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『異才世界に吹く風は第七の司祭と出会う』その三

『異才世界に吹く風は第七の司祭と出会う』その三


 自分の頭部目掛けて振るわれるワムウの恐るべき早さの豪腕、とっさ後ろに跳び下がり避けたが、空振りしたその一撃は地面に激突すると同時に爆発のような音と共に一メートル以上のクレータを作り上げた。
「ツっ!」
 その桁外れの一撃にシエルは内心の驚愕を抑えることが出来なかった、単純な腕力だったら知り合いのあーぱー吸血鬼と同等以上、それよりも驚かされたのは今までの一連の動作の中で一切の魔力を感じることがなかった、恐るべきは純粋な身体能力のみだという事実。
 シエルの動揺を見逃す程、戦闘においてワムウは甘くない、地面を踏み砕く程の瞬発力で開いた距離を一瞬にして自分の攻撃範囲にまで持っていく。
「ムン!」
 気合いと共に放たれるの肉眼では認識出来ない早さの蹴り、シエルの胴体目掛けて襲い掛かる。とっさに腕をクロスさせ蹴りを防ぐがメキリという音と共に片腕の骨が砕ける。
「くぅ!」
 一瞬痛みに思考が麻痺しそうになるが、奥歯を噛み締めて堪え、蹴られた勢いを利用し距離を置こうと考えた瞬間ガクンと空中で動きが止まる、何事だと目を向けた時、今度こそシエルの思考は一時停止した。
 シエルの砕けた片腕にワムウの足が同化している。
 シエルの脳裏に浮かぶのは先程喰われた喰人鬼の姿。
 躊躇う事なく片腕を切り離そうと黒鍵をだした瞬間シエルの視界は180度反転し背中から地面へと容赦なく叩きつけられた。

「かはっ!」
 肺の中の空気が全て吐き出してしまいそうな衝撃、それが立て続けに数回襲い掛かる、思わず意識が飛んでしまいそうになるのをシエルは耐える。
「フム」
 今だ意識を保っているシエルにワムウは感心したような声を出すと、勢いよく近くの建物に向け脚を振るうと同時に同化を解除する。
 ボールの様にシエルの体は空中を突き進み、建物の壁を突き破っていった。
「流石に死んだか?」
 壁の穴を見ていると数本の直剣がワムウに向かい飛んでくる。それを避ける事なく、右腕を突き出しガードする、ワムウの腕を貫通する事なく十センチ程刺さった程度で止まった。
「ホゥ」
 ワムウの口から洩れたのは純粋な驚き、ただの剣で自分の表皮を突き破ったことも驚きだがシエル自身が持つ生命力は感動すら覚える。
「随分…やってくれましたね」
 修道服はボロボロになり額からは血を流しているがその両眼には今だ強い意思が宿っている。
「成る程、その細身からは想像出来ないタフさだな」
 シエルに向けニヤリと笑みを浮かべる。
「ただの人間というわけでもないようだしな」
 剣を抜きながらワムウの耳には今この会話中にもシエルの体が軋みをあげながら修復されていく音が聞こえていた。
「ツッ!…こっちにも色々事情があるんです、それよりどうして離したんですか、さっきの喰人鬼みたいに吸収しないんですか?」
「確かにそれならば、すぐに終わるだろう、だが勘違いするな、あれはおれの食事方法であって、戦闘方法ではない、おれは戦士であることに誇りを持っている、自分自身が鍛え上げた肉体と技術しかつかわん、それ以外を使うことはおれの誇りと自信を汚す」
 この時シエルは目の前の男が真の格闘者である事を理解した。自分の肉体に絶対の自身を持ち、決して自分ルールを曲げない。
 自分の周りにはいないタイプに思わず苦笑が浮かぶ。
「色々と貴方に興味が湧いてきましたが、こっちも仕事があるので手っ取り早く決着つけましょうか?」
 両手に黒鍵を構え微笑を浮かぶる。
「おもしろい…!」
 ワムウも腰を沈め両手を突き出す。
 互いの闘気が極限まで高まっていき場の空気が沈黙する。
 永遠とも思える沈黙を破ったの背後からシエルの心臓を突き破った第三者の一撃だった。

『異界に吹く風は第七の司祭と出会う その三』完



  ……To Be Continued?
2010年04月11日(日) 12:54:42 Modified by ID:P58hRsZsNg




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