GWG)の子会社コムスンが、有料老人ホームなど居住系施設介護事業を業界最大手のニチイ学館に譲渡する問題で、両社は28日、譲渡金額を210億円、譲渡日を11月1日にすると発表した。
事業譲渡されるのは有料老人ホーム26カ所と、認知症対応型のグループホーム183カ所。会社分割の手法でつくった三つの受け皿会社にコムスンの事業を移し、ニチイ学館に引き継ぐ。従業員約3000人も全員が移る。
コムスンの第三者委員会(堀田力委員長)が27日、ニチイ学館を事業譲渡先に選定。両社とも「利用者の不安解消のため」として、譲渡金額や譲渡日の決定を急いだ。GWGやニチイ学館の業績に与える影響は未定。
介護サービス継承には自治体の審査を受けて認可を得る必要があるが、ニチイ学館は「厚生労働省など行政側と相談し、スムーズな移行をめざす」としている。

コムスンの介護施設事業、ニチイの買収額210億円(NIKKEINET)
ニチイ学館は28日、グッドウィル・グループ子会社の介護大手コムスン(東京・港)と、有料老人ホームなどの施設介護事業を買収する契約を結んだ。買収額は210億円。まずコムスンが施設のブランドごとにつくった3つの受け皿会社を同日付でニチイに譲渡。ニチイ側が自治体から施設運営の許可を取得し次第、事業を3会社に移す。早ければ11月1日にもニチイが事業を引き継ぐ。
買収資金は全額、借入金で賄う。資産と負債は集計中でのれん代は確定していないが、ニチイは「施設介護は収益性が高く、自社の在宅介護や教育事業とシナジーが見込めるため、買収額は適正と考えている」としている。業績に与える影響も集計中。
ニチイが買収するのは、コムスンの持つ施設介護事業のうち、有料老人ホームの「コムスンのきらめき」(18カ所)、「コムスンホーム」(8カ所)、認知症高齢者が少人数で生活するグループホームの「コムスンのほほえみ」(183カ所)の3ブランド。(23:09)

コムスンの不正受給による返還金は「4割増
横浜市がペナルティー
「コムスン」の介護報酬不正請求問題で、横浜市は31日、同社が運営していた「横浜長者町ケアセンター」(同市中区、5月に廃止)が介護報酬9413万円を不正受給していたとして、介護保険法で認められている「ペナルティー」の上限である4割増を適用し、計1億3178万円の返還を求めることを決めた。
3日にも同社に請求する。同社は応じる方針。納付期限は28日。
同センターは、2003年9月に指定を受ける際、訪問介護員資格を持つサービス提供責任者が常駐しているように装って申請。約1年1か月間にわたり、不正に介護報酬を受け取っていた。県が4〜5月に行った監査で不正が判明した。同法は不正受給が判明した場合には、4割を上限に、加算して返還請求できると規定している。市介護保険課は、「虚偽申請した事態を重くみた」と説明している。(2007年9月1日 読売新聞)

設立以来最大の赤字計上 407億円、グッドウィル (中国新聞)
グッドウィル・グループが31日発表した2007年6月期連結決算の純損益は、不正問題に揺れた介護事業子会社コムスンの業績悪化で、前期34億円の黒字から407億円の大幅赤字に転落した。赤字幅は1995年の会社設立以来、最大。
コムスンの売上高は法改正による介護報酬の見直しで収益が急速に悪化。また不正問題で介護報酬を自治体に自主返還したり、介護事業所撤退による賃貸契約の解約に伴う違約金支払いなどのため、約52億円の損失も発生した。
人材派遣子会社が日雇い派遣労働者の給与から天引きしていた「データ装備費」も一部返還することになったため、33億円の損失が出た。グッドウィルは08年6月期の業績予想は公表しなかった。(初版:8月31日19時54分)

赤字407億円に下方修正 グッドウィルの業績予想2007年8月29日 22時05分中日新聞
グッドウィル・グループは29日、2007年6月期の連結純損益予想を下方修正し、407億円の赤字となる見通しを発表した。日雇い派遣労働者の給与から天引きしていた「データ装備費」の返還に備えた引当金計上や介護事業子会社コムスンの業績悪化が響き、赤字幅は前回予想(3月)と比べ約100億円拡大した。1999年の上場以来、最大の赤字となる。
訪問介護大手のニチイ学館への事業譲渡が決まったコムスン関連では、介護報酬の自主返還金や、介護事業所の賃貸契約の解約に伴う違約金などを計上した。
人材派遣子会社「グッドウィル」は日雇い派遣労働者が1回働くごとにデータ装備費を天引きしていた。「法的根拠がない」とする派遣労働者らの抗議を受け一部返還することになった。
07年6月期の連結売上高予想は、派遣事業の売り上げ増で上方修正した。(共同)

