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『異才世界に吹く風は第七の司祭と出会う』その二

『異才世界に吹く風は第七の司祭と出会う』その二

 ワムウの構えには一切の無駄や隙がなく、自然体であるがその全身からは空間が歪んで見えるような錯覚をさせる程の殺気と闘気を発している。
 自分でも知らない内に少女の額からは汗が滲み出している。
「名乗ったからには名乗り返すのが礼儀ですね。わたしは埋葬機関、第七位シエルと申します」
 シエルの言葉にワムウは僅かに眉をひそめる。
「マイソウキカン?聞かん名だ。波紋の戦士達の組織か?」
 ワムウの言葉に今度はシエルの眉がひそまる。
「埋葬機関を知らないんですか?というより波紋ってなんですか?」
 互いの認識のズレがお互いの頭に疑問を浮かばせる。「貴方は死徒ですよね?」「死徒とは何だ?」
「…」
 シエルは疑問を通り越して困惑する。目の前の男は人ではない。身に纏う空気、全身から漂う血の匂い、神に誓ってもいい、絶対に人ではない。なのに裏の世界に関わる者なら知っておくべきであるはずの埋葬機関のことを知らない。
「死徒とは吸血鬼のことです。知らないんですか?」シエルの言葉にワムウは不愉快そうな表情を浮かべる「あんな奴ら一緒にするな所詮奴らは我らの…」
 不意にワムウの言葉が止まり、視線だけを背後に向ける。


 建物の影から人が一人現れた、所々破れたスーツを着た三十代くらいの男性、みすぼらしい恰好を気にすることなくフラフラとした足どりでワムウに近づいていく。
「喰人鬼…!まだ生き残りがいましたか」
 どこともなく出した直剣を構え投擲しようとした瞬間
「ゾンビか…まあいい少し腹が減っていた所だ」
 ワムウの呟きにシエルの動きが止まる。
「は?」
 シエルに背を向けると喰人鬼に歩み寄っていく。
「あの!ちょっと!」
 ワムウは喰人鬼前に立ち構える事なく全くの無防備。喰人鬼は躊躇う事なくなく首もとに食らいつく。
 目の前の光景にシエルの顔が僅かに歪むが次の瞬間驚愕に染まる。
 喰人鬼の顔下半分がワムウの体に沈む、否同化している。とっさに離れようとするが離れることが出来ないワムウはジタバタ抵抗する喰人鬼の頭を掴むと一気に体に押し込む。上半身は完全に押し込まれ下半身が力無く動いていたがやがて止まりワムウの体に吸収されていった。
「貴方は…一体何なんですか…」
 今まで様々な吸血鬼を見てきたシエルでも今目の前にいる存在は未知である。
「知った所で何かが変わる分けでもない、おれがどんな存在かは戦いの中で知ればいい」
「随分好戦的ですね」
「おれにとって戦いとは相手を知る神聖なもの、強さこそが真理、勇者こそが友であり尊敬する者!」
 シエルに向け鋭い闘気を発する。
「貴様の強さを見せてみろシエルとやら!」
 助走もなく脚力のみで数メートルの高さまで跳び上がると猛獣の如くシエルに向け襲い掛かった。

『異世界に吹く風は第七の司祭と出会う その二』完


  ……To Be Continued
2010年04月11日(日) 11:59:45 Modified by ID:P58hRsZsNg




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