道内開設予定施設、4カ所も継承 ニチイ、コムスン譲渡で(08/29 14:01)北海道新聞
訪問介護最大手コムスンの施設サービス事業を引き継ぐ介護大手のニチイ学館(東京)は二十九日、コムスンが北見市内など道内四カ所で本年度中に開設を予定していた有料老人ホームについても、事業を引き継ぐ方針を明らかにした。両社は二十八日に、すでにサービスを提供している道内三カ所(全国二十六カ所)の有料老人ホームを譲渡することで合意しているが、開設前の施設については明らかにしていなかった。
対象となる道内の施設は、北見のほか、旭川、札幌、帯広でコムスンが本年度中に開設を予定していた有料老人ホーム「コムスンのきらめき」(いずれも定員五十一人)。ニチイ学館は「利用者に不利益が生じないよう引き継ぎたい」(広報部)としているが、新たに開設手続きなどが必要となるため、サービスの開始時期は未定という。

コムスンの不正受給による返還金は「4割増」
横浜市がペナルティー
「コムスン」の介護報酬不正請求問題で、横浜市は31日、同社が運営していた「横浜長者町ケアセンター」(同市中区、5月に廃止)が介護報酬9413万円を不正受給していたとして、介護保険法で認められている「ペナルティー」の上限である4割増を適用し、計1億3178万円の返還を求めることを決めた。
3日にも同社に請求する。同社は応じる方針。納付期限は28日。
同センターは、2003年9月に指定を受ける際、訪問介護員資格を持つサービス提供責任者が常駐しているように装って申請。約1年1か月間にわたり、不正に介護報酬を受け取っていた。県が4〜5月に行った監査で不正が判明した。 同法は不正受給が判明した場合には、4割を上限に、加算して返還請求できると規定している。市介護保険課は、「虚偽申請した事態を重くみた」と説明している。(2007年9月1日 読売新聞)

コムスン問題でグループホーム白紙に 矢板(9/5
訪問介護最大手のコムスンが、矢板市の介護施設整備計画に沿って同市内にグループホームを建てたものの、完成直後に厚生労働省の事業所指定打ち切り処分を受けたため開所できず、施設が未使用のまま取り残されていることが四日、分かった。市は計画の白紙化を余儀なくされ「再び事業者を公募して整備し直す」としている。コムスンの事業譲渡先は決まったが、開所直前で頓挫したこの施設の問題は宙に浮いたままだ。(青木友里)
 市は二〇〇六年度から三年間で、グループホームを二カ所開設する計画を立て、昨年度、施設を整備・運営する事業者を公募。コムスンを含む二事業者を選定した。(下野新聞)

コムスン売却先 大分はセントケア(18:00)TOSニュース
訪問介護最大手コムスンの事業譲渡について大分県内の17の事業所の引き受け先は介護サービス大手のセントケア・ホールディングに決定しました。
訪問介護最大手のコムスンはヘルパーの数を水増しするなど不正な申請を行ったとして国から事業所指定の打ちきりを受けました。これを受けて第3者委員会では4日コムスンの引き受け先を決定しました。コムスンの事業のうち在宅事業は16の事業者に分割して売却される事になり大分の事業所の引き受け先は介護サービス大手で東京に本社を置くセントケア・ホールディングに決まりました。両者は今後事業の引継ぎに向けた協議に入りますが県は「県民に信頼される事業展開が望まれる指定の手続きなど適正に指導していきたい」とコメントしています。

コムスン、「在宅系サービス」をニチイ学館、ジャパンケアサービスなどに譲渡2007年09月04日 19:56更新
グッドウィル・グループは4日、子会社コムスンの「在宅系サービス」事業移行について、コムスン第三者委員会が47都道府県別に承継法人を選定したとの答申を受け、承継法人と事業承継についての協議に入ると発表した。
第三者委員会では今回の選定の利用として、(1)審査基準所定の介護サービスの公益性を認識するとともに社会的責任を自覚し、利用者の尊厳、自立支援に最大限配慮したサービスを継続的かつ安定的に提供する能力を有していること(2)承継を受ける地域でコムスンが利用者に対して提供しているサービスの全てを、承継後も提供する意思及び能力を有していること(3)承継を受ける地域において、コムスンが提供している介護事業を継続していくために必要な人材供給能力を有していること(4)承継した介護事業を継続的に運営していくために必要な最低限の財務基盤を有していること(5)承継する従業員全員の雇用の確保と雇用条件継続の意思を有すること、などをあげている。グッドウィルでは、業績に与える影響については、明らかになり次第発表するとしている。

各都道府県の継承法人は以下の通り。
北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、福井県 : ジャパンケアサービス
青森県 : 青森介護サービス
宮城県、茨城県、山梨県、静岡県、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県 : セントケア・ホールディング
群馬県 : ケアサプライシステムズ
富山県 : 射水万葉会
長野県、岐阜県、愛知県、京都府、兵庫県 : ニチイ学館
三重県 : 共栄
滋賀県 : しみんふくし滋賀
大阪府 : 日本ロングライフ
奈良県 : 信貴山病院
鳥取県 : ハピネライフケア
島根県、岡山県、広島県、山口県 : サンキ・ウエルビィ
高知県 : ふるさと自然村
福岡県 : 麻生メディカルサービス
熊本県 : 熊進企画
鹿児島県、沖縄県 : 徳洲会

アートコーポレーションが高い、コムスン傘下の保育会社2社を買収
【Technobahn】(9/6 13:38)アートコーポレーション (9030) が一時、前日比60円(1.75%)高の3480円まで上昇。 同社は前日5日、コムスン傘下の保育事業運営会社となるコティとグレースの2社の株式を取得し、子会社化することを発表。 市場では収益性よりは、将来性を期待した買いが集まるところなっている。
コティの2007年6月期の売上高は11億4100万円で最終損益は1億6000万円の赤字、グレースの2007年3月期の売上高は3億4100万円で最終損益は1億6500万円の赤字。

アートコーポレーションがコムスン傘下の保育会社買収
アートコーポレーションは5日、訪問介護最大手のコムスンから傘下の保育事業運営会社2社の株式を取得し、子会社化すると発表した。アートは関西を中心に保育園の「パンプキンガーデン」を7園運営しており、両社の子会社化で保育事業を強化。平成23年には全国で約200園の運営を目指すという。
6日付で子会社化するのはコティ(東京)とグレース(同)。全国で計99の保育園を運営している。アートの株式保有率はグレースが100%、コティで99.44%となる。(sanspo.com)

引っ越し大手アート、コムスンの保育事業2社を買収
引っ越し大手のアートコーポレーションは5日、グッドウィル・グループ子会社の介護大手コムスン(東京・港)が傘下に持つ保育事業運営会社2社を買収すると発表した。コムスンが保有する2社の株式をすべて取得する。取得金額は計約6億4000万円。アートが運営する保育園は現在の7カ所から106カ所に増え、保育事業を本格展開する体制を整える。転勤者への保育園紹介などで引っ越し事業との相乗効果も狙う。
買収するのはコティ(東京・港)とグレース(同)。アートは6日付で、コムスンが保有するコティ株約99%とグレース株100%を取得し、子会社化する。(22:26日経ネット)

アート、コムスン傘下の保育事業運営会社の株式取得2007年09月05日17時45分
[東京 5日 ロイター] アートコーポレーション<9030.T>は5日、グッドウィル・グループ<4723.T>子会社のコムスン傘下の保育事業運営会社である株式会社コティと株式会社グレースの株式を取得し、子会社化すると発表した。ライフサポート事業の拡大が狙いという。
両社の株式取得によるアートコーポレーショングループの2007年9月期連結決算への影響は軽微との見込みで、業績予想の修正はないという。(asahi.com)

アートが4日ぶり反発、コムスン傘下の保育事業を買収 09月06日 17:18
アートコーポレーション <9030> が4日ぶりに反発。一時60円高の3480円まで上昇した。同社は5日、コムスン傘下の保育事業を手掛ける子会社コティおよびグレース2社の買収を発表した。子会社2社の借入金も引き継ぐため買収総額は約8億円となる。事業買収の結果、北海道から関西まで合計106カ所(同社が従来から手掛ける保育所「パンプキンガーデン」7園を含む)の保育関連事業を行う。2011年9月期には、約200カ所の保育園の運営を目指すという。
なお、今07年9月期連結業績に与える影響は軽微とし、業績予想は据え置いた。また、来期業績予想については本決算発表時に公表するとしている。[ 株式新聞ダイジェスト ]提供:株式新聞社

コムスン譲渡 サービスが滞らぬように9月6日(木)
介護事業から撤退するコムスンの事業譲渡先がほぼ決まった。長野県内は大手のニチイ学館が引き継ぐ。全都道府県で引き受け手が決まり、お年寄りがサービスを受けられなくなる事態は回避できる見通しとなった。
まずはひと安心だが、問題は解決していない。コムスンの不正をきっかけに、介護業界の深刻な人手不足が明るみにでた。民間事業者が競いつつ質の高いサービスが提供できるよう、保険制度の見直しにも踏み込む必要がある。
コムスンの事業譲渡先は、有料老人ホームなどの施設事業と、主力である訪問介護などの在宅サービスに分けて公募した。有識者でつくる第三者委員会が、その中から現在のサービスを継続することなどを条件に選んだ。
施設事業は一括してニチイ学館に譲渡する。在宅サービスは都道府県単位で売却先を選んだ結果、大手企業を中心に16事業者が引き受けることになった。
長野県で事業を引き継ぐニチイ学館は、コムスンと並ぶ介護業界の大手だ。既に県内で在宅事業を展開している。コムスンのグループホームも運営することになる。
選ばれた事業者には大きな責任が生じる。引き受けたものの「採算が合わないので止める」のは許されない。お年寄りの生活環境を考えれば、できる限りいまの職員がそのままサービスを続けられるよう、配慮を尽くしてほしい。
売却先が決まっても、問題は積み残したままだ。ごまかしを防ぐ第一は、新たに事業者を指定する際に人員配置などの確認をきちんとすることだ。広域で事業展開する企業の検査態勢も考える必要がある。
さらに、介護報酬の問題にも踏み込まねばならない。ヘルパーの名義借りなどコムスンが不正を重ねた背景には、訪問介護の経営が苦しいという事情がある。
ホームヘルプサービスで受け取る報酬は保険で決められ、経営努力を反映しにくい。保険支出を抑えるために、国は報酬単価を下げており、ヘルパーの待遇は悪化している。離職率も年間2割に達し、人手不足は深刻になる一方だ。
経営が厳しくなれば、不正が繰り返される心配がある。小規模事業者が撤退し、大手だけが生き残って選択肢が減るのは、利用者にとっていいことではないだろう。財源の問題はあるものの、介護報酬と労働実態を踏まえた論議を急がねばならない。担い手が減り続ければ、介護を社会で支える保険制度の根幹が崩れてしまう(信濃毎日新聞)

道内在宅介護 コムスン、11月1日に事業譲渡 ジャパンケアと合意(09/06 07:18) 
訪問介護最大手コムスンの道内の在宅介護事業の譲渡先となったジャパンケアサービス(東京)が、十一月一日に事業を譲り受けることでコムスンと合意したことが五日分かった。二十日に譲渡契約を正式に締結する。
 コムスン側では経営不安を背景に利用者の減少や従業員の流出が深刻化。こうしたマイナス要因を食い止めるため、ジャパンケアは早期譲渡は有利と判断したとみられる。
 譲渡方法として、コムスンがジャパンケアに譲渡予定の十三都道県の在宅介護事業を引き継がせる別会社を設立。これをジャパンケアが子会社化する方向で検討を進めている。
 譲渡契約の締結を待ってジャパンケアは、子会社について介護保険の事業者指定を道に申請する。特別な問題がなければ十月上旬までに指定を受けられる見通し。これを受け、コムスンの在宅サービスの全利用者に対し、コムスンと合同で利用契約をあらためて結んでもらう。再契約を十月下旬までに完了させたいとしている。
 ジャパンケアの対馬徳昭会長は「事業譲渡による経営のスケールメリットで、過疎地の不振分の穴埋めは十分可能。コムスンのサービスを維持する新体制づくりを急ぎたい」としている。
 ジャパンケアは七日、道と札幌市に今後の譲渡計画を説明する。

コムスン譲渡 待遇の改善が急務だ2007年9月6日
介護事業におけるホームヘルパーの水増しなどコムスンの不正は、規制強化だけでは防げない。背景にあるヘルパー不足を解消するため、厚生労働省はヘルパーの待遇改善などを打ち出すべきだ。
訪問介護最大手のコムスンが全国展開する在宅系サービスの都道府県別の譲渡先が公表された。既に有料老人ホームなど施設系サービスのニチイ学館への譲渡も決まっている。
厚労省は六月、コムスンが必要なヘルパー数を満たさないのに不正に事業所指定を受けたとして、二〇一一年まで新規指定・更新を受けられなくした。
コムスンは、事業所の取り消し処分を受ける前に廃止届を出して処分逃れを図るなど悪質だった。介護事業からの全面撤退を余儀なくされたのはやむを得ないだろう。
譲渡先の事業者は、コムスンが売り物にしていた二十四時間対応や離島での訪問介護などをしっかりと引き継ぎ、介護を受けている高齢者が困らないようにしてもらいたい。
厚労省はコムスン問題をきっかけに、事業所指定の際の審査や事業所への立ち入り権限の強化などの検討を始めた。不正防止のために必要なことだが、これだけでは不十分だ。
コムスンが退職したり別の事業所に勤務するヘルパーの名前を登録するなどして水増しを図った背景には、不当な利潤追求のほかに、ヘルパー不足があると当初から指摘されていた。コムスンに限らず、介護事業所共通の問題といっていい。
ヘルパーは「介護の専門職」といわれ、責任のある仕事をこなしながらも、それに見合った待遇を受けていない。常勤者でも賃金は一般勤労者の六割程度で年間三百万円に満たないといわれる。これではヘルパーの離職が続出するのは当たり前である。一つの職場の平均勤続年数は三年という短さである。
介護を民間事業者に任せるべきではないとの指摘もあるが、介護保険は介護サービスの不足を民間の参入で補うことを前提に二〇〇〇年にスタートした。既に訪問介護では事業所の半数以上を民間が担っており、いまさら民間に撤退を求めるのは現実的ではない。
それよりも若い世代が民間事業所を含め、ヘルパーとして長期間働き介護技術を磨くことができるように、厚労省は介護報酬を引き上げるなどしてヘルパーの待遇改善を図るべきである。高齢化の進行に伴い、介護が必要な高齢者が増え、それを支えるヘルパーもますます求められるだけになおさらである。それがコムスン問題からくみ取るべき最大の教訓だろう。(中日新聞)

譲渡先決定 地域の事業者大半落選
コムスン後不安も 「24時間」どうなる 
コムスンの在宅系サービスについて、全47都道府県での譲渡先が決まったことで、大量の「介護難民」が発生する事態は避けられ、自治体はひとまず胸をなで下ろした。しかし、地元事業者の多くが選から漏れ、半数以上の自治体が広域展開する大手に決まった。地域の実情に合ったサービスが継承されるのか、不正の再発防止はできるのか。利用者や自治体にとって、なお不安や課題の残る再スタートとなった。(コムスン問題取材班)
「地域の事業者を選ぶのが第一の選定基準だったが、財政基盤や人材確保の面で基本的条件を満たしていなかった」
コムスンの事業譲渡先を検討してきた「第三者委員会」委員長の堀田力・さわやか福祉財団理事長は、ジャパンケアサービスなど大手が多くの自治体を分け合う結果となったことについてそう説明し、「残念ながら(地域の事業者を)選べなかった」と視線を落とした。焦点となっていた24時間サービスの継承についても「元々難しい注文で、提供できる保証はない。祈るような気持ちで継続を願っている」と述べた。
福島県の担当者は「地元に根付いた事業者が、24時間サービスなどコムスンのいい面を引き継いでくれたら」と地元事業者の選定を期待していた。しかし、県内に拠点のないジャパンケアサービスに決まり、「実績がわからないし、戸惑っている」と不安を隠せない。
長野県上田市の高原地帯に暮らす主婦(64)は「事業者が変わっても、コムスンみたいにここまで来てくれるかどうか」と話す。レタス農家の夫と2人暮らし。リウマチで足が不自由なため要介護2の認定を受けている。
コムスンのホームヘルパーが毎日車で40分かけて来てくれ、1時間、洗濯や入浴の介助などをしてくれる。長野県内に24か所ある事業所はニチイ学館に譲渡されるが、採算の取りにくい遠隔地へのサービスがスムーズに継承されるかは不透明だ。
各自治体は再発防止にも神経をとがらせる。「譲渡先の会社については、県としてもきちんと『身体検査』しなければ」と話すのは兵庫県の担当者。数々の不正発覚で連座制が適用され、全国の事業所で新規指定・更新が認められなくなったコムスンのケースは県にとっても手痛い教訓だった。譲渡先はニチイ学館に決まったが、「同様のことが起こらないよう厳しく審査する。指定まで一定の期間をもらいたい」。
譲渡先に決まった業者は、こうした不安の声にどう応えるか。
離島を抱える北海道を含む13都道県を引き継ぐジャパンケアサービスは緊急に記者会見し、「大きなチャンス。業界再編につながるのでは」と意欲を見せた。
同社は今春、東京都の監査で業務改善勧告を受けている。当初は信頼を損なったとして応募を見送る意向だったが、「市町村などから要請があった。法令順守の体制は整っている」と方針転換の理由を説明した。
12道府県で応募し、鹿児島、沖縄両県を引き継ぐ「医療法人徳洲会」(東京本部・千代田区)は、24時間の訪問介護、訪問入浴の経験がない。担当者は「コムスンと相談しながら、きちんと引き継ぎたい」と話しているが、スムーズな移行が課題となりそうだ。
連座制 
介護保険法上の規定では、不正行為で事業所が自治体から指定取り消し処分などを受けた場合、以後5年間、同じ法人が経営する別事業所の指定更新や新規指定が認められなくなる。指定の有効期間は6年間。
コムスンの事業撤退の経緯 
訪問介護事業所の開設に必要な人員基準を満たさないのに不正に事業所の指定を受けたとして、厚生労働省が今年6月、各都道府県に2011年までコムスンの事業所の新規・更新指定を行わないよう通知した。これを受け、親会社のグッドウィル・グループが、コムスンを含めた全介護事業からの撤退を表明。8月27日に有料老人ホームなどの居住系サービスを訪問介護大手のニチイ学館に譲渡することが決まった。
立ち入り権限、報酬見直し検討→→再発防止策は 
再発防止は、厚生労働省にとっても最大の課題だ。
同省は7月中旬に有識者会議を設け、全国規模で介護事業を展開する事業者への規制のあり方や、事業者の法令順守に必要な措置について検討を始めた。
現行制度では、事業所の指定権限を持つ都道府県が立ち入り検査できるのは、不正が疑われる個々の事業所だけ。コムスンのように、本社の指示で全国の事業所が不正を行った疑いがあっても、本社に立ち入る権限はない。政府・与党内からも、「本社への立ち入り検査権を認めるべきだ」とする意見が出ており、何らかの規制強化が行われる見通しだ。
事業者の法令順守についても、有識者会議では、「事業所指定の際、審査を厳しくするべきだ」「市民による監視が可能になるような機関を設置してはどうか」などの意見が出ている。会議では今秋にも結論を出す予定で、同省はこれを基に、来年の通常国会に介護保険法の改正案を提出する方針だ。
コムスン問題は、介護分野の人材難や介護報酬の低さなど、構造的な課題も浮き彫りにした。
景気回復に伴って人材難は深刻化しており、2006年度の有効求人倍率は1・06倍なのに対し、介護分野に限ると1・74倍。介護報酬のマイナス改定で事業者の収入が減っていることもあり、事業者からは「給料が安すぎて人が集まらない」との悲鳴が上がっている。介護職からは給与への不満のほか、「業務の負担の割に社会的評価が低い」といった声も強い。これが人員配置基準に満たない事業所が生まれる一因との指摘もあり、働きやすい職場作りなどの対策が求められている。
継承者の責任重い 
「ヘルパーは妹か娘のよう。ずっと来てほしい」
コムスンの訪問介護を受けている女性は、取材の途中で涙声になった。
「民」の力を生かした介護保険の象徴的存在とも言えたコムスンの事業撤退の枠組みが決まった。経営陣の姿勢は許されないが、深夜・早朝の介護に取り組む現場のヘルパーの評判が悪いわけではない。撤退決定から3か月。この間、利用者や従業員はどれほど不安に駆られていただろうか。継承する事業者の責任は重い。全力を挙げて介護に取り組み、失われた信頼を取り戻してほしい。(社会保障部 小山孝)(2007年9月5日 読売新聞)

社員3500人がコムスン離れ…6、7月
退場宣告3か月 急いだ選定
グッドウィル・グループの「コムスン」(東京都港区)が介護事業からの退場を迫られてから約3か月。7万5000人もの利用者の受け皿は、当初に想定されていたよりもずっと早く固まった。
しかし、「遅くなれば利用者の不安が募る」と譲渡先の選定を急いだ結果、現場ではヘルパーの退職など混乱も出ている。「これまでと同じ人にサービスを受けたい」という利用者の願いは届くのか。
介護報酬水増しなどが相次いで明るみに出た後、将来への不安からコムスンを離れるヘルパーが後を絶たない。同社によると、4月時点で約2万4000人いた社員のうち、厚生労働省から事業所の新規指定を認めないとする処分が発表された6月に2700人、7月には831人が退職した。
「会社にはないしょだが、利用者を引き受けてもらえないか」。8月下旬、九州地方で訪問介護事業所を運営する女性は、知り合いのコムスンのケアセンター(介護事業所)長の言葉に驚かされた。センター長の話では、ヘルパーが数人辞め、請け負っている訪問介護サービスに手が回らないのだという。「会社からは、利用者を一人でも多く引き留めるよう言われるが無理だ」と、涙ながらに窮状を訴えられたという。
首都圏のある女性ケアマネジャーは8月上旬、コムスンからヘルパーの派遣打ち切りを通告された。深夜の身体介護サービスを担当していたヘルパーが退職し、代替要員が見つからないためだという。
約1か月後、24時間サービスをうたう別の事業者が名乗り出たが、深夜にサービスができるヘルパーは1人だけ。このケアマネジャーは「コムスンと同じ介護サービスを続けられるのか正直、不安だ」と語った。

不正の温床となった法令順守や適正な業務運営の意識に欠ける企業風土の改善も待ったなしだ。コムスンの不正に最初に切り込んだ東京都では、異例の運営指導に乗り出している。
先月31日午前10時、新宿区にあるコムスンの訪問介護事業所。都福祉保健局の職員3人は、管理者やサービス提供責任者に矢継ぎ早に質問を浴びせた。
「利用者に事故が発生した時の対応はどうしていますか。記録のファイルを見せてください」「サービスに関する重要事項をきちんと説明していますか」「ヘルパーの管理はどのように行っていますか」
都職員が行っているのは、違法行為を見つける監査ではなく、適正な業務運営などを助言する任意の指導だ。
「大切なことは、利用者の立場に立ったサービスを心がけることです」。都職員は、繰り返し介護サービスの心得を説き、コムスン社員とのやりとりは約1時間続いた。同局は今月中を目標に、都内56か所にあるコムスンの訪問介護事業所すべてで、運営指導を実施することにしている。
本来、職員教育は事業者の責任だが、コムスンでは不祥事の後、具体的な再発防止策を打ち出していない。このため、都の担当者は「不正かどうかを判定する審判ではなく、正しいやり方を教えるいわばコーチ役です」と話す。
都介護保険課は「事業譲渡で経営主体は代わっても、現場の職員はコムスン時代と変わらない。移行後のサービスの低下を防ぐために、何よりも現場の意識改革を促したい」と運営指導の意義を強調している。
利用者「変わらぬサービスを」
2年前から町の社会福祉協議会に代わって、コムスンが訪問介護事業を全面的に請け負っている北海道利尻島の利尻富士町。既存の公共施設や人材を活用する“離島モデル”として知られ、町民23人がサービス提供を受けている。
北海道では「ジャパンケアサービス」が譲渡先に決まったものの、人口3000人強の約3割が65歳以上という過疎の町に広がった不安は、なかなか消えない。
左半身が不自由で、外出介助などを受けている雨森よしのさん(74)は、「会社は代わっても同じヘルパーさんが来てくれると聞いているので安心している」とホッとした様子を見せるが、夫の豊さん(80)は「サービス内容や料金がどうなるか。会社によっていろいろ違うやり方もあるだろうが、これまで通りやってもらわないと」と不安そう。
自力で食事や入浴はできないだけに、生活にヘルパーが欠かせないALS(筋委縮性側索硬化症)患者にとっても、心配は尽きない。千葉県船橋市で独り暮らしをする長嶋明美さん(43)は、コムスンのヘルパーから毎日、薬の服用や就寝準備などの介助を受ける。
かすかな声でしか話せない長嶋さんにとって、なじみのヘルパーが交代するのは切実な問題だ。「コムスンの従業員の中には、譲渡先以外の事業所に職場を変える人もいると聞いているので、同じ人が来てくれるかどうか」とつぶやいた。(2007年9月5日 読売新聞)















2007年09月06日(木) 21:00:10 Modified by kazuhiro3122




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